JPH033501B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明は従来のソリツドゴルフボールに改良を
加えたマルチピースソリツドゴルフボールに関す
る。 ［従来の技術および発明が解決しようとする問題
点］ ゴルフボールの飛距離は初速度、回転数、打出
しの角度、慣性モーメント、デインプル形状等多
くの要因によつて左右されるが、初速度、従つて
これに大きな影響を及ぼす反撥特性は特に重要で
ある。 糸巻きゴルフボールに比べて製造コストが安
く、耐久性が優れている等の理由で急速に普及し
たソリツドゴルフボールもJ.S.Bartschの提案以
来材料や溝造に改良を加えた種々のものが開発さ
れているが未だ十分満足すべき反撥特性を備えた
ものは得られていない。 従来のソリツドゴルフボールは製造上からは単
一層から成るワンピースソリツドゴルフボールお
よびソリツドコアをカバーで被覆して成るツーピ
ースソリツドゴルフボールに大別されるが、この
外、後者においてコアを多層化したマルチピース
ソリツドゴルフボールも提案されている（特開昭
51−49840号公報参照）。 本発明者は先にマルチピースソリツドゴルフボ
ールについて鋭意検討を重ねた結果、多層化構造
のコアの重量配分を、糸巻きゴルフボールにおけ
るように芯に近いほど重量配分を多くした該公報
に開示されているマルチピースソリツドゴルフボ
ールとは全く逆に、外側程多くすることによつて
ボールの反撥特性が耐久性等の他の特性を損うこ
となく効果的に改良されることを究明し、実用新
案登録出願をおこなつた（実願昭58−64006号参
照）。 しかしながら、このようなマルチピースソリツ
ドゴルフボールにおいても、外側層程重重配分を
多くする手段として主として従来ゴム配合として
使用されてきた不活性充填剤、例えば酸化亜鉛、
硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜
鉛等を外側層に比較的多量配合するために、外側
層のゴム成分の配合割合が小さくなつて反撥特性
が抑制されるという難点がある。 本発明はこの難点を解決するためになされたも
のである。 ［問題点を解決するための手段］ 即ち本発明は、外側層程重量配分を多くした少
なくとも２層から成るコアをカバーで被覆して成
るマルチピースソリツドゴルフボールにおいて、
外側層に高比重不活性充填剤を配合してゴム成分
の体積分率を大きくしたことを特徴とするマルチ
ピースソリツドゴルフボールに関する。 本発明によるマルチピースソリツドゴルフボー
ルのコアを構成する各層の配合成分には基材ゴ
ム、架橋剤、共架橋剤、不活性充填剤等が含まれ
る。 基材ゴムとしては従来からソリツドゴルフボー
ルに用いられている適宜の天然ゴムおよび／また
は合成ゴムを使用することができるが、本発明に
おいてはシス構造を少なくとも40％以上有する
１，４−ポリブタジエンが特に好ましく、所望に
より該ポリブタジエンに天然ゴム、ポリイソプレ
ンゴム、スチレンブタジエンゴム等を適宜配合し
てもよい。 架橋剤としてはジクミルパーオキサイドやｔ−
ブチルパーオキサイドのような有機過酸化物およ
びアゾビスイソブチルニトリルのようなアゾ化合
物等が例示されるが、ジクミルパーオキサイドが
特に好ましい。 架橋剤の配合量は基材ゴム100重量部に対して
通常0.5〜3.0重量部、好ましくは1.0〜2.5重量部
である。共架橋剤としては不飽和脂肪酸の金属
塩、就中炭素原子数３〜８の不飽和脂肪酸（例え
ばアクリル酸、メタクリル酸等）の亜鉛塩やマグ
ネシウム塩や例示されるが、アクリル酸亜鉛が特
に好ましく、その配合量は基材ゴム100重量部に
対して通常30〜40重量部である。 不活性充填剤としては酸化亜鉛、硫酸バリウ
ム、シリカ、炭酸カルシウムおよび炭酸亜鉛等が
例示されるが、酸化亜鉛が一般的である。 コアの外側層に配合する従来ゴム配合では使用
されなかつたさらに高比重の不活性充填剤として
はタングステン、タングステンカーバイド、モリ
ブデン、鉛、二酸化鉛、ニツケル、銅等が例示さ
れるが、タングステンまたはタングステンカーバ
イドが一般的である。 不活性充填剤の配合量は多層コアの各層の重量
配分およびボールの重量規格等に左右され特に限
定的ではないが、通常は基材ゴム100重量部に対
して３〜150重量部である。特にラージサイズゴ
ルフボールでは３〜80重量部、スモールサイズゴ
ルフボールでは３〜150重量部である。 本発明によるソリツドゴルフボールにおいて
は、コアの外側層に高比重不活性充填剤が配合さ
れるので、外側層のゴム成分の含有量を、本発明
者による前記出願に係わるソリツドゴルフボール
の場合よりも高めることができ、従つてボールの
反撥特性の低下を極力抑えることができる。 外側層のゴム成分の含有量（体積分率）は通常
約0.65以上、好ましは約0.7〜0.9である。 また、外側層と内側層の比重差は通常少なくと
も約0.2〜約0.8（ラージサイズの時は約0.2〜約
0.45であり、スモールサイズの場合は約0.2〜約
0.8である）であり、比重差が小さすぎると反撥
特性が向上しない。逆に内層と外層の比重差を
0.9以上にすることはボールに重量規格があるた
め配合上、内層を成形することが困難となる。 高比重不活性充填剤は比重調整、加硫調整等の
ため、所望により従来の比較的比重の小さな前記
不活性充填剤と適宜併用してもよい。 コアの各層には上記成分の外にさらに所望によ
り老化防止剤等の常套の添加剤を適宜配合しもて
よい。 本発明によるソリツドゴルフボールにおいて
は、コアを構成する多層の重量配分が外側の層程
多くなつているが、このような重量配分は通常前
記の不活性充填剤の配合量と各層の直径または厚
さによつて調整する。 このようなマルチピースソリツドゴルフボール
を製造するにはまず、上記成分を配合して得られ
る芯用組成物を常套の混練機（例えばバンバリー
ミキサーやロール等）を用いて混練し、芯用金型
に圧縮または射出成形し、成形体を加熱硬化して
芯層を調製した後、上記成分を配合混練して得ら
れるコア外層用組成物を該芯層上に同中心的に金
型内圧縮または射出成形によつて設け加熱硬化
し、以下同様にして順次外層を設けてゆく。 コアを構成する各層の硬度は特に限定的ではな
いが、内層は57〜80（シヨアーＣ）の範囲が好ま
しく、前記公報に教示されているように、打撃時
のボールの変形と復元力、打球感等の点から外側
の層程硬度を高くするのが好ましい。 このような硬度分布は通常主として加熱硬化条
件、例えば昇温速度、加熱温度、加熱時間等を適
宜調整することによつておこなう。 また、コアを構成する各層の直径または厚さも
特に限定的ではないが、通常直径20〜35mmの芯層
上に厚さ２〜10mmの外層を所望の数だけ順次設け
る。 以上のようにして得られる多層化コアはカバー
で被覆される。カバーとしてはアイオノマー樹脂
を主材とし、必要により着色等の目的で無機充填
剤（例えば二酸化チタン、酸化亜鉛等）を含有さ
せたものが通常使用される。 好ましいアイオノマー樹脂はモノオレフインと
炭素原子数３〜８の不飽和モノまたはジカルボン
酸およびこれらのエステルから成る群から選択さ
れる少なくとも１種との重合体（不飽和モノまた
はジカルボン酸および／またはこれらのエステル
４〜30重量％含有）に交差金属結合を付与した熱
可塑性樹脂である。このようなアイオノマー樹脂
としてはデユ・ポン社から市販されている各種の
「サーリン（Surlyn）」、例えばサーリン1601、サ
ーリン1707、サーリン1605等、またはこれらの任
意の組合わせ品が挙げられる。 カバーを多層コアに被覆する方法は特に限定的
ではなく、通常は予め半球殻状に成形した２枚の
カバーでコアを包み、加熱加圧成形するが、カバ
ー用組成物を射出成形してコアを包みこんでもよ
い。 本発明によるマルチピースソリツドゴルフボー
ルの最も簡単な態様は第１図の模式的縦断面図に
示すように、内層１と外層２およびカバー３から
成るスリーピースソリツドゴルフボールで、この
場合外層２の重量配分を内層１よりも多くすると
共に、外層２には前記の高比重不活性充填剤を適
宜配合して外層中のゴム成分の含有量を高める。 ［発明の効果］ 本発明によるマルチピースソリツドゴルフボー
ルは従来のワンピースボール、ツーピースボー
ル、外側程重量配分を少なくしたマルチピースボ
ールおよび本発明者による前記出願に係わるマル
チピースボール等のソリツドゴルフボールおよび
糸巻きゴルフボールに比べて耐久性や打撃感触等
の点で全く遜色がなく、反撥特性、従つて飛距離
を左右する重要な要因である初速度の点でこれら
を凌駕するものである。 以下、実施例によつて本発明を説明する。 実施例 １および２ 表−１の配合処方によるコア内層用組成物を用
い、常法に従つて直径28.0mmのソリツドコア内層
を調製した。 このコア内層上に同中心的に、表−１の処方に
より配合混練したコア外層用組成物を射出成形に
よつて設け、加熱処理してツーピースソリツドコ
アを得た。 得られたツーピースソリツドコアを表−１の配
合処方によつて調製した２枚の半球殻状カバー
（厚さ約２mm）で包み、加熱加圧成形してスリー
ピースソリツドゴルフボールを製造した。 ボールの物性を表−１に示す。 比較例 １ 上記実施例の手順に準拠して表−１の配合処方
によつて製造したスリーピースソリツドゴルフボ
ールの物性を表−１に示す。 比較例 ２ ソリツドコアを単層にする以外は実施例の手順
に準拠して表−１の配合処方によつて製造したツ
ーピースソリツドゴルフボールの物性を表−１に
示す。

【表】

【表】 実施例３、４および比較例３、４ スモールサイズゴルフボールの代わりにラージ
サイズゴルフボールを形成する以外は前記実施例
１、２および比較例１、２の試験を繰り返した。
ゴルフボールの処方および試験結果を表−２に示
す。

【表】

【表】 【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるスリーピースソリツドゴ
ルフボールの模式的縦断面図である。 １はコア内層、２はコア外層、３はカバーを示
す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外側層程重量配分を多くした少なくとも２層
   から成るコアをカバーで被覆して成るマルチピー
   スソリツドゴルフボールにおいて、外側層に高比
   重不活性充填剤を配合してゴム成分の体積分率を
   大きくしたことを特徴とするマルチピースソリツ
   ドゴルフボール。 ２ コアが内層と外層から成るツーピースソリツ
   ドコアである第１項記載のマルチピースソリツド
   ゴルフボール。 ３ 外側層のゴム成分の体積分率が約0.65以上で
   ある第１項記載のマルチピースソリツドゴルフボ
   ール。 ４ 外側層と内側層の比重差がラージサイズのゴ
   ルフボールの場合、約0.2〜約0.45でスモールサ
   イズのゴルフボールの場合約0.2〜約0.8である第
   １項記載のマルチピースソリツドゴルフボール。