JPH0331269Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は縁かがりミシンの糸調子調節装置に関
する。

（従来技術） 従来のオーバーロツクミシンでは標準となる縫
い目に対し針糸、上糸、下糸の３本の糸のそれぞ
れに糸調子器を設けて縫い目の糸調子を調節して
いる。周知の如く縁かがり縫い目は使用目的等に
対し各種の縫目形式に変えることが行われ、特に
家庭用を目的にした縁かがりミシンでは更に使用
糸数の異なる縫い目を形成する機構を備えるもの
がある。

（考案が解決しようとする問題点） 各種縫目形式に於ける各糸調子器の糸張力は第
３図の如く異なる。糸調子器は使用布、糸などの
使用条件についての調節がなされており、縫目形
式の変更に対して各糸調子器を縫目形式に対応し
かつ使用条件に適応する如く個別に調節するため
調節作業は熟練と多くの時間とを必要とするもの
であつた。

（問題点を解決する手段） 一対の糸調子皿を糸調子バネにより加圧する糸
調子器に糸調子バネを押圧する第１の調節部と第
２の調節部とを設け、複数の糸調子器の第２の調
節部の位置をそれぞれ縫目形式に対応して設定す
るための複数の位置設定部を備える調節体と該調
節体を外部から操作可能な縫目形式表示手段と各
糸調子器毎に前記第１の調節部を調節可能な糸調
子ダイヤルを設けた。

（作用） 縫目形式表示手段により調節体を調節すること
により各糸調子器の第２の調節部の位置が設定さ
れて各糸調子器毎に縫目形式に対応する糸張力が
設定される。又各個の糸調子ダイヤルの調節によ
り第１の調節部の位置が調節され使用条件に対応
する糸張力が調節される。

（実施例） 本考案の実施例を図面により詳細に説明する。
第２図は本考案の糸調子装置を組込んだ縁かがり
ミシンの正面図であり、ミシン機枠に取付けられ
たパネル１には針糸用糸調子器２、上糸用糸調子
器３、下糸用糸調子器４、JIS記号あるいは図に
より縫目形式を表示した縫い目形式ダイヤル装置
５が取付けられており、前記パネル１上には前記
縫目形式ダイヤル装置５の表示に対応する指示印
６が表示されている。各糸調子器と縫目形式ダイ
ヤル装置との連結状態を第１図及び第４図〜第６
図を参照して説明する。

第１図に於いて前記パネル１に糸調子体７が固
着されており、該糸調子体７の内径に糸調子軸１
０を保持する支持体９が嵌装し固着している。

前記糸調子軸１０には第１の調節部８、糸調子
器糸道１１、一対の糸調子皿１２，１３が嵌装し
ており、外周で糸調子ダイヤル１５と嵌合する押
圧ネジ１４が前記糸調子軸１０のネジ部に螺合し
前記一対の糸調子皿１２，１３に当接しており、
前記第１の調節部８が糸調子バネ１６に当接して
いる。該糸調子バネの他端は第２の調節部１７が
前記糸調子軸１０に嵌装して当接しており、前記
第２の調節部１７は前記糸調子体７に設けた長溝
７ａにスライド可能に嵌合している。

前記パネル１及び機枠に回転可能に指示された
ダイヤル軸１８に縫目形式を表示した縫い目形式
ダイヤル１９及びカム面を備える調節体２０が固
着しており、該調節体のカム面が前記第２の調節
部１７他端に当接している。カム面は糸調子設定
のために複数の糸調子器と各縫目形式に対応する
カム面が形成されている。本実施例では縫目形式
に対応する各糸調子張力の適正値が第３図の如く
分類されることから前記調節体２０のカム面は高
さＡ〜Ｄに設定されている。なお前記調節体２０
のカム面と反対の面は平面で形成され前記支持体
９に当接している。

次に糸調子調節装置の動作を説明する。

縫目形式ダイヤル１９の回転により前記調節体
２０が回転し、そのカム面の高さにより各糸調子
器の前記第２の調節部１７が軸方向移動して前記
糸調子バネ１６への押圧力を各糸調子器を同時に
調節する。各糸調子器単独には前記糸調子ダイヤ
ル１５の回転により前記第１の調節部８が軸方向
移動して前記糸調子バネへの押圧力を調節する。

第１図及び第４図の設定状態は縫目形式５０４
に対応させるため、縫目形式ダイヤルの表示を前
記指示印６に合わせた場合であり、前記調節体２
０のカム面ＡとＤとＣに前記第２の調節部１７が
夫々当接している。そのカム面は第５図の如く形
成されている。

前記針糸用糸調子器２の第２の調節部１７はカ
ム面Ａに当接して張力６０ｇとなる如くの位置に
設定され、前記上糸用糸調子器３の第２の調節部
１７はカム面Ｄに当接して張力１０ｇとなる如く
の位置に設定され、前記下糸用糸調子器４の第２
の調節部１７はカム面Ｃに当接して張力２０ｇと
なる如くの位置に設定されている。これにより各
糸調子器は糸調子ダイヤルの表示Ａ（オート表示）
を糸調子器糸道１１の指示印に合致させることで
縫目形式５０４に対応する糸調子器の糸張力が節
定される。

糸調子器の設定糸張力に対する修正は全体的な
ズレについては前記調節体２０の位置を軸方向移
動して行い各糸調子器単独については前記糸調子
ダイヤル１５を前記押圧ネジ１４の嵌合から解除
し前記押圧ネジ１４を回転させて糸張力を調節
し、前記糸調子ダイヤル１５を前記押圧ネジ１４
に表示Ａが前記糸調子器糸道１１の指示印に合致
する位置で嵌合させることで行う。

第６図の設定状態は前記縫目形式ダイヤル１９
を回転させて前記指示印６に縫目形式５０２の表
示を合せた場合であり、前記針糸用糸調子器２の
第２の調節部１７はカム面Ａに当接して張力６０
ｇとなる如くの位置であり、前記下糸用糸調子器
４の第２の調節部１７はカム面Ｄに当接して張力
１０ｇとなる如くの位置に設定されている。なお
縫目形式５０２は１本針２本糸の縫い目であり上
糸用糸調子器３は不使用であるので糸張力設定値
は自由であるので、この実施例では５０３の場合
と同じく当接するカム面の高さはＤとしている。

第７図の設定状態は前記縫目形式ダイヤル１９
を回転させて前記指示印６に縫目形式５０３，５
０５の表示を合せた場合であり、前記針糸用糸調
子器２の第２の調節部１７はカム面Ｂに当接して
張力３０ｇとなる如くの位置であり、前記上糸用
糸調子器３の第２の調節部１７はカム面Ｄに当接
して張力１０ｇとなる如くの位置であり、前記下
糸用糸調子器４の第２の調節部１７はカム面Ｂに
当接して張力３０ｇとなる位置に設定される。

なお前記調節体２０の調節については第８図及
び第９図に示す如くの方法によることも可能であ
る。

前記縫目形式ダイヤル装置５のダイヤル軸１８
の一端に縫目形式表示板２３を固着し、ダイヤル
軸１８に固着の調節体の外周に歯部を設けると共
に、前記ダイヤル軸１８に平行に設けた歯車軸２
４に前記調節体２０の歯部に噛合する歯車２２を
固着し、操作ダイヤル２１を前記歯車軸２４に固
着している。

縫目形式変更に対して、前記操作ダイヤル２１
を回転することにより歯車２２を回転せしめ噛合
する歯部にて前記調節体２０を回転設定する。こ
のように構成することにより軽い操作力による選
択が行えるものである。

（効果） 以上の如く本発明によれば、縫目形式の変更に
対して縫目形式ダイヤルの縫目形式表示を指示印
に合せることにより針糸、上糸、下糸の各糸調子
器の糸調子張力をその縫目形式に適した値に調節
することが出来、従来の如く全ての糸調子器を経
験により試行錯誤的に調節を繰り返す必要がなく
更に各糸調子器は単独にも調節が可能な如く構成
されているため異なつた糸を使用する等の縫い条
件の変更にも巾広く対応させる事が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の縫目形式対応糸調子装置の断
面図、第２図は装置を組込んだミシンパネルの正
面図、第３図は縫目形式と各糸の糸張力の関係の
説明図、第４図は縫目形式５０４選択時の調節体
と第２の調節部との係合状態説明図、第５図は調
節体の位置設定部の形状説明図（第４図Ｇ矢視）、
第６図は縫目形式５０２選択時の調節体と第２の
調節部との係合状態説明図、第７図は縫目形式５
０３，５０５選択時の調節体と第２の調節部との
係合状態説明図、第８図は操作方法に関する別の
実施例のミシンの正面図、第９図はその断面図で
あり、１２及び１３は糸調子皿、１６は糸調子バ
ネ、２〜４は糸調子器、８は第１の調節部、２１
は第２の調節部、２０は調節体、１５は糸調子ダ
イヤルである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 縫目を形成する複数の糸のそれぞれに糸張力
   を与えるために糸を挟持する一対の糸調子皿を
   糸調子バネにより加圧する糸調子器を複数個備
   えたミシンに於いて、前記各糸調子器の加圧手
   段は各糸調子器に１つの糸調子バネを押圧する
   各糸調子器毎に張力を調節する第１の調節部と
   複数の糸調子器に関連して張力を加圧調節する
   第２の調節部とを備えており、該複数の第２の
   調節部の位置をそれぞれ縫目形式に対応して設
   定するための複数の位置設定部を備える調節体
   と、該調節体と連結する縫目形式表示手段とを
   備えた縫目形式対応糸調子装置。 (2) 前記第１の調節部の位置は糸調子器毎に設け
   られた糸調子ダイヤルにより調節可能であるこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の縫目形式対応糸調子装置。