JPH0352912B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は船舶の安全航法に用いて好適な船舶用
レーダ自動切替装置に関する。

〔従来の技術〕

従来の船舶用レーダとしてはKaバンドレーダ、
Ｘバンドレーダ、Ｓバンドレーダ等各種のものが
あるが、いずれも単独で使用されており、またク
ラツタが強い場合には航海士の判断により手動で
ＸバンドレーダをＳバンドレーダに切替えて使用
したりしていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、上記した船舶用レーダは航海計器の
中でも最重要なものであり、夜間航行や狭水道と
か港内の航行では衝突予防のために不可欠のもの
である。しかし、海象気象の程度によつてはシー
クラツタやレインクラツタが強く中、近距離用レ
ーダでは障害物の認識が困難な場合がある。そこ
で、このような場合には適切にレーダの切替を行
ない且つ環境条件が復旧すればレーダを元の状態
に切替える必要があるが、そのためには人手によ
つて切替え作業を行なわなければならない。従つ
て、省人化や無人化を推進するにはこの切替え作
業の自動化を図る必要があるが、そのためには衝
突予防装置に常時信頼性の高い高品質のビデオ信
号を自動的に供給して無人化による安全航行がで
きるものでなければならない。

本発明は上記のような問題点を解決するためな
されたもので、Kaバンド、Ｘバンド、Ｓバンド
の各レーダ固有の受持ち距離分担を生かしながら
常にクラツタの少ないビデオを合成表示し且つ高
品質のビデオ信号が衝突予防装置に与えられるよ
うにして無人化による安全航行に大きく寄与でき
る船舶用レーダ自動切替装置を提供することを目
的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明による船舶用レーダ自動切替装置は空中
線、この空中線を介して電波を発射し且つその反
射波信号を受信してレーダビデオを出力する送受
信機及びこの送受信機から出力されるレーダビデ
オを記憶するバツフアメモリを備えたＳバンドレ
ーダと、空中線、この空中線を介して電波を発射
し且つその反射波信号を受信してレーダビデオを
出力する送受信機、この送受信機から出力される
レーダビデオを処理して強クラツタの有無を検出
する強クラツタ検出器及び前記送受信機から出力
されるレーダビデオを記憶するバツフアメモリを
備えたＸバンドレーダ及びKaバンドレーダと、
前記各バンドレーダのバツフアメモリから出力さ
れるレーダビデオ全体の整合をとるタイミング整
合器、このタイミング整合器で整合のとられた各
バンドのレーダビデオに対して１つの座標に変換
する座標変換器、この座標変換器で座標変換され
た各バンドのレーダビデオが入力されると共に前
記Ｘバンドレーダ及びKaバンドレーダの強クラ
ツタ検出器の出力がそれぞれ入力され前記Ｘバン
ドレーダの強クラツタ検出器で強いクラツタが検
出されるＸバンドレーダビデオとＳバンドレーダ
ビデオの受持距離の境界を自動的に近距離側に移
行させ且つ前記Kaバンドレーダの強クラツタ検
出器で強いクラツタが検出されるとKaバンドレ
ーダビデオとＸバンドレーダビデオの受持距離の
境界を自動的に近距離側に移行させる距離選択器
及びこの距離選択器から出力される各バンドのレ
ーダビデオをその受持距離範囲に応じ１画面分に
合成して記憶する表示メモリを備えたビデオ合成
機と、このビデオ合成機の表示メモリに記憶され
た各バンドのレーダビデオの受持距離範囲に応じ
た合成ビデオを表示するレーダ指示器とから構成
したことを特徴としている。

〔作用〕

かかる構成の船舶用レーダ自動切替装置によれ
ば、Ｘバンドレーダの強クラツタ検出器が強いク
ラツタを検出した時にはビデオ合成機の距離選択
器によりＸバンドレーダの受持最大距離範囲を狭
くし、クラツタに強いＳバンドレーダの受持最小
距離範囲を小さくしてクラツタを減少させ、また
Kaバンドレーダの強クラツタ検出器が強いクラ
ツタを検出した時にはビデオ合成機の距離選択器
によりKaバンドレーダの受持最大距離範囲を狭
くし、Ｘバンドレーダの受持最小距離範囲を小さ
くしてクラツタを減少させることが可能となり、
従つて距離選択器から出力されるＳバンド、Ｘバ
ンド及びKaバンドの各レーダのビデオによる合
成ビデオはクラツタの少ない状態に維持され、し
かも表示メモリからは常にＳ／Ｃ比の高い高品質
のビデオ信号をレーダ指示器に与えると共に衝突
予防装置に出力することができる。

〔実施例〕

以下図面により本発明による船舶用レーダ自動
切替装置の一実施例について説明する。第１図は
船舶用レーダ自動切替装置のブロツク回路図であ
り、第２図はその機器構成図である。第１図及び
第２図において、１０は降雨雪等に対する透過率
が良く長距離向きであるが、分解能の悪いＳバン
ドレーダであり、このＳバンドレーダは空中線１
１、この空中線１１を介して電波を発射し且つそ
の反射信号を受信してレーダビデオを出力する送
受信機１２、この送受信機１２から出力されるレ
ーダビデオを他船舶からの電波による干渉除去、
CFAR処理、積分処理等を行なうビデオ処理機１
３及びこのビデオ処理機１３で処理されたレーダ
ビデオを記憶するバツフアメモリ１４から構成さ
れている。２０は降雨雪等に対する透過率が悪く
短距離向きであるが、分解能の良いKaバンドレ
ーダであり、このKaバンドレーダ２０は空中線
２１、この空中線２１を介して電波を発射し且つ
その反射波信号を受信してレーダビデオを出力す
る送受信機２２、この送受信機２２から出力され
るレーダビデオを他船舶からの電波による干渉除
去、CFAR処理、積分処理等を行なうビデオ処理
機２３、このビデオ処理機２３で処理されたレー
ダビデオを記憶するバツフアメモリ２４及び前記
送受信機２２から出力されるレーダビデオを処理
（自己相関検出、相関スレツシユホールド、強度
スレツシユホールド）して強クラツタの有無を検
出する強クラツタ検出器２５から構成されてい
る。３０はＳバンドレーダ１０とKaバンドレー
ダ２０の中間の性質を持つＸバンドレーダで、こ
のＸバンドレーダ３０はKaバンドレーダ２０の
それと同様に空中線３１、送受信機３２、ビデオ
処理機３３、バツフアメモリ３４及び強クラツタ
検出器３５から構成されている。また、４０はビ
デオ合成機であり、このビデオ合成機４０は各バ
ンドレーダ１０，２０，３０のバツフアメモリ１
４，２４，３４から出力されるレーダビデオ全体
のタイミング整合をとるタイミング整合器４１、
このタイミング整合器４１で整合のとられた各バ
ンドのレーダビデオに対してレーダの設置位置の
遠い等による異なる座標を１つの座標に合せるべ
く変換する座標変換器４２、この座標変換器４２
で座標変換された各バンドのレーダビデオが入力
されると共に前記Ｘバンドレーダ３０及びKaバ
ンドレーダ２０の強クラツタ検出器３５及び２５
の出力がそれぞれ入力される距離選択器４３及び
この距離選択器４３から出力される各バンドのレ
ーダビデオを記憶する表示メモリ４４とから構成
されている。ここで、上記距離選択器４３はＸバ
ンドレーダ３０の強クラツタ検出器３５で強いク
ラツタが検出されるとＸバンドレーダビデオとＳ
バンドレーダビデオの受持距離の境界を自動的に
近距離側に移行させ且つKaバンドレーダ２０の
強クラツタ検出器２５で強いクラツタが検出され
るとKaバンドレーダビデオとＸバンドレーダビ
デオの受持距離の境界を自動的に近距離側に移行
させる機能を持つており、また表示メモリ４４は
距離選択器４３から出力される各バンドのレーダ
ビデオをその受持距離範囲に応じ１画面分に合成
して記憶するもので、その合成ビデオ信号は図示
しない衝突予防装置に供給できるようになつてい
る。さらに、５０はビデオ合成機４０の表示メモ
リ４４に記憶された各バンドのレーダビデオの受
持距離範囲に応じた合成ビデオを表示するレーダ
指示器である。

次に上記のように構成された船舶用レーダ自動
切替装置の作用について述べる。

Ｓバンドレーダ１０、Kaバンドレーダ２０及
びＸバンドレーダ３０において、各送受信機１
２，２２，３２から空中線１１，２１，３１を介
して電波が発射され且つその反射波の信号がそれ
ぞれ受信されると、その受信信号はビデオに処理
されてビデオ処理機１３，２３，３３に出力され
る。これらビデオ処理機１３，２３，３３ではそ
のビデオに対して他船舶からの電波による干渉除
去、CFAR処理、積分処理等を行ない、バツフア
メモリ１４，２４，３４にそれぞれ記憶させる。
バツフアメモリ１４，２４，３４から出力された
ビデオはビデオ合成機４０に入り、ここで先ずタ
イミング整合器４１にて全体のタイミング整合が
とられ、次に座標変換器４２によりレーダの設置
位置の違いによる異なる座標を１つの座標に合せ
るべく変換した後、距離選択器４３により距離選
択、つまり各レーダの受持距離範囲の決定を行な
つて表示メモリ４４に１画面分に合成して記憶さ
せる。この表示メモリ４４に記憶された合成ビデ
オが読み出されるとレーダ指示器５０上に表示さ
れると共に図示しない衝突予防装置に出力され
る。ここで、Kaバンドレーダ２０及びＸバンド
レーダ３０において、強クラツタ検出器２５，３
５のいずれも強いクラツタを検出していなけれ
ば、各レーダのビデオはビデオ合成機４０の距離
選択器４３によりそのレーダ固有の距離分野に応
じた合成ビデオとして表示メモリ４４に記憶され
るので、レーダ指示器５０には図示中央に示すよ
うな各バンド範囲で表示される。また、Kaバン
ドレーダ２０のみの強クラツタ検出器２５が強い
クラツタを検出すると、この強クラツタ検出器２
５からビデオ合成機４０の距離選択器４３にKa
バンド〜Ｘバンド切替信号が与えられる。したが
つて、この距離選択器４３ではKaバンドの受持
距離境界を小さくし且つＸバンドの受持距離境界
を広げた合成ビデオとして表示メモリ４４に記憶
されるので、レーダ指示器５０には図示右部のよ
うな各バンド範囲が表示され、全体としてクラツ
タの少ない合成画面が自動的に維持される。これ
とは逆にＸバンドレーダ３０のみの強クラツタ検
出器３５が強いクラツタを検出した場合には、こ
の強クラツタ検出器３５からビデオ合成機４０の
距離選択器４３にＸバンド〜Ｓバンド切替信号が
与えられるので、この距離選択器４３ではＸバン
ドの受持距離境界を小さくし且つＳバンドの受持
距離境界を広げた合成ビデオとして表示メモリ４
４に記憶され、したがつてレーダ指示器５０には
図示していないが全体としてクラツタの少ない各
バンドの合成画面が自動的に維持される。さらに
Kaバンドレーダ２０及びＸバンドレーダ３０の
両方の強クラツタ検出器２５，３５が強クラツタ
を検出した場合には両強クラツタ検出器２５，３
５からビデオ合成機４０の距離選択器４３にKa
バンド〜Ｘバンド、Ｘバンド〜Ｓバンドの切替信
号が与えられるので、この距離選択器４３では
Kaバンド及びＸバンドの受持距離境界を小さく
し且つＳバンドの受持距離境界を広げた合成ビデ
オとして表示メモリ４４に記憶され、したがつて
レーダ指示器５０には図示左部のような各バンド
範囲が表示され、全体としてクラツタの少ない合
成画面が自動的に維持される。

このように本実施例ではそれぞれ固有の距離分
野を受持つＳバンドレーダ、Kaバンドレーダ２
０及びＸバンドレーダ３０を用いて各バンドのビ
デオをビデオ合成機４０に入力し、ここでそれぞ
れの距離に応じて分担された各レーダビデオを合
成しているので、この合成ビデオは全域にわたつ
て高品質のビデオになし得る。また、気象海象の
状態によつて強いクラツタが発生してもKaバン
ドレーダ２０及びＸバンドレーダ３０にそれぞれ
内臓されている強クラツタ検出器２５，３５によ
りその強いクラツタを自動的に検出してビデオ合
成機４０の距離選択器４３に対しバンド切替信号
を送出してKaバンドレーダ２０の受持距離の一
部または全部をＸバンドレーダ３０に一時的に受
持たせたり、Ｘバンドレーダ３０の受持距離の一
部を一時的にＳバンドレーダ４０に受持たせた距
離範囲として各レーダのビデオを合成するように
しているので、その合成ビデオは常にＳ／Ｃ比の
高い状態に自動的に維持することができる。した
がつて、省化船や無人化船における衝突予防装置
に常に高品質のビデオ信号を自動供給することが
でき、安全航行に大きく寄与することができる。

なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に
限定されるものではなく、その要旨を変更しない
範囲内で種々変更して実施できることは勿論であ
る。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明によれば、Kaバンド、
Ｘバンド、Ｓバンドの各レーダ固有の受持ち距離
分担を生かしながら常にクラツタの少ないビデオ
を合成表示し且つ高品質のビデオ信号が衝突予防
装置に与えられるようにしたので、無人化による
安全航行に大きく寄与できる船舶用レーダ自動切
替装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明による船舶用レーダ
自動切替装置の一実施例をそれぞれ示すもので、
第１図はそのブロツク回路図、第２図は機器構成
図である。 １０……Ｓバンドレーダ、２０……Kaバンド
レーダ、３０……Ｘバンドレーダ、１１，２１，
３１……空中線、１２，２２，３２……送受信
機、１３，２３，３３……ビデオ処理機、１４，
２４，３４……バツフアメモリ、４０……ビデオ
合成機、４１……タイミング整合器、４２……座
標変換器、４３……距離選択器、４４……表示メ
モリ、５０……レーダ指示器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 空中線、この空中線を介して電波を発射し且
   つその反射波信号を受信してレーダビデオを出力
   する送受信機及びこの送受信機から出力されるレ
   ーダビデオを記憶するバツフアメモリを備えたＳ
   バンドレーダと、空中線、この空中線を介して電
   波を発射し且つその反射波信号を受信してレーダ
   ビデオを出力する送受信機、この送受信機から出
   力されるレーダビデオを処理して強クラツタの有
   無を検出する強クラツタ検出器及び前記送受信機
   から出力されるレーダビデオを記憶するバツフア
   メモリを備えたＸバンドレーダ及びKaバンドレ
   ーダと、前記各バンドレーダのバツフアメモリか
   ら出力されるレーダビデオ全体の整合をとるタイ
   ミング整合器、このタイミング整合器で整合のと
   られた各バンドのレーダビデオに対して１つの座
   標に変換する座標変換器、この座標変換器で座標
   変換された各バンドのレーダビデオが入力される
   と共に前記Ｘバンドレーダ及びKaバンドレーダ
   の強クラツタ検出器の出力がそれぞれ入力され前
   記Ｘバンドレーダの強クラツタ検出器で強いクラ
   ツタが検出されるＸバンドレーダビデオとＳバン
   ドレーダビデオの受持距離の境界を自動的に近距
   離側に移行させ且つ前記Kaバンドレーダの強ク
   ラツタ検出器で強いクラツタが検出されるとKa
   バンドレーダビデオとＸバンドレーダビデオの受
   持距離の境界を自動的に近距離側に移行させる距
   離選択器及びこの距離選択器から出力される各バ
   ンドレーダビデオをその受持距離範囲に応じ１画
   面分に合成して記憶する表示メモリを備えたビデ
   オ合成機と、このビデオ合成機の表示メモリに記
   憶された各バンドのレーダビデオの受持距離範囲
   に応じた合成ビデオを表示するレーダ指示器とか
   ら構成したことを特徴とする船舶用レーダ自動切
   替装置。