JPH0324857B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、Ｂモード表示の装置に、運動物体か
らの反射波に色付けするカラーフローマツピング
機能を付加した超音波診断装置に関する。

（従来の技術） 超音波パルスが被検体に放射すると反射体から
エコーが戻つてくるが、この反射体が運動してい
ると、受信されるエコーの周波数は半信周波数と
異なり、反射体が探触子の方に向かつて動いてい
るときは受信周波数は送信周波数より高く、逆に
遠ざかる時は低くなる。そして、その周波数偏移
は反射体の運動速度に比例する。このドプラー効
果を利用して、例えば心蔵や血管内を流れる血液
の方向と速さを知ることができる。

ところで、超音波パルスの反射には固定物体に
よるものと運動物体によるものとがあり、特に運
動物体に注目するときは固定物体による反射信号
を消去して運動物体の反射信号のみを表示した方
が分り易いので、その目的のために、運動物体の
反射信号のみを取出すMTI（Moving Target
Indicator）が用いられている。

しかしながら、固定した反射物体に関する情報
も又医用超音波診断装置では重要な意味を持つて
いる。何故ならば、上記の情報が無いと表示画面
中のどこが何を表わすのか同定できないし、又、
単に移動中の物体を表示しただけではそれが何で
あるかを判別することが困難である。このため、
固定物体の表示と運動物体の表示とを同一画面上
に共通に表示して相互に識別するために運動物体
による反射信号にはカラー表示をするカラーフロ
ーマツピング機能を付加した超音波診断装置があ
る。この超音波診断装置では固定物体のＢモード
表示画像には白黒の輝度表示を行い、運動物体に
対してはカラー表示を行つて固定物体と運動物体
の反射の識別をしている。

（発明が解決しようとする問題点） このようなカラーフローマツピングの開発によ
つて、ますます超音波ドプラ法の臨床応用が盛ん
になつてきたがまだ次のような問題がある。それ
は遅い速度の流れまで画面に表示しようとすれ
ば、MTI処理回路の次数（トランスバーサルフ
イルタのタツプ数や係数行列）を大きくして低域
カツトの限界を下げる必要があるが、このように
するとクラツタを消去し切れなくなる。ここにク
ラツタは例えば血管壁などの粗織が拍動して僅か
にドプラシフトを有する反射波である。一般には
クラツタのレベルは血流信号より40dB大きいた
め影響は大きい。従つて、血流に関係のないクラ
ツタにまで色が付くことになつて甚だ見にくい画
面となる。又、MTIの次数を上げる程、その音
線（超音波ビーム）に何度も送受信を行う必要が
あるため、音場走査のフレームレートが遅くな
り、単位時間当り獲得される有効画面数が少なく
なつて、ぱらぱらと現われる見にくい画面となつ
てしまう。

本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、そ
の目的は、速度の遅い運動物体をカラー表示させ
ても不必要なクラツタを消去し、且つ画面の間欠
的の表示の発生を極力少なくした超音波診断装置
を実現することにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の問題点を解決する本発明は、Ｂモード表
示の装置に、運動物体からの反射波に色付けする
カラーフローマツピング機能を付加した超音波診
断装置において、ピクセル単位で、該当Ｂモード
ビデオ信号を設定レベルと比較し、該当Ｂモード
ビデオ信号が設定レベルを越えたピクセルの集ま
りをクラツタが存在する位置とするクラツタマツ
プと、遅延量の大きい高次側と遅延量の小さい低
次側の少なくとも２種類の遅延量が用意された
MTI処理手段と、該MTI処理手段として高次側
か低次側の何れかを選択させるスイツチと、前記
クラツタマツプの内容に基づき、クラツタが存在
しない所では前記MTI処理手段が高次側になる
ように前記スイツチを切替え、クラツタが存在す
る所では前記MTI処理手段が低次側になるよう
に前記スイツチを切替えるスイツチ制御回路とを
具備したことを特徴とするものである。

（作用） Ｂモードビデオ信号をDSCの画像メモリに格
納した信号中から、クラツタの存在する位置を示
すクラツタマツプを作成し、ピクセル単位でクラ
ツタマツプ上の番地に入力信号の番地が合致する
か否かに応じて制御される切替手段によつて、
MTI処理回路を高次と低次に切替え使用する。

（実施例） 以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に
説明する。

図は本発明の一実施例を示す概略構成ブロツク
図である。図において、１は超音波を被検体に照
射し、その反射波を受波する超音波探触子、２は
超音波探触子１が受波した被検体からの反射波を
増幅する受信機、３は受信機２からの信号を増幅
し検波する増幅検波回路で、Ｂモードビデオ信号
を出力する。４はエコービデオ信号のフオーマツ
トを標準方式テレビジヨンのラスタ走査に適合し
たデイジタル信号によるフオーマツトに変換する
ためのデイジタルスキヤンコンバータ（以下
DSCという）で、画像メモリ４ａを内蔵してい
る。５は画像メモリ４ａに格納された信号中、設
定レベルを超える信号の番地を記録するクラツタ
マツプで、スイツチ制御回路６を動作させる。

７，８は多数のパルス繰返し周期の遅延量を持
つ単位デイレイラインを直列に接続し、各単位デ
イレイライン毎にタツプを設けたMTI処理回路
で、７は例えばデイレイライン10個目のタツプを
出力端子とした高次MTI処理回路（10次MTI処
理回路）、８は３個目のタツプを出力端子とした
低次MTI処理回路（３次MTI処理回路）である。
MTI処理回路はデイレイラインを通過した信号
と直接の入力信号との差を求めて固定物体の反射
を打消しており、必要に応じてコヒーレント検波
器、一時波形メモリ等を含んでいる。９は前記高
次MTI処理回路７と低次MTI処理回路８との
DSC１０への接続を、スイツチ制御回路６の制
御によつて切替える切替手段で例えばスイツチを
用いる。１０はスイツチ９を通過したMTIビデ
オ信号をデイジタル信号に変換して画像メモリ１
０ａに格納するDSCである。１１はDSC４の出
力をＹ信号（輝度信号）とし、DSC１０の出力
をＣ信号（色度信号）として処理し、RGBの３
原色信号を出力する有色合成回路である。

次に上記のように構成された実施例の動作を説
明する。

被検体から反射された超音波は超音波探触子１
で受波され、受信機２において増幅される。この
受信信号には固定物体からの反射波と運動物体か
らの反射波とが含まれていて、受信機２の出力は
次の２経路に並列に導入される。第１は増幅検波
回路３において、増幅検波されてＢモードビデオ
信号となり、DSC４において、デイジタル信号
に変換されて画像メモリ４ａに格納される。クラ
ツタマツプ５には予め判定レベルが設定されてい
て、メモリ４ａに格納された信号と比較して設定
レベルを超えた信号の番地を記録して、クラツタ
が存在する位置の地図を作成する。

第２はMTI処理回路に入力される。MTI処理
回路は２個あつて、高次MTI処理回路７は10番
目のタツプが出力端子となつていて、遅い運動物
体をも消去しないで出力する。従つて、クラツタ
が存在するときはクラツタは消去し切れないで出
力することになる。低次MTI処理回路８は３番
目のタツプが接続されていて、３周期後も位置の
変化の少ない遅い運動物体は消去され、クラツタ
も完全に消去される。従つて、クラツタの存在し
ないところでは遅い運動物体は消去されるので使
用は望ましくない。この両MTI処理回路の切替
えはスイツチ制御回路６によつて制御されるスイ
ツチ９によつて行われる。

通常は高次MTI処理回路７によつて処理され
て運動物体のカラー表示を行つているが、クラツ
タの存在する位置に音線が来た時、即ちクラツタ
マツプ５の番地の信号と、Ｂモードビデオ信号の
DSC４の画像メモリ４ａの番地の信号とが合致
したときクラツタマツプ５からの出力によりスイ
ツチ制御回路６が動作して切替スイツチ９を切替
え、受信信号は低次MTI処理回路８により処理
されてDSC１０にMTIビデオ信号が送られる。
この切替えはピクセルの単位で切替えられるもの
である。このようにしてクラツタの存在位置をク
ラツタマツプ５に記録して、クラツタの存否に応
じてスイツチ９を切替えて画像メモリ１０ａに逐
次格納して行き、有色合成回路１１に読み出され
てカラー合成される。

以上の動作のタイミングは、MTI出力、Ｂモ
ードビデオ出力何れも送受波に同期して出力が与
えられるので、クラツタマツプ５の読み出しもそ
れに同期して、地理的に合うように（音線と一致
して）タイミングや番地を合わせながら行われ
る。

以上説明したように、クラツタの存在する所で
は、遅い速度の運動物体の表示を多少犠牲にして
クラツタを除去し、クラツタの無い所では速度の
遅い運動物体も把握することができるようになつ
た。更に画面のぱらぱらとめくれるような見にく
い画面の出現を少なくすることが出来る。

尚、本発明は上記実施例に限定するものではな
い。例えばMTI処理回路の次数を３次と10次で
説明したが捉えるべき運動物体の速度によつて適
宜変更することが出来る。又、スイツチ回路９は
高次MTI処理回路７と低次MTI処理回路８を切
替えたが、デイレイラインのタツプを切替えるよ
うにしてもよい。又、MTI処理回路の次数の異
なるものを３個以上切替え使用することも可能で
ある。更に長さを同じにして低域の遮断特性を変
更し得るような回路を選んでもよい。クラツタマ
ツプ５の作製時、一定レベルを超える信号で判定
したが、反射信号を２値化して選別するとか、多
値化された信号から適当な値を選んで地図を作製
する方法もある。

（発明の効果） 以上詳細に説明したように本発明によれば、ク
ラツタの存在を適確に把握して、クラツタにより
ちらちらと色が付くような見にくい表示を避ける
ことができ、又、ぱらぱらと出るような見にくい
画面が現われる状態もクラツタの存在しない場合
だけに限定できて、実用上の効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例の概略構成ブロツク図で
ある。 １……超音波探触子、２……受信機、３……増
幅検波回路、４，１０……DSC、４ａ，１０ａ
……画像メモリ、５……クラツタマツプ、６……
スイツチ制御回路、７……高次MTI処理回路、
８……低次MTI処理回路、９……スイツチ、１
１……有色合成回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ Ｂモード表示の装置に、運動物体からの反射
   波に色付けするカラーフローマツピング機能を付
   加した超音波診断装置において、 ピクセル単位で、該当Ｂモードビデオ信号を設
   定レベルと比較し、該当Ｂモードビデオ信号が設
   定レベルを越えたピクセルの集まりをクラツタが
   存在する位置とするクラツタマツプと、 遅延量の大きい高次側と遅延量の小さい低次側
   の少なくとも２種類の遅延量が用意されたMTI
   処理手段と、 該MTI処理手段として高次側か低次側の何れ
   かを選択させるスイツチと、 前記クラツタマツプの内容に基づき、クラツタ
   が存在しない所では前記MTI処理手段が高次側
   になるように前記スイツチを切替え、クラツタが
   存在する所では前記MTI処理手段が低次側にな
   るように前記スイツチを切替えるスイツチ制御回
   路と、 を具備したことを特徴とする超音波診断装置。