JPH033886B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は粉末圧縮成形体、特にボス部分を有す
る部品の厚みを測定する装置に関する。

粉末を圧縮成型したボス部分を有する部品（以
下、ボス付部品という）の厚みを測定するには、
従来、出来上がつた部品を作業者が抜取りでサン
プリングし、測定器具で測つていた。これは測定
に要する作業工数がかかる上、検査洩れのおそれ
がある。一部では、成形後の部品の重量を自動計
測し、この重量を厚みに置き換えて管理する方法
もあつたが、これはあくまで代用特性を測つてい
るにすぎないので、大まかな相違しか把握できな
い。また、成形体の厚さを、プレスから出した後
に別の計測器に入れて測る方法もあつた。しか
し、この方法は測定精度を上げようとすると、コ
ストが高くなりかつ時間もかかるという欠点があ
る。また、プレスのサイクル中で測定できるよう
にすると、測定精度を十分に保ちえないという問
題がある。

本発明の目的は、粉末圧縮成形のボス付部品の
厚みを測定する場合における上述のような問題を
解消するもので、成形体のプレスサイクルの中で
簡単かつ精度良く厚み測定を行ないうる粉末成形
体の厚み測定装置を得ることにある。

この目的を達成するために、本発明によれば、
粉末成形体であるボス付部品を圧縮成形するコア
ロツドストツプ形式の型構成を使用した装置であ
つて、可動プレスラムに装着された上型と、固定
下型とを備え、固定下型の中央部にはボス部一側
面を規定するコアロツドと、該コアロツドの中央
から上方に突出しボス孔を規定するコアを有し、
上型には圧縮成形時に前記コアが突入する孔が設
けられている前記圧縮成形装置において、上型の
前記孔の中に位置センサを固定し、該センサによ
りプレスラムの下死点における前記コアの上端位
置を検出して、ボス付部品の厚みを測定すること
を特徴とする粉末成形体の厚み測定装置が提案さ
れる。

以下、添付図面を参照して本発明の実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図及び第２図は本発明の厚み測定装置を組
み込んだ粉末圧縮成形装置を示すもので、第１図
はプレスラムの上死点位置、第２図はプレスラム
の下死点位置における状態をそれぞれ示してい
る。このプレス成形装置は金属の粉末体を圧縮成
形してボス付部品を製造するいわゆるコアロツド
ストツプ形式の型構成を使用した成形装置であ
る。

下型１０は、成形品の外周を規定するダイ１１
を備え、その内側に径方向内方に向けて順に外ポ
ンチ１２、中ポンチ１３、中央部にコアロツド１
４をそれぞれ設けて摺動可能に嵌め合わされたも
のである。外ポンチ１２、中ポンチ１３及びコア
ロツド１４は成形品の一側面を規定し、特にコア
ロツド１４の上面はボス部の一側面を規定する。
コアロツド１４の中央部にはコア１５が上方に突
出し、このコア１５はボルト１６によりコアロツ
ド１４に固着されている。コア１５は成形品であ
るボス付部品のボス孔を規定するものである。

上型２０はポンチ２１から成り、このポンチ２
１はポンチスペーサ２２を介して往復可動ラム３
０に固着されている。すなわち、ポンチ２１はリ
テーナ２３及びボルト２４によりポンチスペーサ
２２に固定され、このポンチスペーサ２２はボル
ト２５によつてプレスラム３０に固定される。ポ
ンチ２１の下面はボス付部品の他側の側面を規定
するポンチ２１の中央部には圧縮成形時にコア１
５が入つてくる孔２６が設けてあり、この孔２６
はコア１５の径と対応する径の下部孔２６ａとそ
の上部に径の大きくなつたざぐり部２６ｂから成
る。下部孔２６ａをざぐり部２６ｂの間に段部２
６ｃがある。

孔２６の内部には接触子２７が配設される。接
触子２７の下部２７ａはポンチ２１の下部孔２６
ａよりやや径が小さく、その下端面には数個の鋭
端２７ｂが設けてある。接触子２７の中間部にフ
ランジ２７ｃがあり、前記段部２６ｃに当接す
る。接触子２７の上部２７ｄは径が小さくその一
部はポンチスペーサ２２の中央孔２２ａの中にあ
る。接触子２７の上端には位置検出用の金属片２
７ｅが貼付されている。接触子２７はフランジ２
７ｃとポンチスペーサ２２との間に設けられたば
ね２８により常時下方に押し付けられている。

ポンチスペーサ２２の中央孔２２ａの上部に検
出器２９を設置するためのざぐり部２２ｂが設け
られ、蓋３１で検出器２９をおさえるようにボル
ト締めされる。検出器２９の出力コード３２はポ
ンチスペーサ２２に設けた貫通孔２２ｃを通して
外部へ引き出す。検出器２９のセンサー部２９
ａ、接触子２７の金属片２７ｅとは相対した位置
になるようにする。検出器２９としては、この実
施例では非接触形の位置センサを用いている。

金属粉末体４０はプレスラム３０が上死点にあ
る状態、即ち第１図の状態で下型１０に充填され
る。粉末の量はプレスラム３０の各サイクルにお
いて一定の容積量で充填される。粉末体４０の充
填の後、プレスラム３０が下降する。下型１０と
上型２０との間で粉末体４０はボス付部品に圧縮
成形されるのであるが、その過程で下死点近くな
るとまずコア１５がポンチ２１の孔２６に入つて
いき、コア１５の上面が接触子２７の下面鋭端２
７ｂに当たる。接触子２７の鋭端２７ｂは鋭つて
いるので、コア１５に当接する際、金属粉末体を
払いのけ、その影響を受けることはない。プレス
ラム３０が更に下降すると、接触子２７はコア１
５によりばね２８に抗して押し上げられる。プレ
スラム３０の下死点位置（即ち、第２図の位置）
では、接触子２７の上部の金属片２７ｅは検出器
２９のセンサー部２９ａに最も接近し、この時の
間隔Ｅ（センサー部２９ａから金属片２７ｅまで
の間隔）が外部のメータ（図示せず）により読み
取られる。

加圧下死点ではコアロツド１４は固定されてお
りかつプレスラム３０の下死点位置は一定である
から、前述の測定値Ｅの変動は成形時のコアロツ
ド１４の上下方向の弾性変形の変動、従つて成形
品であるボス付部品の厚さの変動によつて生ずる
ものである。前述のように、金属粉末体４０の充
填容積は各プレスサイクルごとに一定であるが、
粉末体の見掛密度が変動することによりその見掛
密度に比例して充填重量が変化する。この充填重
量の変動は圧縮時の成形荷重の変化となつてあら
われ、前述の如くコアロツド１４の上下方向の弾
性変形の変動としてあらわれるのである。

ところで、成形品であるボス付部品の厚み（第
２図のＤ）を決定するのは、下型１０の一部であ
るコアロツド１４の上下方向の弾性変形だけでな
く、上型２０（ポンチ２１及びポンチスペーサ２
２）の上下方向の長さ部分（第２図のＦの長さ）
の弾性変形も影響することは事実である。しかし
ながら、コアロツド１４の上下方向の長さに比べ
ると上型２０の上下方向の長さは約1/10程度と小
さくかつ上型２０の水平方向の断面積はコアロツ
ド１４の水平方向の断面積と比べるとはるかに大
きいので、上型２０の上下方向の弾性変形による
影響は実用上ほとんど無視できるものと考えられ
る。

第３図は、第１図及び第２図に示した実施例に
おいて、コアロツド１４とコア１５の構造を変更
した実施例を示すもので、前述の実施例のように
コア１５をコアロツド１４上に固定するのではな
く、コア１５′をコアロツド１４′の内部に固定的
に嵌合させたものである。

第４図は、第１図及び第２図に示した実施例に
おける非接触形の位置センサ２９の代わりに差動
トランス２９′を検出器として用いたもので、差
動トランス２９′の下部にはセンサーロツド２
９′ａが突出している。また、これに伴なつて接
触子２７′の上端面には前述の実施例における金
属片２７ｅを設ける必要はない。プレスラム（第
４図には図示せず）の下死点位置では接触子２
７′の上面がセンサーロツド２９′ａを上方に押
し、これによつて下死点位置における接触子２
７′の位置を検出することができる。なお、検出
器としては、非接触形のセンサや差動トランスの
他にポテンシヨメータ等の他の形式の検出器でも
使用することができる。

第１図及び第２図の実施例ではプレスラム３０
の下死点位置でのセンサー部２９ａから金属片２
７ｅまでの間隔Ｅが、また第４図の実施例では接
触子２７′の上面の位置がそれぞれ検出され、外
部の適切なメータで読み取られる。これらの測定
値を適当に換算してプレスラム下死点位置におけ
るコアロツド１４，１４′の上端位置を求めるこ
とは容易であり、このコアロツド１４，１４′の
上端位置は粉末体４０の充填重量（粉末成形体で
あるボス付部品の厚み）の関数となつてあらわれ
るコアロツドの弾性変形によつて定まるところか
ら、前記測定値に基づいて成形体の厚みを求める
ことができるのである。

このように、本発明によれば、粉末成形体の圧
縮成形と同時に、そのプレスサイクルに合わせて
成形品の厚さを測定することができ、事実上５ミ
クロン程度以上の精度でもつて測定することがで
きるのである。また、従来の成形品のプレス型装
置に大幅な変更を伴なうことなく測定が行なえ、
測定工数がかからずかつ安価である。また、割れ
やすい粉末成形体を別の測定器にかける場合のよ
うに、「欠け」や「割れ」等のトラブルを生ずる
おそれもない。また、本発明によれば、オンライ
ンで計測できるので、成形品の合否の判定に使用
できるだけでなく、測定結果を粉末体の充填量供
給装置にフイードバツクして厚みを自動的に制御
することも可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の厚み測定装置を組
み込んだ粉末圧縮成型装置を示す縦断面図で、第
１図はプレスラムの上死点位置、第２図はプレス
ラムの下死点位置における状態にそれぞれ示した
ものである。第３図は下型の構造を変更した実施
例の縦断面図、第４図は検出器として差動トラン
スを用いた実施例の縦断面図である。 １０……下型、１４……コアロツド、１５……
コア、２０……上型、２１……ポンチ、２２……
ポンチスペーサ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 粉末成形体であるボス付部品を圧縮成形する
   コアロツドストツプ形式の型構成を使用した装置
   であつて、可動プレスラムに装着された上型と、
   固定下型とを備え、固定下型の中央部にはボス部
   一側面を規定するコアロツドと、該コアロツドの
   中央から上方に突出しボス孔を規定するコアを有
   し、上型には圧縮成形時に前記コアが突入する孔
   が設けられている前記圧縮成形装置において、上
   型の前記孔の中に位置センサを固定し、該センサ
   によりプレスラムの下死点における前記コアの上
   端位置を検出して、ボス付部品の厚みを測定する
   ことを特徴とする粉末成形体の厚み測定装置。