JPH0348225Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、織機におけるグリツパ支持ストラツ
プを前進させるための複合歯車構造に関するもの
である。

近代的な構造を有する織機においては、高い作
動速度及びこれに伴う過酷な慣性力の作用下にお
いて、グリツパ支持ストラツプおよび杼道に対す
るグリツパ支持ストラツプの進退運動の制御に供
する歯車の耐摩耗性の向上が必要とされている。
かかる問題に対処すべく従来より車歯の歯型およ
び歯車と各側で係合すストラツプのスリツトの幾
何学的形状について、並びに歯車及びグリツパ支
持ストラツプ素材の選定について種々の提案がな
されている。それにも拘わらず、摩耗量が依然と
して多大であるために、耐摩耗性は一層向上させ
る必要があることは明らかである。

寸法安定性、耐摩耗性、軽量性および高剛性が
必要とされる歯車は、最近では主として軽合金又
は各種のプラスチツク材料を用いて製作されてお
り、他方、グリツパ支持ストラツプは一般に積層
プラスチツク素材にロール断面部材を組合わせる
ことによつて製作されている。

しかるに、グリツパ支持ストラツプの前進を制
御するための歯車に関しては複合構造とすること
が検討すらされていなかつた。

本考案は、織機におけるグリツパ支持ストラツ
プを前進させるための新規な複合歯車構造を提案
することを目的とするものである。

本考案は、プラスチツク材料製の歯車本体を具
え、その歯を、前記歯車本体と一体をなす金属シ
ート材料製のクラウンにより部分的にカバーした
複合歯車構造において、金属シート材料製のクラ
ウンが、歯車本体における歯の端分プロフイルに
適合する形状を有する複数の中空部分を具え、そ
の中空部分には中間スロツトが形成されており、
更に、これらの中空部分の間に配置され、かつ、
テーパ状に折り曲げられた略平坦な歯元部分を具
えることを特徴とする。

本考案の好適な実施態様において、歯車本体
は、その成形金型の底部にクラウンを形成する金
属シート材料を導入した後に該金型内にプラスチ
ツク材料を射出して形成する。

本考案の他の好適な実施態様において、クラウ
ンを形成する金属シート材料は、熱処理が施され
又は他の材料と複合化されたシート材料、例えば
クロムメツキが施された鋼板よりなるものとす
る。

以下、本考案を図面に示した実施例について具
体的に説明する。

図示に示す如く、本考案による歯車構造は、金
属製のハブ２と、スポーク３と、外周部４とを有
する適当なプラスチツク材料製の歯車本体１を具
え、その外周部４には、２つの突出端部と、中間
凹部とを有する所要形状の歯５が形成されてい
る。この本体に関連して、第１図に示す例におい
ては、金属シート材料をプレス加工して形成した
クラウン６（第２図参照）を歯車本体１の外周部
４の外面に被着して歯５を前記突出端部７の領域
において部分的にカバーする。

プレス加工された金属シート材料製のクラウン
６は、歯車本体１に対しその成形時にプラスチツ
ク材料を射出すべき金型の底部に配置しておくこ
とによつて被着する。このクラウン６は、複数の
中空部分８を具え、これらは歯の端部のプロフイ
ルに適合する形状を有し、かつテーパ状に折り曲
げられた略平坦な歯元部分９により一体的に保持
されている。中空部分８には、中間長手方向スロ
ツト１０が歯の端部に対応して形成された２つの
突部の間に設けられている。

クラウン６を金型内に配置した後、歯車本体１
を成形すべく金型内にプラスチツク材料を射出
し、金型のキヤビテイー内をプラスチツク材料で
充満させると共に、歯車本体１に対して金属シー
ト材料製のクラウン６を確実に結合させることに
より、前記クラウン６を一体的な部分として有す
る本考案の複合歯車構造が得られる。

歯車本体１とクラウン６とを安定に、しかも効
率よく結合するために、射出されたプラスチツク
材料は金型内で前記スロツト１０を通してその外
方に流出させ、これにより参照数字１１で示す如
く歯５のカバーされていない中間凹部を形成し、
歯５の突出端部は中空部分８の突部によりカバー
し、更に、歯元部分９のテーパ部分の間では隣接
する歯５の間で歯車のカバーされていない外周部
を形成する。

上述した構造によれば、歯の作動部分を金属シ
ート材料でカバーしたことによつてきわめて優れ
た耐摩耗性を有し、非常に薄肉の金属シート材料
を用いることによつて軽量化を容易に達成するこ
とができ、金属シート材料が歯車本体の外周部と
一体的に被着されていることにより機械的応力及
び温度変動に由来する変形を抑制し得る点で剛性
及び形状安定性に優れた歯車を実現することが可
能となり、かかる特性を有する歯車は織機におけ
るグリツパ支持ストラツプを前進させるものとし
て特に好適である。

これに関連して、本考案による構造は、プラス
チツク材料製の歯車本体に耐摩耗性を有する金属
製クラウンを単に付加してストラツプと係合させ
る従来構造とは明らかに異なる利点を有するもの
である。すなわち、かかる従来構造は、本考案の
ものと対比して軽量化および小型化を達成するこ
とが困難である。なお、耐摩耗性、剛性並びに形
状及び寸法の安定性は、金属シート材料に他種材
料を複合化させ又は熱処理を施すことにより一層
向上させることができる。例えば、金属シート材
料はクロムメツキされたシート鋼板により構成す
るのが望ましい。

本考案は、上述の実施例のみに限定されるもの
ではなく、その範囲内で種々の態様をもつて実施
し得るものである。例えば、金属シート材料製の
クラウンと歯車本体との間の結合は、アンダーカ
ツト、開口部又はフツク等の手段により実現する
ことができる。更に、歯車の全周を金属シート材
料でカバーする代わりに、一つ又は複数の扇形部
分のみをカバーする構成としてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による歯車構造の部
分的な正面図である。第２図は第１図の歯車構造
におけるプラスチツク材料製の歯車本体に結合さ
れる金属シート材料製のクラウンの一部を示す斜
視図、第３図は第１図の歯車構造における歯車本
体とクラウンとの結合態様を示す部分的な断面図
である。 １……歯車本体、２……ハブ、３……スポー
ク、……外周部、５……歯、６……クラウン、７
…突出端部、８……中空部分、９……歯元部分、
１０……スロツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 織機におけるグリツパ支持ストラツプを前進
   させるための複合歯車構造であつて、プラスチ
   ツク材料製の歯車本体を具え、その歯を、前記
   歯車本体と一体をなす金属シート材料製のクラ
   ウンにより部分的にカバーしたものにおいて、
   前記クラウンが、歯車本体における歯の端部プ
   ロフイルに適合する形状を有する複数の中空部
   分を具え、その中空部分には中間スロツトが形
   成されており、更に、これらの中空部分の間に
   配置され、かつ、テーパ状に折り曲げられた略
   平坦な歯元部分を具えることを特徴とする複合
   歯車構造。 ２ 請求項１記載の複合歯車構造において、前記
   歯車本体は、その成形金型の底部にクラウンを
   形成する金属シート材料を導入した後に該金型
   内にプラスチツク材料を射出してなることを特
   徴とする複合歯車構造。 ３ 請求項１記載の複合歯車構造において、クラ
   ウンを形成する金属シート材料は、熱処理が施
   され又は他の材料と複合化されたシート材料で
   あることを特徴とする複合歯車構造。 ４ 請求項３記載の複合歯車構造において、前記
   金属シート材料は、クロムメツキが施された鋼
   板よりなることを特徴とする複合歯車構造。