JPH038228Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案はミシンの布送機構の改良に関し、特
に、簡単に布の送り量が調整できる機構に関す
る。

【従来の技術ならびにその課題】

ミシンは、被縫製物の送り量を変更して、縫目
のピツチを調整する。被縫製物の送り量は、回転
主軸に連結されたリンク継手の移動軌跡で変化で
きる。第７図と第８図とに示す布送機構は、回転
主軸３のクランク４に連結されたリンク５と、リ
ンク５で揺動されるロツキングアーム２と、ロツ
キングアーム２で往復運動されて布を所定のピツ
チで移送する布送１とを備える。回転主軸３のク
ランク４が回転するとき、リンクの折曲継手６
が、第７図の直線Ａに沿つて運動する状態と、第
８図の直線Ｂに沿つて運動する状態とでは、ロツ
キングアーム２の回動角αとβが変化する。従つ
て、リンクの折曲継手６の移動軌跡を直線ＡとＢ
の範囲内に特定して、布送１の往復ストロークを
調整できる。折曲継手６に突起を設け、この突起
が摺動する溝付回転ガイドをミシンの本体に回転
自在に取り付けた布送機構は使用されている。 しかしながら、第７図と第８図とに示すよう
に、リンクの折曲継手６の移動軌跡が僅数十度回
動するだけで、布送量は最大から最小に変化する
ので、折曲継手の移動軌跡を特定する溝付回転ガ
イドは微小角回転して布送量を調整することにな
る。この為、布送量の調整が難しくてわずらわし
く、誰もが簡単に操作出来ない。更に困つたこと
に、縫製時に、折曲継手は回転ガイドの溝に沿つ
て往復運動するので、振動で回転ガイドが動き易
い。この為、回転ガイドは確実なストツパーを必
要とする。確実なストツパーは回転ガイドの軽便
な回転調整を阻害する。例えば、従来から使用さ
れている回転ガイドのストツパーは、図示しない
が、回転ガイドの突出ピンと、ミシンの本体の嵌
着孔と、突出ピンを嵌着孔に弾性的に押し込むバ
ネとを備えている。このストツパーは回転ガイド
をバネに抗して軸方向に引き出し、突出ピンを嵌
着孔から引き抜く状態で回転させて、布送量を調
整している。この為、簡単に回転ガイドが回転出
来ない欠点がある。 この考案はこれら従来の欠点を除去することを
目的に開発されたもので、この考案の重要な目的
は、簡単かつ容易にしかも正確に布送量が調整出
来るロツクミシンの布送機構を提供するにある。 また、この考案の他の重要な目的は、軽く回転
できるにもかかわらず、リンクの振動で調整位置
がずれないロツクミシンの布送機構を提供するに
ある。

【従来の課題を解決する為の手段】

ロツクミシンの布送機構は、布送１と、リンク
５と、布送量制御部材７とを備えている。 布送１は、先端が布押の下方に延長されて、布
の下面に押圧され、ロツキングアーム２に連結さ
れて、これで揺動されて布を所定のピツチで送
る。 リンク５は、布送１のロツキングアーム２に一
方端を連結し、他方端を回転主軸３に設けたクラ
ンク４に連結している。また、リンク５は、それ
自体が２分割されて折曲継手６により折曲自在に
連結されている。 布送量制御部材７は、布送１の布送り量を調整
するもので、折曲継手６のガイドを備えている。 布送量制御部材７がリンク５の折曲継手６の移
動方向を変更して、ロツキングアーム２の揺動角
と布送１のストロークとを調整する。 布送量制御部材７は、リンク５の折曲継手６を
直線状に摺動させるガイドライン１１を有するガ
イド片１２と、このガイド片１２の回転軸に連結
されてガイド片１２を回転する歯車１３と、この
歯車１３に中心軸小歯車１９が噛み合い、しかも
それ自体がミシン本体の左側にあつて開閉自在な
カバー２３に穿設されたダイヤル孔２４からケー
ス外に表出しているダイヤル１４と、ダイヤル１
４の回転位置を表示する目盛と、ダイヤル１４に
接触してダイヤル１４の回転を制動するブレーキ
１５とを備えている。 ダイヤル１４の中心軸小歯車１９は歯車１３よ
りも細く、ダイヤル１４がブレーキ１５に抗して
回動されると、ダイヤル１４の回転角に比べて少
ない回転角だけガイド片１２が回動される。所定
の位置に回動されたダイヤル１４はブレーキ１５
で停止される。ダイヤル１４でもつてガイド片１
２が所定の角度に回動されて布送１の往復ストロ
ークが調整される。

【作用効果】

リンク５の折曲継手６が摺動するガイド片が、
これに連結された歯車１３と、この歯車１３に噛
み合い、しかも、歯車１３よりも細い中心軸小歯
車１９を有するダイヤル１４で回転される。即
ち、布送量を調整するダイヤル１４の回転角が、
歯車１３と中心軸小歯車１９の減速比に相当して
減少されてガイド片１２が回転される。この為、
ダイヤルの回転角を大きくしてガイド片の回動角
を小さく出来、ダイヤルでもつてガイド片の回動
角を、誰もが簡単かつ容易にしかも正確に微調整
できる特長が実現できる。 更に、この考案の特筆すべき特長は、ダイヤル
を軽く回動して布送量が簡単かつ迅速に調整出来
るにもかかわらず、ダイヤルの調整位置が縫製時
の激しい振動によつてもずれることがなく、常時
正確な縫目ピツチで縫製出来ることにある。この
特長は、リンクの折曲継手６が摺動するガイド片
１２の回動が、歯車１３と中心軸小歯車１９とで
増速され、更に、中心軸小歯車１９を有するダイ
ヤル１４にブレーキ１５が設けられているので、
ダイヤル１４を回転してガイド片１２を回動する
には、ダイヤル１４を軽く回動できるが、反対に
ガイド片１２がダイヤル１４を回動するには大き
なトルクを要し、ガイド片１２のリンク振動によ
る回動、即ち、縫製中におけるガイド片１２の調
整ずれは効果的に阻止出来る。

【好ましい実施例】

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。 但し、以下に示す実施例は、この考案の技術思
想を具体化する為の装置を例示するものであつ
て、この考案の装置は、構成部品の材質、形状、
構造、配置を下記の構造に特定するものでない。
この考案の装置は、実用新案登録請求の範囲に記
載の範囲に於て、種々の変更が加えられる。 更に、この明細書は、実用新案登録請求の範囲
が理解し易いように、実施例に示される部材に対
応する番号を、「実用新案登録請求の範囲の欄」、
「従来の課題を解決する為の手段の欄」および
「作用効果の欄」に示される部材に付記している。
ただ、実用新案登録請求の範囲に示される部材
を、実施例の部材に特定するものでは決してな
い。 第１図及び第２図に示すロツクミシンの布送機
構は、被縫製布を一定のピツチで送る布送１と、
布送１を往復運動させるロツキングアーム２と、
ロツキングアーム２と回転主軸３のクランク４と
を連結するリンク５と、リンク５の折曲継手６の
ガイドを有する布送量制御部材７とを備える。 布送１は、先端上面の凹凸面８が被縫製布の下
面に押圧されて布を一定の方向に送る。他端はロ
ツキングアーム２の上端に軸を介して回動自在に
連結され、ロツキングアーム２で水平方向に往復
運動される。先端上面の凹凸面８は、水平面内の
往復運動に同期して上下動される。即ち、針板の
上面から突出して布送方向に移動し、針板より下
面にあつて反対方向に移動する。従つて、この布
送は、図示しないが中間がコンロツドを介して回
転主軸に連結される。コンロツドは、回転主軸の
中心から偏心して回転自在に連結され、このコン
ロツドでもつて上下に運動される。 ロツキングアーム２は上端が布送に、下端がリ
ンク５に、中間がミシンのフレームに水平に固定
された軸２８に、それぞれ垂直面内で回動自在に
連結されている。 リンク５は２本のロツドが折曲継手６を介して
連結されており、一端が、回転主軸３のクランク
４に連結されている。 回転主軸３のクランク４は、第３図に示すよう
に、回転主軸３の外周に固定された偏心円板で構
成されており、この偏心円板の外周に、リンク５
が回転自在に連結されている。偏心円板の中心は
回転主軸３の中心から偏心されているので、回転
主軸３が回転すると、偏心円板の中心は回転主軸
３の周囲を回転する。従つて、この偏心円板の中
心と回転主軸の中心との距離がクランクアームの
長さとなる。 リンク５の折曲継手６の連結軸９には、第４図
に示すように、方形状の摺動子１０が突出してい
る。 布送量制御部材７は、第５図に示すように、摺
動子１０の移動軌跡を特定する溝状のガイドライ
ン１１を有するガイド片１２と、このガイド片１
２の回転軸１６に固定された歯車１３と、この歯
車１３を回転するダイヤル１４と、ダイヤル１４
を回転位置に停止するブレーキ１５とを備えてい
る。 ガイド片１２は、回転主軸回転時に、摺動子１
０が直線状に移動する溝状のガイドライン１１を
有し、それ自体は、摺動子１０の移動軌跡に位置
して、回転軸１６を介してミシン本体のフレーム
１７に回動自在に装着されている。 回転軸１６は、フレーム１７とダイヤル１４の
装着台１８とを貫通して、一端には歯車１３が固
定されている。 一方、ダイヤル１４は、中心軸小歯車１９が歯
車１３に噛み合うように、軸２０が装着台１８に
回転自在に装着されている。 ダイヤル１４の中心軸小歯車１９は、減速して
歯車１３を回転するように、直径が歯車１３の４
分の１〜1.5分の１に決定されている。 また、ダイヤル１４は、第１図に示すように、
目盛の表示窓２１が開口されており、表示窓２１
の中央には基準線が付されている。基準線をダイ
ヤル１４に付された目盛りに合わせて、布送り量
を調整する。 ダイヤル１４をミシン本体に固定する装着台１
８は、第５図と第６図とに示すように、全体の形
状が鍔２２付き円筒状で、外周に固定片１８ａが
突出し固定片１８ａがミシン本体のフレーム１７
に捻止めされている。 装着台１８の鍔２２の表面には布送量を表示す
る目盛（例えば、１、２、Ｎ、４、５）が付され
ている。 ダイヤル１４は、ミシン本体のカバー２３を開
くことなく回転出来るように、開閉自在なカバー
２３のダイヤル孔２４から外部に表出している。
第１図の実施例に於ては、ダイヤル表面に突出し
て設けられた直線状の摘み部分が、カバー２３か
ら外部に突出する状態で、装着台１８でもつてダ
イヤル１４をミシン本体のフレーム１７に取り付
けている。 ダイヤル１４のブレーキ１５は、装着台の円弧
状内周面に設けられた凹凸状の抵抗面２５と、ダ
イヤルに固定されて抵抗面２５に接触して移動す
る弾性片２６とからなる。 弾性片２６はダイヤル回転時に、これが抵抗面
２５に弾性的に押圧されてダイヤル１４の回転を
制動するように、ダイヤルの裏面から突出して、
抵抗面２５に押圧されている。ダイヤル１４の回
転トルクは弾性片２６の抵抗面２５への押圧力と
凹凸の高さとで調整できる。好ましいダイヤル１
４の回転トルクは、手でダイヤルを掴んで軽く回
転出来る程度に決定される。 ダイヤル１４が軽いトルクで回転できても、ガ
イド片１２がダイヤル１４を回転するのは効果的
に防止出来る。 弾性片２６は弾性線材で、これがダイヤル１４
の裏面に設けられた突起に巻き付けられ、更に、
必要ならば接着されて固定されている。 第５図のブレーキ１５はダイヤル１４の回転角
を一定の範囲内に制限する、ストツプ片２７が装
着台１８に設けられている。ストツプ片２７は抵
抗面２５の両側にあつて、弾性片２６がこれに衝
突して、ダイヤル１４の回転が阻止される。 この考案は、ダイヤルのブレーキの構造を図面
に示すものに特定しない。ブレーキにはダイヤル
の回転を制動する全ての構造、例えば、図示しな
いが、装着台やミシン本体にダイヤルを接触さ
せ、両者の接触摩擦抵抗でダイヤルの回転を制動
する機構も使用できる。 第１図と第５図とに示す布送量制御部材は、ダ
イヤル１４の回転が、中心軸小歯車１９と歯車１
３とを介してガイド片１２に伝達され、ダイヤル
１４がガイド片１２を回転させる。ダイヤル１４
が所定の位置に回転されると、ダイヤル１４はブ
レーキ１５によつて、回転位置に停止される。回
転されたガイド片１２で溝状ガイドライン１１の
方向が決まり、ガイドライン１１でリンク５の折
曲継手６の移動軌跡が特定され、ロツキングアー
ム２の揺動角、即ち、布送の往復ストロークが調
整される。 ダイヤル１４の回転角は、表示窓２１の基準線
と装着台１８の目盛とで表示される。 第１図はダイヤル１４に表示窓を、装着台に目
盛を設けている。反対に、ダイヤルに目盛を、装
着台あるいはミシン本体に基準線を付記すること
も可能である。従つて、この考案は、目盛をダイ
ヤルに付記したものに特定するものでない。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの考案の一実施例を示
すロツクミシンの布送機構のカバーを外した側面
図および平面図、第３図は回転主軸とクランクと
リンクとを示す正面図、第４図は摺動子と布送量
制御部材の分解斜視図、第５図は布送量制御部材
の断面図、第６図はダイヤルの装着台を示す正面
図、第７図および第８図はリンクの折曲継手の移
動軌跡を変えて布送量を調整する布送機構の概略
側面図である。 １……布送、２……ロツキングアーム、３……
回転主軸、４……クランク、５……リンク、６…
…折曲継手、７……布送量制御部材、８……凹凸
面、９……連結軸、１０……摺動子、１１……ガ
イドライン、１２……ガイド片、１３……歯車、
１４……ダイヤル、１５……ブレーキ、１６…回
転軸、１７……フレーム、１８……装着台、１９
……中心軸小歯車、２０……軸、２１……表示
窓、２２……鍔、２３……カバー、２４……ダイ
ヤル孔、２５……抵抗面、２６……弾性片、２７
……ストツプ片、２８……軸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 先端が布押の下方に延長されて布の下面に押
   圧されると共に、ロツキングアーム２に連結さ
   れ、それで揺動されて布を所定のピツチで送る
   布送１と、このロツキングアーム２に一方端を
   連結し、他方端を回転主軸３に設けたクランク
   ４に連結するとともに、それ自体が２分割され
   て折曲継手６により折曲自在に連結されたリン
   ク５と、このリンク５の折曲継手６のガイドを
   有する布送量制御部材７とからなり、布送量制
   御部材７がリンク５の折曲継手６の移動方向を
   変更して、ロツキングアーム２の揺動角と布送
   １のストロークとを調整するように構成された
   ミシンの布送機構に於て、布送量制御部材７
   は、前記リンク５の折曲継手６が直線状に摺動
   するガイドライン１１を有するガイド片１２
   と、このガイド片１２の回転軸に連結されてガ
   イド片１２を回転する歯車１３と、この歯車１
   ３に噛み合う中心軸小歯車１９を有し、しかも
   それ自体がミシン本体の左側にあつて開閉自在
   なカバーに穿設されたダイヤル孔２４からケー
   ス外に表出しているダイヤル１４と、ダイヤル
   １４の回転位置を表示する目盛と、ダイヤル１
   ４に接触してダイヤル１４の回転を制動するブ
   レーキ１５とを備えており、ダイヤル１４の中
   心軸小歯車１９は歯車１３よりも細く、ダイヤ
   ル１４がブレーキ１５に抗して回動されるとダ
   イヤル１４の回転角に比べて少ない回転角だけ
   ガイド片１２が回動され、所定の位置に回動さ
   れたダイヤル１４がブレーキ１５で停止され、
   ダイヤル１４でもつてガイド片１２が所定の角
   度に回動されて布送１の往復ストロークが調整
   されるように構成されたロツクミシンの布送機
   構。 (2) ダイヤル１４のブレーキ１５が、ダイヤルに
   固定された弾性片２６と、この弾性片２６の回
   転軌跡に設けられた円弧状の抵抗面２５とから
   なる実用新案登録請求の範囲第１項記載のロツ
   クミシンの布送機構。 (3) 歯車１３とダイヤル１４の中心軸小歯車１９
   が直径比が４：１〜1.5：１である実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のロツクミシンの布送
   装置。