JPH0357966B2 - - Google Patents

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JPH0357966B2
JPH0357966B2 JP57117786A JP11778682A JPH0357966B2 JP H0357966 B2 JPH0357966 B2 JP H0357966B2 JP 57117786 A JP57117786 A JP 57117786A JP 11778682 A JP11778682 A JP 11778682A JP H0357966 B2 JPH0357966 B2 JP H0357966B2
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JP
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yarn
formic acid
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temperature
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JP57117786A
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Kazuyuki Kitamura
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Priority to EP83106725A priority patent/EP0098616B1/en
Priority to DE8383106725T priority patent/DE3365447D1/de
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Priority to US07/097,418 priority patent/US4758472A/en
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高強力ポリヘキサメチレンアジパミ
ド繊維、更に詳しくは、10g/d以上の強度を有
し、後加工工程、特に加硫工程における強度変化
の小さい高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊
維に関する。
ポリヘキサメチレンアジパミド繊維は、強度、
タフネス、耐熱性、染色性、発色性等がすぐれて
いるため産業資材用、インテリア寝装用、衣料用
繊維として巾広く使用されている。特に強度、タ
フネス、耐熱性、耐疲労性、ゴムとの接着性等に
すぐれているため、タイヤコード用繊維として広
く使用されている。
近年、タイヤにも省エネルギー技術が要求さ
れ、より燃費の少ないタイヤが求められている。
そのために、タイヤメーカーはより転がり抵抗の
小さいタイヤおよびより軽量なタイヤを追求して
いる。それに伴ないタイヤコードにも、よりモジ
ユラスの高い糸並びにより強度の高い糸が要求さ
れている。特にポリアミドタイヤコードはライト
トラツク用、トラツクバス用、建設車輛用、航空
用といつた積層枚数の多い大型タイヤに主として
使用されており、そのためにタイヤ1本当りの使
用糸量が多いという問題をもつている。積層枚数
削減および織物の打込み本数削減は、タイヤ軽量
化に伴う低燃費化を達成するのみならず、発熱量
低下および放熱量増大に伴う疲労性の向上、接着
性向上に伴うセパレーシヨンに対する安全性の向
上、タイヤ製造工程における生産性の向上等に寄
与するため、より高強度のポリアミドタイヤコー
ドが要求されている。現在ポリアミド繊維として
市販されている繊維は9.0〜9.5g/dの強度を有
している。これを更に向上せしめる努力が続けら
れているがいまだ満足すべきものは得られていな
い。
一般に、高強度のポリアミド繊維やポリエステ
ル繊維を得るには、高重合度のポリアミドまたは
ポリエステルを紡出し、得られた紡出糸を高倍率
で延伸する必要がある。しかし、ポリマーの重合
度を上げると吐出ポリマーの溶融粘度が上昇する
ため、得られた紡出糸の配向度が大きくなり、延
伸性が悪化する。特に、この傾向は結晶化速度の
著しく大きいポリヘキサメチレンアジパミドにお
いて著しい。
配向度の低い紡出糸を得るには、溶融温度を高
くする方法、紡糸ドラフトを下げる方法、紡速を
下げる方法、冷却風量を増す方法等があるが十分
ではない。これを改善するために、溶融紡糸に際
し、紡糸口金下に加熱筒をもうけ、紡糸口金下の
雰囲気温度を制御する方法(特公昭39−7251号、
特公昭43−8985号)、紡糸口金下に加熱筒をもう
け、紡糸口金下の雰囲気温度を制御するだけでな
く、冷却をも制御する方法(特公昭43−10176号、
特公昭50−16446号)等が提案されている。かか
る方法を用いることにより紡出糸の配向度は低下
し、高倍率延伸ができるようになり、得られた延
伸糸の強度は向上する。かくして、用いるポリヘ
キサメチレンアジパミドの相対粘度を50から60〜
70にすることが可能となり、その結果、得られる
タイヤコードの強度を8g/d台から9.0〜9.5
g/dに向上することができるようになつて来
た。
我々は更に重合度を上げ、高倍率延伸をし、高
強度の原糸を得るべく検討した結果、10g/d以
上の強度を有する原糸を得ることができた。しか
しながら、この高強度原糸を用いて撚糸工程、織
布工程、接着熱処理工程および加硫工程を経た後
にゴム中より糸を採取してその強度を測定したと
ころ、従来の市販糸9.5g/dのポリヘキサメチ
レンアジパミドタイヤコードを用い、前記工程を
経て、ゴム中より採取した糸の強度7g/dと同
程度になつてしまうことが判明した。特に、その
低下は加硫工程において著しく、原糸で強度を上
げた効果が全く発揮されていないことがわかつ
た。本発明者らは、後加工工程、特に加硫工程に
おける強度低下の小さい高強度ポリヘキサメチレ
ンアジパミド繊維に関して鋭意検討を重ねた結
果、得られた原糸の弾性率の熱安定性を向上せし
める事が重要である事を見い出した。
即ち、繊維材料の熱安定性(高温処理時の弾性
率の保持性)は、無定形領域内部に存在する高分
子鎖のセグメントが示すミクロブラウン運動に密
接し関係した温度領域における粘弾性力学分散、
(αa吸収)後の貯蔵弾性率E′の温度変化から推定
できる。即ち、αa吸収後の温度、ポリヘキサメ
チレンアジパミド繊維の場合は150℃以上、220℃
以下の温度範囲におけるlog E′の温度勾配、即ち
−d(log E′)/dT(T=温度)が150℃〜220℃
の範囲の熱履歴に対する弾性率の安定性を示し、
無定型領域及び結晶領域の不可逆的な微細構造変
化を反映する。本発明者は、αa吸収后の温度域
における−d(log E′)/dTの値がタイヤコード
の後加工工程でも最も強度低下の大きい加硫工程
に対する強度保持率に影響することを見い出し、
本発明に到達したものである。
即ち、本発明に係る高強力ヘキサメチレンアジ
パミド繊維は、 (1) 蟻酸相対粘度70〜150、 (2) 強度10g/d以上、 (3) タフネス200g/d・%以上、 (4) タイ分子安定度係数0.20以下、 (5) 160℃乾熱中30分間自由収縮させた時の収縮
率が4%以下なる要件を具備することを特徴と
する。
ここにいうポリヘキサメチレンアジパミド繊維
は、次式の繰返し単位を主体とするものである。
他のアミド形成単位を10重量%以下添加して変
性したポリヘキサメチレンアジパミド繊維も本発
明方法に用いることができる。このような少量の
アミド形成単位としては、セバシン酸、ドデカン
酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソ
フタル酸等の芳香族ジカルボン酸;デカメチレン
ジアミン等の脂肪族ジアミン;メタキシリレンジ
アミン等の芳香族ジアミン;ε−アミノカプロン
酸等のω−アミノ酸;カプロラクタム、ラウリン
ラクタム等のラクタム類が用いうる。また、上記
ポリヘキサメチレンアジパミドに20重量%以下の
ポリカプラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド
等他種のポリアミドを配合したものを用いること
もできる。
更に上記ポリヘキサメチレンアジパミド繊維
は、ポリアミドに対して通常用いられる添加剤、
たとえば、酢酸銅、塩化銅、よう化銅、メルカプ
トベンズイミダゾール等の熱安定剤、乳酸マンガ
ン、次亜リン酸マンガン等の光安定剤、リン酸、
フエニルフオスフオン酸、ピロリン酸ナトリウム
等の増粘剤、二酸化チタン、二酸化ケイ素、カオ
リン等の艶消剤、エチレンビスステアリルアミ
ド、ステアリン酸カルシウム等の滑剤、可塑剤を
含んでいてもよい。
ここでいう「蟻酸相対粘度」とは、90%蟻酸の
ポリマー濃度8.4重量%溶液の25℃における溶液
相対粘度である。蟻酸相対粘度70未満でも強度の
高い原糸は作り得るが、それだけ高延伸を行う必
要があり、後加工工程における強度利用率が低く
なるので好ましくない。蟻酸相対粘度を上げる
と、吐出ポリマーの溶融粘度が上昇し、その結果
得られた紡出糸の配向度が大きくなり延伸性が悪
化する。特にこの傾向は結晶化速度の著しく大き
いポリヘキサメチレンアジパミドにおいて著し
い。従つて、溶融温度を高くしたり、紡速を下げ
たり、加熱筒をつけたり、冷却条件を制御したり
して紡出糸の配向度を落とし、高延伸する必要が
あるが、蟻酸相対粘度があまり高くなりすぎる
と、前記した手段で紡出糸の配向度を落としても
まだ配向度が高く、高延伸倍率がとれず強度が上
がらなくなる。蟻酸相対粘度が150を越えるとこ
ういう現象が見られるが、紡出糸の配向緩和技術
の進展とともに高粘度側紡出糸も使用可能にな
る。蟻酸相対粘度は70〜150、好ましくは70〜100
である。
本発明におけるポリヘキサメチレンアジパミド
繊維は10g/d以上の強度を有していることが必
要である。現在市販のポリヘキサメチレンアジパ
ミド繊維の強度は9.5g/d前後であり、タイヤ
設計を変更し、積層枚数、織物の打込本数を変更
するには、安全係数を見て原糸の5%程度の強度
向上が要求されている。もちろん、10g/d以下
の強度の原糸においても本発明に示されるような
タイヤ分子安定度係数を持たせることにより、後
加工工程における強力利用率は改善されるが、本
発明の如き10g/d以上の原糸に対する改善と比
較すると、その効果は小さい。
但し、原糸強度のみを上げても伸度が低ければ
(すなわち、タフネス=原糸強度×伸度〕が低い
と)その原糸の破断までのエネルギーが小さくな
り好ましくない。本発明のポリヘキサメチレンア
ジパミド繊維は、後記実施例にみられるとおり、
200g/d・%以上のタフネスを有する。
本発明でいう「タイ分子安定度係数」とは、東
洋ボールドウイン社製Vibron DDV−C型を
使用し、110Hzの測定周波数、昇温速度3℃/分、
乾燥空気中でE′−温度特性を測定し、これを片対
数方眼紙に写しとり、150℃以上220℃以下の温度
範囲における−d(log E′)/dTを求めたもので
ある。タイ分子安定度係数は0に近い程望ましい
が0.20以下なら強度低下は許容しうる。好ましく
は0.15以下である。
タイ分子安定度係数を低下せしめるには、ポリ
マー面および紡糸延伸面両方からのアプローチが
必要である。蟻酸相対粘度70以上のポリマーを従
来の蟻酸相対粘度70未満の原糸用ポリマーと同様
に溶融重合で作成し、引き続いて紡出、延伸、熱
セツトし、強度10g/d以上の原糸を作成しても
タイ分子安定度係数は0.20以上となり、後加工工
程における強度低下が大きい。これは重合度の高
いポリマーを得るために溶融時間を長くする必要
があり、この間に熱分解しやすいポリヘキサメチ
レンアジパミドが1部熱分解してタイ分子安定性
が低下したものと考えられる。従つてタイ分子安
定度係数0.20以下の高重合度ポリヘキサメチレン
アジパミド繊維を得るには、蟻酸相対粘度70以
下、好ましくは60以下まで溶融重合したポリマー
をチツプ化した後180℃〜240℃で固相重合するこ
とが好ましい。
固相重合温度は180℃未満であつてもよいが固
相重合時間が長くなり、また、得られたポリヘキ
サメチレンアジパミドペレツトからの紡出糸の延
伸性が低下する。240℃を超えると固相重合中ペ
レツトの融着が見られるので好ましくない。より
好ましい固相重合温度は190℃以上、210℃以下で
ある。固相重合後のポリヘキサメチレンアジパミ
ドペレツトの蟻酸相対粘度は75以上、150以下が
好ましい。蟻酸相対粘度が75未満でも強度の高い
原糸は作り得るが、それだけ高延伸を行なう必要
があり、後加工工程における強度利用率が低くな
るので好ましくない。蟻酸相対粘度を上げすぎる
と吐出ポリマーの溶融粘度が上昇し、その結果、
得られた紡出糸の配向度が大きくなりすぎ、延伸
性が上がらず、十分な強度・伸度を有する原糸を
得ることができない。この現象は蟻酸相対粘度が
150を超えると著しくなる。なお、固相重合後の
ポリヘキサメチレンアジパミドペレツトを再溶融
し、粘度低下を抑えて紡出しても、延伸段階では
分子鎖切断により相対粘度が5程度低下する。
ヘキサメチレンジアンモニウムアジペートの50
%水溶液を濃縮槽で70%に濃縮后、第1反応器中
17.5Kg/cm2の圧力を保ちつつ220℃から250℃まで
1.5時間で昇温せしめる。ついで第2反応器中で
温度を280℃に昇温しつつ、20分で圧力を常圧ま
で戻す。気液分離槽で水蒸気を分離後、三方弁を
通し、一方は紡口を経てロープとなし、水冷後切
断しチツプ()となし、他方は後重合器中350
mmHg、280℃で15分間重合後、紡口を経てロープ
となし、水冷後切断しチツプ()となした。溶
融重合工程の後重合器前後のサンプリングノズル
よりポリマーをサンプリングし、得られたポリマ
ーの〔COOH〕末端基および〔NH2〕末端基を
測定し、図1(曲線B)に示した。チツプ()
の蟻酸相対粘度は29.7、〔COOH〕末端基は
101.5meq/Kg、〔NH2〕末端基は62.5meq/Kgで
あつた。チツプ()5000部をタンブラー型固相
重合器で200℃のジヤケツト温度、3/hr/ポ
リマーKgの窒素流量下で重合をした。固相重合
中、サンプリングノズルより経時サンプリングを
行ない、得られたチツプの〔COOH〕末端基お
よび〔NH2〕末端基を測定し、図1(曲線A)
に示した。図1にみられるように、固相重合(曲
線A))では、重合が進むにつれて〔COOH〕末
端基と〔NH2〕末端基がほぼ等モルづつ減少し
ているのに比し、溶融重合では〔NH2〕末端基
の減少が少ない。これは重縮合に伴う
〔COOH〕、〔NH2〕両末端基の減少とともに、以
下に示すようなポリヘキサメチレンアジペートの
熱分解による〔NH2〕末端基の増加の反応がお
こつていることを示している。
(高分子討論会要旨集71′5A10 P123参照) このように熱分解を受けたポリマーでは、上記
反応以外にも未端アミン同志の反応でNH3が抜
けて2級アミンや3級アミンの生成が起つてお
り、多くの架橋構造が形成されている。そのため
に、このようなポリマーを使用し作られたポリヘ
キサメチレンアジパミド繊維は弾性率の熱安定性
が低下し、後加工工程における強度低下が大きい
と考えられる。従つて、このような熱分解をうけ
ることの少ないポリマーを用いることがタイ分子
安定度係数の低いポリヘキサメチレンアジパミド
繊維をうるには必要であり、また、固相重合によ
る重合度向上は好ましい方法である。
高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製
造方法としては特公昭48−32616号公報が知られ
ている。しかし、蟻酸相対粘度70以上のポリマー
を特公昭48−32616号公報に示された方法で直接
紡糸延伸してもタイ分子安定度係数の低い原糸を
得ることは困難である。タイ分子安定度係数の低
い原糸を得るには、高温熱セツトし、原糸の収縮
率を下げ、熱的構造を安定化させる必要がある。
許容できる原糸の収縮率は160℃乾熱中、30分間
自由収縮させた時の収縮率が7%以下、好ましく
は4%以下である。7%以上では固相重合をした
熱分解の少ないポリマーを用いた場合でも、タイ
分子安定度係数が0.20以上となり、後加工工程に
おける強度保持率が低くなる。
低収縮糸を得る紡糸方法としては紡出糸を一旦
未延伸糸として巻取つた後、延伸熱セツトする方
法、紡出糸を直接延伸熱セツトする方法がある
が、本発明に用いられるような蟻酸相対粘度の大
きい原糸製造では、収縮率が高くなるため、より
高温熱セツト、例えば220℃以上の高温熱セツト
が必要となり、またリラツクス率も高くする必要
があり、直接紡糸延伸高温熱セツトが好ましい方
法である。
直接紡糸延伸高温熱セツトでは、ポリヘキサメ
チレンアジパミドペレツトを溶融紡出した後冷却
し、紡糸油剤を付与した後、直ちに第1ロール対
に引き取り、引き続き順次より大きな周速で回転
する多段ロール対に導き、多段延伸・熱セツトを
行なうものである。ロール対は、対となるロール
が共に積極駆動になつているもの及び一方が積極
駆動、他方が消極駆動となるものが用いられる。
多段延伸熱セツトは、互いに周速の異なる少な
くとも3組のロール対の間で2段階以上に分けて
延伸並びに熱セツトを行なうが、周速の最も早い
ロール対、あるいはそれ以降のロール対のうち少
なくとも1対のロールの表面温度を好ましくは
220℃以上、250℃以下に設定し、巻取速度をT.
S.、周速の最も早いゴデツトロール組の周速度を
G.S.とすると0.92≧T.S./G.S.≧0.86を満たす如
く巻取りを遂行することにより、原糸の160℃乾
熱中30分間自由収縮させた時の収縮率を4%以下
にすることができる。
蟻酸相対粘度70以下まで溶融重合したポリマー
を一且チツプ化した後、180℃〜240℃で蟻酸相対
粘度75以上、150以下になるように固相重合した
ポリマーを用い、溶融紡出した後冷却し、紡糸油
剤を付与した後、直ちに第1ロール対に引き取
り、引き続き、順次より大きな周速で回転する多
段ロール対に導き、多段延伸熱セツトを行なつて
も、周速の最も早いロール対あるいはそれ以降の
ロール対のいずれもが220℃以下、或いはT.S./
G.S.が0.92以上の場合、原糸の収縮率は4%以上
となり、タイ分子安定度係数も0.20以上となるた
め、後加工工程における強度低下が大きい。
上述のような方法によつて得られる本発明の原
糸は原糸強度が10g/d以上と高いにもかかわら
ず、該原糸を用い撚糸工程、織布工程、接着熱処
理工程、加硫工程を通した時の強度低下が小さ
い。従つて、タイヤコード、ベルト等の強度を必
要とする製品の補強に有用である。特に使用糸
量、積層枚数の多い建設車輛用、航空機用、トラ
ツクバス用タイヤの補強に有用である。
次に、本発明方法を実施例をあげて具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
実施例中、蟻酸相対粘度とは90%蟻酸にポリマ
ー濃度8.4重量%となるように溶解せしめた溶液
の25℃における相対粘度である。アミノ末端基と
は、90重量%のフエノール水溶液50ml中にポリマ
ー6.0gを溶解し1/20N塩酸で電位滴定し、中
和点を求めた値である。カルボン酸末端基とは、
ベンジルアルコール50ml中にポリマー4.0gを加
熱溶解し、フエノールフタレイン指示薬を用い、
1/10N水酸化ナトリウムで中和滴定して求めた
値である。強伸度は、島津製作所製オートグラフ
S−100を用い、80回//mの撚りを入れた25cm
の原糸長で降下スピード30cm/分、チヤートスピ
ード60cm/分、フルスケール25Kgで求めた値であ
る。乾熱収縮率は、80回/mの撚りを入れた1.0
mの原糸を160℃のエアーオーブン中で30分間自
由収縮させ求めた値である。タイ分子安定度係数
は東洋ボールドウイン社製Vibron DDV−C
型を使用し、110Hzの測定周波数、昇温速度3
℃/分、乾燥空気中でE′−温度特性を測定し、こ
れを片対数方眼紙に写しとり、150℃〜220℃にお
ける−d(log E′)dTを求めた値である。
実施例 1 ヘキサメチレンジアンモニウムアジペートの50
%水溶液を2000部/時の割合で定量供給し、濃縮
槽で70%に濃縮後第1反応器中17.5Kg/cm2の圧力
を保ちつつ220℃から250℃まで1.5時間で昇温せ
しめた。ついで第2反応器中で温度を280℃に昇
温しつつ20分で圧力を常圧まで戻した。気液分離
槽で水蒸気を分離后紡口を経てロープとなし、水
冷後切断してチツプとなした。チツプの蟻酸相対
粘度は29.7、〔COOH〕末端基は101.5meq/Kg、
〔NH2〕末端基は62.5meq/Kgであつた。該チツ
プ5000部をタンブラー型固相重合機で210℃のジ
ヤケツト温度、3/時/ポリマーKgの窒素流量
下で重合をした。7時間15分後冷却し払出した。
蟻酸相対粘度90.0、〔COOH〕末端基62.7meq/
Kg、〔NH2〕末端基23.0meq/Kgのチツプが得ら
れた。該チツプを用いて303℃で0.27mmφの孔312
個を有する紡糸口金から紡出し、350℃に加熱さ
れた150mmの加熱筒を通し、冷却し、紡糸油剤を
付与した後、直ちに第1ネルソンローラーに引き
取り、引き続き順次より大きな周速で回転する第
2〜第4ネルソンローラーに導き、3段階に分け
て延伸熱セツトを行ない、1500m/分の速度で巻
き取つた。4段の各ゴデツトロール組をG1〜G4
とすると各ロールの温度は、G1:80℃、G2:210
℃、G3:230℃、およびG4:250℃とした。各ロ
ールの周速比は、G2/G1=3.63、G3/G2=1.67、
G3/G4=0.995、および巻取速度/G4=0.890であ
つた。得られた糸条は1890d/312fであり、蟻酸
相対粘度83.0、強度10.4g/d、伸度21.0%、タ
フネス218.4g/d・%、乾熱収縮率2.0%、タイ
分子安定度係数0.09であつた。
該原糸に32.0×32.0T/10cmの撚をかけ、
1890d/2の生コードとなし、リツツラー社のコ
ンピユートリーターを用い、第1ゾーンは温度
160℃、張力2.0Kg/コード、時間140秒、第2ゾ
ーンは温度230℃、張力3.8Kg/コード、時間40
秒、第3ゾーンは温度230℃、張力2.6Kg/コー
ド、時間40秒でレゾルシン・ホルマリンラテツク
ス液によるデイツプ処理を行つた。デイツプ液付
着量は4.5%である。
該デツプコードをカーカス用ゴム中に埋めて、
温度190℃、30分間自由収縮下に加硫した後、加
硫ゴムを破壊し、加硫コードを取り出しその強度
を測定した所7.9g/d(加硫コード強度保持率
76.0%)であつた。
比較例 1 ヘキサメチレンジアンモニウムアジペートの50
%水溶液を2000部/時の割合で定量供給し、濃縮
槽で70%に濃縮後、第1反応器中17.5Kg/cm2の圧
力を保ちつつ220℃から250℃まで1.5時間で昇温
せしめた。ついで第2反応器中で温度を280℃に
昇温しつつ20分で圧力を常圧まで戻した。気液分
離槽で水蒸気を分離後、後重合器中200mmHg、
280℃で15分間重合し、紡口を経てロープとなし、
水冷後切断し、チツプとなした。チツプの蟻酸相
対粘度は78.7、〔COOH〕末端基は58.6meq/Kg、
〔NH2〕末端基は33.4meq/Kgであつた。
該チツプを用いて298℃で0.27mmφの孔312個を
有する紡糸口金から紡出し、310℃に加熱された
150mmの加熱筒を通し、冷却し、紡糸油剤を付与
した後、直ちに第1ネルソンローラーに引き取
り、引き続き順次より大きな周速で回転する第2
〜第4ネルソンローラーに導き、3段階に分けて
延伸熱セツトを行ない、1500m/分の速度で巻き
取つた。4段の各ゴデツトロール組をG1〜G4
すると各ロールの温度はG1:80℃、G2:210℃、
G3:230℃、G4:230℃であり、また、各ロール
の周速比はG2/G1=3.63、G3/G2=1.67、G4
G3=0.995、巻取速度/G4=0.890であつた。得ら
れた糸条は、蟻酸相対粘度74.0、強度10.3g/
d、伸度21.5%、タフネス221.5g/d・%、乾
熱収縮率2.7%、タイ分子安定度係数0.21であつ
た。
該原糸を実施例1と同様に生コード、デイツプ
コードとなした後、加硫し、加硫コードを取り出
し、その強度を測定した所7.2g/d(加硫コード
強度保持率69.9%)であつた。
比較例 2 ヘキサメチレンジアンモニウムアジペートの50
%水溶液を2000部/時の割合で定量供給し、濃縮
槽で70%に濃縮後、第1反応器中17.5Kg/cm2の圧
力を保ちつつ220℃から250℃まで1.5時間で昇温
せしめた。ついで第2反応器中で温度を280℃に
昇温しつつ20分で圧力を常圧まで戻した。気液分
離槽で水蒸気を分離後、重合器中350mmHg、280
℃で15分間重合後紡口を経てロープとなし、水冷
後切断しチツプとなした。チツプの蟻酸相対粘度
は67.0、〔COOH〕末端基は65.9meq/Kg、
〔NH2〕末端基は34.1meq/Kgであつた。該チツ
プを用いて298℃で0.27mmφの孔312個を有する紡
糸口金から紡出し、直ちに冷却し、紡糸油剤を付
与した後、直ちに第1ネルソンローラーに引き取
り、引き続き順次より大きな周速で回転する第2
〜第4ネルソンローラーに導き、3段階に分けて
延伸熱セツトを行ない、1900m/分の速度で巻き
取つた。4段の各ゴデツトロール組をG1〜G4
すると各ロールの温度はG1:室温、G2:70℃、
G3:215℃、G4:215℃であり、各ロールの周速
比はG2/G1=1.05、G3/G2=3.24、G4/G3
1.65、巻取速度/G4=0.91であつた。得られた糸
条は蟻酸相対粘度62.0、強度9.4g/d、伸度20.8
%、タフネス195.5g/d・%、乾熱収縮率3.5
%、タイ分子安定度係数0.15であつた。
該原糸を実施例1と同様に生コード、デイツプ
コードとなした後加硫し、加硫コードを取り出
し、その強度を測定した所7.0g/d(加硫コード
強度保持率74.5%)であつた。
実施例 2 実施例1で得られた低粘度チツプ(蟻酸相対粘
度29.7)を用い、実施例1と同様に固相重合を6
時間30分行ない、蟻酸相対粘度79.0のチツプを得
た。該チツプを用いて比較例1と同様に紡糸延伸
熱セツトを行つた。得られた糸条は蟻酸相対粘度
74.1、強度10.3g/d、伸度21.7%、タフネス
223.5g/d・%、乾熱収縮率2.6%、タイ分子安
定度係数0.13であつた。該原糸を実施例1と同様
に生コード、デイツプコードとなした後加硫し、
加硫コードを取り出しその強度を測定した所7.6
g/d(加硫コード強度保持率73.8%)であつた。
実施例 3 実施例1で得られた低粘度チツプ(蟻酸相対粘
度29.7)を用い、実施例1と同様に固相重合を6
時間50分行ない、蟻酸相対粘度83.6のチツプを得
た。該チツプを用いて298℃で0.24mmφの孔312個
を有する紡糸口金から紡出し、320℃に加熱され
た200mmの加熱筒を通し、冷却し、紡糸油剤を付
与した後、直ちに第1ネルソンローラーに引き取
り、ひき続き順次より大きな周速で回転する第2
〜第4ネルソンローラーに導き、3段階に分けて
延伸熱セツトを行ない、1800m/分の速度で巻き
取つた。4段の各ゴデツトロール組をG1〜G4
すると各ロールの温度はG1:80℃、G2:210℃、
G3:230℃、G4:230℃であり、各ロールの周速
比は、G2/G1=3.50、G3/G2=1.70、G4/G3
0.995、巻取速度/G4=0.890であつた。得られた
糸条は蟻酸相対粘度78.4、強度10.5g/d、伸度
20.6%、タフネス216.3g/d・%、乾熱収縮率
2.5%、タイ分子安定度係数0.12であつた。
該原糸を実施例1と同様に生コード、デイツプ
コードとなした後加硫し、加硫コードを取り出
し、その強度を測定した所7.9g/d(加硫コード
強度保持率75.2%)であつた。
実施例 4 比較例2で得られたチツプ(蟻酸相対粘度
67.0)を用い、実施例1と同様に固相重合を4時
間30分行ない、蟻酸相対粘度85.7のチツプを得
た。該チツプを用いて実施例3と同様に紡糸、延
伸熱セツトを行つた。得られた糸条は蟻酸相対粘
度80.2、強度10.5g/d、伸度20.5%、タフネス
215.3g/d・%、乾熱収縮率2.6%、タイ分子安
定度係数0.15であつた。
該原糸を実施例1と同様に生コード、デイツプ
コードとなした後加硫し、加硫コードを取り出
し、その強度を測定した所7.6g/d(加硫コード
強度保持率72.4%)であつた。
比較例 3 実施例4で得られた固相重合チツプ(蟻酸相対
粘度85.7)を用いて298℃で0.27mmφの孔312個を
有する紡糸口金から紡出し、320℃に加熱された
200mmの加熱筒を通し、冷却し、紡糸油剤を付与
した後、直ちに第1ネルソンローラーに引き取
り、ひき続き順次より大きな周速で回転する第2
〜第4ネルソンローラーに導き、3段階に分けて
延伸熱セツトを行ない、1800m/分の速度で巻き
取つた。4段の各ゴデツトロール組をG1〜G4
すると各ロールの温度はG1:室温、G2:70℃、
G3:215℃、G4:215℃であり、各ロールの周速
比はG2/G1=1.05、G3/G4=3.43、G4/G3
1.65、巻取速度/G4=0.91であつた。得られた糸
条は、蟻酸相対粘度80.2、強度10.5g/d、伸度
18.9%、タフネス198.5g/d・%、乾熱収縮率
4.7%、タイ分子安定度係数0.21であつた。
該原糸を実施例1と同様に生コード、デイツプ
コードとなした後加硫し、加硫コードを取り出
し、その強度を測定した所7.1g/d(加硫コード
強度保持率67.6%)であつた。
以上、実施例、比較例で示した如く、蟻酸相対
粘度70以上、強度10g/d以上の原糸は、特公昭
48−32616号公報に示された方法で直接紡糸延伸
してはタイ分子安定度係数の低い原糸は得られな
い。そして、高温熱セツトによる原糸の収縮率の
低下、固相重合を用いる等による分解抑制型の重
合度向上とあいまつてタイ分子安定度係数の低い
原糸が得られ、該原糸を用いて始めて、撚糸工
程、デイツプ処理工程、加硫工程といつた後加工
工程を経た後も強度利用率の高い、即ち加硫後の
強度の高いコードが得られる。本発明の原糸を用
いる事により、タイヤ、ベルトにおける積層枚数
の削減、打込本数の削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ポリヘキサメチレンアジパミドの溶
融重合(曲線B)と固相重合(曲線A)における
末端基の変化を示す。第2図は、Vibronで測定
した貯蔵弾性率E′とタイ分子安定度係数を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (1) 蟻酸相対粘度70〜150、 (2) 強度10g/d以上、 (3) タフネス200g/d・%以上、 (4) タイ分子安定度係数0.20以下、 (5) 160℃乾熱中30分間自由収縮させた時の収縮
    率が4%以下なる要件を具備する高強力ポリヘ
    キサメチレンアジパミド繊維。 2 タイ分子安定度係数0.15以下なる要件を具備
    する特許請求の範囲第1項記載のポリヘキサメチ
    レンアジパミド繊維。
JP11778682A 1982-07-08 1982-07-08 高強力ポリヘキサメチレンアジパミド繊維 Granted JPS599209A (ja)

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