JP3339765B2 - 背面投射型スクリーン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液晶プロジェクタを用
いた液晶プロジェクションテレビ等の画面として用いら
れる液晶プロジェクション用背面投射型スクリーンに関
するものであり、さらに詳しくは、配光特性に優れると
ともに、外光の影響の少ない高品質の映像を提供するこ
とができる背面投射型スクリーンに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プロジェクションテレビ等において使用
される背面投射型スクリーンは、投影光を拡散して画面
の明るさおよび均一性が得られるように、また斜め方向
から観察した場合でもある程度の明るい像が観察できる
ように、光源側にサーキュラーフレネルレンズシート
を、観察側にレンチキュラーレンズシートを配置した構
成となっている。フレネルレンズシートは、光源から入
射した光線を観察者の方向に向け、画面の四隅周辺が暗
くならないようにしている。また、レンチキュラーレン
ズシートは、水平方向へ光線を拡散させ水平視野角を広
げている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の背面投射型スク
リーンにおいては、レンチキュラーレンズシートとし
て、断面半円状、断面半楕円状等の断面円弧状の形状を
したレンチキュラーレンズが、出射面あるいは入射面の
いずれか一方にレンチキュラーレンズが形成された片面
レンシキュラーレンズシート、出射面および入射面の両
方にレンチキュラーレンズが形成された両面レンチキュ
ラーレンズシート等が使用されている。また、レンチキ
ュラーレンズシートの観察側の面に、画像のコントラス
トを向上させる目的で、レンチキュラーレンズの光不透
過部にブラックストライプを形成したもの等も使用され
ている。しかしながら、このようなレンチキュラーレン
ズシートを用いた従来の背面投射型スクリーンにおいて
は、その配光特性と外光の影響のバランス性に劣り、背
面投射型スクリーンの配光特性を向上させると外光の影
響を受けやすくなり、強い照明下や太陽光の強い環境で
は著しく画像の品質が低下するものであった。逆に、外
光の影響を少なくした場合には背面投射型スクリーンの
配光特性が低下するものであった。そこで、本発明の目
的は、配光特性に優れるとともに、外光の影響が少な
く、配光特性と外光の影響のバランス性に優れた高品質
の画像を提供することができる背面投射型スクリーンを
提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
技術の有する問題点を鑑み、レンチキュラーレンズシー
トのレンズ形状について鋭意検討を行った結果、本発明
に到達したものである。

【０００５】すなわち、本発明の液晶プロジェクション
用背面投射型型スクリーンは、光源側に配置されたフレ
ネルレンズシートと、観察側に配置されたレンチキュラ
ーレンズシートから構成され、該レンチキュラーレンズ
シートの入射面側にレンズピッチ（Ｐ）と曲率半径
（Ｒ）が次の式（６）の関係を満足し、レンズピッチが
０．３ｍｍ以下であるレンチキュラーレンズが形成され
ていることを特徴とするものである。

【０００６】

【数６】

【０００７】本発明の背面投射型スクリーンは、図１に
示したように、フレネルレンズシート１を光源側に配置
するとともに、レンチキュラーレンズシート２を観察側
に配置することによって構成される。レンチキュラーレ
ンズシート２は、図２に示したように、その入射面にレ
ンズピッチ（Ｐ）と曲率半径（Ｒ）が、１．４≦Ｐ／Ｒ
≦１．９の関係を満足するレンチキュラーレンズが形成
されている。レンズピッチ（Ｐ）と曲率半径（Ｒ）とが
このような関係にあるレンチキュラーレンズを入射面に
形成することによって、背面投射型スクリーンとして配
光特性と外光の影響のバランス性に優れたレンチキュラ
ーレンズシート２が得られるものである。これは、Ｐ／
Ｒが１．４未満であると背面投射型スクリーンの配光特
性が低下するためであり、逆に１．９を超えると背面投
射型スクリーンの外光の影響が大きくなるためである。
好ましくは、レンチキュラーレンズのレンズピッチ
（Ｐ）と曲率半径（Ｒ）が、１．５≦Ｐ／Ｒ≦１．９の
関係を満足する範囲であり、さらに好ましくは１．６≦
Ｐ／Ｒ≦１．８の範囲である。

【０００８】なお、本発明において、レンチキュラーレ
ンズのレンズ形状は、特定の曲率半径を有する断面半円
状であるが、必要に応じて特定の曲率半径を有する断面
半円状に基づいた非球面レンズも含まれる。すなわち、
断面半楕円状、レンズ面が双曲線あるいは放物線状のも
のであってもよく、特定の曲率半径を有する断面半円状
に基づいて変形した断面円弧状の形状が使用できる。こ
の場合、非球面レンズは次の式（７）で表される。

【０００９】

【数７】

【００１０】（式中、Ｘはレンズ中心からの距離、Ｙは
非球面レンズ座標、Ｃは曲率（１／Ｒ）、Ｋは非球面分
類（Ｋ＜−１：双曲線、Ｋ＝−１：放物線、−１＜Ｋ＜
０またはＫ＞０：楕円、Ｋ＝０：円）、Ａ１ 、Ａ２ 、
Ａ３ 、Ａ４ 、Ａ５ は夫々１０次多項式の２次、４
次、６次、８次、１０次の係数を表す。）

【００１１】また、レンチキュラーレンズのレンズピッ
チ（Ｐ）は、高精度の画像を得ることから０．３ｍｍ以
下の範囲であることが好ましい。さらに、背面投射型ス
クリーンとして、通常のブラウン管と同等の外観が要求
される場合には、レンチキュラーレンズシート２の出射
面側を鏡面状とすることで、ブラウン管と同等の外観と
することができる。この場合、出射面にハードコート
層、無反射コート層、帯電防止層等を施すこともでき
る。

【００１２】本発明の背面投射型スクリーンを液晶プロ
ジェクターを用いた液晶プロジェクションテレビ等に使
用する場合には、液晶プロジェクターに使用される液晶
パネルの液晶画素とレンチキュラーレンズとの間でのモ
アレ現象の発生を抑止するために、レンチキュラーレン
ズのレンズピッチ（Ｐ _Ｒ ）と液晶画素の鉛直方向のレン
ズピッチ（Ｐ _ＬＨ ）を次の式（８）あるいは式（９）の
関係を満足するように設定することが好ましい。これ
は、レンチキュラーレンズシート２のレンチキュラーレ
ンズのレンズピッチ（Ｐ _Ｒ ）と液晶画素の鉛直方向のピ
ッチ（Ｐ _ＬＨ ）が式（８）あるいは式（９）の範囲外で
あると、レンチキュラーレンズシート２と液晶画素との
間でのモアレ現象が発生する傾向にあるためである。

【００１３】

【数８】

【００１４】

【数９】 （但し、式（８）〜（９）において、Ｎは１〜１２の自
然数である。）

【００１５】さらに好ましくは次の式（１０）あるいは
式（１１）を満足する関係の範囲である。また、Ｎは２
〜６の自然数であることが好ましく、さらに好ましくは
３〜６の自然数である。

【００１６】

【数１０】

【００１７】

【数１１】 （但し、式（１０）〜（１１）において、Ｎは１〜１２
の自然数である。）

【００１８】

【００１９】

【００２０】本発明のレンチキュラーレンズシート２
は、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフ
ィン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂あるい
はこれらの混合樹脂等の光透過性の良い合成樹脂から構
成されており、押出成形法、鋳込み成形法、射出成形
法、熱プレス成形法、切削加工法あるいは活性エネルギ
ー線硬化法等の通常使用されている方法によって製造さ
れる。

【００２１】本発明のフレネルレンズシート１は、アク
リル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹
脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂あるいはこれら
の混合樹脂等の光透過性の良い樹脂から構成されてお
り、鋳込み成形法、射出成形法、熱プレス成形法、押出
成形法、切削加工法あるいは活性エネルギー線硬化型樹
脂を用いる方法等の通常使用されている方法によって容
易に製造することができる。また、フレネルレンズシー
トの厚さは、特に限定されるものではないが、界面反射
による迷光での多重像を軽減する観点から、薄い方が好
ましい。本発明のフレネルレンズシート１は、その表面
にサーキュラーフレネルレンズあるいはリニアフレネル
レンズが形成されたものである。リニアフレネルレンズ
を形成する場合には、互いのレンズ列が交差するよう両
面にリニアフレネルレンズを形成するか、一方の表面に
リニアフレネルレンズが形成された２枚のフレネルレン
ズシートを互いのレンズ列が交差するよう組み合わせて
使用する。

【００２２】本発明の背面投射型スクリーンは、液晶プ
ロジェクターに使用される液晶パネルの液晶画素とフレ
ネルレンズとの間でのモアレ現象、フレネルレンズとレ
ンチキュラーレンズとの間でのモアレ現象の発生を抑止
するために、リニアフレネルレンズを形成したフレネル
レンズシート１を使用することが好ましい。特に、背面
投射型スクリーンとしての構成枚数が少なく、投射光の
損失が少ない点から、互いのレンズ列が交差するよう両
面にリニアフレネルレンズを形成したフレネルレンズシ
ート１を使用することが好ましい。

【００２３】これは、図３に示したように、入射面側に
水平方向の第１のリニアフレネルレンズ３を形成すると
ともに、出射面側に鉛直方向の第２のリニアフレネルレ
ンズ４を形成することによって、レンチキュラーレンズ
とフレネルレンズとの間で発生するモアレ現象だけでは
なく、液晶プロジェクターに使用される液晶パネルの液
晶画素とフレネルレンズとの間で発生するモアレ現象の
両方を抑制するために、レンチキュラーレンズ、フレネ
ルレンズおよび液晶画素の３つの間での各ピッチを最適
化することが可能となり、両モアレ現象を同時に抑止す
ることができるためである。

【００２４】この場合、第１のリニアフレネルレンズ３
のレンズピッチ（Ｐ _Ｆ１ ）と液晶画素の水平方向のピッ
チ（Ｐ _ＬＶ ）が、次の式（１２）あるいは式（１３）の
関係を満足するように、第２のリニアフレネルレンズ４
のレンズピッチ（Ｐ _Ｆ２ ）とレンチキュラーレンズのレ
ンズピッチ（Ｐ _Ｒ ）が、前記式（１４）あるいは式（１
５）の関係を満足するように設定することが好ましい。
このように設定することにより、液晶画素と第１のリニ
アフレネルレンズ３との間で発生するモアレ現象と、レ
ンチキュラーレンズと第２のリニアフレネルレンズ４と
の間で発生するモアレ現象の両方を同時に抑制すること
ができるものである。

【００２５】

【数１２】

【００２６】

【数１３】

【００２７】

【数１４】

【００２８】

【数１５】 （但し、式（１２）〜（１５）において、Ｎは１〜１２
の自然数である。）

【００２９】これは、第１のリニアフレネルレンズ３の
レンズピッチ（Ｐ _Ｆ１ ）と液晶画素の水平方向のピッチ
（Ｐ _ＬＶ ）とが式（１２）あるいは式（１３）の範囲外
であると、アフレネルレンズシート１と液晶画素との間
でのモアレ現象を十分に抑止することができない傾向に
あるためであり、さらに好ましくは次の式（１６）ある
いは式（１７）の関係を満足する範囲であり、特に好ま
しくは次の式（１８）あるいは式（１９）の関係を満足
する範囲である。また、Ｎは４〜８の自然数であること
が好ましく、さらに好ましくは５〜７の自然数である。

【００３０】

【数１６】

【００３１】

【数１７】

【００３２】

【数１８】

【００３３】

【数１９】 （但し、式（１６）〜（１９）において、Ｎは１〜１２
の自然数である。）

【００３４】同様に、第２のリニアフレネルレンズ４の
レンズピッチ（Ｐ _Ｆ２ ）とレンチキュラーレンズのレン
ズピッチ（Ｐ _Ｒ ）が前記式（１４）あるいは式（１５）
の範囲外であると、フレネルレンズシート１とレンチキ
ュラーレンズシート２との間でのモアレ現象を十分に抑
止することがでない傾向にあるためであり、さらに好ま
しくは次の式（２０）あるいは式（２１）の関係を満足
する範囲であり、特に好ましくは次の式（２２）あるい
は式（２３）の関係を満足する範囲である。また、Ｎは
２〜６の自然数であることが好ましい。

【００３５】

【数２０】

【００３６】

【数２１】

【００３７】

【数２２】

【００３８】

【数２３】 （但し、式（２０）〜（２３）において、Ｎは１〜１２
の自然数である。）

【００３９】さらに、本発明においては、第１のリニア
フレネルレンズ３のレンズのレンズピッチ（Ｐ _Ｆ１ ）
と、第２のリニアフレネルレンズ４のレンズのレンズピ
ッチ（Ｐ _Ｆ２ ）とが、Ｐ _Ｆ１ ≧Ｐ _Ｆ２ の関係にあること
が好ましく、さらに好ましくはＰ _Ｆ１ ＞Ｐ _Ｆ２ の関係で
ある。フレネルレンズシート１に形成されるリニアフレ
ネルレンズ３、４は、図３に示したように、多数の直線
状のフレネルレンズ列５が並列して形成され、１個のフ
レネル中心６を形成するものである。リニアフレネルレ
ンズ３、４に形成されるフレネル中心６は、通常はフレ
ネルレンズシート１の中央に形成されるが、装置の設置
位置や観察場所による集光位置を調整する等の目的で、
その位置をずらして偏心させて形成することもできる。

【００４０】また、本発明の液晶プロジェクション用背
面投射型スクリーンにおいては、リニアフレネルレンズ
３、４の各々のフレネルレンズの傾斜角、形状、ピッチ
等を独立して設定することができるため、水平方向と垂
直方向の焦点距離に異方性を持たせること等が可能とな
り、種々の光学設計を容易に行うこともできる。例え
ば、光源の投射距離を短くした場合に起こるホットバン
ドやシースルー等の現象に対しては、垂直方向の焦点距
離を変化させることなく、鉛直方向のリニアフレネルレ
ンズのみのフレネルレンズの傾斜角を緩やかにして、ホ
ットバンドやシースルー等の現象を顕著化させることな
く、周辺部での全反射を防止することができる。また、
光源の投射距離が短い場合に限らず、ホットバンドやシ
ースルー等の現象が顕著な場合には、水平方向のリニア
フレネルレンズのみのフレネルレンズの傾斜角を調節し
て垂直方向のみの焦点距離を短くすることによって、水
平方向での画像特性を損なうことなく、ホットバンドや
シースルー等の現象を軽減させることができる。

【００４１】本発明においては、垂直方向の視野角を広
げたり、フレネルレンズシート１とレンチキュラーレン
ズシート２によるモアレ現象の発生や写り込み等を抑制
する目的で、フレネルレンズシート１あるいはレンチキ
ュラーレンズシート２の少なくとも一つに０．１〜３重
量％程度の範囲で少量の光拡散剤を混入させるてもよ
い。光拡散剤としては、特に限定されるものではなく公
知の拡散剤が使用でき、例えば、シリカ、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、
カラス等の無機系微粒子、シリコーン樹脂、架橋ポリマ
ー等の有機系微粒子等が挙げられる。また、光拡散剤を
混入する変わりに、あるいはこれと併用して、光拡散剤
を混入する光拡散剤層を形成してもよいし、水平方向の
マイクロレンチキュラーレンズ面や微細な凹凸面を形成
してもよい。さらに、光拡散剤の他に、ティント剤、波
長別吸収剤、難燃剤、光安定剤、耐熱劣化防止剤等の添
加剤を必要に応じて添加することができる。

【００４２】本発明の液晶プロジェクション用背面投射
型スクリーンにおいては、必要に応じてレンチキュラー
レンズシート２の前面に透光性前面板７を設置すること
もできる。透光性前面板７としては、透明性に優れた種
々の材料が使用でき、例えば、ガラス、メタクリレート
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、
スチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂、架橋型シリコン系樹
脂、架橋型アクリル系樹脂、イオン架橋型樹脂等の架橋
硬化型樹脂等が挙げられ、これらの材料を押出成形ある
いは鋳込成形等の通常の方法によって板状に製作された
ものが使用できる。このような透光性前面板７の厚さは
特に限定されるものではないが、投写スクリーンに機械
的強度を付与するために、ガラス製のものでは２〜８ｍ
ｍ程度の厚さ、プラッスチック製ものでは２〜１０ｍｍ
程度の厚さが好ましい。特に、投写スクリーンの重量を
考慮すると、いずれも２〜５ｍｍ程度の厚さのものが好
ましい。また、ガラス製の前面板では、割れた場合のガ
ラスの飛散を防止するためにセミ強化処理が施されてい
るものが好ましく、プラスチック製の前面板では、表面
のキズ防止のためにハードコート処理を施されているも
のが好ましい。

【００４３】本発明においては、垂直方向の指向性を拡
げるために透光性前面板７に光拡散手段を設けることも
できる。光拡散手段としては、透光性前面板７の表面へ
のマット処理あるいはヘアライン処理、横レンチキュラ
ーレンズの形成、拡散剤の混入、拡散剤層の形成等が挙
げられる。中でも、画像のボケ等の画質低下を避けるた
めに、マット処理、ヘアライン処理あるいは横レンチキ
ュラーレンズの形成等の光拡散手段を施すことが好まし
い。また、透光性前面板７には、コントラストを高める
目的で、カーボンブラック、波長別選択吸収剤、ティン
ト剤等を含有させることもできる。さらに、映込み防
止、キズ防止あるいはゴミの付着防止等の目的で、透光
性前面板７の表面に無反射コート処理、ハードコート処
理あるいは帯電防止処理等の種々の表面処理を施すこと
ができる。

【００４４】

【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。 実施例１ 厚さ１．５ｍｍで、８７０ｍｍ×５００ｍｍのスチレン
−メタクリル系樹脂板（屈折率１．５３）に、一方の表
面にピッチ０．１５３ｍｍで、中央にフレネル中心を有
する第１のリニアフレネルレンズを、他方の表面にピッ
チ０．０８８ｍｍで、中央にフレネル中心を有する第２
のリニアフレネルレンズを互いのレンズ列が垂直に交差
するように熱プレス成形法にて形成して、両面にリニア
フレネルレンズを有するフレネルレンズシートを作成し
た。一方、厚さ２ｍｍで、８７０ｍｍ×５００ｍｍのメ
タクリル系樹脂板（屈折率１．４９２）の片面に、ピッ
チ０．２２ｍｍ、曲率半径０．１２ｍｍのレンチキュラ
ーレンズ（Ｐ／Ｒ＝１．８）を熱プレス成形法にて形成
して、レンチキュラーレンズシートを作成した。

【００４５】得られたフレネルレンズシートとレンチキ
ュラーレンズシートを、入射面側にレンチキュラーレン
ズが位置するように配置したレンチキュラーレンズシー
トを観察側に、入射面側に水平方向の第１のリニアフレ
ネルレンズが、出射面側に鉛直方向の第２のリニアフレ
ネルレンズが位置するように配置したフレネルレンズシ
ートを光源側に設置し、さらにレンチキュラーレンズシ
ートの前面にハードコート処理を施したティント剤を含
有する厚さ２ｍｍのメタクリル系樹脂製透光性前面板を
配置して、３６インチの背面投射型スクリーンを組立て
た。この背面投射型スクリーンを用いて液晶画素の水平
方向のピッチが０．９９ｍｍ、鉛直方向のピッチが０．
７７ｍｍの３０万画素の液晶パネルを使用した液晶プロ
ジェクターからの映像を投影した。得られた画像は、Ｇ
０ が２．００、αＨが２６．５１、βＨが３５．０
９、γＨが３７．８９であり、優れた配光特性を有して
いた。また、外光の影響も少なく、モアレ現象の発生の
ない高品質のものであった。

【００４６】実施例２ 厚さ１．５ｍｍで、８７０ｍｍ×５００ｍｍのスチレン
−メタクリル系樹脂板（屈折率１．５３）に、一方の表
面にピッチ０．１５３ｍｍで、中央にフレネル中心を有
する第１のリニアフレネルレンズを、他方の表面にピッ
チ０．０８８ｍｍで、中央にフレネル中心を有する第２
のリニアフレネルレンズを互いのレンズ列が垂直に交差
するように熱プレス成形法にて形成して、両面にリニア
フレネルレンズを有するフレネルレンズシートを作成し
た。一方、厚さ２ｍｍで、８７０ｍｍ×５００ｍｍのメ
タクリル系樹脂板（屈折率１．４９２）の片面に、ピッ
チ０．２２ｍｍ、曲率半径０．１４ｍｍのレンチキュラ
ーレンズ（Ｐ／Ｒ＝１．６）を熱プレス成形法にて形成
して、レンチキュラーレンズシートを作成した。

【００４７】得られたフレネルレンズシートとレンチキ
ュラーレンズシートを、入射面側にレンチキュラーレン
ズが位置するように配置したレンチキュラーレンズシー
トを観察側に、入射面側に水平方向の第１のリニアフレ
ネルレンズが、出射面側に鉛直方向の第２のリニアフレ
ネルレンズが位置するように配置したフレネルレンズシ
ートを光源側に設置し、さらにレンチキュラーレンズシ
ートの前面にハードコート処理を施したティント剤を含
有する厚さ２ｍｍのメタクリル系樹脂製透光性前面板を
配置して、３６インチの背面投射型スクリーンを組立て
た。この背面投射型スクリーンを用いて液晶画素の水平
方向のピッチが０．９９ｍｍ、鉛直方向のピッチが０．
７７ｍｍの３０万画素の液晶パネルを使用した液晶プロ
ジェクターからの映像を投影した。得られた画像は、Ｇ
０ が２．４０、αＨが２４．７８、βＨが２９．８
０、γＨが３１．１７であり、優れた配光特性を有して
いた。また、外光の影響も少なく、モアレ現象の発生の
ない高品質のものであった。

【００４８】比較例１ 厚さ１．５ｍｍで、８７０ｍｍ×５００ｍｍのスチレン
−メタクリル系樹脂板（屈折率１．５３）に、一方の表
面にピッチ０．１５３ｍｍで、中央にフレネル中心を有
する第１のリニアフレネルレンズを、他方の表面にピッ
チ０．０８８ｍｍで、中央にフレネル中心を有する第２
のリニアフレネルレンズを互いのレンズ列が垂直に交差
するように熱プレス成形法にて形成して、両面にリニア
フレネルレンズを有するフレネルレンズシートを作成し
た。一方、厚さ２ｍｍで、８７０ｍｍ×５００ｍｍのメ
タクリル系樹脂板（屈折率１．４９２）の片面に、ピッ
チ０．２２ｍｍ、曲率半径０．１７ｍｍのレンチキュラ
ーレンズ（Ｐ／Ｒ＝１．３）を熱プレス成形法にて形成
して、レンチキュラーレンズシートを作成した。

【００４９】得られたフレネルレンズシートとレンチキ
ュラーレンズシートを、入射面側にレンチキュラーレン
ズが位置するように配置したレンチキュラーレンズシー
トを観察側に、入射面側に水平方向の第１のリニアフレ
ネルレンズが、出射面側に鉛直方向の第２のリニアフレ
ネルレンズが位置するように配置したフレネルレンズシ
ートを光源側に設置し、さらにレンチキュラーレンズシ
ートの前面にハードコート処理を施したティント剤を含
有する厚さ２ｍｍのメタクリル系樹脂製透光性前面板を
配置して、３６インチの背面投射型スクリーンを組立て
た。この背面投射型スクリーンを用いて液晶画素の水平
方向のピッチが０．９９ｍｍ、鉛直方向のピッチが０．
７７ｍｍの３０万画素の液晶パネルを使用した液晶プロ
ジェクターからの映像を投影した。得られた画像は、外
光の影響は少なかったが、Ｇ０が２．８０、αＨが２
０．８７、βＨが２２．２４、γＨが２２．２９であ
り、配光特性に劣っていた。

【００５０】比較例２ 厚さ１．５ｍｍで、８７０ｍｍ×５００ｍｍのスチレン
−メタクリル系樹脂板（屈折率１．５３）に、一方の表
面にピッチ０．１５３ｍｍで、中央にフレネル中心を有
する第１のリニアフレネルレンズを、他方の表面にピッ
チ０．０８８ｍｍで、中央にフレネル中心を有する第２
のリニアフレネルレンズを互いのレンズ列が垂直に交差
するように熱プレス成形法にて形成して、両面にリニア
フレネルレンズを有するフレネルレンズシートを作成し
た。一方、厚さ２ｍｍで、８７０ｍｍ×５００ｍｍのメ
タクリル系樹脂板（屈折率１．４９２）の片面に、ピッ
チ０．２２ｍｍ、曲率半径０．１１ｍｍのレンチキュラ
ーレンズ（Ｐ／Ｒ＝２）を熱プレス成形法にて形成し
て、レンチキュラーレンズシートを作成した。

【００５５】得られたフレネルレンズシートとレンチキ
ュラーレンズシートを、入射面側にレンチキュラーレン
ズが位置するように配置したレンチキュラーレンズシー
トを観察側に、入射面側に水平方向の第１のリニアフレ
ネルレンズが、出射面側に鉛直方向の第２のリニアフレ
ネルレンズが位置するように配置したフレネルレンズシ
ートを光源側に設置し、さらにレンチキュラーレンズシ
ートの前面にハードコート処理を施したティント剤を含
有する厚さ２ｍｍのメタクリル系樹脂製透光性前面板を
配置して、３６インチの背面投射型スクリーンを組立て
た。この背面投射型スクリーンを用いて液晶画素の水平
方向のピッチが０．９９ｍｍ、鉛直方向のピッチが０．
７７ｍｍの３０万画素の液晶パネルを使用した液晶プロ
ジェクターからの映像を投影した。得られた画像は、外
光の影響は少なかったが、Ｇ０が１．８０、αＨが２
６．２４、βＨが３３．５３、γＨが３８．０１であ
り、配光特性には優れていたが、外光の影響が大きく強
い照明の下で著しく画像の品質が低下するものであっ
た。

【００５６】

【発明の効果】本発明の背面投射型スクリーンは、レン
チキュラーレンズシートのレンチキュラーレンズを特定
の形状とすることによって、配光特性に優れるととも
に、外光の影響が少なく、配光特性と外光の影響のバラ
ンス性に優れた高品質の画像を得ることができるもので
あり、特に、液晶プロジェクターを使用した液晶プロジ
ェクションテレビ等の背面投射型スクリーンとして適し
たものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の背面投射型スクリーンの構成の概略を
示す斜視図である。

【図２】本発明のレンチキュラーレンズシートの概略を
示す部分断面図である。

【図３】本発明のフレネルレンズシートの概略を示す部
分斜視図である。

【符号の説明】

１ フレネルレンズシート ２ レンチキュラーレンズシート ３ 第１のリニアフレネルレンズ ４ 第２のリニアフレネルレンズ ５ フレネルレンズ列 ６ フレネル中心 ７ 透光性前面板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴 英樹 東京都中央区京橋二丁目３番19号 三菱 レイヨン株式会社内 (56)参考文献 特開 平７−64190（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G03B 21/62 G02B 3/08 G02B 5/02

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光源側に配置されたフレネルレンズシー
   トと、観察側に配置されたレンチキュラーレンズシート
   から構成され、該レンチキュラーレンズシートの入射面
   側にレンズピッチ（Ｐ）と曲率半径（Ｒ）が次の式
   （１）の関係を満足し、レンズピッチが０．３ｍｍ以下
   であるレンチキュラーレンズが形成されていることを特
   徴とする液晶プロジェクション用背面投射型スクリー
   ン。 【数１】
2. 【請求項２】 前記フレネルレンズシートが入射面側に
   水平方向の第１のリニアフレネルレンズを、出射面側に
   鉛直方向の第２のリニアフレネルレンズを有し、第１の
   リニアフレネルレンズのレンズピッチ（Ｐ _Ｐ１ ）と液晶
   画素の水平方向のピッチ（Ｐ _ＬＶ ）とが次の式（２）あ
   るいは式（３）の関係を満足し、第２のリニアフレネル
   レンズのレンズピッチ（Ｐ _Ｐ２ ）とレンチキュラーレン
   ズのレンズピッチ（Ｐ _Ｒ ）が次の式（４）あるいは式
   （５）の関係を満足することを特徴とする請求項１に記
   載の液晶プロジェクション用背面投射型スクリーン。 【数２】 【数３】 【数４】 【数５】 （但し、式（２）〜（５）において、Ｎは１〜１２の自
   然数である。）