JPH0336319Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は自動車のフロントシート構造の改良
に関する。

〔従来の技術〕

従来、第５図に示されるような自動車のフロン
トシート１は、第６図に示されるように、シート
フレーム２と、このシートフレーム２上に取付け
られたクツシヨン構造体３と、このクツシヨン構
造体及び前記シートフレーム２からなる組立体の
上面及び側周面を被い、その周縁端末部４Ａで前
記シートフレーム２の係止部２Ａに係止されるシ
ートカバー４と、を含むシートクツシヨン５と；
シートバツク６と；車体フロア７に取付けられ、
前記シートクツシヨン５の幅方向両側下部に沿つ
て延在され、かつ、前記シートバツク６下端部に
至り、前記シートクツシヨン５及びシートバツク
を支持するシートアジヤスタ８と；を備えて構成
されている。

図の符号９はシートアジヤスタ８の外側面を被
う硬質樹脂からなるサイドシールドを示す。

ここで、前記シートカバー４の周縁端末部４Ａ
には、通常板状の樹脂芯４Ｂが取付けられ、この
樹脂芯４Ｂを前記シートフレーム２における係止
部２Ａの裏側で反転させることによつて該樹脂芯
４Ｂの反発力によりシートカバー４を係止部２Ａ
に強力に係止させる構造となつている。

即ち、いわゆる圧縮カバーリングの方法がとら
れている。

ここで、前記サイドシールド９は、シートアジ
ヤスタ４の外側部から、シートカバー４の周縁端
末部４Ａに至る範囲を被つて目隠しするものであ
るために、結果として、シートクツシヨン４の両
側部のかなりの部分を被う大きさとなる。

このために、例えば、乗員がシートクツシヨン
５の幅方向端部に腰掛けたり、あるいは手をつい
たような場合、前記サイドシールド９にその身体
の一部が接触して、該乗員に不快感を与えるとい
う問題点がある。

さらに、サイドシールド９はシートクツシヨン
５の両側部のかなりの高さ部分まで被うので、該
シートクツシヨン５の見掛けの厚さが小さくな
り、フロントシート１の高級感、品質感及びクツ
シヨン感を低減させてしまうという問題点があ
る。

これに対して、第７図に示されるように、シー
トアジヤスタ８をフロントシート１に組付けた後
に、前記シートカバー４の周縁端末部４Ａを、シ
ートアジヤスタ８の上部に取付けられたワイヤ１
０にホグリング１１を介して係止するようにした
ものがある。

この場合、シートクツシヨン５の側周部は大部
分がシートカバー４によつて被われているため
に、サイドシールド９はシートクツシヨン５とシ
ートアジヤスタ８の連結部近傍すなわちシートク
ツシヨン５後側部のみを被う小型なものとなる。

従つて前述のように、サイドシールドが乗員の
身体の一部に触れたり、あるいは、シートの高級
感、品質感、クツシヨン感を大幅に低減させるよ
うなことがない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、前記第７図に示されるようなフ
ロントシートは、その製造過程の作業工数が多く
かかり、製造コストが増大し、且つ、シートの量
産工程には適用できないという問題点がある。

〔考案の目的〕

この考案は上記従来の問題点に鑑みてなされた
ものであつて、製造過程における作業工数が少な
く、且つサイドシールドを小型のものにすること
ができるようにした自動車のフロントシート構造
を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、シートフレームと、このシートフ
レーム上に取付けられたクツシヨン構造体と、こ
のクツシヨン構造体及び前記シートフレームから
なる組立体の上面及び側周面を被い、その周縁端
末部で前記シートフレームの係止部に係止される
シートカバーと、を含むシートクツシヨンと；シ
ートバツクと；車体フロアに取付けられ、前記シ
ートクツシヨンの幅方向両側下部に沿つて延在さ
れ、かつ、前記シートバツク下端部に至り、前記
シートクツシヨン及びシートバツクを支持するシ
ートアジヤスタと；を有してなる自動車のフロン
トシート構造において、 前記シートフレームの前記係止部を、少なくと
もシートクツシヨン前半部両側位置で、前記シー
トアジヤスタの幅方向外側下部近傍にまで延在さ
せ、この延在された係止部の先端に前記シートカ
バーの周縁端末部を係止させることにより上記目
的を達成するものである。

また、前記シートアジヤスタは、前記シートク
ツシヨンの幅方向両側後部で該シートクツシヨン
を支持部を介して支持し、前記シートフレームの
係止部は、前記シートアジヤスタの支持部より前
方位置で、該シートアジヤスタの幅方向外側下部
に至る前側係止部と、前記支持部の近傍位置で、
該支持部よりも高く、且つ該支持部の幅方向内側
に配置された後側係止部と、に２分割されて形成
され、前記シートカバーの周縁端末部は、前記前
側係止部に係止される前側端末部と、前記後側係
止部に係止される後側端末部と、に２分割して形
成されるようにして、上記目的を達成するもので
ある。

また、前記前側係止部の後端部と後側係止部の
前端部は、前後方向に重複して配置され、且つ、
前記前側端末部の後端部と後側端末部の前端部
は、前記前側係止部及び後側係止部の前後方向の
重複と対応して、前後方向に重複されるように構
成して上記目的を達成するものである。

さらに、前記シートカバーを、少なくともシー
トクツシヨン側周部において分割し、前記前側端
末部に接続する前側部と後側端末部に接続する後
側部とすることにより上記目的を達成するもので
ある。

また、前記シートカバーにおける前記前側部の
後端部と、後側部の前端部とを、前後方向に重複
することにより上記目的を達成するものである。

さらに、前記前側係止部に係止される前記前側
端末部と前記後側係止部に係止される後側端末部
とのシート幅方向の隙間を、前記シートアジヤス
タの前記支持部よりも前側の部分が挿入可能とす
ることにより上記目的を達成するものである。

〔作用〕

この考案において、シートカバーの周縁端末部
はシートアジヤスタの組付け前にシートカバーを
取付けて、フロントシート組立て工数を低減させ
ると共に、シートカバーによりシートアジヤスタ
の大部分の外側を被つて、フロントシートの高級
感、品質感、クツシヨン感を増大させるのみなら
ず、サイドシールドによつて被われる部分を最小
限として、乗員の身体の一部がサイドシールドに
接触しにくいようにしている。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。

この実施例は、第１図乃至第４図に示されるよ
うに、シートフレーム２２と、このシートフレー
ム２２上に取付けられたクツシヨン構造体２４
と、このクツシヨン構造体２４及び前記シートフ
レーム２２からなる組立体２６の上面２６Ａ及び
側周面２６Ｂを被い、その周縁端末部２９で前記
シートフレーム２２の係止部３０に係止されるシ
ートカバー２８と、を含むシートクツシヨン２０
と；シートバツク３２と；車体フロア３４に取付
けられ、前記シートクツシヨン２０の幅方向両側
下部に沿つて延在され、かつ、前記シートバツク
３２下端部に至り、前記シートクツシヨン２０及
びシートバツク３２を支持するシートアジヤスタ
３６と；を有してなる自動車のフロントシート構
造において、 前記シートフレーム２２の前記係止部３０を、
前記シートアジヤスタ３６の幅方向外側下部近傍
にまで延在させ、この延在された係止部２０の先
端に前記シートカバー２８の周縁端末部２９を係
止させたものである。

前記シートアジヤスタ３６は、前記シートクツ
シヨン２０の幅方向両側後部で該シートクツシヨ
ン２０を支持部３６を介して支持し、前記シート
フレーム２２の係止部３０は、前記シートアジヤ
スタ３６の支持部３６Ａより前方位置で、該シー
トアジヤスタ３６の幅方向外側下部に至る前側係
止部３０Ａと、前記支持部３６Ａの近傍位置で、
該支持部３６Ａよりも高く、且つ、該支持部３６
Ａの幅方向内側に配置された後側係止部３０Ｂ
と、に２分割されて形成され、前記シートカバー
２８の周縁端末部２９は、前記前側係止部３０Ａ
に係止される前側端末部２９Ａと、前記後側係止
部３０Ｂに係止される後側端末部２９Ｂと、に２
分割して形成されている。

前記前側係止部３０Ａの後端部と後側係止部３
０Ｂの前端部は、前後方向に重複して配置され、
且つ、前記前側端末部２９Ａの後端部と後側端末
部２９Ｂの前端部は、前記前側係止部３０Ａ及び
後側係止部３０Ｂの前後方向の重複と対応して、
前後方向に重複されている。

さらに、前記シートカバー２８は、シートクツ
シヨン２０側周部において分割され、前記前側端
末部２９Ａに接続する前側部２８Ａと後側端末部
２９Ｂに接続する後側部２８Ｂとされている。

また、このシートカバー２８における前側部２
８Ａの後端部と、後側部２８Ｂの前端部とは、前
記前側端末部２９Ａと後側端末部２９Ｂ及び前側
係止部３０Ａと後側係止部３０Ｂとの前後方向の
重複に対応して前後方向に重複されている。

ここで、前記前側係止部３０Ａに係止される前
記前側端末部２９Ａと前記後側係止部３０Ｂに係
止される後側端末部２９Ｂのシート幅方向の隙間
３８は、前記シートアジヤスタ３６の前記支持部
３６Ａよりも前側の部分が挿入可能となる程度に
されている。

第３図の符号４０Ａ，４０Ｂは、それぞれシー
トカバー２８の周縁端末部における前側部２８Ａ
及び後側部２８Ｂに取付けられた樹脂芯を示す。

これら樹脂芯４０Ａ，４０Ｂは、第３図に拡大
して示されるように、前記前側係止部３０Ａ、後
側係止部３０Ｂの裏側（シート幅方向中央側）に
これら前側係止部３０Ａ及び後側係止部３０Ｂの
下端から反転して嵌込まれることにより、シート
カバー２８をこれら前側係止部３０Ａ及び後側係
止部３０Ｂに強固に係止させるものである。

また第１図の符号４２はシートアジヤスタ３６
の後部外側を被うためのサイドシールドを示す。

この実施例に係るフロントシートを組立てる際
には、シートフレーム２２上にクツシヨン構造体
２４を取付けて組立体２６を形成した後、シート
カバー２８を該組立体２６に取付ける。

シートカバー２８の取付けに際しては、まず後
側部２８Ｂを、前述の如く樹脂芯４０Ｂを後側係
止部３０Ｂの裏側に反転して嵌込んで取付け、次
いで前側部２８Ａを、その前側端末部２９Ａに取
付けられた樹脂芯４０Ａを、前側係止部３０Ａ裏
側に反転して嵌込むことにより取付ける。

次に、予めシートバツク３２が取付けられたシ
ートアジヤスタ３６を、その前側部が前記前側係
止部３０Ａの幅方向内側に入るように、前側係止
部３０Ａと後側係止部３０Ｂとの間に後方から挿
入する。

次にシートアジヤスタ３６の支持部３６Ａによ
りシートクツシヨン２０を支持し、該シートアジ
ヤスタ３６を車体フロア３４に固定し、さらにサ
イドシールド４２を取付けてシートクツシヨン後
側部を隠蔽して、フロントシートの組立て及び取
付けを終了する。

従つてこの実施例においては、フロントシート
の製造工程における作業工数が、第７図に示され
るフロントシートの場合よりも少なく、且つ量産
に適したものとなる。

また、第６図に示される従来のフロントシート
と比較して、サイドシールド４２を小さくするこ
とができ、従つて、乗員がシートクツシヨン２２
の幅方向端部位置で、その身体がサイドシールド
に接触することはなく、乗員に不快感を与えな
い。

さらに、サイドシールド４２は第６図に示され
るフロントシートと比較して、シートクツシヨン
２０の側面を被う範囲が小さいので、シートクツ
シヨンの高級感、品質感及びクツシヨン感を損う
ことが少ない。

さらに、シートカバー２８の周縁端末部２９に
樹脂芯４０Ａ，４０Ｂを取付け、この樹脂芯４０
Ａ，４０Ｂを前側係止部３０Ａ，３０Ｂの裏側に
反転して嵌込むことにより、シートカバー２８を
取付ける、いわゆる圧縮カバーリングの利点を何
ら損うことなく、サイドシールド４２を小型化す
ることができる。

〔考案の効果〕

本考案は上記のように構成したので、製造工程
における作業工数を増大させることなく、サイド
シールドの小型化を図り、これにより、サイドシ
ールドと乗員の身体との接触機会を抑制すると共
に、フロントシートの高級感、品質感及びクツシ
ヨン感を増大させることができるという優れた効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動車のフロントシート
構造の実施例を示す斜視図、第２図は第１図の
−線相当部分の拡大断面図、第３図は第２図の
要部を拡大して示す断面図、第４図は同実施例に
係るフロントシートを分解して示す側面図、第５
図は従来の自動車のフロントシートを示す斜視
図、第６図は第５図の−線に沿う拡大断面
図、第７図は他の従来のフロントシートを示す第
６図と同様の断面図である。 ２０……シートクツシヨン、２２……シートフ
レーム、２４……クツシヨン構造体、２６……組
立体、２６Ａ……上面、２６Ｂ……側周面、２８
……シートカバー、２８Ａ……前側部、２８Ｂ…
…後側部、２９……周縁端末部、２９Ａ……前側
端末部、２９Ｂ……後側端末部、３０……係止
部、３０Ａ……前側係止部、３０Ｂ……後側係止
部、３２……シートバツク、３４……車体フロ
ア、３８……隙間。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シートフレームと、このシートフレーム上に
   取付けられたクツシヨン構造体と、このクツシ
   ヨン構造体及び前記シートフレームからなる組
   立体の上面及び側周面を被い、その周縁端末部
   で前記シートフレームの係止部に係止されるシ
   ートカバーと、を含むシートクツシヨンと；シ
   ートバツクと；車体フロアに取付けられ、前記
   シートクツシヨンの幅方向両側下部に沿つて延
   在され、かつ、前記シートバツク下端部に至
   り、前記シートクツシヨン及びシートバツクを
   支持するシートアジヤスタと；を有してなる自
   動車のフロントシート構造において、 前記シートフレームの前記係止部を、少なく
   ともシートクツシヨン前半部両側位置で、前記
   シートアジヤスタの幅方向外側下部近傍にまで
   延在させ、この延在された係止部の先端に前記
   シートカバーの周縁端末部を係止させてなる自
   動車のフロントシート構造。 (2) 前記シートアジヤスは、前記シートクツシヨ
   ンの幅方向両側後部で該シートクツシヨンを支
   持部を介して支持し、前記シートフレームの係
   止部は、前記シートアジヤスタの支持部より前
   方位置で、該シートアジヤスタの幅方向外側下
   部に至る前側係止部と、前記支持部の近傍位置
   で、該支持部よりも高く、且つ、該支持部の幅
   方向内側に配置された後側係止部と、に２分割
   されて形成され、前記シートカバーの周縁端末
   部は、前記前側係止部に係止される前側端末部
   と、前記後側係止部に係止される後側端末部
   と、に２分割して形成された実用新案登録請求
   の範囲第(1)項記載の自動車のフロントシート構
   造。 (3) 前記前側係止部の後端部と後側係止部の前端
   部は、前後方向に重複して配置され、且つ、前
   記前側端末部の後端部と後側端末部の前端部
   は、前記前側係止部及び後側係止部の前後方向
   の重複と対応して、前後方向に重複されてなる
   実用新案登録請求の範囲第(2)項記載の自動車の
   フロントシート構造。 (4) 前記シートカバーは、少なくともシートクツ
   シヨン側周部において分割され前記前側端末部
   に接続する前側部と後側端末部に接続する後側
   部とされた実用新案登録請求の範囲第(2)項又は
   第(3)項記載の自動車のフロントシート構造。 (5) 前記シートカバーにおける前記前側部の後端
   部と、後側部の前端部とは、前後方向に重複さ
   れてなる実用新案登録請求の範囲第(4)項記載の
   自動車のフロントシート構造。 (6) 前記前側係止部に係止される前記前側端末部
   と前記後側係止部に係止される後側端末部との
   シート幅方向の隙間は、前記シートアジヤスタ
   の前記支持部よりも前側の部分が挿入可能とさ
   れた実用新案登録請求の範囲第(2)項、第(3)項、
   第(4)項又は第(5)項記載の自動車のフロントシー
   ト構造。