JPH0336242B2

JPH0336242B2 -

Info

Publication number: JPH0336242B2
Application number: JP58189042A
Authority: JP
Inventors: Ikutaka Kosugi
Original assignee: Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Current assignee: Toyo Tire Corp
Priority date: 1983-10-07
Filing date: 1983-10-07
Publication date: 1991-05-30
Also published as: JPS6081705A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は熱硬化性樹脂にニツケル粉末と鱗片状
黒鉛とを混合した広領域周波数帯用電磁波シール
ド材に係り、従来の電磁波シールド材の欠点を改
良し、電磁波シールド材として塗材又は成型品そ
のままを使用して広範囲の周波数帯において、高
性能の電磁波シールド性とともに、組成物の均質
性と優れた構造強度を付与することを目的とする
ものである。従来デジタル技術を応用した事務機器やコンピ
ユーター機器は電磁波の遮蔽処置がなされていな
いため、これが外部にもれて、周辺のエレクトロ
ニクス機器に電磁波妨害を惹き起し、公害問題と
してクローズアツプされて来た。このため、電磁
波シールド材による公害問題の解決が急務となつ
ている。合成樹脂やゴムの中に金属粉末、金属繊維、金
属薄片を混入した電磁波シールド材料が用いられ
るようになつた。また合成樹脂の表面に金属溶
射、金属箔ラミネート、金属混入塗材による塗装
を行ないシールド性を高める方法が実用化されて
きている。一方カーボン材料を合成樹脂に混合して導電性
を高める方法も採られている。上記金属材料を合成樹脂に混合した従来のシー
ルド材は導電性を高め、電磁波シールド特性が付
与されるものの、その反面(イ)衝撃強度の低下、(ロ)
金属と樹脂との比重差による均一分散性の不良、
(ハ)組成物の成型や塗装工程における流動性の低
下、(ニ)金属自体の腐食による経時的な材質、性能
の低下などの欠点がある。また金属溶射、金属箔のラミネート又は金属メ
ツキをした電磁波シールド材は被膜が剥離する恐
れがあり、全般的に長期の耐久性に劣る欠点があ
る。その上金属材料を含む合成樹脂は30MHzより高
い周波数の電磁波に対しては高いシールド性があ
るがそれよりも低い周波数の電磁波に対してはシ
ールド効果が低いのである。またカーボン材料を用いた合成樹脂のシールド
性は精々電気抵抗値が10³Ωcmまででそれ以上の
ものは得難く、また30MHz以上の電磁波に対して
はシールド効果が低い。本発明は上記従来の電磁波シールド材の欠点に
鑑み、本発明者が鋭意研究した結果到達したもの
で、熱硬化性樹脂100重量部に対して鱗片状黒鉛
とニツケル粉末との合計量で50〜300重量部を含
有し、かつニツケル粉末１に対して鱗片状黒鉛が
0.02〜１の比率となした広領域周波数帯用電磁波
シールド材を提供するものである。さらに詳しくは本発明に使用される例えば不飽
和ポリエステル樹脂は不飽和ジカルボン酸または
不飽和ジカルボン酸と飽和ジカルボン酸とを多価
アルコールによつて縮重合させたもの、および変
性ビニルエステル樹脂をスチレンモノマーまたは
ビニルトルエン等のモノマーに溶解したのものな
どで代表される不飽和ポリエステル樹脂であり、
さらにこの不飽和ポリエステル樹脂100重量部に
５〜50重量部の鱗片状黒鉛と５〜250重量部のニ
ツケル粉末とを混合した組成からなる塗材又は成
型物が使用される。また上記不飽和ポリエステル樹脂をベースにし
た組成物に限らずエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、フエノール樹脂などの
熱硬化性樹脂をベースにして、これらの樹脂100
重量部に５〜50重量部の鱗片状黒鉛と50〜250重
量部のニツケル粉末とを混合した組成からなる塗
材又は成型物を用いることによつて不飽和ポリエ
ステル樹脂と同様に本発明の目的が達成できる
が、不飽和ポリエステル系樹脂又はエポキシ系樹
脂が特に好適である。熱硬化性樹脂100重量部に対して、鱗片状黒鉛
５重量部又はニツケル粉末50重量部未満の場合は
広領域周波数帯に対する電磁波のシールド効果が
著しく低く本発明の目的が達成されず、また鱗片
状黒鉛50重量部又はニツケル粉末250重量部を超
過した場合は得られた電磁波シールド材としての
効果はそれ程大きく低下しないが塗材又は成型物
の衝撃強度並びに剥離強度が低く、同様に本発明
の目的を達成することができない。本発明に使用の鱗片状黒鉛の大きさは10〜200
ミクロン、厚みは20〜40ミクロンの結晶黒鉛が望
ましく、炭素純度も95％以上が比較的良好であ
る。一方ニツケル粉体は大略１〜10ミクロンの大き
さが分散上望ましい。鱗片状黒鉛の大きさが10ミクロン未満の場合
は、サイズが小さすぎるため本発明の特徴の一つ
である第２図に示すような塗装又は成型後組成内
で著しく多くの層に重畳して水平に配向されるこ
とが困難となり、本発明の作用効果を奏するため
には不充分である。また大きさが200ミクロンを
超過したり、厚みが40ミクロンを超過した場合は
熱硬化性樹脂と均一な分散配分が困難となつて作
業上不適当である。更にNi粉末の場合、大きさが１ミクロン未満
では均一なNi粉末の分散が困難となる。即ちNi
粉末同志が著しく近接して一種の団塊状態となる
ため、本発明の作用効果を充分に達成されず不適
当である。またNi粉末の大きさが10ミクロンを超過する
と分散中にNi粉末が沈降しやすく、熱硬化性樹
脂との均一な分散配合が困難となるためNi粉末
の分散上好ましくない。本発明の電磁波シールド性は第１図に示すよう
に試料１０をセルの間に入れ、この時の受信レベ
ルと試料１０がない場合の受信レベルとの比でも
つて試料１０のシールド効果として測定する。第１図においてＡ送信側、Ｂ受信側で、１高周
波パワーアンプ、２送信電圧モーター用Ｔ字型分
岐、３標準記号発生器、４ミリボルトメーター、
５固定減衰器、６中心導体板であり、７高周波プ
リアンプ、８銅箔、１０試料、１１スペクトラム
アナライザー、９は圧縮方向を示す。今試料１０がない場合の受信レベルをＥ（μv）、
試験サンプル１０がある場合の受信レベルをE₂
（μv）とすると試料のシールド効果SEは SE＝E₁／E₂ またはSE（dB）＝20logE₁−20log（E₂）としても表わされる。この電磁波シールド性の測定法にはJIS規格が
なく、社団法人関西電子工業振興センター方式に
よつた。また体積固有抵抗値はJISK6911に基いて測定
した。本発明の広領域周波数帯用電磁波シールド材は (i) 電気および電子機器のシールド材、パソコ
ン、フアクシミリ、OA（Office Automation）
機器、通信機、電子ゲーム、TVゲーム、家庭
用電化部品などのキヤビネツトカバー類、IC
部材のコンテナ、トレイ、 (ii) 静電気発生防止機、制電性塗料その他、防災
検知機器、精密制御機器、ロボツト、 (iii) 各種センサー機器のケーシング類に使用される。次に実施例によつて本発明を説明する。実施例１イソフタール酸系不飽和ポリエステル樹脂100
重量部と150メツシユ鱗片状黒鉛（純度99％）を
30部混合し、これに大きさ３ミクロンのニツケル
粉末（純度99％）を無添加から350重量部まで各
段階に添加し、さらに硬化剤としてメチルエチル
ケトンパーオキサイド（MEKPOと略記）で硬化
した厚み１mmの板状体試料を用いて耐衝撃性と電
磁波シールド性とを測定した。その結果を第１表、第２表に示す。

【表】

【表】第２表から明らかなように電磁波シールド性で
は試料９の市販品に比較して試料２〜８が優れて
いるが第１表からわかるように試料７は耐衝撃性
に劣つている。また第２表の１、５と８に示すように、ニツケ
ル粉末と鱗片状黒鉛とを併用した方がしないもの
に比較して電磁波シールド性が広範囲の周波数に
わたつて優れている。従つて本実施例で判明した本発明の効果を要約
すると、(a)１〜1000MHzという広範囲の周波数に
わたつて一段とシールド効果が向上する。(b)ニツ
ケル粉末が250重量部を越えると市販品よりも耐
衝撃性が低いのでニツケルの添加量は250重量部
を限度とする。また磁界シールド性について一応の基準として
各周波数領域で25dB以上とされているがこの基
準を越えるのはニツケル粉体の添加量が50重量部
以上である。従つてニツケル粉体の適正添加量は50〜250重
量部である。低周波領域の電磁波とはたとえば長波、中波、
短波の無線装置、ラジオや電気ドリルなどの電気
工作機械、ネオン放電、送電線コロナ放電などで
発生するものであるが、本発明品はこれらに対し
て充分にシールド性を発揮する。さらに、従来ニツケル粉体で得られなかつた低
周波領域の電磁波とくに電界においてシールド性
をもたせた著しい効果を奏する。実施例２テレフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂100重
量部と200メツシユ鱗片状黒鉛（純度99％）を０
〜60重量部を混合し、これに10ミクロンのニツケ
ル粉体（純度99％）を200重量部添加して硬化剤
メチルエチルケトンパーオキサイド（MEKPOと
略称）を加えて硬化し、厚さ１mmの板状体試料を
用いて耐衝撃性と電磁波シールド性とを測定し
た。結果を第３表、第４表に示した。

【表】

【表】第４表の結果より、 (i) 鱗片状黒鉛を併用した場合と、しない場合と
では併用した方が全般的に高い。ただし鱗片状
黒鉛の添加量が60重量部になると却つて電磁波
シールド性が低下する、従つて好適な併用量は
５〜50重量部である。 (ii) 鱗片状黒鉛を添加しない試料No.10では電界の
低周波数領域のシールド効果が低い。鱗片状黒鉛を併用した試料No.11〜No.16ではこ
の欠点が改善されていることがわかる。本発明においてはニツケルと鱗片状黒鉛との併
用により、第２図に示すように鱗片状黒鉛が塗装
または成型後、組成内で著しく多くの層に重畳し
て水平に配向され、この配向された鱗片状黒鉛の
間のニツケル粉体が充填された状態となるので外
部からの腐食環境ガス、又は液状物質の浸入を遮
断するためニツケルの防食保護に有効である。このような分散状態を得るためには、ニツケル
粉体１に対して鱗片状黒鉛１未満の重量比にする
ことが必要である。次に本発明の耐衝撃性と電磁波シールド性を評
価するために試料１、８、９（第１表）のほかに
第５表に示すように試料17、18を追加し、
JISK5400に基く塩水噴霧試験を行ない。試験前後の電磁波のシールド性保持率を測定し
た。第５表の塩水噴霧試験は食塩水濃度５重量％温
度35±１℃相対湿度95〜98％で200時間噴霧し、
風乾後試料にした。また、ここで用いた鋳物繊維の長さ２mm、太さ
60ミクロン、アルミニウム繊維も同様な長さ２
mm、太さ60ミクロンのものを使用した。各々イソフタール酸不飽和ポリエステル系樹脂
に対して、200重量部添加し、メチルエチルケト
ンパーオキサイド（MEKPO）で硬化し、厚み１
mm、30cm角の板状体試料を作成した。

【表】

【表】第５表より試料17の鋳物繊維は塩水に侵かされ
て腐食劣化し、耐衝撃性および電磁波特性に著し
い低下が認められる。また試料18のアルミニウム繊維も塩水噴霧試験
の結果、若干性能が低下する。一般に金属繊維や同粉体の欠点は環境腐食性ガ
スや液体による腐食の問題がある。試料５は塩水噴霧試験後殆んど変化が認められ
ず、耐久性のあることが立証された。とくにニツケル粉体のみを混合した試料８に比
較して鱗片状黒鉛の組成物内での平行配列化によ
り、腐食性の塩分の浸透を阻止するので耐久性を
高める効果がある。さらに不活性の鱗片状黒鉛が重畳化してニツケ
ル粉体を包んで保護するので長期にわたつて劣化
を防止する。しかも鱗片状黒鉛はニツケル粉体との複合作用
が各々を単独で使用した場合に比較して広い範囲
の周波数領域において高い電磁波特性を持つこと
になり、相互補完と相乗効果を発揮する。またニツケル粉体と鱗片状黒鉛との併用によつ
て塗膜や成型物の反りや歪を少くする効果もあ
る。実施例３硬化剤ポリアミドで硬化したビスフエノール型
エポキシ樹脂100重量部と150メツシユの鱗片状黒
鉛（純度99％）０〜60重量部と６ミクロンのニツ
ケル粉体（純度99％）を150重量部を混合してな
る組成物を厚さ１mmの板状型試料を調製し、耐衝
撃性および電磁波シールド性を測定した。その結果を第６表、第７表に示した。

【表】

【表】第６表、第７表の結果によりエポキシ−ポリア
ミド樹脂ベーズにおいても不飽和ポリエステル樹
脂ベースと同様に鱗片状黒鉛とニツケルの併用に
より広域の周波数帯に対してシールド効果がある
ことが認められる。

【図面の簡単な説明】

第１図は電磁波シールド性測定装置の一実施例
のフローシート、第２図は本発明の電磁波シール
ド材の一実施例の断面図を示す。１……高周波パワーアンプ、３……標準記号発
生器、４……ミリボルトメーター、５……固定減
衰器、６……中心導体板、７……高周波プリアン
プ、８……銅箔、１０……試験用サンプル、１１
……スペクトルアナライザー、１２……鱗片状黒
鉛、１３……ニツケル粉体、１４……基材。

Claims

【特許請求の範囲】

１熱硬化性樹脂100重量部に対して大きさ10〜
200ミクロンの鱗片状結晶黒鉛と１〜10ミクロン
のニツケル粉末の合計量で50〜300重量部を含有
し、かつニツケル粉末に対して鱗片状黒鉛が0.02
〜１の比率となしたことを特徴とする広領域周波
数帯用電磁波シールド材。