JPH0327017Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 産業上の利用分野 本考案はブレーキ液等の作動液を溜めておくリ
ザーバに関し、特に、自動車のマスターシリンダ
用リザーバに適用して好適なものである。

ｂ 従来の技術とその問題点 従来のマスターシリンダ用リザーバとしては、
作動液（ブレーキ液）をろ過するためのストレー
ナをリザーバケース内に配設し、このストレーナ
の下方にフロートを配置して成るものが知られて
いる。

そころで、この種の従来のリザーバにあつて
は、ストレーナがリザーバケース内にフリー状態
で収納配置されているため、ブレーキ液の注入時
にフロートの浮力によつてストレーナが浮き上が
り、ろ過のためにストレーナ内に注入されたブレ
ーキ液がリザーバケースからこぼれ出してしまう
といつた問題点があつた。また、上述の如くスト
レーナがフリー状態であることから、振動音を発
するという問題点もあつた。

本考案はこのような実状に鑑みて考案されたも
のであつて、その目的は、上述の如き問題点のな
いリザーバを提供することにある。

ｃ 問題点を解決するための手段 上述の問題点を解決するために、本考案では、
作動液をろ過するためのストレーナをリザーバケ
ース内に配設し、前記ストレーナの下方にフロー
トを配置して成るリザーバにおいて、前記リザー
バケース内のストレーナ載置部上にリブを形成す
ると共に、前記ストレーナの底部に凹部を形成
し、前記ストレーナの凹部内に前記リザーバケー
スのリブを圧入嵌合することにより前記ストレー
ナを前記リザーバケース内に固定配置するように
している。

以下、本考案の一実施例に付き図面を参照して
説明する。

本例のリザーバ１は、第１図に示すように、リ
ザーバケース２と、このリザーバケス２内に配設
されたストレーナ３と、このストレーナ３の下方
に配置されたフロート４とをそれぞれ具備してい
る。

上述のリザーバケース２は、第１図及び第２図
に示すように、有底円筒状のケース本体２ａと、
このケース本体２ａ内に同軸状に一体成形された
円筒部２ｂとを備えており、円筒部２ｂの内部が
フロート室５として構成されている。そして、ケ
ース本体２ａと円筒部２ｂとの間に形成された外
室６は、円筒部２ｂに形成された左右一対のスリ
ツト７ａ，７ｂを介してフロート室５に連通され
ており、さらに前記外室６の底面６ａには左右一
対のブレーキ液供給口８ａ，８ｂが形成されてい
る。また、リザーバケース２の円筒部２ｂの内周
面には、第１図及び第２図に示すようにその前後
左右の箇所に、内側に突出しかつ上下方向に延び
るガイドリブ９ａ〜９ｄが一体成形されている。

一方、フロート４は発泡樹脂等から成る円盤状
の一体成形品であつて、第３図に示すように、そ
の外周縁には軸心方向に沿つて延びるガイド溝１
０ａ〜１０ｄが形成されている。これらのガイド
溝１０ａ〜１０ｄには、リザーバケース２のガイ
ドリブ９ａ〜９ｄが嵌入配置され、これによつて
フロート４がリザーバケース２のフロート室５内
において回動することなく上下動し得るように構
成されている。

また、上述のフロート４の中央部にはマグネツ
トＭが埋設されており、このマグネツトＭの磁力
にて作動する検知スイツチＳが、リザーバケース
２の底面中央部２Ｃに形成されたスイツチ収納孔
１２内に外部から挿入されるようになつている。
一方、左右一対のガイドリブ９ａ，９ｂの下端部
には、段部から成るストツパ部１３ａ，１３ｂが
それぞれ形成されると共に、これらの両側にもス
トツパ部１３ｃ，１３ｄ及び１３ｅ，１３ｆが形
成されている。しかして、ブレーキ液１４の液面
１５が下がつてフロート４が下降したとき、上述
のストッパ部１３ａ〜１３ｆにフロート４の下面
が当接するように構成され、この当接した瞬間に
検知スイツチＳがマグネツトＭの磁力にてON状
態に切換えられ、液面１５が最低レベルに達した
旨の警報が発されるようになつている。

また、第２図に示すように、リザーバケース２
内のストレーナ載置部上であつてかつリザーバケ
ース２の前後両部の箇所には、ケース本体２ａと
円筒部２ｂとの間に上下方向に延びるストレーナ
支持用リブ１６ａ，１６ｂが一体成形されてい
る。なお、これら一対のリブ１６ａ，１６ｂはケ
ース本体２ａの径方向に延出され、それらの上端
面は前記ガイドリブ９ａ〜９ｄの各上端面と同一
の平面となるように構成されている。

一方、ストレーナ３は、第４図〜第６図に明示
するように、円筒状の本体部３ａと、この本体部
３ａの下端から少し上方の箇所に形成された底面
部３ｂと、この底面部３ｂの４つの打抜き部３ｃ
にそれぞれ展張されたろ過用のナイロン網１８と
を具備している。上述の本体部３ａのうち底面部
３ｂより上方は液溜部１９を構成しており、底面
部３ｂより下方の部分はキヤツプ状のストレーナ
取付部２０を構成している。そして、上述のスト
レーナ取付部２０の前後両箇所には第５図に示す
ように、その下端縁に形成されたくさび状切欠き
部２１と、この切欠き部２１に連なる平行状切欠
き部２２と、この切欠き部２２に連なる逃げ部２
３とから成る凹部２４がそれぞれ形成されてい
る。かくして、ストレーナ３の底部には底面側に
開口する凹部２４が前記ストレーナ支持用リブ１
６ａ，１６ｂに対応して設けられている。なお、
前記平行状切欠き部２２の幅L₁は前記ストレー
ナ支持用リブ１６ａ，１６ｂの厚さL₂よりも僅
かに小さく形成されている。

しかして、前記凹部２４のくさび状切欠き部２
１にてリザーバケース２のリブ１６ａ，１６ｂを
ガイドしながら前記凹部２４の平行状切欠き部２
２内に圧入嵌合することによつて、ストレーナ３
は前記リブ１６ａ，１６ｂ並びに前記ガイドリブ
９ａ〜９ｄ上に載置された状態で固定配置される
ように構成されている。

このようにして構成されたリザーバ１は、第１
図に示すようにタンデムマスターシリンダ２５に
ねじ止め等にて一体的に取付けられ、リザーバ１
のブレーキ液供給口８ａ，８ｂがタンデムマスタ
ーシリンダ２５のシリンダ室（図示せず）に接続
されるようになつている。なおこの場合、タンデ
ムマスターシリンダ２５は前輪駆動車（フロント
エンジン・フロントドライブ車）対策等のために
前方に向けて上方に傾斜して配置されるが、この
リザーバ１は傾斜することなく垂直状に配置され
ている。

また、リザーバケース２の上端開口２６は着脱
自在のキヤツプ２７にて覆われ、ブレーキ液１４
の補給はこのキヤツプ２７を取外してなされる。

次に、上述の如き構成を有するリザーバ１の機
能に付き述べる。まず、ブレーキ液１４の漏失に
て液面１５が第１図において一点鎖線で示す如く
降下すると、これに伴つてフロート４も同図で一
点鎖線にて示す如く降下する。そして、フロート
４の下面が一対のストツパ部１３ａ，１３ｂに当
接すると同時に検知スイツチＳがマグネツトＭの
磁力にてON状態に切換えられ、図外のインジケ
ータにて運転者にブレーキ液１４の不足が警告さ
れる。

ブレーキ液１４の補給は、キヤツプ２７をリザ
ーバケース２から取外して、リザーバケース２の
上端開口２６を介してブレーキ液１４をストレー
ナ３の液溜部１９に注入することにより行なわれ
る。液溜部１９内に注入されたブレーキ液１４は
ナイロン網１８にてろ過されたフロート室５内に
供給され、フロート室５内のブレーキ液１４が増
量される。そして、液面１５の上昇に伴いストツ
パ部１３ａ〜１３ｆ上にあるフロート４が上昇し
てストレーナ３の底面部３ｂにフロート４の上面
が当接する。この場合、ストレーナ３の凹部２４
内にリザーバケース２のリブ１６ａ，１６ｂが圧
入嵌合されてストレーナ３がリザーバケース２に
対して固定された状態で収納配置されているの
で、液面１５がストレーナ３の底面部３ｂを越え
て上昇してフロート４がさらに上方へ移動しよう
としてもこのフロート４は前記底面部３ｂにて上
方への移動が阻止される。しかして、ブレーキ液
１４の液面がストレーナ３の底面部３ｂより上昇
した場合であつても、ストレーナ３はフロート４
の浮力により浮き上がつて、ストレーナ３の液溜
部１９に注入したブレーキ液１４がリザーバケー
ス２から外部へこぼれ出てしまうような事態を招
くことがない。

以上、本考案の一実施例に付き説明したが、本
考案は既述の実施例に限定されるものではなく本
考案の技術的思想に基いて各種の変形及び変更が
可能である。例えば、リザーバケース２のリブ１
６ａ，１６ｂ及びストレーナ３の凹部２４等の形
状は互いに圧入嵌合し得ればどのような形状であ
つてもよい。また、本考案はタンデムマスターシ
リンダ２５のリザーバにのみ適用されるものでは
なく、その他各種のマスタシリンダ等のリザーバ
にも同様に適用可能である。

ｄ 考案の効果 以上の如く、本考案は、ストレーナの底部に形
成した凹部内にリザーバケース内のストレーナ載
置部上に形成したリブを圧入嵌合することによ
り、ストレナーをリザーバケースに固定するよう
にしたものであるから、極めて簡単な作業にてス
トレーナをリザーバケースに取付けることがで
き、作動液の注入時にストレーナが不測に浮き上
がつて作動液がリザーバケースからこぼれ出てし
まうような不都合の発生を未然に防止できる。ま
た、リザーバケースからのストレーナの取外しも
容易である。しかも、本考案によれば、このよう
な利点を奏し得るにも拘わらず、ストレーナ及び
リザーバケースには形状が単純な凸凹を設ければ
よいためストレーナ及びリザーバケースの製造用
の成形型が簡単な構成のもので済む上に、製造作
業、特に成形型からの引抜き作業を容易に行なう
ことができる。なお、ストレーナをリザーバケー
スに対して所定位置に固定配置する方法として
は、リザーバケース内にストレーナを圧入嵌合す
ることが考えられるが、この場合には、リザーバ
ケースの内側に応力がかかるため、リザーバケー
スが変形し、キヤツプ部のシール性が悪くなるお
それがある。これに対し、本考案の場合は、リザ
ーバケースの内側には応力が一切かからないた
め、リザーバケースが変形してしまうようなこと
がなく、従つてキヤツプ部のシール性が損なわれ
るおそれはない。

また、本考案によれば、ストレーナをブレーキ
液中に沈める構成を採ることが可能となり、この
場合にはリザーバ全体の高さを低くできる。この
ため、特に、エンジンルーム内の空間を極力少な
く抑える要求の強い前輪駆動車（フロントエンジ
ン・フロントドライブ車）に、本考案に係るリザ
ーバを適用すれば非常に有益である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るリザーバの一実施例を説明
するためのものであつて、第１図はリザーバの縦
断面図、第２図は第１図における−線断面
図、第３図はフロートの平面図、第４図はストレ
ーナの平面図、第５図は第４図における−線
断面図、第６図はストレーナの底面図である。 １……リザーバ、２……リザーバケース、２ａ
……ケース本体、２ｂ……円筒部、３……ストレ
ーナ、３ａ……本体部、３ｂ……底面部、４……
フロート、１４……ブレーキ液、１６ａ，１６ｂ
……ストレーナ支持用リブ、１８……ナイロン
網、２４……凹部、２５……タンデムマスターシ
リンダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 作動液をろ過するためのストレーナをリザーバ
   ケース内に配設し、前記ストレーナの下方にフロ
   ートを配置して成るリザーバにおいて、前記リザ
   ーバケース内のストレーナ載置部上にリブを形成
   すると共に、前記ストレーナの底部に凹部を形成
   し、前記ストレーナの凹部内に前記リザーバケー
   スのリブを圧入嵌合することにより前記ストレー
   ナを前記リザーバケース内に固定配置したことを
   特徴とするリザーバ。