JPH0341540B2 - - Google Patents

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JPH0341540B2
JPH0341540B2 JP63118580A JP11858088A JPH0341540B2 JP H0341540 B2 JPH0341540 B2 JP H0341540B2 JP 63118580 A JP63118580 A JP 63118580A JP 11858088 A JP11858088 A JP 11858088A JP H0341540 B2 JPH0341540 B2 JP H0341540B2
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は金型用アルミニウム合金に係り、特
に、プラスチツク、ゴム等の成形に使用する金型
において、硬度、強度、切削性、みがき性等が要
求されるアルミ厚板部材の用途に適するアルミニ
ウム合金に関する。 (従来の技術及び解決しようとする課題) プラスチツクやゴム等の成形用金型は、厚板を
必要な成形型に切削加工した後、その表面を鏡面
仕上加工或いはシボ加工し製造される。 ところで、この金型を、例えば、射出成形用で
使用する場合、プラスチツクが高温高速で射出さ
れるため、耐摩耗性が良いこと、或いは金型表面
状態が直接製品表面にプリントされるため、仕上
り状態が良いこと等が要求される。このため、素
材には硬度、強度が高いこと、板厚方向の硬度が
均一であること、鏡面仕上げする時のみがき加工
性が良いこと等の特性が要求される。 従来より、このような金型用アルミニウム合金
としては7000番系合金である7N01、7003、7075
等の合金が使用されているが、これらの合金は厚
板材になると焼入れ性が悪く、板表面と板厚中央
とでは硬度、強度の差が大きいため、このような
要求に対し十分に応えることができなかつた。 すなわち、金型用としては、通常は20mm以上の
厚板が使用されるが、上記傾向は板厚が厚くなる
につれ、板厚方向の各部位での焼入れ時の冷却速
度が大きく異なつてくるため、その差が増々大き
くなる。したがつて、切削加工した製品内で硬度
の異なる部位が発生することになり、硬度が低い
部位は摩耗が激しく、金型寿命を早めることにな
る。 また、加工性が悪くなつたり、或いは鏡面仕上
げするみがき加工時に、表面に微妙な凹凸が発生
し、それがプラスチツク等の製品にプリントさ
れ、製品価値がなくなる等の問題があつた。 本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、板厚
方向の硬度差が小さく、みがき性に優れた金型用
アルミニウム合金を提供することを目的とするも
のである。 (課題を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明者らは、アル
ミニウム合金の成分並びに組織面等の種々の角度
から鋭意研究を行つた結果、化学成分を適切に規
制すると共に、圧延板又は鍜造板における結晶粒
長さ及び晶出化合物長さを制御することにより可
能であることを見い出したものである。 すなわち、本発明に係る金型用アルミニウム合
金は、Zn:5.0〜7.5%、Mg:1.0〜3.5%、Cu:
1.0〜3.0%及びZr:0.05〜0.3%を含有し、Mn:
0.2%以下及びCr:0.15%以下に規制され、残部
がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム
合金であつて、平均結晶粒が2mm以下の該アルミ
ニウム合金鋳塊を所定の厚さまで圧延乃至鍜造
後、溶体化、時効処理した圧延板乃至鍜造板の任
意の面において、平均結晶粒長さが1000μm以下
で、存在する晶出化合物の平均長さが50μm以下
であり、且つ板厚方向の硬度が高く、硬度差が少
ないことを特徴とするものである。 以下に本発明を更に詳細に説明する。 まず、本発明における化学成分の限定理由を説
明する。 Zn: Znは強度と硬度の向上に効果のある元素であ
る。しかし、その含有量が5.0%未満では最終製
品(T6材)での硬度や強度が低下し、また7.5%
を超えると晶出化合物が多くなり、鍜造性、圧延
加工性が悪くなり、割れが発生し易くなる。した
がつて、Zn量は5.0〜7.5%の範囲とする。 Mg: MgはZnと同様に、強度と硬度の向上に効果の
ある元素であるが、含有量が1.0%未満では強度
や硬度が低下し、また3.5%を超えると圧延加工
性を悪くしたり、鍜造性を悪くする。したがつ
て、Mg量は1.0〜3.5%の範囲とする。 Cu: CuもZn及びMgと同様、強度と硬度の向上に効
果のある元素であるが、含有量が1.0%未満では
強度や硬度が低下し、また3.0%を超えると著し
く鍜造性を悪くさせる。したがつて、Cu量は1.0
〜3.0%の範囲とする。 Zr: Zrは厚板材での焼入れ性を殆ど低下させない
で強度向上に効果のある元素である。しかし、含
有量が0.05%未満では焼入れ性が改善されず、板
厚中央部での硬度及び強度が不足し、その効果が
なく、また0.3%を超えると焼入れ性に対する効
果が飽和し、逆に巨大晶出化合物が発生し、切削
加工性やみがき性を悪くする。したがつて、Zr
量は0.05〜0.3%の範囲とする。 Cr: Crは強度、硬度向上、焼入れ感受性、みがき
性に影響を与える元素であり、0.15%より多く含
有すると、特に厚板材での焼入れ性が悪くなり、
板表面に比べて板厚中央部での強度或いは硬度低
下が大きくなり、加工性、みがき性を悪くする。
したがつて、Cr量は0.15%以下に規制する。 Mn: Mnは組織を微細化させ、強度を向上する元素
であるが、Crと同様にみがき性にも影響を与え
る元素である。そのため、Mn量は0.2%以下に規
制する。0.2%より多く含有すると特にみがき性
が劣化するので好ましくない。 なお、上記元素の他に不純物が含有するが、そ
の量は本発明の効果を損なわない限度で許容でき
る。例えば、Fe≦0.30%、Si≦0.25%を許容でき
るが、各々0.20%以下が好ましい。Fe、Siは各々
みがき性に影響を及ぼす元素であり、各々0.30
%、0.25%を超えて含まれると巨大晶出物が発生
し、みがき性を著しく悪くする。Ti≦0.1%、Ni
≦0.1%、B≦0.001%、Be≦0.001%、Na≦0.001
%であれば、これらの元素を含んでいても金型と
しての特性上変わりはない。 次に上記化学成分のAl合金について金属組織
を限定する理由を説明する。 成形用金型は、硬度、強度及び切削加工性が要
求されるだけでなく、加工後の表面みがき性が優
れることが要求される。このため、本発明では平
均結晶粒長さ並びに晶出化合物長さを制御するの
である。 すなわち、平均長さが50μmを超える晶出化合
物が存在すると、鏡面仕上げ加工時に、素地表面
に突出或いは脱落し、穴状の欠陥をつくる等、み
がき性を著しく悪くする。 また、平均結晶粒長さが1000μmを超える組織
を有する場合、鏡面仕上げ加工時に素地表面にう
ねりが発生し、同様にみがき性を悪くする。 一方、金型として使用するアルミニウム合金素
材の板厚は20〜200mm程度の厚いもので、熱間圧
延材のまま或いは鍜造材で使用する場合が多い。
このため、Al合金鋳塊の組織微細化が必要であ
り、鋳塊の平均結晶粒が2mmを超えるものでは、
その後の均質化処理、熱間圧延又は鍜造、熱処理
(溶体化処理、時効処理)等で結晶粒の大きさを
コントロールすることが難しくなり、みがき性が
悪くなる。したがつて、Al合金鋳塊の平均結晶
粒は2mm以下にしておく必要がある。 なお、本発明に係るアルミニウム合金は、上記
組成の合金を通常の方法により溶解、鋳造、均質
化処理、熱間圧延又は鍜造、熱処理(溶体化、時
効処理)して得られが、好ましい製造条件として
は、溶解、鋳造後、350〜450℃にて予備均熱し、
鋳塊中の残留応力を除去した後、面削を行い、そ
の後400〜500℃×2〜48時間の均質化処理後、
300〜450℃で熱間圧延又は鍜造し、次いで350〜
500℃で溶体化・水焼入れし、1〜3%歪取りス
トレツチ後、120〜180℃×2〜48時間の1段或い
は2段時効処理を行うことにより得られる。勿
論、この製造条件に制限されることはなく、適宜
変更することは可能である。 次に本発明の実施例を示す。 (実施例) 第1表に示す化学成分を有するAl合金の500mm
厚の鋳塊に450℃×24時間の均質化処理を施し、
450〜300℃の温度で熱間圧延し、60mm厚の厚板材
を得た。 続いて、硝石炉を用いて450℃×60分の溶体
化・焼入れし、焼入れによつて発生した残量応力
除去のため1.5%のストレツチ後、120℃×24時間
→150℃×24時間の2段時効処理を施した。 得られた材料について機械的性質、硬さ、金属
組織、みがき性等について調査を行つた。その結
果を第2表及び第3表に示す。 なお、機械的性質は、第1図に示す如く、全板
厚tの1/2tの部位(図中、△印)より圧延方向
に直角な方向に引張試験片(JIS14A号)を切出
し、引張試験により評価した。 硬さは、同図に示す如く、板表面並びに板厚の
1/4tと1/2tの各部位(図中、○×印)についてビ
ツカース硬さを調べて評価した。 金属組織は、板厚の1/4tの部位で圧延面に平
行な断面より試料を取出し、研摩後、顕微鏡で観
察し、晶出化合物の平均長さと平均結晶粒長さを
測定した。 みがき性は、金属組織と同じ部位の板厚1/4t
の部位で、圧延面に平行な断面で50mm口の試料を
切出し、以下のみがき手順で研摩を行い、鏡面仕
上げ加工した後、表面粗さ(Ra、Rmax)、素地
のうねり、晶出物の突出及び脱落等について評価
した。 みがき手順 砥石(#320→#400→#600)による研摩 ↓ ペーパー研摩(#1000) ↓ フエルト、ダイヤモンド砥石(#1800→#3000
→#8000)による研摩(コンパウンド添加液使
用) なお、みがき作業は、第2図に示すように試料
1を固定し、研磨具2(砥石、ペーパー、フイル
ト)を図中矢印の如く往復動させて行なつた。 第2表及び第3表より、本発明材は、従来材に
比較し、強度、硬さが高いと共に板厚方向での硬
度差が小さく、しかも表面粗さ、素地うねりや晶
出化合物の突出乃至脱落が少ない等、みがき性に
優れ、製品特性で優れていることがわかる。 一方、比較例No.6は強度及び硬度が不足し、比
較例No.7(7075相当)は強度が不足すると共に硬
度差が大きく、みがき性に劣る。また比較例No.8
は強度が不足すると共に特に硬度差が大きく、み
がき性に劣り、比較例No.9は強度及び硬度は高い
ものの、みがき性が劣悪である。
【表】
【表】
【表】
【表】 (発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、Al合
金の化学成分を調整すると共に圧延材乃至鍜造材
の金属組織(平均結晶粒長さ、晶出化合物長さ
等)を制御するので、強度が十分であることは勿
論のこと、硬度が高く且つ硬度差が小さく、みが
き性に優れた高製品特性の金型用アルミニウム合
金を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例において引張試験片、高度測定
試料の切出し部位を示す説明図、第2図はみがき
要領を説明する図である。 1……試料、2……研磨具。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 重量%で(以下、同じ)、Zn:5.0〜7.5%、
    Mg:1.0〜3.5%、Cu:1.0〜3.0%及びZr:0.05〜
    0.3%を含有し、Mn:0.2%以下及びCr:0.15%以
    下にそれぞれ規制され、残部がAl及び不可避的
    不純物からなるアルミニウム合金であつて、平均
    結晶粒が2mm以下の該アルミニウム合金鋳塊を所
    定の厚さまで圧延又は鍜造後、溶体化、時効処理
    した圧延板又は鍜造板の任意の面において、平均
    結晶粒長さが1000μm以下で、存在する晶出化合
    物の平均長さが50μm以下であり、且つ板厚方向
    の硬度が高く、硬度差が少ないことを特徴とする
    金型用アルミニウム合金。
JP11858088A 1988-05-16 1988-05-16 金型用アルミニウム合金 Granted JPH01290737A (ja)

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