JPH0353784Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、幅方向に分割されたブロツク鋳型間
からの溶湯のもれ等を回避し得るようにした無限
軌道式連鋳機に関するものである。

［従来の技術］ 従来の無限軌道式連鋳機の一例を第８図により
説明すると、多数のブロツク鋳型１を無限軌道状
に連ねて鋳型２が形成され、該鋳型２を上下に組
合わせて形成した鋳型空間３の一方の開口部に
は、タンデイツシユ４下部前方に突出させたタン
デイツシユノズル５が挿入されている。図中６は
駆動ロール、７はアイドルロール、８は鋳片であ
る。

斯かる連鋳機では、タンデイツシユ４に注入さ
れた溶湯は、タンデイツシユノズル５より、駆動
ロール６とアイドルロール７により移動している
上下の鋳型２，２間に形成された鋳型空間３に供
給され、ブロツク鋳型１により冷却、凝固されて
鋳片８として機外に取出される。

ところが、上記連鋳機では、冷却ゾーンは、鋳
型２の戻り領域だけで比較的短いため、溶湯入側
まで鋳型２が戻つた時点でもブロツク鋳型１は十
分冷却されておらず、従つて、鋳型が行えなくな
る虞れがある。

そこで、近年、冷却ゾーンを十分に取り得るよ
うにした無限軌道式連鋳機として、本願出願人は
第４図〜第７図に示すような連鋳機を考え出し
た。

すなわち、多数のブロツク鋳型１を無限軌道状
に接続して形成した鋳型２は上下に組合されて鋳
型空間３が形成されると共に、鋳型空間３の前後
には、第４図に示すように傾斜冷却ゾーン９、水
平冷却ゾーン１０等の比較的長い冷却域が設けら
れている。又電動機２２及び減速機２５並にユニ
バーサルスピンドル２６等で構成される駆動装置
に接続したギア１２，１２′により鋳型２の回動
が行われると共にギア１３を介し鋳型空間３下流
側で鋳型２にブレーキを与え得るようになつてい
る。このように鋳型２のブレーキを与えるのは、
鋳型空間３の部分で各ブロツク鋳型１，１間に隙
間が生じ、溶湯が漏洩するのを防止するためであ
る。尚、１１は従動用のギアである。

第５図〜第７図に示すように、前記ブロツク鋳
型１はキヤリア１４のバツクアツププレート１４
ａに固着されると共に各バツクアツププレート１
４ａの両側部には、前記ギア１２，１３が噛合す
るラツク１５が取付けられ、各キヤリア１４には
前記ギア１２′が噛合する夫々片側２個の車輪１
６が設けられている。

片側２個の車輪１６のうち１個の車輪１６は軸
１７を介してキヤリア１４に直接枢支され、もう
２個の車輪１６は同様にして隣接するキヤリア１
４に直接枢支された車輪１６をブロツク鋳型１の
移動方向へ摺動し得るよう、キヤリア１４の溝１
８に嵌合された軸箱１９に軸１７を介して間接的
に枢支されている。

即ちキヤリア１４に直接取付けられた軸１７に
は、前述の軸箱１９と同じ構造の軸箱１９が取付
けられ、該軸箱１９は当該キヤリア１４に隣り合
う前方若しくは後方のキヤリア１４の溝１８に摺
動自在に嵌合し、該隣接するキヤリア１４に直接
取付けられた軸１７は当該キヤリア１４に隣り合
う更に後方若しくは前方のキヤリア１４に軸箱１
９を介して摺動自在に取付けられ、このようにし
て順次キヤリア１４が接続されることによりブロ
ツク鋳型１が連結されている。又フレーム２０に
は無限軌道状の溝２１が設けられ、該溝２１に
は、前記車輪１６が転動自在に嵌合されている。

なお、第５図及び第６図中２３はブレーキ、２
４は上下のブロツク鋳型１間に挿入されると共に
ブロツク鋳型１と同期して移動し得るようにした
サイドダムブロツク、２７はギア１２，１２′の
軸、２８は軸受である。

鋳造時には、電動機２２の駆動によりギア１２
及びラツク１５を介してブロツク鋳型１が駆動さ
れると共にサイドダムブロツク２４もブロツク鋳
型１と同期駆動され、又ブレーキ２３によりギア
１３及びラツク１５を介して鋳型空間３形成部で
隣り合うブロツク鋳型１に隙間が生じないようブ
レーキが掛けられ、作業が行われる。この際、車
輪１６は溝２１に沿い転動するため鋳型２は円滑
に駆動される。

タンデイツシユ４内の溶湯は、タンデイツシユ
ノズル５より鋳型空間３に供給され、ブロツク鋳
型１により冷却、固化され鋳片となつて機外に取
出される。又鋳型２は、移動しつつ各冷却ゾーン
９，１０で適宜の手段で冷却され、溶湯注入部へ
戻る。

このように、第４図〜第７図に示す連鋳機は冷
却ゾーン９，１０が比較的長いため、ブロツク鋳
型１は溶湯注入部へ戻るまでの間に十分冷却さ
れ、従つて鋳造には何等支障が生じることはな
い。

而して、上記無限軌道式連鋳機においては、鋳
造される鋳片８が広幅の場合、各ブロツク鋳型１
の幅方向への反りを小さく押えるため、第３図に
示すように、ブロツク鋳型１は幅方向へ複数に分
割する必要がある。

尚、第３図中、第４図〜第７図と同一の符号を
付した部分は同一物を示しており、２９はキヤリ
ア１４の幅方向中間部に設けられレール面３０を
転動し得るようにした中間サポート車輪、２４′
はブロツク鋳型１の外側面及び上面或いは下面に
接触し得るよう配設されたサイドダムブロツク、
３１はサイドダムブロツク２４′とブロツク鋳型
１間及びブロツク鋳型１，１間を密着させるため
の弾撥体３２を備えた押付け装置、３３はサイド
ダムブロツク２４′下面或いは上面を相対峙する
ブロツク鋳型１に密着させるための、弾撥体３４
を備えた押付け装置、３５はブロツク鋳型１の幅
方向分割面である。

この場合、鋳造時に発生するブロツク鋳型１の
幅方向の熱膨張は、押付け装置３１の弾撥体３２
の収縮により吸収されると共に、前記ブロツク鋳
型１が傾斜冷却ゾーン９及び水平冷却ゾーン１０
を通過することにより充分に冷却され収縮した
際、幅方向に隣接するブロツク鋳型１間に隙間が
生じることは、前記弾撥体３２の伸長する方向へ
の付勢力にて前記ブロツク鋳型１を幅方向に互い
に密着させることにより防止され、該ブロツク鋳
型１に再び注湯した際の溶湯のもれを防ぐように
なつている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、前記弾撥体３２の付勢力のみで
は、幅方向に隣接するブロツク鋳型１を互いに密
着させるに際し、必ずしも充分であるとは言え
ず、依然として溶湯がもれる虞れがあつた。

本考案は、斯かる実情に鑑み、冷却後のブロツ
ク鋳型を幅方向に確実に密着させ得る無限軌道式
連鋳機を提供しようとするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は幅方向に複数分割したブロツク鋳型
を、該ブロツク鋳型間に密着させる方向に付勢す
る押付け装置を備えたバツクアツププレートに取
付け、該バツクアツププレートに取付けたブロツ
ク鋳型を多数連結し複数のギアに巻掛けて無限軌
道状の鋳型を構成し、該無限軌道状の鋳型を相対
向面が同一方向へ移動するよう上下に配設して鋳
型空間を構成し同時に該鋳型空間の下流に水平冷
却ゾーンを設け、前記鋳型空間の注湯部上流側
に、前記幅方向に複数分割したブロツク鋳型を幅
方向に押し付ける液圧シリンダを配設したことを
特徴とするものである。

［作用］ 従つて、水平冷却ゾーンにて冷却され収縮した
ブロツク鋳型は、押付け装置によつて密着方向へ
付勢され、更に、水平冷却ゾーンを通過し鋳型空
間に至る前に液圧シリンダによつて幅方向に押し
付けられ、幅方向に隣接するブロツク鋳型間に隙
間が生じない。

［実施例］ 以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明す
る。

第１図及び第２図は本考案の一実施例であり、
図中第３図、第４図と同一の符号を付した部分は
同一物を表わしている。

第１図及び第２図に示す如く、鋳型空間３上流
の駆動用のギア１２と水平冷却ゾーン１０下流の
駆動用のギア１２′との間に、幅方向に複数分割
したブロツク鋳型１及びサイドダムブロツク２
４′を挟んで、液圧シリンダ３６を対向配置し、
該液圧シリンダ３６のロツド３７先端には、幅方
向両端に位置するブロツク鋳型１及びサイドダム
ブロツク２４′の両側面に当接し転動可能なロー
ラ３８を枢着する。

鋳造は第３図〜第７図の場合と同様に行われる
が、鋳型空間３から傾斜冷却ゾーン９及び水平冷
却ゾーン１０を経て充分に冷却され収縮したブロ
ツク鋳型１及びサイドダムブロツク２４′は、押
付け装置３１の弾撥体３２にて互いに密着する方
向へ付勢されると共に、前記水平冷却ゾーン１０
下流の駆動用のギア１２′を通過後、対向配置さ
れた液圧シリンダ３６により、ロツド３７先端の
ローラ３８を介して移動中により強固に押し付け
られ、前記鋳型空間３上流の駆動用のギア１２′
を経て再び鋳型空間３位置へ戻り、タンデイツシ
ユノズル５から注湯される溶湯と接触する。

従つて、仮に押付け装置３１による付勢力だけ
ではブロツク鋳型１の幅方向分割面３５及びブロ
ツク鋳型１とサイドダムブロツク２４′との隣接
面に隙間が開いてしまつているような場合でも、
鋳型空間３に到達する前に液圧シリンダ３６によ
つて前記ブロツク鋳型１及びサイドダムブロツク
２４′が幅方向に互いに押し付けられ密着するこ
とになり、その結果、溶湯のもれを防止できる。
また、前記液圧シリンダ３６のロツド３７先端に
はローラ３８を枢着してあるため、循環移動を続
けるブロツク鋳型１及びサイドダムブロツク２
４′に、移動を妨げるような無理な力が加わるこ
とを最少限に抑えることができ、このために大き
な駆動力が必要となるようなこともない。

尚、本考案の無限軌道式連鋳機は、上述の実施
例にのみ限定されるものではなく、液圧シリンダ
の配設位置は、鋳型空間の注湯部上流側であれば
よいこと、サイドダムブロツク下面或は上面を相
対峙するブロツク鋳型に密着させるための押付け
装置を備えていないものにも適用し得ること、サ
イドダムブロツクを上下のブロツク鋳型間に挿入
すると共にブロツク鋳型と同期して移動し得るよ
うにしたものにも適用し得ること、等本考案の要
旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得
ることは勿論である。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案の無限軌道式連鋳
機によれば、冷却後、鋳型空間に至るブロツク鋳
型を幅方向に確実に密着させることができ、溶湯
のもれを回避できるという優れた効果を奏し得
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の説明図（第２図の
−矢視相当図）、第２図は液圧シリンダの設
置箇所を示す側面図、第３図は幅方向複数分割し
たブロツク鋳型の説明図、第４図は傾斜冷却ゾー
ン及び水平冷却ゾーンを備えた連鋳機の説明図、
第５図は第４図の−矢視図、第６図は第４図
の−矢視図、第７図はブロツク鋳型及びキヤ
リアの説明図、第８図は従来の一般的な連鋳機の
説明図である。 １はブロツク鋳型、２は鋳型、３は鋳型空間、
１０は水平冷却ゾーン、１１，１２，１２′，１
３はギア、１４ａはバツクアツププレート、２
４，２４′はサイドダムブロツク、３１は押付け
装置、３２は弾撥体、３６は液圧シリンダ、３８
をローラを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 幅方向に複数分割したブロツク鋳型を、該ブロ
   ツク鋳型間を密着させる方向に付勢する押付け装
   置を備えたバツクアツププレートに取付け、該バ
   ツクアツププレートに取付けたブロツク鋳型を多
   数連結し複数のギアに巻掛けて無限軌道状の鋳型
   を構成し、該無限軌道状の鋳型を相対向面が同一
   方向へ移動するよう上下に配設して鋳型空間を構
   成し同時に該鋳型空間の下流に水平冷却ゾーンを
   設け、前記鋳型空間の注湯部上流側に、前記幅方
   向に複数分割したブロツク鋳型を幅方向に押し付
   ける液圧シリンダを配設したことを特徴とする無
   限軌道式連鋳機。