JPH0343895Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば自動車の運転席まわり足下の
床に設けられ、ペダルを踏むことにより制動する
足踏式パーキングブレーキ装置に関する。

（従来の技術） 足踏式パーキングブレーキ装置は、第１１図に
示すように、フレーム１に固設された軸２に回動
可能に軸支され該軸２に対して同心的な円弧状の
セクタ３ａが設けられたペダル３と、一端がペダ
ル３の一端３ｂに、他端がブレーキユニツト（図
示せず）に夫々連結されたワイヤ４と、フレーム
１に固設された軸５に回動可能に軸支されペダル
３のセクタ３ａと係合する爪６と、一端が爪６に
連結され、他端がフレーム１の孔１ａを貫通して
当該フレーム１の外方に突出しノブ８を固設され
たロツド７と、フレーム１とロツド７のばね受７
ａとの間に縮設され当該ロツド７を図中右方向に
付勢して爪６をセクタ３ａに押圧係合させるスプ
リング９と、フレーム１に固設されブレーキ作動
解除時のペダル３の回動位置を規制するストツパ
１０とを備え、ペダル３の踏み込み操作によりワ
イヤ４を引張り前記ブレーキユニツトを作動させ
ると共に、セクタ３ａと爪６との係合により当該
ブレーキユニツトの作動位置にペダル３を係止さ
せ、ブレーキ解除時には、ノブ８をスプリング９
のばね力に抗して図中左方向に引張り爪６とセク
タ３ａとの係合を解除させることにより前記ブレ
ーキユニツトの作動を解除させるように構成され
ている。

このような従来の足踏式パーキングブレーキ装
置は、ブレーキ解除時にペダル３が急激に回動復
帰してストツパ１０に衝突するため、衝激音が強
く搭乗者に不快感を与えるばかりでなく、ペダル
３に付着した泥等が車内に飛散する等の問題があ
る。これを解決するものとして実開昭59−22049
号公報に開示されたものであつて、ペダルブラケ
ツトとペダルとの一方に回転軸線と平行な軸線回
りに回転可能な弾性材料から成る回転体を設け、
他方に、該回転体を回転させつつ半径方向に圧縮
するカムを設け、回転体を回転させながら圧縮す
ることによりペダル復帰時の緩衝作用をさせる技
術がある。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このようにペダル復帰時に緩衝
するようにした足踏式パーキングブレーキ装置で
あるが、弾性材料の回転体を回転させながら半径
方向から接触して圧縮するようにしているので、
弾性材料が摩擦作用を受けやすく、また、複雑な
弾性変形をするので耐久性に難が生じるおそれが
あるという問題点があつた。

本考案は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、ペダルの戻り時のエネルギを合
理的に減衰、緩衝させることにより上記問題点を
解決した足踏式パーキングブレーキ装置を提供す
ることを目的としている。

（問題点を解決するための手段） かかる目的を達成するための本考案の要旨とす
るところは、フレームに回動可能に軸支されたペ
ダルの踏込操作によりブレーキを作動させる足踏
式パーキングブレーキ装置において、 前記フレーム又は前記ペダルのいずれか一方に
アームを配設し、 前記フレーム又は前記ペダルの他方に、前記ア
ームに係合して回動される回転部材と、該回転部
材の回転により相対的に回動する雌ねじと雄ねじ
とより成るねじ対偶と、該ねじ対偶の雌ねじと雄
ねじとの一方に従つて縦動する圧縮部材と、該圧
縮部材により圧縮される弾性部材とより成り、前
記ブレーキの解除時に前記ペダルに抵抗を付与す
る緩衝機構を備えたことを特徴とする足踏式パー
キングブレーキ装置に存する。

（作用） しかして、ブレーキの解除時に、前記アームを
介して回転部材が回転し、回転部材の回転により
ねじ対偶の雌ねじと雄ねじとが相対的に回動して
相互に縦動し、この縦動する雌ねじと雄ねじとの
一方に従つて縦動する圧縮部材により弾性部材が
圧縮されて前記ペダルの急激な戻りを抑え、当該
ペダルのブレーキ解除後の戻り位置を規制するス
トツパへの衝突を緩和するようにしたものであ
る。

（実施例） 以下、図面に基づき本考案の一実施例を説明す
る。なお、図中第１１図と同一のものは同一符号
を付してその説明は省略する。

第１図においてペダル３の略中央には当該ペダ
ル３の回動中心即ち、軸２と同心の円弧を有する
円弧状のアーム１１の一端が固設され、該アーム
１１の外周面には歯１１ａが刻設されている。一
方、フレーム１にはアーム１１の歯１１ａと噛合
により係合して当該アーム１１に抵抗を付与する
緩衝機構２０が配設されている。

緩衝機構２０は第２図及び第３図に示すように
構成され、プレート２１の軸孔２１ａの周縁部は
一側に突出してフレーム１に穿設された孔１ｂ内
に嵌合され、該プレート２１はハウジング２２と
共にリベツト２３によりフレーム１に固着されて
いる。ハウジング２２にはプレート２１の軸孔２
１ａと対向して軸孔２２ａが穿設され、その周縁
部は反プレート側に突出している。ガイドパイプ
２４はハウジング２２の反プレート側端面に、軸
孔２２ａと同心的に配置され、且つ固着され、そ
の周壁には軸方向に沿つてスリツト２４ａが全長
に亘り設けられている。

圧縮部材を縦動させるホイールシヤフト２５は
ボルト状をなし、軸部２５ｂはガイドパイプ２４
内に嵌装される後述のプレート２６の軸孔２６ａ
及び弾性部材２７の軸孔２７ａを貫通し、ハウジ
ング２２及びプレート２１の各軸孔２２ａ及び２
１ａ内に軸方向に摺動可能に軸支されている。こ
のホイールシヤフト２５の軸部２５ｂの外周面に
は雄ねじ２５ｃが刻設されている。

圧縮部材をなすプレート２６は円板状をなし、
ガイドパイプ２４内に僅かなギヤツプで軸方向に
移動可能に配置され、外周面にはガイドパイプ２
４のスリツト２４ａに嵌合する突起２６ａが設け
られている。この結果、プレート２６はガイドパ
イプ２４内を、回転が禁止されて軸方向に移動可
能となる。このプレート２６はホイールシヤフト
２５の頭部２５ａの内端面に当接され、当該プレ
ート２６とハウジング２２との間に前記弾性部材
２７が介在されている。この弾性部材２７は例え
ばゴム部材で形成され、各端面がプレート２６、
ハウジング２２に当接している。

回転部材をなすホイール２８は外周面に前記ア
ーム１１の歯１１ａと噛合する歯２８ａが刻設さ
れ、軸孔２８ｂの内周面にはシヤフト２５の軸部
２５ｂのねじ２５ｃと螺合する雌ねじ２８ｃが刻
設されている。このホイール２８はプレート２１
とハウジング２２との間に配設され且つホイール
シヤフト２５の軸部２５ｂに螺嵌され、当該シヤ
フト２５に対して回転可能に且つ軸方向に移動不
能に軸支される。ホイール２８の歯２８ａは第１
図に示すようにアーム１１の歯１１ａに噛合さ
れ、該アーム１１の歯１１ａは、ペダル３が第１
図に２点鎖線で示すブレーキ作動位置から実線で
示すようにストツパ１０に当接係止されるブレー
キ解除位置の僅か手前位置に至る迄の間ホイール
２８の歯２８ａと噛合し、前記解除位置において
ホイール２８の歯２８ａとの噛合が解除されるよ
うに設定されている。ホイールシヤフト２５の雄
ねじ２５ｃとホイール２８の雌ねじ２８ｃとがね
じ対偶を構成し、プレート２６は雄ねじ２５ｃに
従つて縦動するホイールシヤフト２５に押されて
縦動する圧縮部材をなしている。

次に作用を説明する。

第１図に２点鎖線で示すようにペダル３を踏み
込むと当該ペダル３と一体にアーム１１が反時計
方向に回動し、歯１１ａがホイール２８の歯２８
ａと噛合して当該ホイール２８を時計方向に回転
させる。ホイール２８が時計方向に回転するとシ
ヤフト２５が第２図中左方向に移動し、これに伴
ない弾性部材２７が伸張し、弾性エネルギは小さ
くなる。即ち、ペダル３の踏込み時には緩衝機構
２０はアーム１１に対して抵抗を与えず、従つ
て、ペダル３の踏み込み操作時には緩衝機構２０
の緩衝機能は働かない。

ブレーキを解除するとペダル３が前述とは反対
に時計方向に回動し、これに伴ないホイール２８
が反時計方向に回転される。このホイール２８が
反時計方向に回転すると、第４図に示すようにシ
ヤフト２５が図中右方向に移動し、これに伴ない
弾性部材２７が圧縮される。即ち、ペダル３の戻
り時のエネルギが弾性部材２７に吸収される。こ
の結果、ペダル３の前記戻り時の回動が緩やかと
なり、緩衝される。アーム１１の歯１１ａはペダ
ル３がストツパ１０に当接係止される手前位置で
ホイール２８の歯２８ａとの噛合が解除され、こ
の結果、ペダル３が緩衝機構２０から切離され、
ブレーキ解除位置に安全に戻る。これによりブレ
ーキのヒキズリ現象が防止される。斯くして、ブ
レーキ解除時におけるペダル３のストツパ１０へ
の衝突を防止することができる。

第５図は本考案の第２の実施例を示し、ホイー
ルシヤフト２５′にホイール２８′を固設し、ホイ
ール２８′の回転をそのままシヤフト２５′の回転
とし、シヤフト２５′の軸部２５′ｂに設けたねじ
２５′ｃに螺合されたナツト２９及び該ナツト２
９と一体的に設けたプレート２６とを圧縮部材と
して軸方向に移動させ、第６図に示すようにペダ
ル３の戻り時に弾性部材２７を圧縮させて当該ペ
ダル３の戻りエネルギを吸収し緩衝させるように
したものである。

第７図及び第８図は本考案の第３の実施例を示
し、第５図に示すナツト２９及び突起付プレート
２６に代えてシヤフト２５′のねじ２５′ｃに螺合
するねじ孔３０ａを穿設したプレート３０を使用
し、弾性部材２７の両端面をプレート３０及びハ
ウジング２２の各当接端面に溶着固定してこれら
のプレート３０及び弾性部材２７の回転を防止し
たものである。

従つて、本実施例ではプレート３０が圧縮部材
をなしており、ペダル３の戻りに伴なうアーム１
１の回動によりホイール２８′が回転され、第９
図に示すように弾性部材２７が圧縮され、ペダル
３の戻りエネルギが吸収されて緩衝される。

第１０図は本考案の第４の実施例を示し、前記
円弧状のアーム１１に代えて直線状のアーム１
１′を使用し、該アーム１１′の一端をペダル３の
略中央にピン３１を介して軸支し、歯１１′ａを
緩衝機構２０のホイール２８の歯２８ａと噛合さ
せると共に、プレート２１の上端を上方に延出さ
せ且つ先端を円弧状に立設させてガイド２１ｂを
形成し、このガイド２１ｂとホイール２８との間
にアーム１１′を挾持させて当該アーム１１′の逸
脱を防止するようにしたものである。

なお、本実施例においては、アームとホイール
とを噛合させる場合について記述したが、これに
限るものではなく、アームに歯を形成せず、一方
ホイールをゴム様の摩擦車とし、フリクシヨンに
よりアームの動きをホイールに伝達させるように
してもよい。また、ペダル側に緩衝機構を、フレ
ーム側にアームを設けてもよい。

（考案の効果） 本考案に係る足踏式パーキングブレーキ装置に
よれば、単純に縦動する圧縮部材により弾性部材
を圧縮変形させペダルの戻りエネルギを吸収して
緩衝させることにより、当該ペダルのストツパへ
の衝突を防止して衝突音を低減することができ、
衝突音による不快感を除くことができると共に、
ペダルに付着する泥等の飛散を防止することがで
き、更に構造簡単且つ安価に構成することができ
る。とともに、弾性部材が摩擦力を受けることが
なく、一方向から押されて単純に変形するだけな
ので、耐久性が高く動作も安定している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る足踏式パーキングブレー
キ装置の一実施例を示す断面図、第２図は第１図
の緩衝機構の断面図、第３図は第２図の端面図、
第４図は第３図の緩衝機構の作動状態を示す断面
図、第５図は本考案の緩衝機構の第２実施例を示
す断面図、第６図は第５図に示す緩衝機構の作動
状態を示す断面図、第７図は本考案の緩衝機構の
第３実施例を示す断面図、第８図は第７図の端面
図、第９図は第７図の緩衝機構の作動状態を示す
断面図、第１０図は本考案の第４実施例を示す要
部構成図、第１１図は従来の足踏式パーキングブ
レーキ装置の断面図である。 １……フレーム、３……ペダル、１１……アー
ム、２０……緩衝機構、２５，２５′……シヤフ
ト、２６，３０……プレート、２７……弾性部
材、２８，２８′……ホイール。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 フレームに回動可能に軸支されたペダルの踏込
   操作によりブレーキを作動させる足踏式パーキン
   グブレーキ装置において、 前記フレーム又は前記ペダルのいずれか一方に
   アームを配設し、 前記フレーム又は前記ペダルの他方に、前記ア
   ームに係合して回動される回転部材と、該回転部
   材の回転により相対的に回動する雌ねじと雄ねじ
   とより成るねじ対偶と、該ねじ対偶の雌ねじと雄
   ねじとの一方に従つて縦動する圧縮部材と、該圧
   縮部材により圧縮される弾性部材とより成り、前
   記ブレーキの解除時に前記ペダルに抵抗を付与す
   る緩衝機構を備えたことを特徴とする足踏式パー
   キングブレーキ装置。