JPH0336192B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は被検物の生物学的又は化学的検査例え
ば医学的、薬学的、微生物学的、酸素化学的、分
析化学的諸検査のための簡易判定用具に関する。

上記諸検査は医学的には健康診断、患者の検
査、化学的には食品、医薬品、鉱物、動物、植物
などの諸試料を採取した後にこれを小形化して簡
便に保管したり、或いはその場で検査試薬と反応
せしめて判定する検査である。これら諸検査の原
理は基本的に化学反応であり、一般的に加温する
ことによつて反応性が高まる訳であり、20℃付
近、35℃付近、80℃付近、煮沸などの反応条件を
規定する場合が多い。

云うまでもなく、出来るだけ低い温度で目的と
する反応が達成されればそれに越したことはない
ので反応系、反応試薬、反応促進物質を工夫した
り又、検出手段との組合わせによつて所望の検査
を達成するが、多くの場合に35℃近辺の加温であ
れば副反応などを伴なうことなく迅速に、感度を
損わずに検査を行うことが一般に可能である。理
想的には、検体の採取、保持、保存、反応、検
査、検査結果の保存などの前項目又はかなりの項
目が同一の用具の使用で遂行されることが望まし
く、すでに多くの型の用具が工夫され実用されて
いる。勿論経済的な理由もあるが簡便、確実で占
有容積も少いなどの多くの利点が既存の用具にも
認められる。又、主として医化学の面では被検
者、術者に対して用具使用時の安全性の確保も重
要である。

本発明の判定具は従来技術の判定用具を更に改
良したものであつて検査における反応系の全部又
は一部を乾燥状態で多孔性の小片に予め含浸させ
更に粘着面をもつ高分子フイルムに該小片を粘着
させ、該フイルムの粘着面を使用時まで保護する
セパレートシートには予め穴をあけ、該穴は該小
片よりもやや大き目にあけられているため、該小
片は該穴を貫通して露出しており、更に該フイル
ムの粘着性は反応温度に保持されるように温体又
は温熱装置に貼付けられる役目を兼ねる。

次に本発明における代表的な例を添付図面によ
つて少しく詳細に説明する。

本発明の判定具は剥離可能の粘着シート１、セ
パレートシート２及び被検物判定用試験小片３よ
り成り、該３部分を重ねて角形、円形又はその他
の適宜の形状の積層体を形成するものであり、更
に該３部分のすべてが透明であるか又は任意にい
ずれかが不透明であるか、又は一部或いは全部に
透明又は不透明の印刷が施されている。

粘着シート１はその内面の一部又は全部に粘着
剤４を塗布して有し、ほぼ中央部或は中心よりも
左または右側に偏した位置に試験小片３を粘着
し、該粘着面のａ部の周辺のはみ出した部分が温
熱装置又は温体に対する付着部である。

セパレートシート２は粘着シート１の粘着剤層
４の面を覆うに足る大きさ乃至はやや大き目の薄
片で、試験小片３の形状に合わせ、この大きさよ
りもやや大きい形に欠除又は貫通させた穴があけ
られており、試験小片３はセパレートシート２を
貫通する。粘着シート１は一般に透明であつて試
験小片３を付着せしめた該透明粘着シート１を、
粘着剤層４の面を内面として折り曲げ箇所６のと
ころで折り曲げ、試験小片３を覆うように粘着さ
せた時に、試験小片３を覆う側の粘着シートは好
適態様としてやや小型であつて、該粘着シートの
周辺には、試験小片３を付着させた粘着シート１
ａ部（第１Ｂ図参照）の周辺が露出し（第２図参
照）、該露出部分が温体又は温熱装置の表面に対
する付着部である。

試験小片３は無機質又は有機質の多孔体であつ
て小紙片であることが便利である。検査用試薬を
試験小片に予め含有させておくことが一般である
が使用目的に応じ予め含有させない場合もあり得
る。

第１〜３図において例示された粘着シート１は
折り曲げられると馬蹄形又はホタテ貝状、逆ツボ
形、或は気球形を呈するが第４〜５図に例示され
た粘着シート１は凸字型であつて折り曲げられる
と四角形を呈する。かように粘着シート１の形状
の選択は任意である。ａ部、ｂ部の形状も任意で
あつて円形、楕円形、多角形などのいずれの形状
であつてもよく、これらの組合せも可能である。

本発明の判定具は単数形で、或は複数形で販売
され使用される。複数形のものは多連式であつて
もよく、該多連式（第３，５，８図）は集団検診
などに使用され得る。

本発明の具体化の一例として粘着シート１はポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレ
ン又はポリプロピレン等の薄い、軟質のフイルム
から成るシートであるがこのフイルムシートにお
いて第１Ｂ図の折り曲げ部から右方のａ部及び左
方のｂ部ともに一体のフイルムであつても、一体
でないフイルムであつてもよく、一体でない場合
には材質が異つたり、厚みが違つているフイルム
であることもある。即ちａ部が硬質ポリ塩化ビニ
ル、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート
などの「腰の強い」フイルムであつてもよい。こ
のときｂ部は軟質の薄いフイルムであることが好
ましく、ｂ部の面積は好適態様としてａ部の面積
より小さい。粘着剤４はａ部及びｂ部の全面に密
に又は、点状ないし線状のごとく粗に塗布され、
場合によつてはａ部とｂ部の粘着剤の組成及び塗
布形状の異ることもある。

セパレートシート２は通常、片面にシリコン皮
膜を塗布した紙から成るものであり、該塗布面を
粘着剤層４の面に当てて全面を覆い、該粘着剤の
表面を保護する。

該セパレートシートには試験小片３が貫通して
露出するための穴が開けられており、該小片はａ
部に固定されたまま該セパレートシートとは接触
を持たない。

本発明においてセパレートシート２が試験小片
３と接触していないことは重要な要件である。試
験小片３に被検物、例えば化学試薬、動、植、鉱
物性被検液、細菌の培養液、唾液、牛乳、などを
接触する際に、該セパレートシートが付着したま
まで接種し得るようにするため粘着剤４が露出し
ていないことが操作性にとつて都合がよい。又セ
パレートシート２に穴のない場合、換言すれば粘
着剤層４とセパレートシート２との中間に試験小
片３を挟んだ状態の積層形成の場合には該粘着剤
から揮発する微量成分が該試験小片の試薬組成に
悪影響を与えることがある。しかし本発明におい
てはこのような心配がない。

本発明の判定具を製品化する際には粘着シート
１についてもセパレートシート２についても長い
帯状の原反が原材料であり、これらは夫々別個に
加工機に供給されるが、本発明によればセパレー
トシートに試験小片３の入るべき穴を一定の位置
に一定間隔で打ち抜いた後にこの有孔セパレート
シートを粘着シート１と貼り合わせる。この場合
に該セパレートシートの穴の部分は粘着剤４が露
出しているのでこの露出した粘着部に試験小片３
を付着させ固定させる。もし仮りに粘着シート１
の粘着剤層４の面の所望の一定ヶ所に試験小片３
を付着、固定せしめる場合を想定すると試験小片
を１枚、１枚、正確な位置にしかも工業的に満足
する速度で付着させねばならず、その要求精度は
本発明より数段高く、この想定された判定用具の
工業化の困難さは想像に難くない。

これに対し、本発明の判定具の場合には前記の
如きセパレートシートの穴に試験片を落し込めば
よいのであるから、この工程を極めて容易かつ能
率的に進行せしめることができる。

かくして得られる簡易判定具は例えば一定数を
金属箔製の袋の中に密封して需要者に提供され
る。需要者、即ち試験実施者は用時この判定具の
試験小片３に例えば被験唾液を滲み込ませたのち
直ちにセパレートシート２をはぎとり、粘着シー
トに設定されている折り曲げ箇所６で粘着面を内
側にして折り曲げ、内面〔１のａ及びｂ〕を密に
接着させる。この際ａ，ｂの面積の差で生じた粘
着面を加温体に貼着せしめて35℃附近に加温すれ
ば試験者は15分程度の短時間内に試験片の色調の
変化を読みとることにより例えば唾液中の生菌数
の多少を判定することができる。反応促進の目的
で使用する加温体は生菌細胞の試薬に対する反応
を促進せしめるに必要な恒温体であればよく、例
えば人体上の皮膚に直接貼着せしめても良い結果
が得らる。一方試験片は粘着シートの間に挟ま
れ、空気から遮断された状態で、生菌をばらまく
危険を除いた状態で加温されるので常に一定の反
応環境に置かれ、再現性のある結果を与える。こ
のように本発明による簡易判定具は、学童の集団
検診のような場合でも特別の装置を要せず、簡便
かつ短時間の検診の目的を達することができるば
かりでなくその工業的製造を容易かつ能率的に行
うことができる。

温熱装置又は温体として孵卵器を用いてもよい
が例えば白熱電球、赤外線ランプなどで温められ
た金属壁、ガラス面、温水入り容器壁でもよく、
人体の皮膚面でもよい。

例 １ 以下に本発明の判定具をう蝕（むし歯）活動性
試験用具としてう蝕の診断に応用する例を述べ
る。

本発明者らは特願昭57−106389号明細書におい
てう蝕簡易判別方法及び用具について開始した
が、その発明の要旨を概述すれば、この先行発明
は一定薬物組成物液を含ましめ乾燥した試験小片
に対しう蝕発生原因微生物を含んだ供試液例えば
唾液の一定容量を滴下し、これを２枚の透明粘着
シートの中央部に密に重ね被覆し、収納して37℃
の定温で少くとも15分間保持することにより試験
小片の色調の変色度合に応じ唾液中のう蝕発生原
因微生物の含有度合を見て、う蝕の進行状態を簡
易に判定する方法および用具である。

この先行発明の場合の薬物組成物はレサズリ
ン、トリフエニルテトラゾリウム、ネオテトラゾ
リウム、２，６−ジクロルフエノールインドフエ
ノール又はメチルオレンジ或はこれらの塩類の
0.05〜0.003重量％とシヨ糖10重量％とから成る。

本発明において本例に使用した薬物組成物はレ
サズリン0.05％、シヨ糖10％とから成るものであ
り、この水溶液の中に厚さ0.8mm、直径８mmの堅
い円形の紙片を漬した後に乾燥して試験小片と
した。

セパレートシートは茶色のクラフト紙で、粘着
剤と接する面をシリコン樹脂でコーテイングし50
mm×100mmの長方形とし、粘着シートのａ部のほ
ぼ中央部に対応する箇所に直径９mmの穴を開け
た。粘着シートの寸法はａ部が直径45mm、ｂ部が
30mmであり、粘着シートａ部のほぼ中央がセパレ
ートシートに明けられた穴と一致するように粘着
シートとセパレートシートとを密に粘着させた。
セパレートシートの穴から露出した粘着シートの
粘着剤の面（直径９mm）に、先に製した試験小片
を貼付し固定した。尚粘着シート１は20μの透明
度の高いポリ塩化ビニル製であつて第１Ｂ図のａ
部は全面が白色に塗装されておりｂ部は透明であ
る。

術者はヒトの唾液一滴を採取し、試験小片３の
上に滴下し、直ちにセパレートシート２をはぎと
り、粘着シートのｂ部（第１Ｂ図）を粘着剤面を
内側にして折り曲げ部６より折り曲げ、できるだ
け空気を排除した状態になるように試験小片を粘
着シートｂ部で覆いｂ部とａ部とを密に粘着せし
めると、ａ部の周縁には巾７mm程の馬蹄型又は逆
Ｕ字型の粘着面が露出する（第２図）。速やかに
この粘着面を温体例えば人の上腕部内側面に粘着
させて載置する。約15分間保持すると試験小片は
色調が変化するので、色調の変化度に応じてう蝕
原因菌の概略の菌数が判定される。

即ち本発明は用具の構造が単純で、製造が簡単
である上大量生産が可能であつて従つて安価に供
給出来ること、用具が板状で容積をとらないこ
と、反応用具であると同時に温体又は温熱装置へ
の固定が可能な被加熱処理用具であること、温体
或は温熱装置への適用が人又は動物の肌を利用す
るとき、あたかも絆創膏を貼るように安全かつ簡
便であること、反応物はフイルムの内部に包まれ
た積層体であるので焼却までの環境汚染対策が要
らないことなどの利点がある。

以上の利点は集団検診など多人数を短時間に検
診してふるい分けする際に検診費用を低減させる
ことと相まつてその有用性は著しく高い。

例 ２ 本発明の判定具の他の態様として粘着シートを
角形に形成したもの（第４図）及びその多連式の
もの（第５図）を例１に準じて製造した。

例 ３ 本発明の判定具の別態様として粘着シートとセ
パレートシートとを同形同大として円形（第６
図）、角形（第７図）及び多連式（第８図）のも
のを例１に準じて製造した。

例 ４ 本発明の判定具の更に他の態様として粘着シー
トａ部とｂ部とを非連続とし、ａ部は角形、ｂ部
は円形として（第９Ａ及び９Ｂ図）例１に準じて
製造した。

本例の判定具は特願昭57−106389号開示の図の
用具と異りセパレートシート２には予め穴が開け
られており、この穴よりａの粘着面が露出してい
るのでここに試験小片３を載置する。ｂはａと同
一の原反から切断されて作られているが、元来ｂ
は試験小片３を覆う目的のものであるので必ずし
も粘着面を持つフイルムでなくてよい。

この判定具の使用に当り、折り曲げ箇所６を折
つて、又は折り曲げ箇所で折らずに、粘着シート
１のａ部をセパレート用シート２から部分的に剥
がすか又は全部剥がして試験小片３へ供試液（唾
液）を適用し、次に粘着シート１のｂ部をセパレ
ート用シート２から剥ぎ取つてａ部の上に重ねる
と共に試験小片３を蔽い、ａ部の周辺部の粘着面
を温体に対して貼着させる。

例 ５ 本発明の判定具の更に別の態様として粘着シー
トの形状を上記諸例のものよりも簡単にした。即
ち第１０Ａ及び１０Ｂ図の判定具はその形状が単
純である。粘着シートは両端に丸味を取つた帯状
のフイルムでよいから製造に際し粘着シートの載
断くずが少く経済的である。温体又は温熱装置へ
の粘着面はａの端部の丸味を帯びた部分に三日月
状乃至は親指の爪状に形成されるため、他の図の
用具のように試験小片の周囲（三方面）にはない
が、簡易な温体を用いるとしても、加温を可及的
完全するために何らかの覆いをかけるので、本図
のように１ヶ所のみの粘着面を設けることにより
所期の目的を達成することができる。

例 ６ 本発明の判定具の基本的態様として第１１Ａ、
第１１Ｂ、及び第１１Ｃ図に示されるものを例１
に準じて製造した。透明シートａ部及びｂ部を重
ね合せたときはほぼ円形を呈する。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明の判定具の例示であつて第１
Ａ図は断面図、第１Ｂ図は平面図、第２図はこの
判定具を判定に供するため判定具からセパレート
シートを除き去つて粘着シート中央部を折り曲げ
て重ねこれを温熱装置へ貼り付ける直前の状態を
示す。第３図は判定具の多連型の形状例を示す。
第４及び５図は本発明の判定具の他の形状（角
形）を示し、該第５図は多連型の例を示し、第６
〜８図はセパレートシート２と粘着シート１とが
同形同大の場合を示し、該第６図は円形、第７図
は角形、第８図は多連型を示し、第９Ａ，９Ｂ、
第１０Ａ，１０Ｂ図は更に他の態様を示し、第１
１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ図は本発明の基本型の判定
具であつて夫々その平面図、断面図及び温体又は
温熱熱装置へ適用される直前の状態図を示す。 １……粘着シート、２……セパレートシート、
３……試験小片、４……粘着剤又は粘着剤層、５
……セパレートシートに開けられた穴、６……粘
着シートの折り曲げ部分、ａ……折曲げ部分から
片側の部分、ｂ……折曲げ部分から他の側の部
分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (a) 粘着剤層が設けられ、面積の大きい大面
   積部ａと面積の小さい小面積部ｂを有し、大面
   積部ａと小面積部ｂの少なくとも一方が透明で
   ある粘着シート１ (b) 前記大面積部ａの前記粘着剤層上に配された
   試験小片３、及び (c) 前記粘着剤層上に剥離可能に配されたセパレ
   ートシート２ を含み、該セパレートシート２が前記試験小片３
   の配された位置に対応する部分に該試験小片の全
   面積を露出させるに十分な大きさを有する穴５を
   備えている 被検物の生物学的又は化学的検査のための簡易
   判定具。 ２ (a) 前記大面積部ａと前記小面積部ｂが連続
   し、かつ、 (b) 該大面積部ａが不透明で、該小面積部ｂが透
   明である特許請求の範囲第１項に記載の簡易判
   定具。 ３ 前記大面積部ａと前記小面積部ｂが非連続で
   ある特許請求の範囲第１項に記載の簡易判定具。 ４ 前記試験小片３が無機質又は有機質の多孔体
   である特許請求の範囲第１項に記載の簡易判定用
   具。 ５ 複数個の前記大面積部ａ、前記小面積部ｂ及
   び前記試験小片３を有する特許請求の範囲第１項
   に記載の簡易判定用具。 ６ 前記試験小片３が検査用試薬を予め含有して
   いる又は予め含有していない特許請求の範囲第１
   項に記載の簡易判定具。