JPH0349201B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、動揺を伴なう船舶やオイル・リグ等
に載置される衛星通信用アンテナ装置に関し、詳
しくは静止衛星に対して船舶の運行に伴ない生じ
る静止衛星方向の変動を自動補正する自動追尾機
能を備えた衛星通信用アンテナ装置に関するもの
である。

指向性アンテナを動揺する条件のもとで安定に
静止衛星に指向する衛星通信用アンテナ装置の軸
構成は、電気的にも、機械的にも高信頼性が望ま
れ、この為安定台を設け、その上に方位軸及び仰
角軸を備える４軸構成が構成上有利であり、また
実用性も高いものであることが知られている。

特に安定台の構成に関しては、姿勢センサであ
る傾斜計や鉛直ジヤイロ装置などによつて傾斜角
を検出し、サーボ制御モータを組合せたサーボ安
定化方式とジヤイロと振り子分銅を組合せたパツ
シブな安定法が提案されている。

しかしながら衛星通信用アンテナ装置を載置す
る船舶等の小型化に伴ない、装置自体の小型化、
低価格化の要望が近時高まつている。これらの要
望に対して従来のサーボ安定化方式では、姿勢セ
ンサ等の価格の減少が期待できず、またジヤイロ
と振り子分銅を組合せたパツシブな安定法では、
軽量化が困難である等の欠点があつた。

本発明は、上記従来の欠点を除去するためにな
されたもので、垂直安定軸を用いた衛星通信アン
テナ装置において、船舶の動揺、移動等による静
止衛星方向の変動を自動補正する新規な自動追尾
機能を備えた衛星通信用アンテナ装置の提供を目
的とするものである。

以下、本発明を図面により説明する。第１図及
び第２図は本発明による衛星通信用アンテナ装置
の一実施例を示す要部構造図及びアンテナペデス
タルの垂直安定軸と水平安定の２個の補正軸とス
トツパの周辺部を示す要部構造図である。なお、
第２図イは軸AX１ロは軸AX２に夫々平行な鉛
直面で切断した断面図を夫々示す。

本発明による衛星通信用アンテナ装置は、指向
性アンテナＡ及びアンテナ支持装置でなり、この
アンテナ支持装置は、垂直及び水平安定手段とそ
の上部の方位及び仰角制御手段とからなる。垂直
安定手段は、水平面に対し常に直角な方向にスピ
ンベクトルを有するフライホールユニツトFUと
その上部にそのジヤイロ軸と一致して垂直安定軸
VAXが設置され、この垂直安定軸VAXの上部に
は、互に直交してローリング用補正軸AX１及び
ピツチング用補正軸AX２の２軸構造の水平安定
手段が配置されている。これら補正軸AX１，
AX２を有する水平安定手段の上方に垂直安定軸
VAXのまわりを回転する方位軸AX３を有する
方位制御手段が、また補正軸AX１，AX２の交
点より上方には、方位軸AX３に直交して指向性
アンテナＡを仰角方向に指向する仰角軸AX４を
有する仰角制御手段が夫々設置されている。尚、
垂直安定軸VAXの傾きを電気信号に変換する傾
斜検出手段としてレベルセンサLS１，LS２が設
置され、補正軸AX１，AX２の制御手段として
トルクモータＭ１，Ｍ２が設置され、方位軸AX
３及び仰角軸AX４の夫々の制御手段として励磁
状態において停止位置保持する拘束トルクを発生
する電動機Ｍ３及びＭ４が設置されている。これ
ら電動機Ｍ３と方位軸AX３との間及び電動機Ｍ
４と仰角軸AX４との間に、減速機構GR１（第
３図参照）及びGR２（第１図参照）が夫々設け
られている。 なお、第３図は方位制御装置及び
仰角軸を示す要部構造図である。

このように構成されたアンテナ装置では、指向
性アンテナＡ及び垂直安定軸VAX，補正軸AX
１，AX２，方位軸AX３，仰角軸AX４ならびに
これらの制御手段等の構造物が補正軸AX１及び
AX２の回りにおいて全可動範囲で重心及び水平
加速度によるトルクが平衡するようにしなければ
ならない。

またジヤイロ効果を持たせる電気機GMとフラ
イホイールFWからなるフライホイールユニツト
FUのジヤイロ軸である垂直安定軸VAXを地球上
で鉛直に保つ必要があり、このためジヤイロ軸に
プレセツシヨン歳差運動を与えて鉛直を保つこと
を要し、更に上述の鉛直よりはずれたときは鉛直
に戻すようなプレセツヨンを与えなければならな
い。

そのために垂直安定軸VAXのジヤイロ軸の傾
きを検出し、その傾斜検出は、垂直安定軸VAX
内の傾斜検出手段であるところの傾きを電気信号
に変換するレベルセンサLS１，LS２により夫々
の方向について行なわれ、その制御は補正軸AX
１，AX２を駆動するトルクモータＭ１，Ｍ２に
より夫々行なわれる。

たとえばレベルセンサLS１によつて検知され
たジヤイロ軸の傾きと傾きの方向によつて軸補正
軸AX２駆動用トルクモータＭ２に必要なトルク
を発生させる。これによりジヤイロ効果が生じ補
正軸AX１に関し垂直安定軸VAXは修正される
方向へプレセツシヨンを始める。

補正軸AX２に関してもレベルセンサLS２とト
ルクモータＭ１の動作により同様に修正される。

尚、垂直安定軸VAXを傾ける一原因となる補
正軸AX１，AX２回りの摩擦トルクを小とする
ための補正軸AX１，AX２のトルクモータは直
流モータまたは２相サーボモータが適当であり、
減速装置を用いることなく軸直接駆動方式で使用
される。

次に船舶に載置されるアンテナ装置では、小型
軽量にするため機械的自由度に制限がある。たと
えば機械的自由度をロール軸32°、ピツチ軸12°と
するとこの機械的自由度より大きな船体動揺が生
じるものである。この場合垂直安定軸VAXに対
して従来のように、補正軸AX１の軸受台とAX
２の軸受台とに夫々独立したストツパを用いる
と、ストツパが当つている間はプレセツシヨン、
即ちストツパに当つた補正軸の直交方向の補正軸
を中心に回転を始め、この状態が長時間繰返えさ
れると垂直安定軸VAXは制御できなくなり暴老
し、指向性アンテナＡは目標を向かなくなる。

本発明のアンテナ装置においては、起り得る動
揺より非常に大きな自由度を持たせるために、ス
トツパに当たることのないようになされているの
と等価となるようにするものであり、小型船舶の
動揺角が上述のロール軸32°、ピツチ軸12°である
場合でも本発明のアンテナ装置の自由度は十分余
裕があるが、更に余裕を持たせるため本発明のア
ンテナ装置におけるストツパとしては、垂直安定
軸VAXに対置して水平安定装置のペデスタルに
各補正軸AX１，AX２に平行に垂直安定軸VAX
可動範囲全体に適当な摩擦抵抗を持つ弾性体スト
ツパST１，ST２を設けるものである。

たとえば垂直安定軸VAXが補正軸AX２に平
行なペデスタルに取付けた弾性体ストツパST２
に当たると、垂直安定軸VAXは、ジヤイロ効果
によりプレセツシヨンを生じ、弾性体ストツパ
ST２にそつて、補正軸AX１を中心に回転しよ
うとするが、垂直安定軸VAXと弾性ストツパST
２の摩擦抵抗によつてプレセツシヨンを打消する
トルクが補正軸AX１に働き、これにより垂直安
定軸VAXの暴老を阻止し、アンテナビーム巾範
囲であればアンテナ装置の安定な運用が可能とな
るものである。なお、第４図は補正軸AX１を軸
として垂直安定軸VAXが傾いた状態を示す図で
ある。

また本発明では、垂直安定軸VAXの補正軸
AX１，AX２の上部に仰角軸AX４を構成してい
る。従つて、ペデスタルが指向性アンテナＡ及び
フライホールユニツトFUの干渉のない場所に、
補正軸AX１，AX２の交点近くを頂点とした正
三角形の２辺で基本的に構成でき、依つて小型船
舶等でピツチ軸方向に生じるウオーターハンマ等
に優れた耐衝撃性、耐振性を有するものである。

以上、述べたように本発明によるアンテナ装置
によれば、ジヤイロ軸と垂直安定軸とを一致さ
せ、垂直安定軸の補正軸を中心に全可動範囲に亘
つてほぼ構造物の重心を一致させ、ジヤイロ効果
を利用し、レベルセンサによる傾斜角の信号を補
正軸に直結したトルクモータで制御して動揺を修
正し、衛星方向に補正軸上部に設置した方位軸及
び仰角軸で自動追尾できる簡単な構造であるので
軽量化、小型化し得、更に機械的自由度以上でも
安定に運用でき優れた耐衝撃性、耐振性を有する
等の大なる特徴を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明による衛星通信用ア
ンテナ装置の一実施例を示す要部構造図及びアン
テナペデスタルの垂直安定軸と水平安定の２個の
補正軸とストツパの周辺部を示す要部構造図、第
３図は方位制御装置及び仰角軸を示す要部構造
図、第４図は垂直安定軸が傾いた状態を示す図で
ある。 Ａ……指向性アンテナ、AX１，AX２……補
正軸、AX３……方位軸、AX４……仰角軸、FU
……フライホイールユニツト、FW……フライホ
イール、GM，Ｍ３，Ｍ４……電動機、LS１，
LS２……レベルセンサ、Ｍ１，Ｍ２……トルク
モータ、PD……ペデスタル支柱、ST１，ST２
……ストツパ、VAX……垂直安定軸。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 指向性アンテナとアンテナ支持装置でなり、 アンテナ支持装置は、垂直安定装置として水平
   面に対し常に直角な方向にスピンベクトルを有す
   るフライホイールユニツトと、該フライホイール
   ユニツトの上部にそのジヤイロ軸に一致して設け
   られた垂直安定軸とを備え、水平安定装置として
   該垂直安定軸の上部に互に直交して配置されたロ
   ーリング用補正軸及びピツチング用補正軸と、上
   記垂直安定軸の傾きを電気信号に変換する傾斜検
   出手段と、上記ローリング用補正軸又はピツチン
   グ用補正軸を駆動して上記垂直安定軸の傾きを制
   御する制御手段とを備え、方位制御装置として上
   記２個の補正軸の上部に配置され上記垂直安定軸
   のまわりを回転する方位軸と、該方位軸を駆動し
   制御する方位軸制御手段とを備え、仰角制御装置
   として上記２個の補正軸の交点より上方に上記方
   位軸に直交して上記指向性アンテナを仰角方向に
   指向する仰角軸と、該仰角軸を駆動し制御する仰
   角軸制御手段とを備え、上記方位軸制御手段及び
   仰角軸制御手段は夫々励磁状態において停止位置
   を保持する拘束トルクを発生する電動機と、夫々
   の電動機と上記方位軸及び仰角軸との間に設けら
   れた夫々の減速機構とで構成し、上記垂直安定軸
   に対置した上記水平安定装置のペデスタルに上記
   ２個の補正軸に平行に夫々摩擦摺動面を有するス
   トツパを取り付けて上記アンテナ装置を衝撃から
   防御するシヨツクアブソーバとして作用すると共
   にローリング及びピツチングの動揺角度が上記垂
   直安定軸の機械的自由度以上に発生しても上記ス
   トツパの摩擦抵抗の作用により上記垂直安定軸の
   暴走を阻止し得るようにしたことを特徴とする衛
   星通信用アンテナ装置。 ２ 上記垂直安定軸の制御手段として上記ローリ
   ング用補正軸及びピツチング用補正軸の夫々にト
   ルクモータを直結したことを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の衛星通信用アンテナ装置。