JPH0346725Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、内視鏡等の挿入器具の挿入部に設
けられたバルーンを作動する装置に関する。

（従来の技術） 周知のように、内視鏡は工業用あるいは医療用
に広く使用されている。

通常の内視鏡においては、操作本体から延出し
た柔軟な挿入部の先部に観察窓が設けられてお
り、検体内部にこの挿入部を挿入し、観察窓へ入
射する光を挿入部内に配置された光フアイバケー
ブルを介して操作本体へ伝送し、操作本体に設け
られた接眼部で内部観察ができるようになつてい
る。

工業用の内視鏡において、挿入部を検体内に挿
入する際に、挿入部の柔軟性のために挿入部の先
部を所望の検査部位に導くことができない場合に
は、内視鏡の挿入部よりもガイドを先行させ、こ
のガイドを所望の検査部位近傍に固定し、その後
ガイドに沿つて内視鏡の挿入部を前進させてい
る。

上記ガイドは、内視鏡の挿入部よりも硬性のあ
る挿入部を有し、この挿入部の先部には薄肉のゴ
ム製バルーンが取り付けられ、更に、このバルー
ンに接続された流体通路が挿入部の基部まで延び
ている。

そして、上記バルーンを萎ませておいて、ガイ
ドの挿入部を内視鏡の挿入部内に設けられた案内
チヤンネル内に挿通し、その先部を内視鏡の挿入
部の先端から突出させて所望の検査部位に配置
し、その後、ガイドの流体通路を介してバルーン
に水、空気等を注入して膨らませ、バルーンを検
体内に密着させてガイドを支持するようにしてい
る。

又、医療用の内視鏡には、挿入部の先部に、超
音波発信器及び受信器を有する受発信部を備えた
ものがある（以下、医療用超音波内視鏡という）。

上記医療用超音波内視鏡の場合には、被検者の
体腔内に上記挿入部を挿入し、受信器から発射さ
れた超音波の反射波を受信器で受け、この反射波
を電気信号に変換して、挿入部内に配置された電
気ケーブルを介し被検者の外部に設置された解析
装置に送り、被検者の診察を行つている。

医療用超音波内視鏡においては、受発信部およ
びその近傍をゴム製のバルーンで被覆し、挿入部
に設けられた流体通路を介してバルーン内に水を
注入して膨らませ、被検者の体腔壁に密着させ
て、体腔壁と受発信部との間に空気層ができない
ようにし、超音波の伝送効率の向上を図つてい
る。

工業用の内視鏡におけるガイド、及び、医療用
超音波内視鏡において、上記各流体通路は一般に
チユーブで形成されている。

上記チユーブをガイドの挿入部または内視鏡の
挿入部の外側に設けた場合には、外径が大きくな
り、又、チユーブと各挿入部との間に異物が挟ま
る等の不都合があるので、一般に、上記チユーブ
は各挿入部の内側に設けられており、チユーブは
各挿入部の外周面に開口し、バルーンに連通され
ている。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来のバルーン作動装置においては、挿入
部を体腔内や検体内から取り出す時に、チユーブ
（流体通路）を介してバルーンから空気や水を吸
引し、排出しておかなければならないが、バルー
ンが萎む過程において、挿入部の外周面の開口を
バルーン自身が塞いでしまい、バルーンを完全に
収縮させることができない場合があつた。

バルーンがこのような状態では、体腔内や検体
内から各内視鏡を引き抜けないことがあつた。

（問題点を解決するための手段） この考案は上記問題点を解消するためになされ
たもので、その要旨は、挿入器具挿入部の外周面
の少なくとも一部を被覆するように設けられた伸
縮自在な薄膜からなるバルーンを、流体の注入、
吸引により膨張、収縮させる作動装置において、
上記バルーンに被覆された挿入部の基端側の外周
面に、挿入部内に設けられた流体通路が開口する
とともに、この流体通路に連通し、かつ挿入部の
長手方向におけるバルーン中央部まで延びる溝が
形成されていることを特徴とする挿入器具のバル
ーン作動装置。

（作用） バルーン内に注入した流体を流体通路を介して
吸引すると、バルーンは挿入部の長手方向におけ
る両端部から中央部に向かつて漸次萎み、挿入部
の外周面に密着する。これによつて、流体通路の
開口部が塞がれたとしても、溝がバルーンの中央
部まで延びているので、流体は溝を通つて流体通
路に流れ込む。

したがつて、バルーン内の流体を完全に排出す
ることができ、バルーンを完全に収縮させること
ができる。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を第１図から第３図
までの図面に基づいて説明する。

尚、当該実施例は挿入器具としての医療用超音
波内視鏡に適用したものである。

医療用超音波内視鏡の図示しない操作本体から
は柔軟な挿入部２が延出している。

挿入部２の先端構成部２ａには、超音波発信器
及び受信器（図示しない）を有する受発信部３が
先端構成部２ａの外周面と面一にされ、シールさ
れて固定されている。

上記受発信部３より基部側の上記外周面には開
口４が設けられており、開口４は、挿入部２内に
配置され操作本体へ延びるチユーブ５（流体通
路）に連通されている。

上記先端構成部２ａの外周面には、開口４から
挿入部２の長手方向に受発信部３へ延びる一本の
溝６ａと、挿入部２の円周方向に所定寸法延びた
後、挿入部２の長手方向に曲がり受発信部３に沿
つて受発信部３の両側中程まで延びた各一本の溝
６ｂ，６ｃが形成されている。

又、先端構成部２ａの外周面には受発信部３よ
り先端側、及び、開口４より基部側に、円周方向
に沿つてリング状溝７ａ，７ｂが形成されてい
る。

上記リング状溝７ａからリング状溝７ｂにかけ
て、先端構成部２ａの外周面には、伸縮自在な薄
いゴム製のチユーブ状バルーン８が着脱自在に取
り付けられている。

上記バルーン８の肉厚は円周方向に沿つて異な
つており、薄肉側８ａと厚肉側８ｂとが対向する
ようになつていて、受発信部３の真上に上記薄肉
側８ａが配置されている。

バルーンチユーブ８の縁部は、挿入部２のリン
グ状溝７ａ，７ｂをまたいで配置され、更に、ゴ
ム製のＯリング９ａ，９ｂが装着されて、シール
されている。

尚、先端構成部２ａの先端面には、観察窓、照
明窓が設けられ、通常の内視鏡と同様に内部観察
が行うことができ、又、この内部観察によつて受
発信部３の位置決めを行うことができる。

上述構成において、挿入部２は被検者の体腔内
の所望部位に挿入される。

そして、操作本体側からチユーブ５を介して水
が注入され、バルーン８は水で膨張する。

尚、バルーン８は薄肉側８ａの方が厚肉側８ｂ
よりも伸び易いので、第１図に示すように、受発
信部３側だけが膨張し、被検者の体腔壁（図示し
ない）に密着する。

この状態で受発信部３から超音波が受発信され
て、被検者の診断が行なわれる。

診察終了後、バルーン８内の水をチユーブ５を
介して操作本体側に吸引する。

バルーン８は徐々に萎んでいき、その過程にお
いて、第２図に示すように開口４、及びその近傍
の先端構成部２ａの外周面にバルーン８が被さる
状態になることがある。

しかし、そのような場合にも、バルーン８内に
残つている水は溝６ａ，６ｂ，６ｃを通つて開口
４に流れ込みチユーブ５を介して吸引されるの
で、バルーン８内の水は完全に除去され、バルー
ン８を完全に萎ませて先端構成部２ａの外周面に
密着させることができる。

したがつて、挿入部２は被検者の体腔内から安
全に、且つ確実に取り出される。

この考案は上記実施例に制約されず種々の態様
が可能である。

例えば、バルーンをシート状にして挿入部の一
部を覆うようにしてもよい。

又、バルーンは、その縁部を挿入部の外周面に
接着固定されていてもよい。

更に、溝は挿入部の外周面に螺旋状に形成され
ていてもよい。

又、挿入器具は内視鏡の挿入部内を貫通するガ
イドであつてもよく、このガイドの挿入部にバル
ーンを設け、このバルーンをこの考案の装置で作
動させるようにしてもよい。

更に、バルーンの取り付け位置は挿入部の先部
に限ることはなく、挿入部の中途部に設けてもよ
い。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案によれば、バル
ーンによつて被覆された挿入部の基端側に外周面
に、挿入部の長手方向におけるバルーンの中央部
まで延びる溝を形成しているので、バルーン内に
注入された流体を吸引した際に、バルーンが挿入
部の外周面の開口、及びその近傍に付着しても、
流体はこの外周面に設けられた溝を通つて流体通
路に流れ、完全に薄膜内から排出される。

したがつて、バルーンは完全に収縮され、挿入
部の抜き出しは安全、且つ確実に行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図から第３図までの図面はこの考案の一実
施例を示すものであり、第１図はバルーン膨張時
の作動装置の部分断面正面図、第２図はバルーン
収縮途中の部分断面正面図、第３図は作動装置の
外観平面図である。 ２……挿入部、４……開口、５……チユーブ
（流体通路）、６ａ，６ｂ，６ｃ……溝、８……バ
ルーン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 挿入器具挿入部の外周面の少なくとも一部を被
   覆するように設けられた伸縮自在な薄膜からなる
   バルーンを、流体の注入、吸引により膨張、収縮
   させる作動装置において、上記バルーンに被覆さ
   れた挿入部の基端側の外周面に、挿入部内に設け
   られた流体通路が開口するとともに、この流体通
   路に連通し、かつ挿入部の長手方向におけるバル
   ーン中央部まで延びる溝を形成したことを特徴と
   する挿入器具のバルーン作動装置。