JPH0352049B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 TVプロジエクター等に使用されるリヤスクリ
ーンは画面の明かるさ、均一性や、水平方向の観
察範囲の広さ、垂直方向の光損失の少なさ等の性
能を満たすため種々の方式が提案されて来たが、
性能が最も優れているものとしてフレネルレンズ
シートとブラツクストライプ付きレンチキユラー
レンズシートの２枚から構成されるものが多く使
用されている。

しかしながら、上記のフレネルレンズシートと
レンチキユラーレンズシートの組合せからなるリ
ヤスクリーンにはいくつかの欠点が生ずる。

そのうち特に両レンズシートのピツチ関係で生
ずるモアレ模様とフレネルレンズシートの両表面
で生じる反射像が大きな問題である。これらの問
題の改善策として例えば上記の２枚のレンズシー
トの間にマツトフイルムを挾む方法が考えられた
が、この方法ではリヤスクリーンの構成が３枚と
なつて部品数が増える上に、３枚のレンズシート
相互の密着性が悪くなり像がゆがんだり、部分的
にボケるなどの欠点がある。マツトフイルムを用
いることによる上記の欠点は、フレネルレンズシ
ートの表面をマツトにすることにより改善される
ことがわかつたが、マツトの度合を強くするとフ
レネルレンズシート上で像が生じてしまうために
レンチキユラーシート上の像と重なつて２重の像
となり解像性の点で好ましくなく、更に解像性を
下げることなくモアレや反射像を解消することが
望まれる。

フレネルレンズシートの使用の態様としては光
源側にレンズ面が向く場合と非レンズ面が向く場
合の２方法があるが、いずれの場合に於いても、
本発明者の研究によれば、一方の面にのみフレネ
ルレンズが形成されているフレネルレンズシート
のフレネルレンズ形成面とは反対側の面（以下、
非レンズ面という）に拡散特性が±2°〜±4°（1/2
ゲインにおけるもの、光軸上の最大輝度を１とし
たとき、輝度が1/2以上である角度範囲を表わ
す。）であるサーフエスデイフユーザ（表面拡散
層）を設けるとフレネルレンズシートの両表面で
生ずる反射像を消去するのに有効でありかつこの
程度の拡散特性では解像性が実質上殆んど低下し
ないことが見い出された。

本発明は上記の事実にもとづいてなされたもの
であつて、即ち、本発明は、 フレネルレンズシートとレンチキユラーレンズ
シートの２枚のレンズシートを組み合わさせてあ
つて、しかも、前記フレネルレンズシートは一方
の面のみにフレネルレンズが形成されており、こ
のフレネルレンズシートのフレネルレンズ形成面
とは反対側の面にレンチキユラーレンズの長手方
向と直交する方向にヘアライン状の傷が全面に施
されていることを特徴とするリヤスクリーンを要
旨とするものである。

以下、実施例により、図面を用いて本発明を説
明する。

第１図は本発明の一実施例を示す斜視図であ
り、フレネルレンズシートＡとレンチキユラーレ
ンズシートＢを組み合わせてあり、フレネルレン
ズシートＡには入射側にサーキユラーフレネルレ
ンズ１が、出射側には全面に水平方向にヘアライ
ン状の傷２が形成されている。又、レンチキユラ
ーレンズシートＢの入射光側にはレンチキユラー
レンズ３が形成されている。レンチキユラーレン
ズシートＢの出射側にはレンチキユラーレンズの
非集光部に遮光層４（通常、ブラツクストライプ
と言う）を設けてもよく、遮光層４を設けると迷
光の遮断、出射側での外光の反射の低減の作用が
ある。

レンチキユラーレンズシートＢは水平方向に拡
散特性を有するが、更に垂直方向に拡散特性を持
たせるには第２図に示すように拡散材５を練り込
んでも、第３図に示すように出射側に拡散材層６
を設けるか若しくは第４図に示すように出射部を
ランダムなマツト状態７にしてもよく、これらを
併用してもよい。レンチキユラーレンズシートＢ
に垂直方向の拡散特性を与えるには以上のような
方向特性のない均等拡散特性を与えるのが製造上
容易であつて効率もすぐれている。

フレネルレンズシートとレンチキユラーレンズ
シートの組み合わせによつて生ずるモアレ模様ま
たは反射像、すなわち繰り返し反射に起因する同
心円状の環は、例えば上方向から見ればフレネル
レンズセンターの下方に数本の光の環として観測
される。また逆に下方か見ればセンターの上方に
数本の光の環として観測される。

このような光の環として観測される不要光は、
水平方向に光を拡散するレンチキユラーレンズと
を組み合わせれば、レンチキユラーレンズＢの水
平方向成分の強い散乱作用のために右方向または
左方向の光の環は観察できてくなるが、上下方向
の光の環はレンチキユラーレンズＢの中の拡散剤
による弱い散乱を受けるだけであるから前記光の
環は上下方向に対してはボケタ光の環となるだけ
であつて顕著な改善は見られないのである。

本発明によれば、フレネルレンズシートＡのフ
レネルレンズ形成面とは反対側の面にレンチキユ
ラーレンズの長手方向と直交する方向にヘアライ
ン状の傷を全面に設ける構成により垂直方向に対
する拡散特性を与えられるので、不要光による光
の環が完全に消滅でき、画面全体がどの方向に対
しても均一な明るさになるという作用がある。こ
のヘアライン状の傷は垂直拡散特性（α_V）が±2°
〜±4°程度となるように形成するのがよい。な
お、レンチキユラーレンズシートＢの水平拡散特
性（α_H）は±35°〜±50°が好ましく、垂直拡散特
性（α_V）は±5°〜±10°が好ましい。

上記ヘアライン状の傷をフレネルレンズシート
に設けるには、例えばフレネルレンズシートの成
形加工の際にフレネルレンズの逆形状の金型とヘ
アライン加工をほどこした平板状の金型との間に
透明樹脂例えばアクリル樹脂等を狭持し熱圧加工
することによつて行なうことができる。特に垂直
拡散特性（α_V）を±2°〜±4°に制御するには市販
の研摩紙のNo.400（400メツシユ）〜No.1000（1000メ
ツシユ）を用い、上記平板状金型製作の際に金属
板を一方向に研摩することで実現できる。又、同
様なメツシユの砥粒を一方向から吹き付けること
によつてもよい。

また、レンチキユラーレンズシートの水平方向
拡散特性（α_H）を±35°〜±50°に制御するには、
レンチキユラーレンズの形状を円、楕円、放物面
等に於いてレンズの谷の底に於ける接線が60°〜
80°になる様に設計する必要があり、又、レンチ
キユラーレンズシートの垂直拡散特性（α_V）を
±5°〜±10°に制御するには、拡散剤の添加量お
よび表面光拡散層を調整することによつて得られ
るが、例えば基板としてアクリル樹脂を用いた場
合、拡散剤としては粒径0.1〜40μのシリカ粉末、
アルミナ粉末あるいはガラス粉末等を２〜５％添
加したり、あるいは更に金型表面をあらかじめマ
ツト加工し、成形時にそのマツト形状を被成形シ
ートに転写することにより表面拡散層を付与する
方法が用いられる。

以上の本発明によれば水平方向のみならず垂直
方向の拡散特性をも規制したリヤスクリーンを与
えることができる。

本発明のリヤスクリーンをTVプロジエクター
等に用いると、どの方向に対しても解像度が下が
ることなく、モアレや反射像の無い優れた画質の
画像が得られるという効果がある。

さらに、水平方向および垂直方向の散乱特性は
それぞれレンチキユラーレンズとヘアライン状の
傷に対して独自に持たせられるため、リヤスクリ
ーンの設計も容易になる効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のリヤスクリーンの実施例を示
す斜視図、第２図〜第４図は本発明で用いるレン
チキユラーレンズシートの実施例を示す断面図で
ある。 １……フレネルレンズ、２……ヘアライン、３
……レンチキユラーレンズ、４……遮光層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フレネルレンズシートとレンチキユラーレン
   ズシートの２枚のレンズシートを組み合わさせて
   あつて、しかも、前記フレネルレンズシートは一
   方の面にのみフレネルレンズが形成されており、
   このフレネルレンズシートのフレネルレンズ形成
   面とは反対側の面にレンチキユラーレンズの長手
   方向と直交する方向にヘアライン状の傷が全面に
   施されていることを特徴とするリヤスクリーン。 ２ レンチキユラーレンズシートはフレネルレン
   ズシート側にレンチキユラーレンズが設けられて
   おり、フレネルレンズシートとは反対の側のレン
   チキユラーレンズの非集光部には遮光層が設けら
   れていることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載のリヤスクリーン。 ３ レンチキユラーレンズシートは光拡散剤を内
   部に練り込んであることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項又は第２項記載のリヤスクリーン。 ４ レンチキユラーレンズシートは表面に光拡散
   剤を有していることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項〜第３項のいずれか記載のリヤスクリー
   ン。