JPH036263Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、コーヒー、紅茶、日本茶等の被抽出
物を封入してある抽出用パツクに関する。

〔従来の技術〕 この種の抽出用パツクとしては、透水性を有す
る濾紙にて皿状に成形された受容体の周縁のフラ
ンジ部分に、熱湯によつて変形、変質せず、か
つ、比重が１よりも大きい材質でつくられたリン
グ状の補強用シートを貼着するとともに、この補
強用シートの上面に、受容体の開口部を閉塞する
透水性のシートを貼着したものが知られている
（例えば、実開昭59−19034号公報）。

この従来の抽出用パツクでは、受容体のフラン
ジ部分が補強用シートにて保形されているもの
の、受容体の中央部分は保形力の極めて小さな濾
紙だけで構成されているため、熱湯を注いだと
き、この中央部分の形が崩れて垂れ下がり、封入
された被抽出物が中心部に片寄り気味となる。そ
のため、受容体の中心部での流動抵抗が最も大き
く、外周に近づくに従つて流動抵抗が小さくなる
から、中心部よりも流動抵抗の小さな外周側での
濾過量が多くなり、その結果、被抽出物全体から
エキスが充分抽出されないうちに全ての熱湯が濾
過してしまうといつた問題があつた。

また、このような受容体の変形による弊害を避
けることだけを考えるのなら、例えば実開昭59−
65623号公報に示されているように、受容体を、
硬質の枠体と、枠体の下面の孔に張設された不織
布との組合せで構成することも考えられる。しか
しながら、この場合には、受容体の濾過面積が枠
体によつて制限されるので、その濾過面積減少分
だけ、受容体の全体を大きく構成しなければなら
ず、その上、枠体と不織布とを別々に構成した後
に、両者を一体化するという、製作工数の増加と
部品点数の増大化を招く不都合がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、上述の実情に鑑みて勘案されたもの
であつて、その目的は、受容体の合理的な改造を
もつて抽出性能の向上と、抽出用パツク製品の低
コスト化とを図る点にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案による抽出用パツクの特徴構成は、被抽
出物を収容した受容体と、この受容体の開口部を
閉塞する透水性のシートとから構成してあるとと
もに、下記〔イ〕〜〔ハ〕に記載の構成を備えて
いる点にある。

〔イ〕 前記受容体は、被抽出物を収容するため
の凹入空間と、その凹入空間を形成する皿状部
分の上方開口に連なるフランジ部分とを備え
て、全体が皿形に構成されている。

〔ロ〕 前記受容体は、抽出時に全体の皿形形状
を維持することが可能な保形性を有し、皿状部
分の全体にわたつて透水性を有した合成樹脂製
材料の成形品で構成されている。

〔ハ〕 前記透水性のシートは、前記皿状部分の
上方開口を覆う状態で前記フランジ部分に貼着
されている。

〔作用〕

熱湯を注ぐ抽出時においても、受容体全体が皿
状に保形維持される状態で成形されているから、
従来のように受容体の中央部分が垂れ下がること
がなく、また、皿状部分自体が、他の特別な補強
手段を要さずとも所要の保形強度を有して、その
全体に透水性を有しているので、補強手段によつ
て部分的に濾過面積を減少されることもない。従
つて、受容体全体での流動抵抗の差を極力小さく
して、受容体全体からほぼ均等に濾過させること
ができる。

また、受容体本来の構成要素の他に、別途の補
強手段を設ける必要もないので、全体の大型化を
避け得るとともに、部品点数の増加や、製作加工
工数の増大も避けられる。

〔考案の効果〕

従つて、受容体を抽出に最も適した形状に予め
成形しておくことにより、封入された被抽出物か
らエキスを充分に抽出することが可能となり、従
来に比して抽出性能を可及的に向上することがで
きるに至つた。

しかも、製作コスト面でも、受容体を樹脂成形
品で簡単に作製することができて、顕著な低コス
ト化を図ることができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は、被抽出物の一例である挽きたてのコ
ーヒー末ａを封入してある抽出用パツクを示し、
１は、界面活性剤にて透水性を付与されたポリエ
ステル系樹脂繊維により、熱湯を注ぐ抽出時にお
いても全体が形崩れせずに円形の皿状に保形維持
される状態で成形された受容体であり、２は、受
容体１の開口部を閉塞可能な円形状に形成された
濾紙製のシートである。このシート２は、その肉
厚の内面側に針状のポリプロピレンが存在する状
態で製作されていて、このシート２と受容体１の
フランジ部分１ｂとを、前記受容体１の凹入空間
１ａ内に１杯分のコーヒー末ａを入れた状態で熱
溶着手段により貼着している。

このように構成された抽出用パツクは、熱湯を
注いでも、受容体１の中央部分が垂れ下がること
がなく、受容体１全体での流動抵抗の差を極力小
さくして、受容体１全体からほぼ均等に濾過させ
ることができる。それ故に、封入されたコーヒー
末ａからエキスを充分に抽出することができるの
である。

第２図、第３図は上述の如く構成された抽出用
パツクを専用の抽出器に組み込んだ場合を示す。
図中４は耐熱性合成樹脂にて成形された容器であ
り、これの底部４ａに抽出液排出用の孔４ｂを形
成するとともに、周壁４ｃの内周面で、かつ、前
記底部４ａから抽出用パツクの厚みよりも少し大
なる間隔を隔てた箇所には、受容体１のフランジ
部分１ｂを載置可能な支持面４ｄを形成してい
る。

前記周壁４ｃの上縁には、側面視ほぼＬ字状の
把手４ｅを連設している。

５は、受容体１のフランジ部分１ｂ全体を容器
４の支持面４ｄに押圧可能な耐熱性合成樹脂製の
押え部材であり、これは、容器４内に挿入自在な
筒状部５ａの下端縁に、半径方向内方に向かつて
突出する環状の押え部５ｂを連設するとともに、
前記筒状部５ａの上縁で、かつ、その周方向の一
箇所には、容器４の把手４ｅに重合可能な把手５
ｃを連設している。

前記容器４の周壁４ｃ内面と押え部材５の外周
面との相対応する箇所には、これら両者４，５の
相対回動に伴つて押え部材５に支持面４ｄ側への
移動力を付与する部分ネジ状の突起６ａ，６ｂを
連設している。これら両突起６ａ，６ｂは、前記
容器４の把手４ｆと押え部材５の把手５ｃとが重
合位置したとき、それ以上の両者４，５の抽出用
パツク押え方向への回動操作を接当阻止すべく構
成されている。

７は、前記押え部材５の上縁部に対して着脱自
在な耐熱性合成樹脂製の透明の蓋である。

第４図は抽出用パツクをコーヒーカツプ３上に
直接載置して使用する場合を示す。この実施例の
場合は、受容体１のフランジ部分１ｂ及びこれに
対応するシート２の周縁部分を上方外方に向かつ
て屈曲させて、このシート２上に熱湯用の留め空
間ｂを形成している。

尚、第２図、第３図で示す実施例では、合成樹
脂製の容器４と合成樹脂製の押え部材５とで抽出
用パツクを直接挾持すべく構成したが、第５図に
示すように、押え部材５の押え面５ｄに耐熱性に
勝れた弾性パツキン８を付設してもよく、また、
このような弾性パツキン８を、第６図で示す如
く、押え部材５の押え面５ｄと容器４の支持面４
ｄとにそれぞれ付設してもよい。更に、Ｏリング
等の他のシール材を設けて実施してもよい。

また、前記抽出用パツクの受容体１の材料とし
ては、上述実施例で説明したポリエステル系樹脂
繊維に限定されるものではなく、透水性を有し、
かつ、抽出時に全体を皿状に保形維持することの
できるものであれば如何なる材料を使用してもよ
い。

さらに、前記シート２の材料も上述実施例で説
明した濾紙に限定されるものではなく、不織布や
透水性を有する樹脂繊維などの他の材料を使用し
てもよい。

尚、上述実施例では、受容体１の凹入空間１ａ
内に１杯分のコーヒー末ａを封入した一人分用の
抽出用パツクについて説明したが、二人用であれ
ば２杯分の、三人用であれば３杯分のコーヒー末
ａを封入するとよい。要するに、封入するコーヒ
ー末ａの量は各種条件に応じて設定するとよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る抽出用パツクの実施例を示
し、第１図は一部切欠斜視図、第２図は抽出器全
体の縦断正面図、第３図は抽出器の要部の拡大断
面図、第４図乃至第６図は夫々別の実施例を示す
断面図である。 １……受容体、１ｂ……フランジ部分、２……
シート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 被抽出物を収容した受容体１と、この受容体
   １の開口部を閉塞する透水性のシート２とから
   構成してあるとともに、下記〔イ〕〜〔ハ〕に
   記載の構成を備えている抽出用パツク。 〔イ〕 前記受容体１は、被抽出物を収容する
   ための凹入空間１ａと、その凹入空間１ａを
   形成する皿状部分の上方開口に連なるフラン
   ジ部分１ｂとを備えて、全体が皿形に構成さ
   れている。 〔ロ〕 前記受容体１は、抽出時に全体の皿形
   形状を維持することが可能な保形性を有し、
   皿状部分の全体にわたつて透水性を有した合
   成樹脂製材料の成形品で構成されている。 〔ハ〕 前記透水性のシート２は、前記皿状部
   分の上方開口を覆う状態で前記フランジ部分
   １ｂに貼着されている。 ２ 前記受容体１がポリエステル系樹脂繊維製で
   ある実用新案登録請求の範囲第１項に記載の抽
   出用パツク。 ３ 前記シート２が濾紙である実用新案登録請求
   の範囲第１項に記載の抽出用パツク。