JPH0343616Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、光フアイバ複合架空地線や光フア
イバ複合架空送電線などの光フアイバ入り金属撚
線に関する。

〔従来技術とその問題点〕

第４図は、従来の光フアイバ複合架空地線（以
下、OPGWと略記する。）の一例を示すもので、
図中符号１は光フアイバユニツトである。この光
フアイバユニツト１は、金属、強化プラスチツク
（FRP）などからなる長尺のスペーサ２と、この
スペーサ２の外周面にラセン状に形成された光フ
アイバ収容溝３…に収容された光フアイバ４…と
から構成されている。このような光フアイバユニ
ツト１は、アルミニウム合金や強化プラスチツク
などからなる保護パイプ５に収容されて、機械
的、熱的に保護されている。保護パイプ５の周囲
には複数本の金属素線６…が保護パイプ５を中心
として撚り合され、撚線７が形成されている。こ
こでは、金属素線６としてアルミニウム被覆鋼線
が用いられ、特に内側の撚線７には、異形断面の
アルミニウム被覆鋼線が素線６として用いられて
いる。

このようなOPGWは、通常の架空地線と同様
の方法により鉄塔等に架設されるが、この架設の
際にOPGWの保護パイプ５およびスペーサ２に
変形、亀裂等の障害が発生することがある。すな
わち、OPGWの架線時において金車通過の際、
過大な側圧を受けて保護パイプ５およびスペーサ
２が変形することがあり、また緊線時において耐
張クランプ、懸垂クランプ等に取り付ける際、過
剰な締付力を加えるとやはり保護パイプ５および
スペーサ２とが変形することがある。さらに光フ
アイバユニツト１の接続の際に、OPGWに大き
な曲げ力が加わると同様に保護パイプ５およびス
ペーサ２が変形する。

このようなOPGWの保護パイプ５の変形は、
OPGW架設後の振動に対する耐久性を著しく損
ねることになる。また、その変形が極端な場合は
保護パイプ５に亀裂を生じせしめ、短期間内に保
護パイプ５の破壊に至る。保護パイプ５の破壊は
その内部に収容されている光フアイバユニツト１
を直接損ねることになり、重大な通信障害を引き
起すことになる。

さらに、スペーサ２の変形はスペーサ２の光フ
アイバ収容溝３に収容された光フアイバ４に直接
有害な側圧を与え、光フアイバ４の伝送損失を増
加させるほか、大きな変形を受けた場合には光フ
アイバ４が破断するなどの事態が生じ、やはり重
大な通信障害を引き起すことになる。

したがつて、保護パイプ５およびスペーサ２の
変形等の障害を放置することは重大な事故に結び
つき兼ねないことになり、その検知方法の開発が
望まれている。

このような問題点は、上記構成のOPGWに限
られるスペーサタイプの光フアイバユニツトを有
する光フアイバ複合架空送電線等においても同様
であり、その解決方法が求められている。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案の光フアイバ入り金属撚線では、スペ
ーサにセンサフアイバ収容溝を形成し、これにセ
ンサフアイバを収容する構造とし、保護パイプお
よびスペーサの変形等をセンサフアイバ収容溝の
変形として促え、この収容溝の変形によつてセン
サフアイバに側圧が加わり、伝送損失が変化する
ことを利用して、保護パイプおよびスペーサの変
形等の障害を検知しうるようにした。

〔実施例〕

第１図は、この考案の光フアイバ入り金属撚線
の一例としてのOPGWを示すもので、この例の
OPGWが第４図に示したOPGWと異なるところ
は、スペーサ２に新たにセンサフアイバ収容溝８
…が形成され、このセンサフアイバ収容溝８…に
センサフアイバ９…が収容されている点にある。

このセンサフアイバ収容溝８はスペーサ２の外
周面にラセン状に、かつ光フアイバ収容溝３にほ
ぼ平行に４条形成されている。センサフアイバ収
容溝８の大きさは、一般に光フアイバ収容溝３よ
りも小さく、センサフアイバ９を収容しうるもの
であれば十分であり、底が浅い場合には、第２図
に示すように溝８からのセンサフアイバ８の逸脱
を防止するため、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂
などの耐熱性の良好な樹脂１０を充填し、センサ
フアイバ９をセンサフアイバ収容溝８内に固定す
ることもできる。また、第３図に示すように、セ
ンサフアイバ収容溝８の深さを十分深くし、溝幅
をセンサフアイバ外径とほぼ等しくすれば樹脂等
を充填しなくともセンサフアイバ９が溝外に出る
ことはない。

センサフアイバ９としては、通常単芯の光フア
イバ素線あるいは光フアイバ心線が用いられる。

なお、センサフアイバ収容溝８は少なくとも１
条あればよく、２条以上形成して、センサフアイ
バ９を２芯以上収容すれば、変形等の検出感度の
点で好ましい。

次に、このような構造のOPGWを対象として
保護パイプ５およびスペーサ２の変形等の障害を
検知する方法を述べる。

この構造のOPGWでは、ある部位に過大な側
圧等が加わるとその部位の保護パイプ５が変形す
るとともにこれに伴つてスペーサ２も変形する。
スペーサ２の変形は、センサフアイバ収容溝２の
変形を招き、このセンサフアイバ収容溝８の変形
によつてセンサフアイバ９に側圧が加わることに
なり、変化が著しい場合にはセンサフアイバ９が
破断することになる。このセンサフアイバ９の異
常は後方散乱法（OTDR法；オプチカルタイム
デイレイリフラクトメトリー）により、その発生
部位とともに検出することができる。

したがつて、OPGWの架設の際に、予めセン
サフアイバ９に異常のないことを確認しておき、
架設後各接続点間で光パルス試験器等の障害探索
装置を用いてセンサフアイバ９の異常の有無を検
知すれば、OPGWの架線、緊線等の際に生じた
保護パイプ５およびこれに伴つて必然的に生ずる
スペーサ２の変形等の障害を知ることができる。

なお、以上の説明はOPGWについてのもので
あるが、光フアイバユニツトがスペーサタイプで
あれば、光フアイバ複合架空送電線等にも適用で
きることは当然である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案の光フアイバ入
り金属撚線は、光フアイバユニツトのスペーサに
センサフアイバ収容溝を形成し、これにセンサフ
アイバを収容したものであるので、このセンサフ
アイバの異常を後方散乱法により検出することに
より、例えば金属撚線に過大な側圧等が加わつて
保護パイプおよびスペーサに変形等の障害が生じ
たことを検知することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の光フアイバ入り金属撚線
の一例を示す概略横断面図、第２図および第３図
はいずれもセンサフアイバのセンサフアイバ収容
溝への収容状態の例を示す拡大した概略断面図、
第４図は従来のOPGWを示す概略横断面図であ
る。 １……光フアイバユニツト、２……スペーサ、
３……光フアイバ収容溝、４……光フアイバ、５
……保護パイプ、６……金属撚線、７……撚線、
８……センサフアイバ収容溝、９……センサフア
イバ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 金属撚線の内部に保護パイプが設けられ、この
   保護パイプ内にスペーサとこのスペーサの光フア
   イバ収容溝に収容された光フアイバからなる光フ
   アイバユニツトが収容されている光フアイバ入り
   金属撚線において、 上記スペーサにセンサフアイバ収容溝を形成
   し、これにセンサフアイバを収容したことを特徴
   とする光フアイバ入り金属撚線。