JPH0340961B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (1) 発明の技術分野 本発明は誘電体フイルタに関し、特に共振素子
を該誘電体ブロツク内に一体的に形成した誘電体
フイルタの取付構造に関するものである。

(2) 技術の背景 無線装置においては、使用周波数に応じて
VHF帯、UHF帯あるいはマイクロ波帯用のフイ
ルタが用いられている。車載無線あるいは携帯無
線等の移動無線装置に用いられるフイルタは使用
性および搭載のスペースの点から小型軽量である
ことが要求され、このようなフイルタとして誘電
体フイルタが開発されている。この誘電体フイル
タは高誘電率の誘電体ブロツクに内面メタライズ
した複数の共振用の穴を並列して設け、さらに各
穴間に非メタライズの結合用の穴を設けて多段フ
イルタを構成するものであつて、内導体を共振棒
とし外導体同士を多段に結合した通常の空気層を
介した同軸型多段フイルタに比べ、共振素子の長
さが１／√（εは比誘電率）となるためフイル
タの小型化が図られる。このような誘電体フイル
タを用いた場合においても、移動無線装置におい
てはさらになおフイルタの小型軽量化が要望され
ている。

(3) 従来技術と問題点 従来の誘電体フイルタを第１図に示す。誘電体
ブロツク１に内面を導体膜でメタライズした共振
用の穴２が複数個並列して設けられる。この穴２
が共振素子を構成し、各共振用の穴２間には結合
用の非メタライズの穴３が設けられる。誘電体ブ
ロツク１の両端部には信号の入出力用の穴４が形
成され内部に挿入した励振棒（図示しない）およ
び導線５を介してコネクタ６の結合される。誘電
体ブロツク１の両側面および底面にはメタライズ
層７が形成されたこのメタライズ層７は底面にお
いて共振用の穴２の内面メタライズ層と接続して
いる。このような誘電体フイルタ９全体は電磁シ
ールド用の金属筺体８内に収容され使用機器の搭
載部材（図示しない）鵜に固定される。このよう
な誘電体フイルタは金属筺体内に収容されている
ため電磁シールドが完全であつてフイルタにより
遮蔽すべき信号の減衰量が非常に大きくなる。し
かしながら、移動無線装置等においては、30dB
程度の小さな減衰量で必要な機能が充分達成され
る場合があり、このような場合、従来の金属筺体
に収容した誘電体フイルタではその大きな減衰量
が無駄であり、また金属筺体によりのお小型化が
妨げられる。

(4) 発明の目的 本発明は上記従来技術の欠点に鑑みなされたも
のであつて、フイルタによる減衰量を過度に無駄
に大きくすることなく必要十分な減衰量としフイ
ルタの小型軽量化を図り、設置スペース的に有利
な誘電体フイルタの取付構造の提供を目的とす
る。

(5) 発明の構成 この目的を達成するため、本発明においては、
直方体形状の誘電体ブロツクに内面がメタライズ
された複数の共振用の穴を並列して設け、少なく
とも該誘電体ブロツクの該穴の軸に垂直な２面の
一方の面と該穴の軸に平行な４面をメタライズ
し、該穴の内面のメタライズは、該穴の軸に垂直
な一方の面では該穴の軸に平行な４面のメタライ
ズと接続され、該穴の軸に垂直な他方の面では該
穴の軸に平行な４面のメタライズと接続されない
よう施された誘電体フイルタの搭載部材上への取
付構造において、該穴の軸と平行な４面のうち該
複数の穴が並ぶ方向に平行な２面の一方の面が該
搭載部材上の搭載面に接するよう誘電体ブロツク
を配置し、該誘電体ブロツクの複数の穴が並ぶ方
向に平行な２面の他方の面を部分的に覆うととも
に一部は該複数の穴が並ぶ方向に平行な２面の他
方の面に沿つて該穴の軸に垂直な他方の面から突
出する導電性の取付部材により、該誘電体ブロツ
クを該搭載部材上の搭載面に固定している。

(6) 発明の実施例 以下、図面に基いて本発明の実施例について説
明する。第２図は本発明の一実施例の斜視図であ
る。セラミツク等の高誘電率材料からなる直方体
形状の誘電体ブロツク１に内面メタライズした３
個の共振用の穴２が並列して設けられる。1/4波
長誘導体フイルタの場合この共振用の穴２の深さ
はλ／４（λは使用波長）に対応した長さである。
各共振用の穴２間には所望の信号伝達特性を得る
ための結合用の穴３が設けられる。この結合用の
穴３の内面はメタライズされない。誘電体ブロツ
ク１の両端部には信号の入出力用の穴４が設けら
れる。この入出力用の穴４内には図示しない励振
棒が挿入されこの励振棒が外部配線と接続され
る。この入出力用端子となる励振棒は外部配線と
接続しやすくするために穴４の外部で搭載面方向
に屈曲させてもよいし真直のままであつてもよ
い。また、この励振棒への接続は外部回路の内導
体に対応する導線で行つてもよいし同軸ケーブル
を接続してもよい。誘電体ブロツク１の共振用の
穴２の軸に垂直な図面で手前側の一面を除く多の
５面はすべてメタライズ層７で覆われる。共振用
の穴２の形状、数、配置間隔および結合用の穴３
の形状、間隔等に対応して所望のフイルタ特性が
得られる。

このような誘電体フイルタ９は幅広の側面が搭
載面上に接するように配置され、金属板１０によ
り、例えば表面にアースパターンが形成されたプ
リント板等の搭載部材（図示しない）上に固定さ
れる。１２は取付片であり１３は固定用のネジ孔
である。この金属板１０の一部は誘電体ブロツク
１の上面に沿つて非メタライズ面（前面）から突
出して電磁シールド片１１を構成している。誘電
体ブロツク１の非メタライズ面以外の５面はメタ
ライズ層７で覆われているため、電磁シールドを
突出させる必要ない。電磁シールド片１１は誘電
体ブロツク１の非メタライズ面を覆うように屈折
させてもよい。電磁シールド片１１の形状、突出
長さ等は使用上必要なフイルタの減衰量となる電
磁シールド効果が得られるように定められる。

第３図はシールド作用を理解するための参考技
術を示す断面図である。誘電体フイルタ９はその
側面に接着剤又は溶接等の適当な方法で固定され
た支持金具１０′を介して半田１４によりプリン
ト板１５上に取付けられる。この場合の取付位置
には予めアースパターン１９を形成しておき、誘
電体フイルタ９の非メタライズ面がこのアースパ
ターン１９に対面するように配置する。１６は入
出力用の穴４に挿入された励振棒であり導線１７
を介してプリント板１５の配線パターン１８に接
続される。この例においてはアースパターン１９
が誘電体フイルタ９の非メタライズ面に対する電
磁シールドの作用を行う。

第４図は800MHz帯誘電体フイルタのフイルタ
特性を示すグラフであり、実線は第３図に示す取
付構造においてアースパターン１９を省いた場合
の特性を示し、点線は第３図に示す取付構造にお
いて誘電体フイルタの非メタライズ面とアースパ
ターン面との距離を数mm以上とした場合の特性を
示し、一点鎖線は誘電体フイルタ全体を第１図に
示すように完全に覆つた場合の特性を示す。使用
時に必要な減衰量が30dB程度であれば実線で示
すフイルタ特性で充分である。さらに減衰量が必
要であれば必要量に応じてアースパターンあるい
は電磁シールド片を設ければよく、フイルタ全体
を筺体で覆い電磁シールドを完全にすることは無
駄である。

実施例において、誘電体ブロツク１の６面全面
をメタライズしてもよい。この場合には、共振用
の貫通穴２の一端部内面は非メタライズ面とす
る。

(7) 発明の効果 以上説明したように、本発明に係る誘電体フイ
ルタの取付構造においては、誘電体ブロツクの全
体を金属性筺体に格納することなく、使用に必要
十分な電磁シールド効果をもたせてフイルタを搭
載部材に取付けることができ、従来の無駄を省く
ことができる。さらに幅広の側面を搭載面上に接
して取付けることにより、フイルタを取付けた例
えばプリント板の高さを低くすることができるた
め、装置の小型、軽量化が達成され、特に移動無
線装置において使用性が向上し、また設置スペー
ス的に有利となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の誘電体フイルタの斜視図、第２
図は本発明に係る誘電体フイルタ取付構造の実施
例の斜視図、第３図はシールド作用を理解するた
めの参考技術を示す断面図、第４図は誘電体フイ
ルタの特性を示すグラフである。 １……誘電体ブロツク、２……共振用の穴、７
……メタライズ層、９……誘電体フイルタ、１０
……押え板、１０′……支持金具、１１……電磁
シールド片、１５……プリンド板、１９……アー
スパターン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 直方体形状の誘電体ブロツクに内面がメタラ
   イズされた複数の共振用の穴を並列して設け、少
   なくとも該誘電体ブロツクの該穴の軸に垂直な２
   面の一方の面と該穴の軸に平行な４面をメタライ
   ズし、該穴の内面のメタライズは、該穴の軸に垂
   直な一方の面では該穴の軸に平行な４面のメタラ
   イズと接続され、該穴の軸に垂直な他方の面では
   該穴の軸に平行な４面のメタライズと接続されな
   いよう施された誘電体フイルタの搭載部材上への
   取付構造において、 該穴の軸と平行な４面のうち該複数の穴が並ぶ
   方向に平行な２面の一方の面が該搭載部材上の搭
   載面に接するよう誘電体ブロツクを配置し、 該誘電体ブロツクの複数の穴が並ぶ方向に平行
   な２面の他方の面を部分的に覆うとともに一部は
   該複数の穴が並ぶ方向に平行な２面の他方の面に
   沿つて該穴の軸に垂直な他方の面から突出する導
   電性の取付部材により、該誘電体ブロツクを該搭
   載部材上の搭載面に固定することを特徴とする誘
   電体フイルタの取付構造。