JPH0334495Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は出力側のハブの軸方向両側に１対の入
力側ハブを配置し、複数のコイルばねによりハブ
とプレートが弾性的に連結されるダンパーデイス
ク、主として自動車用クラツチデイスクに好適な
ダンパーデイスクに関するものである。

例えば従来のクラツチデイスク用ダンパーデイ
スクは、基本的に第１図に示すような構造を有し
ているのが一般的である。１はフライホイールと
プレツシヤープレート（共に図示せず）との間で
挾持されるフエーシングであり、リベツト（図示
せず）によつてデイスクプレート２に固着されて
いる。中央のクラツチハブ３はデイスクプレート
２を回動自在に支持し、内周面に出力軸（図示せ
ず）と係合するスプライン４を有し、かつ外周側
に環状のフランジ５を有している。デイスクプレ
ート２の角窓６とフランジ５角窓７には、略円周
方向に夫々圧縮コイルばね８が嵌着されている。

フライホイール側よりフエーシング１に伝達さ
れるトルク、デイスクプレート２、コイルばね
８、ハブ３を介して出力軸に伝達される。この
時、デイスクプレート２とフランジ５間で捩れが
発生し、こいるばねが圧縮される。この圧縮作用
により、トルクの振動吸収及び伝達がなされるよ
うになつている。

ところが第１図の従来構造では、デイスクプレ
ート２とフランジ５との間の捩り角は、10゜程度
が限界である。又捩り角−捩りトルク特製の改良
として、２種以上の特性の異なるばねを使用した
構造や、不等ピツチのコイルばねを使用した構造
（実公昭51−7407、実開昭56−39633）が知られて
いるが、それらの構造でも捩り角度の上限は殆ん
ど変つていない。それら上記構造では、最大捩り
角度を大きくするためには角窓６，７を大きくす
る必要があり、デイスクプレート２やフランジ５
の強度が低下してしまうところに限界がある。そ
の結果、需要者からの近年の高捩り角化の要求に
充分沿うことのできる振動吸収能力の優れたダン
パーデイスクを得ることが不可能となつている。

本考案の目的は大きな捩り角を得ることのでき
るダンパーデイスクを提供することを目的として
いる。

上記目的を達成するために本考案は、出力部で
あるハブ１１の外周に、ハブ１１の半径方向外方
へ突出した大突起１２と小突起１７とを、互いに
ハブ１１の円周方向に間隔を隔てて交互に位置す
る状態で設け、ハブ１１の外周に同心かつ回転自
在に支持されて回転力入力部を構成する１対の環
状のプレート２０，２１を設け、上記１対のプレ
ート２０，２１を上記大突起１２及び小突起１７
に対してハブ１１の軸方向両側に配置し、ハブ１
１の半径方向外側に複数のコイルばね３１を、そ
れぞれハブ１１の円周方向及び半径方向に対して
傾斜した姿勢で、ハブ１１の円周方向に間隔を隔
て配置し、各コイルばね３１の近傍において、上
記各プレート２０，２１の外周側の部分にはハブ
１１の円周方向に延びる外周側長孔２３，２４を
設け、ハブ１１の内周側の部分には円周方向に延
びる内周側長孔２６，２７を設け、上記外周側長
孔２３，２４にはハブ１１の中心線と平行な外周
側ピン２５を回転自在及び円周方向移動自在に嵌
合し、内周側長孔２６，２７にはハブ１１の中心
線と平行な内周側ピン２８を回転自在及び円周方
向移動自在に嵌合し、外周側ピン２５と内周側ピ
ン２８の間に両ピン２５，２８間で圧縮自在にコ
イルばね３１を介装し、ハブ１１の大突起１２の
円周方向両端に円弧状のばね受け１５，１６を形
成すると共に小突起１７の円周方向両端にも円弧
状のばね受け１８，１９を形成し、大突起１２の
ばね受け１５，１６に、前記外周側長孔２３，２
４に嵌合する外周側ピン２５を当接し、小突起１
７のばね受け１８，１９に、前記内周側長孔２
６，２７に嵌合する内周側ピン２８を当接し、か
つ外周側長孔２３，２４及び内周側長孔２６，２
７の円周方向の縁は上記外周側ピン２５及び内周
側ピン２８を回転自在に支持しうる円弧形状とし
ている。以下実施例図面に基づいて本考案を説明
する。

第２図は本考案によるダンパーデイスクを自動
車用クラツチデイスクに採用した場合の一部縦断
面略図、第３図は第２図の−断面図である。
外周部にフエーシング９が固着されているデイス
クプレート１０はハブ１１に回動自在に支持され
ている。ハブ１１には、ハブ１１の中心線と直角
方向の略Ｔ字形の２個の大突起１２がハブ１１を
中心として点対称に一体に設けられており、（一
方のみ図示）、各大突起１２の外周側に形成され
た円周方向に延びる２本の腕１３，１４の先端に
は外周側のばね受け１５，１６が設けられてい
る。更にハブ１１の外周側には大突起１２と同一
平面上直角方向に２個の小突起１７が設けられて
おり、各小突起１７には、円周方向両側に内周側
のばね受け１８，１９が設けられている。

第３図で明らかなようにデイスクプレート１０
は、大突起１２及び小突起１７を挾む環状のメイ
ンプレート２０及びサブプレート２１よりなり、
メインプレート２０及びサブプレート２１はスト
ツプピン２２により一体的に連結されている。

更に第２図で明らかなように、両プレート２
０，２１には、大突起のばね受け１５，１６の軌
跡に沿う外周側長孔２３，２４がそれぞれ４個づ
つ設けられている。両プレート２０，２１の間で
対向する各々の外周側長孔２３，２４には、ハブ
１１の中心線と平行な外周側ピン２５が回動及び
摺動自在に嵌合している。又小突起１７の軌跡に
沿うプレート２０，２１上にはそれぞれ４個ずつ
の内周側長孔２６，２７が設けられており、対向
する各内周側長孔２６，２７には、夫々ハブ１１
の中心線と平行な内周側ピン２８が回動及び摺動
自在に嵌合している。更に各外周側ピン２５は該
ピン２５の円筒面に対応する形状に切り欠かれた
大突起１２のばね受け１５或はばね受け１６に当
接しており、一方各内周側ピン２８は該ピン２８
の円筒面に対応する形状に切り欠かれた小突起１
７のばね受け１８或はばね受け１９に当接してい
る。

第４図で明らかなように、外周側ピン２５及び
内周側ピン２８は、夫々半径方向外方に突出する
突起２９，３０を有しており、両ピン２５，２８
間に配置される樽形形の不等ピツチコイルばね３
１の両端が突起２９，３０に嵌合することにより
支持されている。各コイルばね３１の中心線は、
第３図で明らかなように、図示の実施例において
はハブ１１の中心線と直角な平面上に配置されて
おり、又第２図で明らかなようにコイルばね３１
の中心線はハブ１１の半径方向に対して角度を有
している。

次に作動を説明する。デイスクプレート１０と
ハブ１１間の捩れは相対的なものであるから、説
明の都合上デイスクプレート１０が固定されてお
り、ハブ１１が第２図上の矢印Ｘ１方向のトルク
を受けると考える。プレート１０に対しハブ１１
がＸ１方向に回転を始めると、一体の大突起１２
及び小突起１７もＸ１方向に回転を始め、ばね受
け１５，１８間に設置されたコイルばね３１を支
持する外周側ピン２５を、大突起１２が長孔２
３，２４に沿つて移動させ、同時にばね受け１
６，１９間に配置されたコイルばね３１を支持す
る内周側ピン２８を、小突起１７が長孔２６，２
７に沿つて移動させる。一方ばね受け１５，１８
側のコイルばね３１の内周側ピン２８は長孔２
６，２７の端部に当接しているため移動せず、単
に対向する外周側ピン２５の移動につれて回動す
るのみである。又ばね受け１６，１９側のコイル
ばね３１の外周側ピン２５は長孔２３，２４の端
部に当接しているため移動せず、単に対向するピ
ン２８の移動につれて回動するのみである。

トルクが増すにつれて、プレート１０に対する
ハブ１１の捩り角は増大し、その結果両ピン２
５，２８間の距離は短縮されて、各コイルばね３
１は圧縮される。更にトルクが増すと、デイスク
の捩り角は増し、最終的にはばね受け１５に支持
される外周側ピン２５がストツプピン２２に当接
するまで捩れて、第５図の状態に至る。

第５図において、ばね受け１５側のコイルばね
３１はストツプピン２２の外周面により、デイス
クの半径方向に対しわずかな角度βを残して停止
する。従つてばね受け１９側のコイルばね３１も
角度β′を残して停止する。第２図〜第５図の実施
例では、第５図に示すように、最大捩り角θは役
50゜に設定されている。

以上の説明から明らかなように、本考案による
デイスクでは、出力部であるハブ１１と、入力部
であるデイスクプレート１０とを圧縮コイルばね
３１で円周方向に弾性的に連結している点は、従
来のデイスクと同様であるが、上述の本考案の構
造では、デイスクプレート１０（メインプレート
２０及びサブプレート２１）がハブ１１に対して
捩れていない初期位置における圧縮コイルばね３
１のの設置姿勢が、圧縮コイルばね３１の一端部
が他端部よりもダンパーデイスクの半径方向外
方、かつ、ダンパーデイスクの円周方向にずれて
位置するようになり、コイルばね３１のばね中心
線がダンパーデイスクの半径方向及び接線方向に
対して傾斜するようになる。

従つて、出力部であるハブ１１に対して入力側
のデイスクプレート１０が捩れる場合、圧縮コイ
ルばね３１は、デイスク円周方向及び接線方向に
対して傾斜した方向に圧縮され、圧縮コイルばね
３１のデイスク円周方向の寸法変化量（ハブ中心
に対する角度）はハブ１０に対するデイスクプレ
ート１１の捩れ角度に比べて大幅に小さくなる。
そのために、デイスクプレート１１の最大捩れ角
を大きく設定しても、圧縮コイルばね３１の円周
方向の所要変形角度は小さくなり、非捩れ状態で
の圧縮コイルばね３１全体の所要円周方向長さも
短くなる。従つて、捩れ角度を大きく設定するの
と同時に、ハブ１１の突起１２，１７等がデイス
クプレート１０の寸法を、それらが所定の強度を
有する程度に維持することができ、高捩れ角仕様
のデイスクを構成することができる。

又、本考案では、圧縮コイルばね３１の両端を
支持するばね受け用のピン２５，２８と、それに
係合するデイスクプレート１０及び突起１２，１
７ならびに長孔２３，２４，２６，２７の縁と
が、軸方向の軸（ピン２５，２８の中心線）を中
心とするピン２５，２８の回転を許容するように
構成されていることも特徴であり、これにより、
上述のような圧縮コイルばね３１の配置及び圧縮
が可能となつている。

更に、デイスクプレート１０の捩れ角の変化に
対応して圧縮コイルばね３１の中心線の方向が変
化するので、捩れ角に応じて、円周方向の伝達ト
ルクの変化量に対する圧縮コイルばね３１の圧縮
長さの変化量も変化する。そのために、第６図中
の特製Ａ，Ｂの如く従来の捩り角度−捩りトルク
特製（ハードスプリング特製）を様々に得ること
ができるばかりでなく、特製Ｃ，Ｄの如く捩り角
度に対する捩りトルクの増加率を１以下に設定す
る、いわゆるソフトスプリング特製を容易に得る
ことができる。

なお第２図において、逆Ｘ１方向にハブ１１が
捩れた場合も、Ｘ１方向と対称的に同様に作動
し、同様の効果が得られるのは言うまでもない。
又圧縮コイルばね３１としては、不等ピツチばね
以外、通常のコイルばねを用いてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のクラツチデイスクの正面部分略
図、第２図は本考案によるダンパーデイスクを自
動車用クラツチデイスクに採用した場合の一部縦
断正面図、第３図は第２図の−断面図、第４
図は圧縮コイルばねの縦断側面図、第５図は本考
案によるダンパーデイスクの作動状態を示す一部
縦断正面略図、第６図は捩り角度−捩りトルク特
製を示すグラフである。 １０……デイスクプレート、１１……ハブ、３
１……コイルばね、１２……大突起、１７……小
突起、２３，２４，２６，２７……長孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 出力部であるハブ１１の外周に、ハブ１１の半
   径方向外方へ突出した大突起１２と小突起１７と
   を、互いにハブ１１の円周方向に間隔を隔てて交
   互に位置する状態で設け、ハブ１１の外周に同心
   かつ回転自在に支持されて回転力入力部を構成す
   る１対の環状のプレート２０，２１を設け、上記
   １対のプレート２０，２１を上記大突起１２及び
   小突起１７に対してハブ１１の軸方向両側に配置
   し、ハブ１１の半径方向外側に複数のコイルばね
   ３１を、それぞれハブ１１の円周方向及び半径方
   向に対して傾斜した姿勢で、ハブ１１の円周方向
   に間隔を隔てて配置し、各コイルばね３１の近傍
   において、上記各プレート２０，２１の外周側の
   部分にはハブ１１の円周方向に延びる外周側長孔
   ２３，２４を設け、プレート２０，２１の内周側
   の部分には円周方向に延びる内周側長孔２６，２
   ７を設け、上記外周側長孔２３，２４にはハブ１
   １の中心線と平行な外周側ピン２５を回転自在及
   び円周方向移動自在に嵌合し、内周側長孔２６，
   ２７にはハブ１１の中心線と平行な内周側ピン２
   ８を回転自在及び円周方向移動自在に嵌合し、外
   周側ピン２５と内周側ピン２８の間に両ピン２
   ５，２８間で圧縮自在にコイルばね３１を介装
   し、ハブ１１の大突起１２の円周方向両端に円弧
   状のばね受け１５，１６を形成すると共に小突起
   １７の円周方向両端にも円弧状のばね受け１８，
   １９を形成し、大突起１２のばね受け１５，１６
   に、前記外周側長孔２３，２４に嵌合する外周側
   ピン２５を当接し、小突起１７のばね受け１８，
   １９に、前記内周側長孔２６，２７に嵌合する内
   周側ピン２８を当接し、かつ外周側長孔２３，２
   ４及び内周側長孔２６，２７の円周方向の縁は上
   記外周側ピン２５及び内周側ピン２８を回転自在
   に支持しうる円弧形状としたことを特徴とするダ
   ンパーデイスク。