JPH034476Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、プレス機械に関し、詳細に述べれ
ば、上金型を支承するスライドの上下方向の移動
を案内するガイドポストをプレス機械のフレーム
に固定する際、鉛直度の調節を容易に行い得る装
置を備えてなるプレス機械に関する。

（従来の技術） プレス機械において、精度の良い製品を得るた
めには、上金型に対する下金型の位置合わせが重
要なものとなる。上金型などの取り付けられるス
ライド（ラム）は、ガイドポストに案内されて上
下運動させられるので、フレームに対するガイド
ポストの取り付け精度は重要な要素になる。この
ガイドポストは棒状をしていて、その上下両端を
フレームに固定されるようになつている。従つ
て、ガイドポスト自体の加工精度はもちろんであ
るが、フレームの上下に設けられたガイドポスト
取り付け穴の加工精度がスライドの案内精度に与
える影響は大きいものである。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、小型のプレス機械の場合はフレ
ームを加工機械のチヤツクに掴ませたまま１回の
加工で両端がガイドポスト取付け穴を精度良く穴
明けすることも可能であるが、大型のフレームに
なると、１回のチヤツキングで両端の穴の加工を
行うことができないため、同心度などの精度を確
保することが困難になる。従つて、組み立てられ
た大型のプレス機械を用いて製造されるプレス製
品の加工精度も、高いものを得るのが困難にな
る。

本考案は、このような問題に鑑みてなされたも
のであつて、その目的は、プレス機械のフレーム
のガイドポスト取付け穴の加工精度が高くなくて
も、ガイドポストの取付け精度を高くすることが
可能な装置を備えてなるプレス機械を提供するこ
とである。

（問題点を解決するための手段） この目的を達成するために、本考案では、ガイ
ドポストの一端を複数の傾斜状部に形成し、この
傾斜状部の数に対応する複数の楔部材をガイドポ
ストと取付け穴との間に軸方向の位置調節可能に
介在させてなるものである。

すなわち、本考案は、フレームに上下動自在に
設けられたスライドの上下動を案内するためのガ
イドポストの上下両端部をフレームに支承して設
け、上記ガイドポストの少なくとも一端部に複数
の傾斜部を形成すると共に、当該一端部をフレー
ムに形成された穴内に臨ませ、上記傾斜状部の周
囲と穴の内周面との間の複数箇所に複数の楔部材
を配置して設け、各楔部材を、前記穴の軸方向に
それぞれ位置調節自在にしてなるプレス機械であ
る。

（作用） このように構成することにより、それぞれの楔
部材を別個に軸方向に出し・入れすることにより
ガイドポストの半径方向の移動が可能になり、プ
レス機械の心出し調整が容易に行われる。

（実施例） 以下、図面を用いて本考案の実施例を説明す
る。

第１図を参照するに、プレス機械のフレーム１
の下方にはガイドポスト３の直径より大きい内径
を有する穴１ａが設けられており、この穴１ａ内
に、上端部をフレーム１の上方の穴１ｂに固定さ
れたガイドポスト３の下端部が臨ませてある。ガ
イドポスト３の下端部には４個の傾斜部３ａが四
角錐状を形成するように設けられ、この傾斜部３
ａの上方の外周部には環状溝３ｂが設けられてい
る。穴１ａと傾斜部３ａとの間には、この傾斜部
３ａと対応する傾斜面を有する４個の楔部材５が
ガイドポスト３の軸方向に移動可能に嵌め合され
ている。楔部材５には、第２図に示すように、楔
部材５を押し引きするための、引張りボルト用の
通し穴５ｂ及び押しボルト用の２個のネジ穴５ｃ
が設けられている。第３図に示すように、角型の
割りリング７には、ガイドポスト３の環状溝３ｂ
と同径の穴部７ａが設けられ、この穴部７ａと直
角方向に設けられたねじ穴７ｂに組み付けられた
締付けボルト９によつて環状溝３ｂに一体的に取
り付けられている。また、割りリング７が環状溝
３ｂに組み付けられた状態で、楔部材５の通し穴
５ｂと同心となるように、複数のねじ穴７ｃが設
けられている。それぞれの楔部材５の通し穴５ｂ
を通して、割りリング７のねじ穴７ｃにそれぞれ
引張りボルト１１（第１図参照）がねじ込まれて
いて、４個の楔部材５をそれぞれガイドポスト３
に押し付けることができるようになつている。楔
部材５のそれぞれのねじ穴５ｃには押しボルト１
３（第２図参照）が取り付けられていて、楔部材
５をそれぞれガイドポスト３から引き離すことが
できるようになつている。スライド１５の一端部
に設けられた穴１５ａにガイドポスト３が嵌合さ
れており、スライド１５の下面側には上金型１７
が取り付けられている。

ガイドポスト３の傾斜部３ａの傾斜面の数は、
この実施例では実用上好適なものとして４面とし
てあるが、必要に応じて３面以上の傾斜面に増減
できることもちろんであり、傾斜面の数を増加す
るほど微妙な調整が可能になる。必要ならば、ガ
イドポスト３の両端部に傾斜部を設けることもで
きる。更に、割りリング７は、角型のものが示さ
れているが、丸型、その他の形状のものであつて
も差し支えない。

また、環状溝３ｂ及び割りリング７に代えて、
フレーム１の下側に、ねじ穴と通し穴とを有する
ブラケツトを設け、この通し穴を通して楔部材の
ねじ穴５ｃに引張りボルト１１をねじ込んで楔部
材５を引き出せるようにしてもよい。なお、この
場合楔部材５に通し穴５ｂを設ける必要はなく、
ブラケツトのねじ穴に通した押しボルト１３を楔
部材５の下面に押し当てて楔部材５の傾斜面５ａ
をガイドポスト３の傾斜部３ａに押し付けるよう
にすればよい。すなわち、本考案の技術範囲を逸
脱することなく、種々の設計変更が可能であるこ
とが明らかである。

次に、この実施例の作用を説明する。

楔部材５の通し穴５ｂを通して割りリング７の
ねじ穴７ｂに引張りボルト１１をねじ込むと、楔
部材５はガイドポスト３に押し付けられる。ま
た、楔部材５のねじ穴５ｃにねじ込まれ、割りリ
ング７に当接する押しボルト１３をねじ込むと、
楔部材５はガイドポスト３から引き離される。従
つて、複数の引張りボルト１１と、複数の押しボ
ルト１３とを調整することにより、複数の楔部材
５のそれぞれの位置が変わることになり、フレー
ム１の穴１ａの中心位置に対するガイドポスト３
の下端側の中心位置が変更でき、ガイドポスト３
の心出しが行われ、その位置にガイドポスト３を
固定することができる。このとき、フレーム１の
上方のガイドポスト３取付け用の穴１ｂと、下方
の穴１ａとの同心誤差に起因して、ガイドポスト
３には曲げ応力が作用することになるが、その値
は通常の誤差範囲であれば、問題になるような大
きさにはならないので、ガイドポスト３の軸強度
には、ほとんど影響を与えない。この調整により
結果的には、ガイドポスト３に挿通されるスライ
ド１５の心出し調整が行われたことになる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、フレー
ムのガイドポスト取付け用の加工精度があまり高
くなくても、ガイドポストの心出し・調整が可能
になるので、ガイドポストに案内されて上下する
スライドの案内精度が向上し、最終的に製品の加
工精度を向上させることが可能なプレス機械を提
供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案によるプレス機械の要部断面
図、第２図は本考案の楔部材の１実施例を示す第
１図における−矢視図、第３図は本考案の割
りリングの１実施例を示す第１図における−
矢視図である。 図面の主要部を表す符号の説明、１……フレー
ム、３……ガイドポスト、３ａ……傾斜部、３ｂ
……環状溝、５……楔部材、５ｂ……通し穴、５
ｃ……ねじ穴、７……割りリング、９……締付け
ボルト、１１……引張りボルト、１３……押しボ
ルト、１５……スライド、１７……上金型。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フレームに上下動自在に設けられたスライドの
   上下動を案内するためのガイドポストの上下両端
   部をフレームに支承して設け、上記ガイドポスト
   の少なくとも一端部に複数の傾斜状部を形成する
   と共に、当該一端部をフレームに形成されて穴内
   に臨ませ、上記傾斜状部の周囲と穴の内周面との
   間の複数箇所に複数の楔部材を配置して設け、各
   楔部材を、前記穴の軸方向にそれぞれ位置調整自
   在に設けたことを特徴とするプレス機械。