JPH0364324B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、車両用摺動式屋根構造に係り、特
に、チルト動作可能な可動リツドを備えてなる車
両用摺動式屋根構造の改良に関する。

従来この種の車両用摺動式屋根構造としては、
例えば、第１図に示すように、ルーフパネル１に
開設された屋根開口２に可動リツド３を嵌挿する
と共に、上記ルーフパネル１の裏面にはフレーム
４を配設してルーフパネル１との間にリツド格納
部５を形成する一方、上記フレーム４の左右両側
には車体前後方向に延びるガイドレール６を敷設
し、このガイドレール６上に図示外の支持機構を
介して上記可動リツド３を支持し、この可動リツ
ド３をチルト動作させて車室内換気を行う一方、
上記可動リツド３を車体後方へ摺動させてリツド
格納部５に収納するようにしたものがある。

このタイプにおいて、上記可動リツド３の裏面
には、第１図及び第２図に示すように、フレーム
４の室内側開口７を閉塞するフイニツシヤプレー
ト８が一般に配設されており、このフイニツシヤ
プレート８は、その前部が可動リツド３の前側リ
ツドレインフオース３ａにクリツプ９により係止
され、その後部が可動リツド３の後側リツドレイ
ンフオース３ｂに設けた吊上げ装置１０で支持さ
れて可動リツド３に追従して作動するようになつ
ている。即ち、上記吊上げ装置１０は、可動リツ
ド３の後側リツドレインフオース３ｂに下方に向
けて吊上げピン１１を突設すると共に、この吊上
げピン１１の先端には当該吊上げピン１１の長手
方向に移動可能で下端に係止フランジ１２ａを有
する吊上げローラ１２を設ける一方、上記フイニ
ツシヤプレート８の後部には上記吊上げローラ１
２の移動ストロークを所定量許容しながら上記吊
上げローラ１２を抱持するブラケツト１３を設
け、更に、このブラケツト１３の上面に配した座
金１４と後側リツドレインフオース３ｂとの間に
は互いに離反する方向に付勢するスプリング１５
を介装してなるものである。このとき、可動リツ
ド３閉時において、上記吊上げローラ１２の係止
フランジ１２ａはブラケツト１３の上壁に当接若
しくは近接した位置に配置されている。このた
め、可動リツド３チルト動作時には、第３図ａに
示すように、吊上げローラ１２が可動リツド３と
共に二点鎖線で示す位置から実線で示す位置まで
上方へ移動することになることから、吊上げロー
ラ１２の係止フランジ１２ａがブラケツト１３の
上壁に確実に当接し、フイニツシヤプレート８の
後部は吊上げローラ１２の移動ストローク分だけ
上方に向けて強制的に吊上げられることになる。
又、可動リツド３摺動時には、第３図ｂに示すよ
うに、可動リツド３を二点鎖線で示す閉位置から
実線で示す位置まで沈み込ませる必要があるが、
上記吊上げピン１１は、ブラケツト１３の下壁に
当接するまで下方へ移動し得るので、可動リツド
３の沈み量は充分に確保されることになるのであ
る。尚、第２図及び第３図中、１８は可動リツド
３周縁のシールを司どるウエザーストリツプ、１
９はフレーム４の周縁に設けられルーフパネル１
の裏面に弾接するシールラバー、２０は室内側開
口７縁のウエルトである。

然しながら、このような従来の車両用摺動式屋
根構造にあつては、可動リツド３チルト動作時に
おいて、上記フイニツシヤプレート８の後部は吊
上げ装置１０によつて強制的に吊上げられる構造
にはなつているが、吊上げ装置１０の構成からし
て、可動リツド３チルト動作時における可動リツ
ド３とフイニツシヤプレート８の後部との相対位
置は、可動リツド３閉時における両者の相対位置
と略等しいものになつている。このため、可動リ
ツド３のチルト動作時には、可動リツド３とフイ
ニツシヤプレート８の後部との間にフレーム４の
厚さ寸法に略等しい隙間１６が形成されてしまう
ことになり、この隙間１６を通じてフイニツシヤ
プレート８に組込まれた種々の部品が外部から見
えてしまい著しく外観品質を損うほか、フイニツ
シヤプレート８の後部が充分には可動リツド３側
に引き寄せられていないことから、フイニツシヤ
プレート８の後部と屋根開口２との間に形成され
る換気開口１７面積が狭いものになつてしまい、
車室内換気が充分には行なわれない虞れがあつ
た。

本発明は以上の観点に立つて為されたものであ
つて、その目的とするところは、可動リツドチル
ト動作時においてフイニツシヤプレートの後部を
可動リツド側に引き寄せ、もつて、フイニツシヤ
プレートの後部と可動リツドとの間の隙間を狭く
して外観品質を向上させると共に、換気開口面積
を広くして車室内換気を充分に行えるようにした
車両用摺動式屋根構造を提供することにある。

そして、本発明の要旨とするところは、可動リ
ツドの裏面後部に車体前後方向に延びる連結アー
ムの一端を枢支すると共に、可動リツド摺動時に
可動リツドと共に移動する部材に上記連結アーム
の他端を前後方向へ相対移動可能に連結して、可
動リツドチルト動作時に上記連結アームを立上り
作動させる一方、上記可動リツドの裏面後部に
は、ストツパ部を有する支持アームの一端を枢支
すると共に、支持アームの他端でフイニツシヤプ
レートの後部を支持し、可動リツドチルト動作時
に上記連結アームの一端が上記支持アームのスト
ツパ部に当接し、上記連結アームの立上り作動に
追従して支持アームを回動させ、フイニツシヤプ
レートの後部を可動リツド側に引き寄せるように
した車両用摺動式屋根構造である。

以下、添付図面に示す実施例に基づいて本発明
を詳細に説明する。

第４図乃至第６図に示す実施例において、可動
リツド３は、ガイドレール６上に前後一対のシユ
ー２１ｆ，２１ｒを摺動自在に装着し、駆動シユ
ーとしての前部シユー２１ｆと可動リツド３の前
側取付ブラケツト２２ｆとを相対移動可能に連結
する一方、前後シユー２１ｆ，２１ｒと可動リツ
ド３の後側取付ブラケツト２２ｒとを一対のリン
ク片２３ａ，２３ｂから成るリンク機構Ｌを介し
て連結してなるものであり、前部シユー２１ｆを
可動リツド３閉位置から車体前方へ向けて摺動さ
せると、上記リンク機構Ｌが立上り作動して可動
リツド３がチルト動作し、又、前部シユー２１ｆ
を可動リツド３閉位置から車体後方へ向けて摺動
させると、上記リンク機構Ｌが倒れ込み作動して
可動リツド３が沈み込み、この状態で可動リツド
３がリツド格納部５に収納されるようになつてい
る。

この実施例において、上記可動リツド３の後部
は、第４図及び第５図に示すように、その両側に
おいて車体前後方向に延びる一対の連結アーム２
４を介して後部シユー２１ｒに連結されている。
この連結アーム２４の一端は、後側取付ブラケツ
ト２２ｒの裏面に平板状のレインフオース２５を
取付け、このレインフオース２５の一部を下方側
に切起した取付片２５ａに枢軸２６によつて枢支
されている。一方、連結アーム２４の他端には車
幅方向に向かつてガイドピン２７が突設されてお
り、後部シユー２２ｒの内側壁には長孔状のガイ
ドスリツト２８が車体前後方向に延びて開設され
ていて、このガイドスリツト２８内に上記ガイド
ピン２７が摺動可能に係合している。そして、上
記連結アーム２４は、第６図ａに示すように、可
動リツド３閉時において斜め前下方に向かつて配
置されており、可動リツド３チルト動作時におい
て立上り作動するようになつている。

又、上記フイニツシヤプレート８は、その後部
から左右両側後部にかけて立上る被覆フランジ８
ａを有する平板状部材であつて、フイニツシヤプ
レート８の前部は、従来と同様に、可動リツド３
の前側リツドレインフオース（図示せず）にクリ
ツプ止めされているが、フイニツシヤプレート８
の後部は、従来と異なり、後側リツドレインフオ
ース３ｂに設けた一対の支持アーム２９で支持さ
れている。この支持アーム２９の一端は、第４図
及び第５図に示すように、上記連結アーム２４の
枢軸２６と同軸に枢支されており、この支持アー
ム２９の他端、即ち回転自由端部には、当該支持
アーム２９の長手方向に沿つて延び且つ先端で開
口してなる係合スリツト３０が開設されている。
一方、フイニツシヤプレート８の後部両側にはピ
ン取付ブラケツト３１がリベツト３２等により取
付けられおり、このピン取付ブラケツト３１には
外方、即ち車幅方向に向かつて係合ピン３３が突
設されている。そして、この係合ピン３３は上記
係合スリツト３０内に摺動自在に係合しており、
可動リツド３閉時において第６図ａに示すように
係合スリツト３０の先端寄りに位置している。

更に、上記支持アーム２９の枢軸２６寄りには
支持アーム２９の一部を切欠したストツパ部３４
が形成されており、一方、連結アーム２４の枢軸
２６寄りには連結アーム２４を厚さ方向にオフセ
ツトさせたストツパ壁３５が形成されており、上
記ストツパ部３４は上記ストツパ壁３５に当接し
て支持アーム２９と連結アーム２４との相対位置
を規制するようになつており、可動リツド３閉時
において上記支持アーム２９は、第６図ａに示す
ように、フイニツシヤプレート８側に向かつて斜
め後下方に延びて配置されている。

更に又、上記フイニツシヤプレート８の前側両
側には、第４図に示すように、Ｌ字ブラケツト３
６を介して支持ピン３７が外方に向かつて突設さ
れており、これらの支持ピン３７及び上記係合ピ
ン３３は、ガイドレール６の内側に設けたガイド
チヤンネル部３８内に摺動自在に嵌合しており、
可動リツド３摺動時にフイニツシヤプレート８は
がつくことなくガイドチヤンネル部３８に沿つて
摺動するようになつている。そして、可動リツド
３閉時における係合ピン３３の位置に対応したガ
イドチヤンネル部３８の上壁には切欠部３９が形
成されており、可動リツド３チルト動作時におい
て上記係合ピン３３は上記切欠部３９を通じてガ
イドチヤンネル部３８から離脱してフイニツシヤ
プレート８を可動リツド３に追従させるようにし
ている。

従つて、この実施例に係る車両用摺動式屋根構
造によれば、可動リツド３閉時には、第６図ａに
示すように、フイニツシヤプレート８はフレーム
４の室内側開口７を閉塞しており、可動リツド３
とフイニツシヤプレート８の後部との相対距離は
フレーム４の厚さ寸法ｄに対応している。

又、可動リツド３チルト動作時には、第６図ｂ
に示すように、連結アーム２４の一端にある枢軸
２６は、可動リツド３のチルト動作に追従して仮
想線で示す位置から実線へ示す位置へ円弧軌跡を
描きながら移動することになり、又連結アーム２
４の他端にあるガイドピン２７は後部シユー２１
ｒのガイドスリツト２８内を終端に当接するまで
後方に向かつて摺動していき、可動リツド３閉時
の場合に比べて上記連結アーム２４は反時計回り
方向に向かつて角度θ分立上り作動することにな
る。この状態を、第６図ａに示す可動リツド３閉
時の状態から順次見ていくと、上記支持アーム２
９のストツパ部３４が連結アーム２４のストツパ
壁３５に当接した状態にあるので、上記支持アー
ム２９は、連結アーム２４の立ち上がり作動に追
従して枢軸２６を回転中心として第６図上反時計
回り方向、即ち上方に向かつて上記角度θ分回動
する（第６図ｂ参照）。このとき、上記支持アー
ム２９の係合スリツト３０内に係合している係合
ピン３３は、係合スリツト３０内を枢軸２６方向
に摺動すると共に、可動リツド３に追従して上記
支持アーム２９が上昇する分（即ち、第６図ａと
第６図ｂとの比較で枢軸２６が上昇する分：一点
鎖線で示した係合ピン３３ａの位置から係合ピン
３３ｂの位置の差分）だけ上昇するほか、支持ア
ーム２９の枢軸２６の反対側の回動端側の係合ス
リツト３０内に係合している上記係合ピン３３
は、上記のように連結アーム２４の回動に起因す
る支持アーム２９の回動に伴つて、さらにその支
持アーム２９の回動する角度θに対応する分（即
ち、一点鎖線で示した係合ピン３３ｂの位置から
実線で示した係合ピン３３の位置の差分）だけ、
上方に持ち上げられることになる。即ち、可動リ
ツド３閉時の場合に比べて、フイニツシヤプレー
ト８の後部は、上記支持アーム２９の回動に伴う
係合ピン３３の回転移動軌跡に対応した高さ寸法
ｅ分だけ可動リツド３側に引き寄せられる。即
ち、可動リツド３チルト動作時には、可動リツド
３とフイニツシヤプレート８の後部との相対距離
d′は可動リツド３閉時における相対距離ｄより略
寸法ｅだけ接近したものになるのである。もちろ
ん、チルト動作を行う可動リツド３自身の前後方
向の長さに比べ、連結アーム２４の長さは十分短
くとられている。このため可動リツド３とフイニ
ツシヤプレート８の後部との隙間１６は従来に比
べて狭まることになり、フイニツシヤプレート８
内に組込まれた種々の部品が外部からほとんど見
えなくなる。そして又、フイニツシヤプレート８
の後部が可動リツド３側に引き寄せられる分、換
気開口１７面積が従来に比べて広くなり、車室内
換気は充分に行なわれる。

更に、可動リツド３収納時には、第６図ｃに示
すように、可動リツド３の後部が仮想線で示す位
置から実線で示す位置へ向かつて下方に沈み込む
ことになる。このとき、可動リツド３側に枢支さ
れている連結アーム２４及び支持アーム２９の他
端は、夫々後部シユー２１ｒ及びフイニツシヤプ
レート８に対して相対移動し得るようになつてい
ることから、連結アーム２４及び支持アーム２９
は互いに拡開する方向に回動し得るようになつて
おり、しかも、両アーム２４，２９が互いに拡開
する方向に回動するときには、上記支持アーム２
９のストツパ部３４は連結アーム２４のストツパ
壁３５に当接しない。このため、上記連結アーム
２４及び支持アーム２９は、可動リツド３の後部
沈み込み量に追従して互いに拡開する方向に倒れ
込むことになり、可動リツド３は沈み込んだ状態
で車体後方へ摺動しリツド格納部５に収納され
る。

尚、上記実施例にあつては、連結アーム２４と
後部シユー２１ｒとはガイドピン２７とガイドス
リツト２８とで係合しているが、必ずしもこれに
限定されるものではなく、ガイドピン２７とガイ
ドスリツト２８の配置関係を逆にしてもよく、要
するに、連結アーム２４と後部シユー２１ｒとが
相対移動可能に連結されていればよい。又、上記
連結アーム２４は可動リツド３チルト動作時に立
上り作動するものであればよいから、例えば、可
動リツド３を支持するリンク機構Ｌの一方のリン
ク片２３ａを連結アーム２４として用いてもよ
い。更に、上記連結アーム２４と支持アーム２９
とは枢軸２６で同軸に枢支されているが、必ずし
も同軸にする必要はない。更に又、連結アーム２
４と支持アーム２９との相対位置を規制するスト
ツパ構造や支持アーム２９のフイニツシヤプレー
ト８後部の支持構造等については適宜設計変更し
て差支えない。

以上説明してきたように、本発明に係る車両用
摺動式屋根構造によれば、可動リツドの裏面後部
に、車体前後方向に延びる連結アームの一端を枢
支すると共に、可動リツド摺動時に可動リツドと
共に移動する部材に上記連結アームの他端を相対
移動可能に連結して、可動リツドチルト動作時に
上記連結アームを立上り作動させる一方、上記可
動リツドの裏面後部には、ストツパ部を有する支
持アームの一端を枢支すると共に、支持アームの
他端でフイニツシヤプレートの後部を支持し、可
動リツドチルト動作時に上記連結アームの一端が
上記支持アームのストツパ部に当接し、上記連結
アーム立上り作動に追従して支持アームを回動さ
せ、フイニツシヤプレートの後部を可動リツド側
に引き寄せるようにしたので、可動リツドチルト
動作時には、フイニツシヤプレートの後部は、可
動リツド閉時の場合に比べて可動リツド側に接近
することになり、その分、フイニツシヤプレート
の後部と可動リツドとの隙間を狭くすることがで
き、フイニツシヤプレート内部の各種部品等が外
部から見えにくくなつて可動リツドチルト動作時
における外観品質を向上させることができるばか
りか、フイニツシヤプレートの後部と屋根開口と
の間の換気開口が広くなり、車室内換気を充分に
行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の摺動式屋根を備えた車両の平面
図、第２図は第１図中−線断面図、第３図ａ
は可動リツドチルト動作時における作動を示す断
面図、第３図ｂは可動リツド収納時における作動
を示す断面図、第４図は本発明に係る車両用摺動
式屋根構造の一実施例を示す分解斜視図、第５図
はその要部分解斜視図、第６図ａ，ｂ及びｃは可
動リツド閉時、可動リツドチルト動作時及び可動
リツド収納時の作動を示す第４図中−線断面
図である。 １……ルーフパネル、２……屋根開口、３……
可動リツド、４……フレーム、７……室内側開
口、８……フイニツシヤプレート、２１ｒ……後
部シユー（移動部材）、２４……連結アーム、２
６……枢軸、２７……ガイドピン、２８……ガイ
ドスリツト、２９……支持アーム、３０……係合
スリツト、３３……係合ピン、３４……ストツパ
部、３５……ストツパ壁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ルーフパネルに開設された屋根開口にチルト
   動作可能な可動リツドを嵌挿し、この可動リツド
   の裏面には、上記ルーフパネルの裏面に配設され
   たフレームの室内側開口を閉塞し且つ可動リツド
   に追従して作動するフイニツシヤプレートを備え
   てなる車両用摺動式屋根構造において、 上記可動リツドの裏面後部に車体前後方向に延
   びる連結アームの一端を枢支すると共に、可動リ
   ツド摺動時に可動リツドと共に移動する部材に上
   記連結アームの他端を、前後方向へ相対移動可能
   に連結して、可動リツドチルト動作時に上記連結
   アームを立上り作動させる一方、上記可動リツド
   の裏面後部には、ストツパ部を有する支持アーム
   の一端を枢支すると共に、支持アームの他端でフ
   イニツシヤプレートの後部を支持し、可動リツド
   チルト動作時に上記連結アームの一端が上記支持
   アームのストツパ部に当接し、上記連結アームの
   立上り作動に追従して支持アームを回動させ、フ
   イニツシヤプレートの後部を可動リツド側に引き
   寄せるようにしたことを特徴とする車両用摺動式
   屋根構造。 ２ 上記支持アームは連結アームと同軸に枢支さ
   れていることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載の車両用摺動式屋根構造。