JPH0354173Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は水路等に設置される起伏式ゲートに係
り、殊に扉体が受ける浮力により該扉体を起立さ
せるようにした起伏式ゲートにおける扉体と側部
戸当りとの止水構造に関する。

（従来の技術） 起伏式ゲートとして、扉体が受ける浮力により
該扉体を起立させるようにしたものが知られてい
る。この種ゲートは、一般にその扉体の両側部に
硬質の止水ゴム膜などから成る止水部材を取り付
けることにより、側部戸当りとの水密性が確保さ
れている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながらこの種従来のゲートは、上記止水
部材と側部戸当りとの摺接摩擦が大きいために、
扉体の起伏動作、殊に起立動作を円滑に行えない
問題点があつた。すなわち倒伏した扉体の起立
は、該扉体が受ける浮力を利用することにより行
われるのであるが、かかる浮力は鋼鉄などの重い
材料にて形成された扉体の重量に比較してそれ程
大きいものではないため、上記摺接摩擦力が大き
いと起立しにくいものである。また扉体が転倒す
る場合にも転倒方向の力は上記浮力により減殺さ
れるため、上記摺接摩擦力が大きいと円滑に転倒
しにくいものであつた。殊に農業用水路などに設
置される小型ゲートの場合に上記問題点は著し
く、その起伏動作を円滑に行いにくいものであつ
た。

したがつて本考案は、止水部材と側部戸当りと
の摺接摩擦を小さくして扉体の起伏を円滑に行え
る起伏式ゲートを提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） このために本考案は、底盤上に回転自在に設置
された扉体を、該扉体の受ける浮力により起立さ
せるようにした起伏式ゲートにおいて、上記扉体
の両側部に軟質止水部材を取り付けるとともに、
該軟質止水部材の外側に該軟質止水部材の腰の強
さを補強する可撓性の硬質止水部材を取り付け
て、この軟質止水部材を上記扉体とこの硬質止水
部材により挾着し、かつこの軟質止水部材と硬質
止水部材の側端部を上記扉体の側端部よりも上記
側端部当り側に突出させて、この軟質止水部材６
と硬質止水部材の側端部を屈曲自在な自由端部と
し、更に上記軟質止水部材の側端部を上記硬質止
水部材の側端部よりも上記側部戸当り側に突出さ
せてこの側部戸当りに当接させたものである。

（作用） このように軟質と硬質の二つの止水部材を配設
して摺接抵抗の小さい軟質止水部材を側部戸当り
に当接せしめることにより、扉体の起伏時の摺接
抵抗を小さくして扉体の起伏動作を円滑に行え
る。また軟質止水部材を扉体と硬質止水部材の間
に挟むことにより、この軟質止水部材を保護補強
するようにし、更には硬質二つの止水部材により
十分な止水性を確保したものである。

（実施例） 以下、図面を参照しながら本考案の実施例の説
明を行う。

第１図は起伏式ゲートの斜視図であつて、１は
扉体であり、該扉体１は水路の底盤Ａ上にヒンジ
手段によりその下端部を中心に回転自在に配設さ
れた本体部２と、該本体部２の上部に取り付けら
れた長管体３から成っている。長管体３およびま
たは本体部２は中空の密閉構造であつて、浮力を
受けられるようになつている。Ｂは側壁、４は側
部戸当りである。

５は長板状の軟質止水部材であつて、例えば水
密性の大きいやわらかいスポンジなどから成つて
おり、上記本体部２の背面両側部に装着されてい
る。６は硬質ゴム膜などから成る上記軟質止水部
材５よりも硬質の可撓性止水部材であつて、軟質
止水部材５の外側に装着されており、軟質止水部
材５本体部２と硬質止水部材６に挟着される構造
となつている。この硬質止水部材６は、軟質止水
部材５の腰の強さを補強している。７は硬質止水
部材６の背面に当接される当板、８は止水部材
５，６の固定用ボルトナツトである。

軟質止水部材５と硬質止水部材６の側端部は、
扉体１の側端部よりも側部戸当り４側に突出し
て、屈曲自在な自由端部となつているが、軟質止
水部材５の横巾は、硬質止水部材６のそれよりも
巾広であつ手、軟質止水部材５の側端部は硬質止
水部材６の側端部よりも長さＤだけ側部戸当り４
側に更に突出しており、止水部材５の側端部は側
部戸当り４に当接している。

本起伏式ゲートは上記のような構成より成り、
倒伏状態の扉体１は、長管体３およびまたは本体
部２が水から受ける浮力により起立するが、側部
戸当り４には軟質の止水部材５が軽く当接してい
るので両者４、５間の摺接摩擦は小さく、したが
つて扉体１は円滑に起立できる。また扉体１が起
立位置から転倒するときも、上記摺接摩擦は小さ
いので、扉体１は難なく転倒することができる。

また二枚の止水部材５、６により止水している
ので水洩れしにくく、また軟質止水部材５は本体
部２と硬質止水部材６に挟まれて保護補強されて
いるので損傷しにくく、更には硬質止水部材６は
軟質止水部材５を介して扉体１に装着されるの
で、ボルトナツト８による締着が確実にできて十
分な水密性を確保できる。

（考案の効果） 以上説明したように本考案に係る回転起伏式ゲ
ートは、底盤Ａ上に回転自在に設置された扉体１
を、該扉体１の受ける浮力により起立させるよう
にした起伏式ゲートにおいて、上記扉体１の両側
部に軟質止水部材５を取り付けるとともに、該軟
質止水部材５の外側に該軟質止水部材の腰の強さ
を補強する可撓性の硬質止水部材６を取り付け
て、この軟質止水部材を上記扉体とこの硬質止水
部材により挾着し、かつこの軟質止水部材と硬質
止水部材の側端部を上記扉体の側端部よりも上記
側部戸当り側に突出させて、この軟質止水部材６
と硬質止水部材の側端部を屈曲自在な自由端部と
し、更に上記軟質止水部材５の側端部を上記硬質
止水部材６の側端部よりも上記側部戸当り側に突
出させてこの側部戸当り４に当接させて成るの
で、扉体１の両側部に取り付けられる止水手段
を、軟質止水部材５と硬質止水部材６の２重構造
とし、軟質止水部材５の屈曲の自由度を確保しな
がら、しかもこの軟質止水部材５の腰の強さを、
硬質止水部材６により補強したものであり、した
がつて側部戸当り４との摺接摩擦を軽減して、扉
体１の円滑な起伏動作を可能にし、しかも十分な
止水性を確保できる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すものであつて、第１
図は起伏式ゲートの斜視図、第２図は要部断面図
である。 Ａ……底盤、１……扉体、４……側部戸当り、
５……軟質止水部材、６……硬質止水部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底盤上に回転自在に設置された扉体を、該扉体
   の受ける浮力により起立させるようにした起伏式
   ゲートにおいて、上記扉体の両側部に軟質止水部
   材を取り付けるとともに、該軟質止水部材の外側
   に該軟質止水部材の腰の強さを補強する可撓性の
   硬質止水部材を取り付けて、この軟質止水部材を
   上記扉体とこの硬質止水部材により挾着し、かつ
   この軟質止水部材と硬質止水部材の側端部を上記
   扉体の側端部よりも上記側部戸当り側に突出させ
   て、この軟質止水部材と硬質止水部材の側端部を
   屈曲自在な自由端部とし、更に上記軟質止水部材
   の側端部を上記硬質止水部材の側端部よりも上記
   側部戸当り側に突出させてこの側部戸当りに当接
   させたことを特徴とする起伏式ゲート。