JPH0364104B2 - - Google Patents

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JPH0364104B2
JPH0364104B2 JP61113466A JP11346686A JPH0364104B2 JP H0364104 B2 JPH0364104 B2 JP H0364104B2 JP 61113466 A JP61113466 A JP 61113466A JP 11346686 A JP11346686 A JP 11346686A JP H0364104 B2 JPH0364104 B2 JP H0364104B2
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culture
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animal cells
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Michuki Tokashiki
Kimihiko Hamamoto
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Publication of JPH0364104B2 publication Critical patent/JPH0364104B2/ja
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【発明の詳細な説明】 (a) 産業上の利用分野 本発明は増殖性動物細胞を培養して有用な高分
子量物質を生産する方法およびそのための培養系
に関するものである。 (b) 従来技術 細胞培養技術は、例えばウイルス、ワクチン、
インターフエロンの如き抗ウイルス剤或いはホル
モンの如き生物薬品の製造にとつて重要である。
更に近年特定タンパク質などを標的とするモノク
ローナル抗体の生産は抗体産生細胞とミエローマ
によるハイブリドーマの培養によるものであり、
その技術の解決は工業的に重要なテーマである。 従来、細胞培養は一般にシヤーレ試験管、培養
びんなどを用いて実験室的規模で行なわれてい
る。 一方近年前記した如き有用物質の産生を目的と
して工業的な細胞の培養法及びそのための装置と
して、いくつかの提案がなされている。これらの
提案は、大きく分けて付着培養(anchorage
dependent culture)と浮遊培養、つまりサスペ
ンジヨン培養(suspension culture)との2つの
方式に分類されるが、これらの方式は培養される
細胞の特性によつていずれかに決められる。 このうちサスペンジヨン培養に関して下記の提
案がなされている。例えばマグネテイツクスター
ラーもしくは機械的に駆動されるシヤフト上の羽
根車によつて、スピナーフラスコの中に調整され
た撹拌機能を設けた培養方法が提案されている
(米国特許第2958517号および同第3649465号明細
書参照)。 特開昭57−65180号公報には、回転可能なシヤ
フト上に支持される少くとも1枚の比較的大表面
積の屈撓性シートを撹拌機とし、該撹拌機を回転
させて該シートを波立たせ、それによつてヒトの
2倍体細胞のような或る種の虚弱細胞に対し所望
の穏かな撹拌を作り出すサスペンジヨン培養装置
が提案されている。 しかし、上記装置による培養方法においては、
細胞が一定量の栄養分の中で培養されるため細胞
の生長増殖は比較的低い密度で停止する。 細胞のサスペンジヨン培養において、細胞の生
長増殖が比較的低い密度で停止するのを防ぎ、細
胞を大量に且つ高密度で培養するために、一般に
新しい培養液を培養槽中へ供給しつつ生育阻害物
質を含んだ古い培養液を培養槽外へ排出しながら
培養する方式、すなわち通称パーヒユージヨン方
式と言われる方式が提案されている。この方式を
用いて培養するに当つて重要なことの1つはサス
ペンジヨン液中の生細胞と前記古い培養液とを効
率よく分離し、古い培養液を培養槽外へ取り出
し、培養槽内の細胞の生育環境を最適条件下に維
持することである。 特開昭59−175877号公報及び特開昭59−175878
号公報には、半透膜の片面側に細胞を含む培養液
を供給して通過させ、そして該半透膜の他方の面
側に廃棄生産物を除去するかあるいは該他方の面
側から細胞を含む培養液中に栄養分を補給する方
法が提案されている。 第3回次世代産業基盤技術シンポジウム−バイ
オテクノロジー−予稿集(P183、1985年)には、
二重の瓶構造をなす透析培養系が提案されてい
る。すなわち、内底は透析薄膜から成つており、
該内底内でナマルバ細胞の培養を行い、外底内に
該内底が浸漬する程度の透析液を充填し、該透析
液中にナマルバ細胞の生育阻害物質を除去して内
底中のナマルバ細胞の密度を高める方法が記載さ
れている。 上記特開昭59−175877号、特開昭59−175878号
および上記予稿集に記載された方法では、実際に
は培養を行う場所に広い透析面積を確保しなけれ
ばならないことになる。 特開昭61−25483号公報には、付着増殖性細胞
の培養法及び装置が開示されている。すなわち、
付着細胞を担体に担持して充填している細胞培養
部に培養環境調節部で調節した培地を供給し、該
培養部を通過した培養液から代謝生産物を分離、
除去し、それを該培養環境調節部に戻す方法及び
装置が開示されている。同公報には、上記分離、
除去を、限外過あるいは透析によつて行うこと
が記載されている。 特開昭61−28385号公報に開示された上記方法
は、付着細胞の培養法として特記される。 また、「ジヤーナル オブ インターフエロン
リサーチ」(Joural of Interferon Research)
2、No.4、533−541(1982)には、2の丸底フ
ラスコ中に含有された誘導浮遊を100000MWC
(nominal molecular weight cutoff)過モジ
ユール中を再循環し、白血球とウイルスを含有し
ている液を再循環し、そしてインターフエロン含
有液を貯水槽に供給し同時に10000MWC過
モジユール中を再循環し、そしてインターフエロ
ン非含有溶液を上記丸底フラスコに戻す方法が開
示されている。 上記方法は、インターフエロンを培養により製
造する方法として特記される。 ところで、細胞培養により有用物質を得るため
に工業的に重要なことは、目的とする有用物質を
高い濃度で得ることである。一般に細胞培養にお
いて培養液中の細胞が産生する有用物質の濃度は
極めて低く、培養液から有用物質を分離、精製す
るために煩雑な手段を要し、それが回収率の低
下、コストアツプの原因の1つになつている。
「ジヤーナル オブ インターフエロン リサー
チ」(Journal of Interferon Research)、No.
4、533−541(1982)の上記方法は、インターフ
エロン濃度の高い溶液を与えるから、そのような
意味で工業的に有利な方法と云えよう。 しかしながら、培養を高い細胞密度で行なうこ
とにより、或る程度有用物質の濃度を高くするこ
とは可能であるが、細胞を高密度で培養するため
には前述した如く新しい培養液を供給しながら、
古い培養液を培養系外へ排出しなければならず、
高密度による細胞培養技術においては、有用物質
の濃度を高くするためには自ら限界があつた。 (c) 発明の目的 本発明の目的は、増殖性動物細胞のサスペンジ
ヨン培養に関し、該動物細胞を培養して有用な高
分子量物質を生産する新規な方法を提供すること
にある。 本発明の他の目的は、増殖性動物細胞の培養に
よつてそれが産生する有用な高分子量物質をより
高められた濃度で得ることができる方法を提供す
ることである。 本発明のさらに他の目的は、特に有用な高分子
量物質としての抗体を高濃度で得るための簡単で
工業的価値のある細胞培養方法を提供することに
ある。 本発明のさらに他の目的は、増殖性動物細胞の
生育阻害物質を除去し、そして成長促進物質を含
む培養液を得、該培養液を循環使用することによ
つて、経済的に且つ工業的に有利に有用な高分子
量物質を生産する方法を提供することにある。 本発明のさらに他の目的は以下の説明から明ら
かとなるであろう。 (d) 発明の構成および効果 本発明のかかる目的および利点は、本発明によ
れば、 (A) 増殖性動物細胞をサスペンジヨン状態で培養
して該増殖性動物細胞が産生する有用な高分子
量物質と該増殖性動物細胞を含有するサスペン
ジヨン培養混合液を形成する培養工程; (B) 該サスペンジヨン培養混合液から該動物細胞
と分離して培養液を取り出す分離工程; (C) 該動物細胞と分離された該培養液から、上記
有用な高分子物質と異なる該動物細胞の代謝産
物である該動物細胞の生育阻害低分子量物質を
除去する除去工程; (D) 生育阻害低分子量物質を除去された培養液の
一部又は全部を上記培養工程(A)に循環する循環
工程;および (E) 本培養系に蓄積された上記有用な高分子量物
質を回収する回収工程、 からなる増殖性動物細胞を培養して有用な高分子
量物質を生産する方法によつて達成される。 かかる本発明によれば、生育阻害低分子量物質
を除去して培養液を循環する工程を含むから培養
を高い細胞密度(培養中に細胞が増殖して高い細
胞密度を達成する場合と培養の当初から高い細胞
密度を有する場合とを包含する)で行うことが可
能となり、またそのため有用な高分子量物質を高
い濃度で含む培養液を得ることができる。また、
有用な高分子量物質を高い濃度で含む培養液中に
おいて高い細胞密度を達成することができ、この
ことも本発明者により初めて得られた知見であ
る。この知見によつて、有用な高分子量物質をま
すます高い濃度で含む培養液を製造しうることが
可能となつたのである。 本発明の方法は、上記(A)〜(E)の5工程を有して
いる。本発明方法は、上記(A)工程から明らかなと
おり、サスペンジヨン状態で培養する方法に適用
される。サスペンジヨン状態での培養とは、水性
媒体中で細胞それ自体が浮遊しながら、或いは細
胞を微小担体(マイクロキヤリアー)に担持して
浮遊しながら、またマイクロカプセル中で細胞が
浮遊しながら生育されるような種々の浮遊培養を
いう。殊に本発明は、細胞自体を浮遊させながら
培養する方式に有利に用いられる。 本発明の培養工程において、培養する動物細胞
は、サスペンジヨン状態にて増殖可能なものであ
り且つ有用な高分子量物質を産生するものであれ
ばよく、天然の増殖性動物細胞のみならず、人為
的或いは遺伝子操作により変性された細胞例えば
ハイブリドーマであつてもよい。 また細胞として、IL−2の如きリンホカイン
を産生するリンパ球由来の増殖性細胞であつても
よく、インターフエロン(IFN)の如き有用な生
理活性物質を産生する2倍体細胞であつてもよ
い。さらに種々のモノクローナル担体を産生する
増殖性細胞であつてもよく、本発明はかかるモノ
クローナル担体を産生する細胞の培養に対してモ
ノクローナル抗体を高い濃度で得る目的のために
特に適している。 本発明におけるサスペンジヨン状態の細胞培養
工程(A)において培養槽中においては、培養しよう
とする細胞が培養液中に浮遊した状態で培養され
る。培養は、上記したとおり培養中に細胞が増殖
する場合を包含することはもちろん、培養中に細
胞が実質的に増殖しない場合をも包含する。培養
液は実質的に水よりなる水性媒体に、種々の無機
塩、ビタミン類、捕酵素、ブドウ糖、アミノ酸、
抗生物質などの通常細胞培養に使用される添加成
分が加えられている。また培養液には血清を加え
ることもできるし、血清を用いない所謂無血清培
地を培養液として使用することも出来る。 本発明方法は、培養工程(A)からのサスペンジヨ
ン培養混合液からその中の動物細胞と分離して培
養液を取り出す分離工程(B)を包含する。この動物
細胞と培養液との分離は、後述する第1図に示さ
れたように培養槽内(例えばサスペンジヨン培養
液中)で行うことができる。また培養槽からサス
ペンジヨン培養液を一旦槽外に取り出し、培養槽
外で動物細胞と培養液とを分離し、動物細胞は培
養槽へもどす方式であつてもよい。これらいずれ
の場合であつても動物細胞と培養液との分離は細
胞が生育した状態で、分離された培養液中に細胞
が実質的に混入しない方法で分離できればよく、
種々の分離手段が採用できる。分離工程(B)は、例
えば重力沈降、遠心沈降あるいは過によつて実
施される。重力沈降は、例えば第1図に図示され
ているように培養槽内にセトリングゾーンを設け
そのゾーン内で動物細胞と培養液とを重力により
分離して動物細胞をセトリングさせ、その上澄培
養液を培養槽外へ取出すことによつて実施でき
る。遠心沈降は遠心分離によりまた、過は例え
ば回転フイルター、固定フイルター、ホローフア
イバモジユールなどを用いて実施できる。フイル
ターによつて分離する場合には、例えばハイブリ
ドーマはほぼ10μm以上の大きさを有するから、
ハイブリドーマと培養液との分離にはフイルター
の細胞径が5μm以下のものが好適に用いられる。 工程(B)における上記の如き動物細胞と培養液と
の分離は無菌状態で実施される。 上記分離工程(B)からの培養液は、動物細胞の代
謝産物である該動物細胞の生育阻害低分子量物質
を含有する。この低分子量物質は該動物細胞の生
育を阻害するため、すなわち該低分子量物質が培
養系中にある程度の量まで蓄積すると該動物細胞
は最早増殖しなくなるかあるいは減少するように
なるため、次いで工程(C)において除去される。該
低分子量物質の除去は、例えば限外過、透析あ
るいは吸着によつて実施できる。生長を阻害する
低分子量物質は通常高々1万である。培養工程(A)
で形成されたサスペンジヨン培養混合液中には通
常分子量1万を超える有用な高分子量物質が産生
されるため、この除去工程(C)では該有用な高分子
量物質を残存させそして生育阻害低分子量物質の
みを除去することができる。 有用な高分子量物質は、例えば免疫グロブリン
のようなタンパク質である。免疫グロブリンは例
えばIgG、IgMである。 また、免疫グロブリンはヒト又はヒト以外の動
物の免疫グロブリンであることができる。 除去工程(C)を例えば限外過により実施する場
合に、有用な高分子量物質がIgGであるときに
は、分子量約15万の物質を実質的に透過しない限
外過膜、例えば分子量分画1万〜5万程度の限
外過膜が好適に使用される。また、有用な高分
子量物質がIgMであるときには、分子量約100万
の物質を実質的に透過しない限外過膜例えば分
子量分画1〜50万程度の限外過膜が好適に使用
される。すなわち、上記の如き限外過膜を使用
することによつて、IgG、IgMの如き有用な高分
子量物質を透過させずに、細胞の生育を阻害する
物質を除去せしめた培養液を得ることができる。 工程(C)における限外過は、過面を容易に洗
滌、再生できる方式、つまりホールド・アツプが
少ない方式が好ましい。その形式としてはホロ
ー・フアイバー、スパイラル、チユーブラー、プ
レートアンドフレームなどが挙げられるが就中ホ
ロー・フアイバー、プレートアンドフレームの形
式が望ましい。 除去工程(C)は、上記限外過の他に、透析ある
いは吸着によつて行うことができる。これらはそ
れ自体公知の方法によつて実施することができ
る。 本発明方法は、次いで上記工程(C)から得られた
培養液の1部又は全部を、上記培養工程(A)に循環
する。例えば、本発明方法に従つて、工程(A)でモ
ノクローナル抗体を産生させ、工程(C)でこれを含
む成分を分画して培養工程(A)に循環させることに
よつてサスペンジヨン培養液中のモノクローナル
抗体濃度が高くなつても(例えば1mg/ml以上)、
そのこと自体細胞の生育、増殖には特に悪い影響
は与えない。 上記循環工程(D)において、前工程(C)から分画さ
れた有用物質を含む高分子量成分は、培養液中の
その濃度や細胞の生育状態を監視しながら、培養
工程(A)中へ循環するその割合を決定される。すな
わち一般に工程(A)におけるサスペンジヨン培養混
合液中の細胞密度が低く且つ有用物質の濃度も低
い場合には、工程(C)からの培養液の全量乃至ほと
んど培養槽中へ循環することが望ましく、一方サ
スペンジヨン培養混合液中の有用物質の濃度が比
較的高くなるに従つて、その循環割合を少なく
し、他は系外へ取り出すことが望ましい。 本発明方法において、上記工程(A)〜(D)の実施に
より、本培養系中に蓄積された上記有用な高分子
量物質は、上記工程(A)〜(D)の1回の実施後に、あ
るいは複数回の実施後に、本培養系から取り出さ
れ回収される。該取り出しは、例えば上記工程(C)
からの培養液の1部から取り出すことができ、あ
るいは工程(A)の培養液から動物細胞を含む状態で
取り出すこともできる。この取り出しは連続的に
行つてもよく、また間歇的に行つてもよいが連続
的に行うのが好ましい。 本発明方法は、工程(A)において血清添加培地を
サスペンジヨン培養混合液として用いて実施する
ことができ、また血清を実質的に含有しない培地
を用いて実施することもできる。血清は動物細胞
の成長を促進する物質を含有し、工程(C)で生育阻
害低分子量物質を除去したのちにおいても該成長
を促進する物質を残留し、それ故工程(D)の循環工
程によつて培養工程(A)に循環することによつて、
高価な血清中の該成長を促進する物質を利用しう
ることは本発明方法の利点である。 例えば血清添加培地を用いて培養する場合、除
去工程(C)において、分子量分画1万の限外過膜
を用いて生育阻害物質を除去し、他を培養工程(A)
へ循環すれば血清の使用割合を大巾におさえるこ
とが可能となる。 また、血清を実質的に含有しない培地を用いて
工程(A)の培養を実施する場合には、培養液中に例
えばトランスフエリン、インシユリン、アルブミ
ン、エタノールアミンあるいはセレン化合物の如
き成長促進物質を通常添加する。これらの成長促
進物質のうち、例えばトランスフエリン、インシ
ユリンあるいはアルブミンの如き比較的高分子量
の化合物は、上記工程(C)で生育阻害低分子量物質
を除去したのちにおいても培養液中に残存せしめ
ることができる利点がある。 例えば、無血清培地(例えばITES)を用いて
培養する場合、分子量分画1万の分離膜を用いる
と成長促進物質としてのトランスフエリンを高回
収率で回収し再使用可能でありまたインシユリン
は部分的に回収される。分子量分画1千の分離膜
を用いるとトランスフエリンのみならずインシユ
リンを一層高い回収率で回収して、工程(A)に循環
することが可能となる。 また本発明の方法を実施するに当つて、新しい
培養液の供給と、古い培養液の排出とは、培養槽
中の液面の水準がほぼ一定となるように維持する
ことが望ましいが、必ずしもその必要はない。新
しい培養液の供給と古い培養液の排出とは、それ
ぞれ独立して、連続的に行なうこともできまた間
歇的に行なうこともできる。 本発明方法において、サスペンジヨン培養混合
液中の酸素濃度を一定に維持するために、酸素を
供給する方法としては、前述の如く、サスペンジ
ヨン培養混合液中へ酸素または酸素含有ガスを直
接供給してもよく、また他の供給手段によつても
よい。他の供給手段としては、例えば酸素キヤリ
アーを用いる方法である。酸素キヤリアーとして
は、水と実質的に混合しないで酸素を溶解し得る
液状の化合物が使用される。その例としては、人
工血液の素材として使用されるような種々のフル
オロカーボンが挙げられる。かようなフルオロカ
ーボンを酸素供給手段として使用する場合には、
酸素を溶解させたフルオロカーボンをサスペンジ
ヨン培養混合液中の上部から液滴状または薄膜状
で添加すればよい。 培養を効率的に行なうために、新しい培養液お
よび酸素などをサスペンジヨン液中へ均一に供給
し、一方古い培養液を槽外へ排出する必要があ
り、そのためサスペンジヨン液は効率良く撹拌さ
れていることが望ましい。撹拌方法としては、撹
拌翼の回転による如き機械的撹拌方法、また案内
筒を用いたドラフト効果による方法、この他前記
した如き酸素を溶解した酸素キヤリアーを用いる
ことによる酸素供給と撹拌を同時に行なう方法な
どが挙げられる。もちろんこれら撹拌手段を2つ
以上併用することもできる。 また培養は、培養槽の有効培養容積()に対
して新しい培養液を供給する割合(新しい培養液
の供給量/)は一日当り0.2〜10、好ましくは
0.5〜5の範囲とするのが適当である。 かくして本発明によれば有用物質殊にモノクロ
ーナル抗体を高い濃度で含有する培養液を比較的
簡単な手段で得ることができ、また好ましい態様
においては血清、成長因子などの高価な物質を大
巾に節約することが可能となる。 以下実施例を掲げて本発明を詳述する。 実施例 1 (1) 培養装置 添付第1図に示す培養システムを使用した。
培養槽(AP−1)は第1図のように外壁の内
側に隔壁によつて仕切られたセトリングゾーン
がもうけられ、その上部には培養液の排出口を
有しており、正味培養容積は約200mlである。
第1図のAP−2プレートアンドフレーム型限
外過装置である。限外過膜はミリポア社製
ペリコンラボカセツト用限外過膜を使用し
た。使用した膜の分画分子量は実験データの項
に記する。 (2) 培養液 基礎培地として、RPMI 1640培地、ハムー
12培地及びダルベツコ変法イーグル培地を2:
1:1で混合したもの(以下RDFと称する)
を用い、増殖因子としてインスリン、トランス
フエリン、エタノールアミン、亜セレン酸を加
えた。エタノールアミンの添加量は、10μg/
ml、亜セレン酸は2×10-8mole/であり、
インスリン及びトランスフエリンについては培
地α−1においてはインスリン2μg/ml、ト
ランスフエリン10μg/mlであり培地β−1に
おいてはインスリン0.2μg/ml、トランスフエ
リン1g/mlであつた。 (3) 培養方法及び結果 あらかじめオートクレーブ滅菌した前記培養
槽に正味培養容積が約200mlになるように培養
液αを送入し、これをマウスミエローマ細胞
P3U1株を親株とするマウス×マウスハイブリ
ドーマ4C10B6株を4×105個/mlとなるように
播種した。この細胞はIgG産性株である。培養
槽では炭酸ガス5%を含む酸素ガスが(溶存酸
素が3ppmとなるように)吹込みノズルBを通
して自動的にコントロールされて送入されてい
る。培養槽中の培養液は37℃に保持されてい
る。培養槽中にはマリン型撹拌翼が取付けられ
ており撹拌速度は60rpmであつた。 播種後4日間は回分培養を行つた。第1表に
示すように培養開始後4日目に細胞密度は1.1
×106個/mlに達し、回分培養では最高密度に
到達したと判断しパーヒユージヨンを開始し
た。パーヒユージヨンの尺度として正味培養容
積の1日当りの置換率として表わし実験結果を
併記する。すなわちポンプP−、P−、P
−を駆動しバルブXを開、バルブYを閉とし
て、培養槽内で細胞と分離された培養液をライ
ンDから抜きとり、その量と同じ量の新培地α
をラインAから連続的に送入した。限外過装
置AP−2には分子量分画1000の限外過膜が
セツトされており、ラインFからは膜を通過し
た液を、またラインEからは膜を通過しなかつ
た液を系外に取出した。時間の経過とともに細
胞密度が上昇し、10日には12×106個/mlに達
した。この時点で図においてバルブXを閉じバ
ルブYを開き限外過膜を通過しなかつた液は
ラインGを通して培養槽に循環した。同時にラ
インAから送入する培地をαからβに変更し
た。10日目から培養槽から細胞を含む培養混合
物を正味培養容積の約10%に当る20ml、毎日系
外に抜取つた。 以上の培養操作を26日間継続した。その結果
を第1表に示す。 【表】 実施例 2 次に記する事項以外は実施例1と同様にして培
養実験を行つた。 細胞:マウスミエローマ P3U1とヒトBセルを
融合して得られたヒトIgA産生マウス・ヒトハ
イブリドーマ4H11株 培地:牛胎児血清(FCS)添加培地 限外過膜分画分子量:10000 実験結果を第2表に示す。 【表】 実施例 3 次に記す事項以外は実施例1と同様にして培養
実験を行つた。 細胞:マウスミエローマP3U1とヒトBセルを融
合して得られたヒトIgG産生マウス・ヒトハイ
ブリドーマD34・3・1株 培地:基本培地RDFにインスリン、トランスフ
エリン、エタノールアミン、亜セレン酸及び
BSA(牛血清アルブミン)を添加した無血清培
地。 限外過膜分画分子量:10000 実験結果を第3表に示す。 【表】 【表】 実施例 4 (1) 培養装置 添付第1図に示す培養システムを使用した。
培養槽(AP−1)の内容積は約200mlであり、
培養槽の高さ(H)と直径の比(H/D)は2:1
であつた。この培養槽には第1図に示したよう
に撹拌効果の実質的に及ばないセトリングゾー
ンが設けられている。このゾーンにおけるV/
Sは5.3cmであり、hは8cmであつた。第1図
のAP−2はプレートアンドフレーム型限外
過装置である。限外過膜はミリポア社製ペリ
コンラボカセツト用限外過膜を使用した。膜
の分画分子量は1万であつた。 (2) 培養液 基礎培地として、RPMI1640培地、ハム−12
培地及びダルベツコ変法イーグル培地を2:
1:1で混合したものにさらにグルコース、ア
ミノ酸等を添加したもの(以下eRDFと称す
る)を用い増殖因子としてインスリン、トラン
スフエリン、エタノールアミン、亜セレン酸を
加えた。エタノールアミンの添加量は10μM、
亜セレン酸は2×10-8mole/であり、イン
スリン及びトランスフエリンについては培地α
−4においてはインスリン9μg/ml、トラン
スフエリン10μg/mlであり培地β−4におい
てはインスリン0.45μg/ml、トランスフエリ
ン0.5μg/mlである。 (3) 培養方法 あらかじめオートクレーブ滅菌した前記培養
槽に正味培養容積が約120mlになるように培養
液α−1を送入し、これをマウスミエローマ細
胞P3U1株を親株とするマウス×ヒトハイブリ
ドーマH2株を6×105個/mlとなるように播種
した。この細胞はIgG産性株である。培養槽で
は炭酸ガス5%を含む酸素ガスが(溶存酸素が
3ppmとなるように)吹込みノズルBを通して
自動的にコントロールされて送入されている。
培養槽中の培養液は37℃に保持されている。培
養槽中にはマリン型撹拌翼が取付けられており
撹拌速度は60rpmであつた。 播種後1日間に回分培養を行い、1日目から
パーヒユージヨンを開始した。パーヒユージヨ
ンの尺度として正味培養容積の1日当りの置換
率として表わし実験結果を併記する。すなわち
ポンプP−、P−、P−を駆動しバルブ
Xを開、バルブYを閉として、培養槽内で細胞
と分離された培養液をラインDから抜きとり、
その量と同じ量の新培地α−4をラインAから
連続的に送入した。限外過装置AP−2には
分子量分画1000の限外過膜がセツトされてお
り、ラインFからは膜を通過した液を、またラ
インEからは膜を通過しなかつた液を系外に取
出した。時間の経過とともに細胞密度が上昇
し、6日目には6.6×106個/mlに達した。この
後9日目まで細胞密度は増加しなかつたので、
この時点で図においてバルブXを閉じバルブY
を開き限外過膜を通過しなかつた液は培養槽
に循環した。同時にラインAから送入する培地
をα−4からβ−4に変更した。 (4) 培養結果 以上の培養操作を48日間継続した。その結果
を第4表に示す。 【表】 実施例 5 次に記する事項以外は実施例4と同様にして培
養実験を行なつた。 細胞:マウスミエローマP3U1とヒトBセルを融
合して得られたヒトIgG産生マウス・ヒトハイ
ブリドーマC41−2−1株 培地:ITES+eRDFに分子量約4万の人工ポリ
マー WAKO Purechemicals LTD製である
Polyvinylpyrrolidone K30
(CH2CHNCOCH2CH2CH2)nを添加したも
の。 実験結果を第5表に示す。 【表】 実施例 6 培地以外は実施例4と同様にして培養実験を行
つた。実験結果を第6表に示す。 【表】 【表】 比較例 1 培地循環を行わず使用培地は常にα−6を用い
た以外は実施例6と同じ条件で培養を行つた結果
を第7表に示す。 【表】 比較例 2 使用培地を培養開始14日目以降β−6に切換え
る以外は比較例1と同じ条件で培養を行つた結果
を第8表に示す。 【表】 【表】 培地をβ−6に切換えた後、生細胞は時間とと
もに減少し、22日目には106cells/ml以下となつ
たので培養を中止した。 実施例 7 細胞以外は実施例6と同様にして培養実験を行
つた。実験結果を第9表に示す。本実施例で使用
したV−6株はマウス・ミエローマP3U1株とヒ
トBセルを融合して得られたIgG抗体産生株であ
る。 【表】
【図面の簡単な説明】
添付第1図は本発明の培養方法を実施する工程
の概略図を示したものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (A) 増殖性動物細胞をサスペンジヨン状態で
    培養して該増殖性動物細胞が産生する有用な高
    分子量物質と該増殖性動物細胞を含有するサス
    ペンジヨン培養混合液を形成する培養工程; (B) 該サスペンジヨン培養混合液から該動物細胞
    と分離して培養液を取り出す分離工程; (C) 該動物細胞と分離された該培養液から、上記
    有用な高分子物質と異なる該動物細胞の代謝産
    物である該動物細胞の生育阻害低分子量物質を
    除去する除去工程; (D) 生育阻害低分子量物質を除去された培養液の
    一部又は全部を上記培養工程(A)に循環する循環
    工程;および (E) 本培養系に蓄積された上記有用な高分子量物
    質を回収する回収工程、 からなる増殖性動物細胞を培養して有用な高分子
    量物質を生産する方法。 2 上記増殖性動物細胞がハイブリドーマである
    第1項記載の方法。 3 上記(B)の分離工程が重力沈降、遠心沈降又は
    過によつて実施される第1項記載の方法。 4 上記(C)の除去工程が限外過、透析又は吸着
    によつて実施される第1項記載の方法。 5 上記(C)の除去工程における増殖性動物細胞の
    生育阻害低分子量物質の分子量は高々1万である
    第1項記載の方法。 6 増殖性動物細胞がサスペンジヨン培養混合液
    中に分子量1万を超える有用な高分子量物質を産
    生し、そして上記(C)の除去工程において得られる
    培養液として該高分子量物質を含有する培養液を
    生成せしめる第1項記載の方法。 7 上記高分子量物質が蛋白質である第6項記載
    の方法。 8 上記高分子量物質が免疫グロブリンである第
    6項記載の方法。 9 上記高分子量物質が免疫グロブリンG(IgG)
    である第6項記載の方法。 10 上記高分子量物質がヒト免疫グロブリンで
    ある第6項記載の方法。 11 増殖性動物細胞を含むサスペンジヨン培養
    混合液が血清を実質的に含有しない第1項記載の
    方法。 12 増殖性動物細胞を含むサスペンジヨン培養
    混合液が該動物細胞の成長を促進する物質を含有
    する第1項記載の方法。 13 増殖性動物細胞を含むサスペンジヨン培養
    混合液が該動物細胞の成長を促進する物質を含有
    し、そして上記(C)の除去工程において得られる培
    養液として該成長促進物質を含有する培養液を生
    成せしめる第1項記載の方法。 14 増殖性動物細胞を含むサスペンジヨン培養
    混合液が該動物細胞の成長を促進する物質を含有
    し、該動物細胞が培養液中に分子量1万を超える
    有用な高分子量物質を産生し、そして上記(C)の除
    去工程において得られる培養液として該成長促進
    物質と該有用な高分子量物質を含む培養液を生成
    する第1項記載の方法。 15 上記成長促進物質がトランスフエリン、イ
    ンシユリン、アルブミン、エタノールアミン又は
    セレン化合物である第12項記載の方法。 16 上記成長促進物質がトランスフエリン、ア
    ルブミン又はインシユリンである第13項記載の
    方法。
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US3911140A (en) * 1973-07-02 1975-10-07 Milk Marketing Board Preparation of concentrated starter cultures
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JPS60102187A (ja) * 1983-11-07 1985-06-06 Nippon Zenyaku Kogyo Kk 細胞生産物の連続大量培養法

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