JPH0338566B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、耐水圧密封を必要とする海底光ケ
ーブルの密封成端部の心線引出部における光フア
イバ心線移動防止装置に関するものである。

従来の海底光ケーブルの密封成端部の心線引出
部は第１図に示すように、光フアイバ心線１をバ
ツクアツプ金型２の一端に形成された光フアイバ
心線１の心線外径より若干大きい貫通孔３に挿通
後、貫通孔３と同心の大径穴部４の光フアイバ心
線１の周囲に硬化性樹脂５を充填して硬化させ、
光フアイバ心線１の移動を防止していた。この場
合、光フアイバ心線１の移動防止は、光フアイバ
心線１の被覆材料であるナイロン樹脂と硬化性樹
脂５との接着性によるところが多く、信頼性を高
めるためには大径穴部４を長くする必要があり、
これが密封成端部を小型化できない欠点となつて
いた。

また、硬化性樹脂５の端面に静水圧を作用させ
た場合、心線界面に生ずる応力は静水圧の50％以
下となり、自封作用は得られない。

また、硬化性樹脂５に光フアイバ心線１を端面
と垂直に、かつ真直に引通すことは技術的困難さ
が伴う欠点があつた。

この発明は、これらの欠点を除去するためにな
されたもので、バツクアツプ金型の大型穴部に円
筒状部材を嵌合することにより光フアイバ心線を
挾持せしめる構成とするとともに、バツクアツプ
金型の内径および円筒状部材の外径の少なくとも
一方に、光フアイバ心線の移動方向に挾持力を増
加せしめるテーパを形成したことを特徴とし、そ
の目的は経済性、信頼性、作業性に優れた光フア
イバ心線移動防止装置を提供するにある。以下、
この発明について説明する。

第２図、第３図はこの発明の一実施例を示す図
で、第２図に示すバツクアツプ金型１０は、その
一端、すなわち底面の中央付近に光フアイバ心線
１の心線外径よりも幾分大きめの貫通孔１１が形
成され、この貫通孔１１と同心に形成された大径
穴部１２にテーパ１２ａを形成し、一方、この大
径穴部１２には、第３図ａ，ｂに示すように外径
が大径穴部１２の底部１２ｂの内径よりも大きく
て、かつ大径穴部１２の入口部１２ｃの内径より
も小さく、かつ心線外径とほぼ同径の孔２３が形
成される２つのチツプ２１，２２からなり、光フ
アイバ心線１をはさんだとき、分割面に若干の間
隙ｇができるように形成した円筒状部材２０が嵌
合される。第４図ａ，ｂはその嵌合状態を示すも
ので、第４図ａは円筒状部材２０をテーパ１２ａ
の形成された大径穴部１２に途中まで嵌合した状
態を示し、第４図ｂは完全に嵌合した状態を示
す。

このように２つのチツプ２１，２２からなる円
筒状部材２０に光フアイバ心線１をはさんで、テ
ーパ付きの大径穴部１２に入れると光フアイバ心
線１をはさんだチツプ２１，２２からなる円筒状
部材２０の外径は大径穴部１２の入口部１２ｃの
径より幾分小さいので、大径穴部１２の途中まで
は抵抗なく入れることができる。しかし、大径穴
部１２の内径は底部１２ｂに近づくほど小さくな
つているので、チツプ２１，２２の先端を底部１
２ｂにまで入れようとすると、チツプ２１，２２
は大径穴部１２の側壁から力を受け、チツプ２
１，２２はこの力によつて光フアイバ心線１を締
め付ける。この効果はチツプ２１，２２を大径穴
部１２の底部１２ｂ近くまで入れるほど強くな
る。すなわち、チツプ２１，２２を大径穴部１２
の底部方向に移動させようとすると心線を強く締
め付けて光フアイバ心線１の移動を防止する一種
の自己移動防止作用、すなわち自封作用を持つこ
とがわかる。

第５図、第６図はこの発明の他の実施例を示す
もので、第５図に示すバツクアツプ金型１０の大
径穴部１２にはテーパを形成せず、第６図ａ，ｂ
に示すように２つのチツプ２１，２２からなる円
筒状部材２０の各チツプ２１，２２にテーパ２１
ａ，２２ａを形成したものである。

この円筒状部材２０をバツクアツプ金型１０の
大径穴部１２に嵌合した状態を第７図ａ，ｂに示
す。第７図ａはチツプ２１，２２に光フアイバ心
線１をはさんで大径穴部１２の途中まで嵌入した
状態を示し、第７図ｂは大径穴部１２の底部１２
ｂまで嵌入した状態を示す。なお、作用は第２
図、第３図の実施例と同様である。

第８図、第９図はこの発明のさらに他の実施例
を示すもので、この実施例はバツクアツプ金型１
０の大径穴部１２にテーパ１２ａを形成するとと
もに、円筒状部材２０を構成するチツプ２１，２
２にもテーパ２１ａ，２２ａを形成したものであ
る。このバツクアツプ金型１０に円筒状部材２０
を嵌入した状態を第１０図ａ，ｂに示す。

この作用は、上記各実施例と同様であるが、バ
ツクアツプ金型１０の大径穴部１２とチツプ２
１，２２の両方にテーパ１２ａおよび２１ａ，２
２ａがついているため、円筒状部材全体で光フア
イバ心線１を締め付けるため、光損失特性に与え
る影響を小さくすることができる。

第１１図、第１２図はこの発明のさらに他の実
施例を示すもので、この実施例はバツクアツプ金
型１０の大径穴部１２にテーパ１２ａを形成し、
この大径穴部１２に嵌入する円筒状部材２４をテ
フロン等の樹脂で形成し、中心に光フアイバ心線
１が挿通する貫通孔２５があけられ、かつ一端に
くさび状の切込み２４ａを形成したものである。
この嵌入状態を第１３図ａ，ｂに示す。この実施
例の場合には、円筒状部材２４を大径穴部１２に
嵌入するにしたがいくさび状の切込み２４ａの部
分の間隙が狭くなり内部の光フアイバ心線１を挾
持する。

第１４図、第１５図はこの発明のさらに他の実
施例を示すもので、この実施例は第１４図のバツ
クアツプ金型１０の大径穴部１２に嵌入される円
筒状部材を、第１２図におけるテフロン等の樹脂
よりなる円筒状部材２４のかわりに中央に光フア
イバ心線１の挿通する貫通孔２６ａが形成され、
かつ外周からこの貫通孔２６ａの中心に通じるく
さび状の切込み２６ｂを入れたテフロン等の樹脂
からなる円板状のチツプ２６を複数枚重ねて貫通
孔２６ａに光フアイバ心線１を通し、これを第１
６図のように大径穴部１２に嵌入したものであ
る。

第１７図は第１１図、第１２図に示した実施例
のバツクアツプ金型１０および円筒状部材２４を
用いて海底光ケーブル気密成端部を構成したもの
である。すなわち、第１３図ｂのように光フアイ
バ心線１を挿通後、円筒状部材２４をバツクアツ
プ金型１０の大径穴部１２の底部１２ｂまで嵌入
し海底に沈めたときに高水圧側となる側に、中央
に心線外径より若干小さめで貫通孔３０ａが形成
されたノズル部３０ｂを一端に有し周囲にＯリン
グ状の凸出部３０ｃを有するゴム部材３０を円筒
状部材２４から引き出された光フアイバ心線１を
貫通孔３０ａに挿通し、ゴム部材３０のノズル部
３０ｂのない側を円筒状部材２４に密着するよう
にゴム部材３０のＯリング状の凸出部３０ｃをリ
ング状の押え金具３１で押え、さらに袋ナツト３
２でバツクアツプ金型１０の一端に固定したもの
である。

この気密成端部を海底に沈めると、気密はゴム
部材３０の凸出部３０ｃの自己封止作用によつて
確保され、光フアイバ心線１の移動はゴム部材３
０を介して円筒状部材２４に伝えられ、円筒状部
材２４を軸方向に移動させる。このときバツクア
ツプ金型１０の大径穴部１２は底に近づくほど小
さくなるテーパ１２ａが形成されており、かつ円
筒状部材２４にはくさび状の切込み２４ａがある
ので、円筒状部材２４は光フアイバ心線１を強く
締め付けるようになる。すなわち、円筒状部材２
４には力が作用して押し込まれようとすればする
ほど光フアイバ心線１を強く締め付けて移動を阻
止する効果が大きくなるという一種の自己移動防
止作用を有する。

なお、第１７図の実施例は第１１図、第１２図
のバツクアツプ金型１０および円筒状部材２４を
用いて気密成端部を構成したものであるが、その
他の上記各実施例についても同様にして気密成端
部を構成できることはいうまでもない。

第１８図はこの発明のさらに他の実施例を示す
もので、上述した実施例が一方向の力に対して自
己移動防止作用を呈するのに対してこの実施例は
両方向の力に対して自己移動防止作用を呈するよ
うにしたものである。すなわち、第１８図におい
て、４０ａ，４０ｂはバツクアツプ金型で、その
大径穴部４１ａ，４１ｂにはそれぞれテーパ４２
ａ，４２ｂが形成されている。５０は円筒状部材
で、チツプ５１，５２からなり、これを重ねたと
き中央に光フアイバ心線１を挾持するための貫通
孔が形成されるようになつている。また、チツプ
５１，５２の外周には軸方向の両端に向かつて前
記大径穴部４１，４１ｂのテーパ４２ａ，４２ｂ
に合致するテーパ５１ａ，５１ｂおよび５２ａ，
５２ｂが形成されている。

これを組み立てるには、チツプ５１，５２で光
フアイバ心線１を挾持し、この円筒状部材５０を
その両側からバツクアツプ金型４０ａ，４０ｂの
大径穴部４１ａ，４１ｂを嵌合せしめ一体化す
る。この時、円筒状部材５０が大径穴部４１ａ，
４１ｂより大きめになるようにチツプ５１，５２
を作成しておけば、一体化したときに大径穴部４
１ａ，４１ｂのテーパ４２ａ，４２ｂがチツプ５
１，５２に力を及ぼして光フアイバ心線１を締め
付けるために光フアイバ心線１の移動防止作用が
得られる。また、チツプ５１，５２の方を幾分小
さめに作つた場合でも、光フアイバ心線１とチツ
プ５１，５２の両方に軸方向の力が同時に作用す
る場合には、チツプ５１，５２が力の方向に移動
して、力を受ける反対側のテーパがチツプ５１，
５２に力を及ぼして光フアイバ心線１を締め付け
るために、心線移動を防止する作用が得られる。
前記とは反対側から力が作用しても同様である。
このようにどちら向きの力に対しても光フアイバ
心線１の移動を防止する効果が得られる。

第１９図は第１８図のバツクアツプ金型４０
ａ，４０ｂを用いて気密成端部を構成したもので
ある。すなわち、一体化したバツクアツプ金型４
０ａ，４０ｂの両側からゴム部材３０を円筒状部
材５０との間に、それぞれ光フアイバ心線１が挿
通する貫通孔を有し、外側面が大径穴部４１ａ，
４１ｂのテーパ４２ａ，４２ｂと合致するテーパ
５３ａが形成された金属コーン５３を介在せしめ
て、第１７図と同様に装着される。なお、５４は
耐圧筐体である。

この構成によれば、第１７図の気密成端部が片
側の水圧のみに対して光フアイバ心線１の移動防
止作用を有するのに対し、第１９図の気密成端部
は左右対称にできているので、どちらから圧力が
かかつても光フアイバ心線１の移動防止作用を有
することができる。したがつて、海底光ケーブル
の接続点、中継点における成端部として適用でき
る。

以上説明したように、この発明によれば、圧力
方向に移動しようとする光フアイバ心線をその圧
力に応じて締め付け、その移動を防止するように
構成したので、海底光ケーブルの気密成端部にお
ける光フアイバ心線の移動を確実に防止できる利
点が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは従来の海底光ケーブル成端部の
心線引出部の正断面図および側断面図、第２図、
第３図はこの発明の一実施例を示すもので、第２
図はバツクアツプ金型の正断面図、第３図ａ，ｂ
は円筒状部材の側面図および正面図、第４図ａ，
ｂはバツクアツプ金型と円筒状部材の嵌合状態を
示す正断面図、第５図、第６図はこの発明の他の
実施例を示すもので、第５図はバツクアツプ金型
の正断面図、第６図ａ，ｂは円筒状部材の側面図
および正面図、第７図ａ，ｂはバツクアツプ金型
と円筒状部材の嵌合状態を示す正断面図、第８
図、第９図はこの発明のさらに他の実施例を示す
もので、第８図はバツクアツプ金型の正断面図、
第９図ａ，ｂは円筒状部材の側面図および正面
図、第１０図ａ，ｂはバツクアツプ金型と円筒状
部材の嵌合状態を示す正断面図、第１１図、第１
２図はこの発明のさらに他の実施例を示すもの
で、第１１図はバツクアツプ金型の正断面図、第
１２図ａ，ｂ，ｃは円筒状部材の左側面図、正面
図、右側面図、第１３図ａ，ｂはバツクアツプ金
型と円筒状部材の嵌合状態を示す正断面図、第１
４図、第１５図はこの発明のさらに他の実施例を
示すもので、第１４図はバツクアツプ金型の正断
面図、第１５図ａ，ｂはチツプの正面図および側
面図、第１６図はバツクアツプ金型とチツプの嵌
合状態を示す正断面図、第１７図は第１１図、第
１２図の実施例のバツクアツプ金型および円筒状
部材を用いて構成した気密成端部の断面図、第１
８図はこの発明のさらに他の実施例を示すバツク
アツプ金型と円筒状部材を嵌合した状態の正断面
図、第１９図は第１８図の実施例のバツクアツプ
金型および円筒状部材を用いて構成した気密成端
部の正断面図である。 図中、１０はバツクアツプ金型、１１は貫通
孔、１２は大径穴部、１２ａはテーパ、１２ｂは
底部、１２ｃは入口部、２０は円筒状部材、２
１，２２はチツプ、２１ａ，２２ａはテーパ、２
３は孔、２４は円筒状部材、２４ａは切込み、２
６はチツプ、２６ａは貫通孔、２６ｂは切込みで
ある。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 耐水圧密封を施した海底光ケーブルの気密成
   端部において、中央に光フアイバ心線が挿通され
   る貫通孔とこの貫通孔と同心の大径穴部とが形成
   されたバツクアツプ金型と、前記貫通孔を通つて
   導出された光フアイバ心線を挿通する貫通孔を有
   し、前記バツクアツプ金型の大径穴部に嵌合され
   たとき内方に向けて変位し前記光フアイバ心線を
   その被覆材の上から挾持する円筒状部材とからな
   り、前記バツクアツプ金型の大径穴部または前記
   円筒状部材の外径の少なくとも一方に前記光フア
   イバ心線が移動しようとする方向に挾持力を増加
   せしめるテーパを形成し大径穴部の外側に気密保
   持用のゴム部材を有し、該ゴム部材は中央に心線
   外径よりも若干小さめの貫通孔が形成されたノズ
   ル部を一端に有し、他端は大径穴部より大径の円
   板からなり、該円板の外周部にはＯリング状の凸
   出部を有し、該ゴム部材の貫通孔に光フアイバを
   挿通した状態でＯリング状の凸出部を袋ナツトに
   よりバツクアツプ金型に固定したことを特徴とす
   る海底ケーブルの気密成端部。