JPH0351555Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、セラミツク製の２枚の弁板を重合配
置し一方の弁板をその中心回りに回転させること
によつて流路を開閉する弁構造を持つ水栓に関す
る。

〔従来の技術〕

一般の単水栓の弁構造には、パツキンを弁座に
押し付けて流路を閉じるコマ式のものが広く採用
されている。このような構造のものに代えて、ハ
ンドルの回転量が少なくて済む２枚の弁板を重ね
合わせた弁構造も既に広く利用され、シングルレ
バー式の湯水混合栓等に採用されている。

このような２枚の弁板を重ね合わせる弁構造を
持つ水栓には、たとえば本出願人が実願昭59−
134954号として出願し、実開昭61−50164号とし
て公開されたものがある。これは、第４図に示す
ように、弁カートリツジ５０にセラミツク製の固
定弁板５１を固定すると共にハンドル（図示せ
ず）操作で回転するスピンドル５３により可動弁
板５２を旋回させる構造である。そして、固定弁
板５１及び可動弁板５２に開けた孔を合わせたり
閉じたりすることで流路の開閉を行うことができ
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

２枚の弁板を重ね合わせるとき、重ね合わせ面
を密着させておかないと水が漏れてしまうので、
固定弁板５１と可動弁板５２とを強く接触させて
おく必要がある。このため、弁カートリツジ５０
の下端に弓状の板バネ５４を設け、その付勢力に
よつて固定弁板５１を可動弁板５２に密着させて
いる。板バネ５４の両端は弁カートリツジ５０の
下端に切欠した保持座５０ａに嵌まり込んで固定
され、固定弁板５１の下面の溝５１ａに山部分が
挿入されている。また、板バネ５４は、固定弁板
５１を可動弁板５２側に押し付けるほか、溝５１
ａに係合して回転を規制する機能も果たしてい
る。

ところが、板バネ５４による付勢では、板バネ
５４が適切な付勢力を与えるようにその形状や材
質を決定しなければならない。このため、たとえ
ば弓状に大きく反らせ過ぎると、付勢力が大きく
なつてハンドルの回転が重くなり、逆に反りが小
さいと付勢力が不足して水漏れの原因となる。こ
のように、付勢力を適正に得るためには、板バネ
５４の形状設計等がかなり難しい。

また、板バネ５４に作用する力は、固定弁板５
１からの反作用力のほかこの固定弁板５１が回転
しないように保持する力の２つとなる。このた
め、可動弁板５２が旋回するときには固定弁板５
１が共回りする向きへ板バネ５４に捩じりが作用
する。したがつて、板バネ５４にこのような捩じ
りが繰り返し作用すると、金属疲労が進み、弾性
力を失つて付勢力が減衰してしまう。

このように、１枚の板バネ５４によつて弁板ど
うしの密着と共回りを防ぐ従来の構造では、適正
な付勢力を設定すること及びこの付勢力を維持す
ることに問題が残つている。

そこで、本考案は、付勢力を簡単に設定できし
かもその維持も良好に行うことができるようにす
ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の水栓は、以上の目的を達成するため、
固定弁板と可動弁板とを重ね合わせ、該可動弁板
を回動操作することによつてこれらの弁板に開け
た流路孔を開閉する水栓であつて、前記固定弁板
及び可動弁板を筒状のハウジングに収納すると共
に前記固定弁板をコイルスプリングによつて前記
可動弁板側へ付勢し、更に前記固定弁板に係合し
て回転を規制する回り止め具を前記ハウジングに
取り付けたことを特徴とする。

〔実施例〕

以下、図面に示す実施例により本考案の特徴を
具体的に説明する。

第１図は本考案の一実施例を示す水栓の縦断面
図、第２図は第１図の−線矢視断面図、第３
図は要部の分解斜視図である。

図において、水栓の本体１には流入口１ａ及び
流出口１ｂが設けられ、これらの間の流路に弁ユ
ニツトを収納している。弁ユニツトは、本体１の
上端から差し込まれるカートリツジ式のハウジン
グ２を備え、回転自在に組み込んだスピンドル３
を本体１の上まで突き出し、上端にハンドル４を
取り付けている。スピンドル３は、その下端部を
偏平な係合部３ａとして形成し、中途には回動角
を規制するためのストツパリング３ｂを設けてい
る。このストツパリング３ｂは、ハウジング２の
周壁に開けた開口２ａの中に位置し、スピンドル
３を回転させたときこの開口２ａの内壁に突き当
たつてスピンドル３の回動角を規制する。

ハウジング２の下端部には、固定弁板５及び可
動弁板６が組み込まれる。これらの弁板５，６は
セラミツクを素材とした同じ形状のものであり、
一面に半径方向に走る凹溝５ａ，６ａを形成する
と共に扇形の開口断面を持つ流路孔５ｂ，６ｂを
開けている。そして、ハウジング２の中の組み込
むときには、他面の平坦面を擦り合わせて収納す
る。このとき、ハウジング２の中の納めたスリツ
プワツシヤ７の突起７ａが可動弁板６の凹溝６ａ
に嵌まり込むと同時にスピンドル３の係合部３ａ
もこの凹溝６ａに嵌まり込む。したがつて、スピ
ンドル３を回転させると、係合部３ａと凹溝６ａ
との係合によつて可動弁板６が回転し、その流路
孔６ｂの位置を固定弁板５の流路孔５ｂに対して
変えることによつて流路を開閉することができ
る。

固定弁板５はコイルスプリング８及び回り止め
具９によつて拘束されている。回り止め具９の下
端には第３図のように、半径方向へ突き出る突起
９ａを２ケ所に形成し、これらをハウジング２の
下端に切欠した保持座２ｂに嵌め込んで固定され
る。また、回り止め具９の上端部には固定弁板５
の凹溝５ａに嵌まり込む係合バー９ｂを設け、こ
れによつて固定弁板５の回転を阻止する。なお、
回り止め具９は、ハウジング２の下端に嵌め込む
Ｅリング等の保持リング１０によつて保持され
る。

一方、コイルスプリング８は座金８ａを介して
その上端部が固定弁板５の突き当たり、下端部は
回り止め具９の下端のフランジ９ｃ部分に載つた
配置として組み込まれる。

以上の構成において、固定弁板５はコイルスプ
リング８によつて可動弁板６に向けて付勢されて
いる。コイルスプリング８は、その素材とした金
属線材の径やバネ定数によつて付勢力が決定され
るので、或る範囲内に付勢力を限定できる。この
ため、従来のように板バネを利用するのに比べる
と、固定弁板５と可動弁板６とを適正な圧力で重
ね合わせることが可能となる。

また、回り止め具９に係合バー９ｂが凹溝５ａ
に嵌まり込んで固定弁板５の共回りを防いでい
る。このため、コイルスプリング８は単に固定弁
板５を付勢する作用力のみが要求され、従来の板
バネで付勢と回り止めを兼ねていた構造に比べて
コイルスプリング８への外力は半減する。したが
つて、コイルスプリング８の金属疲労等による弾
性力の低下がなく、常に安定した付勢力を固定弁
板５に与えることができる。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案の水栓において
は、固定弁板を可動弁板に向けて付勢する部材を
コイルスプリングとし、これとは別に固定弁板の
回転を規制する回り止め具を備えている。このた
め、コイルスプリングは板バネに比べてバネ定数
等の設定が簡単なので、設計及び製作の面で有利
となる。また、コイルスプリングには固定弁板の
回転を防ぐために作用力を働かせる必要がないの
で、コイルスプリングの金属疲労度も従来構造に
比べて小さく、常に適正な付勢力を維持すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す水栓の縦断面
図、第２図は第１図の−線矢視断面図、第３
図は要部の分解斜視図、第４図は従来例を示すも
のである。 １：本体、１ａ：流入口、１ｂ：流出口、２：
ハウジング、２ａ：開口、２ｂ：保持座、３：ス
ピンドル、３ａ：係合部、３ｂ：ストツパリン
グ、４：ハンドル、５：固定弁板、５ａ：凹溝、
５ｂ：流路孔、６：可動弁板、６ａ：凹溝、６
ｂ：流路孔、７：スリツプワツシヤ、７ａ：突
起、８：コイルスプリング、８ａ：座金、９：回
り止め具、９ａ：突起、９ｂ：係合バー、１０：
保持リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定弁板と可動弁板とを重ね合わせ、該可動弁
   板を回動操作することによつてこれらの弁板に開
   けた流路孔を開閉する水栓であつて、前記固定弁
   板及び可動弁板を筒状のハウジングに収納すると
   共に前記固定弁板をコイルスプリングによつて前
   記可動弁板側へ付勢し、更に前記固定弁板に係合
   して回転を規制する回り止め具を前記ハウジング
   に取り付けたことを特徴とする水栓。