JPH0323599Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、加圧水型原子力発電プラントにおい
て新燃料の移送に使用されるエレベータに関する
ものである。

［従来の技術］ 加圧水型原子力発電プラントにおいては、原子
炉格納容器に隣接する燃料取扱建屋とキヤスクピ
ツトとの間に新燃料を昇降させるために、かかる
エレベータが試用されている。

従来のエレベータにおいては第２図、第２Ａ図
及び第２Ｂ図に示すように、新燃料集合体を挿入
する搬器１は、４本の山形材２、それ等を複数箇
所で固定するプレート３及び４、山形材頂部のじ
ようご形燃料ガイド５、底部のベースプレート６
等から構成されている。搬器１の上下２箇所のプ
レート３には、搬器１の両側において軸７が取り
付けられ、軸７の先端には溝付き車輪８が回転自
在に取り付けられ、該車輪８はその溝で水平面に
対して鉛直なガイドレール９の開口縁部に嵌合
し、ガイドレール９に案内されて搬器１が鉛直方
向に昇降するようになつている。

一方、新燃料集合体を取り扱うクレーンの最近
のマスト化に伴い、即ちクレーンで移送中の燃料
集合体を安定させるため同燃料集合体を吊り込む
マストチユーブをクレーンに取り付ける構造の採
用に伴い、従来の新燃料エレベータの構造では、
第２Ａ図に符号１３で示すようにマストチユーブ
がガイドレール９に干渉して、搬器１上方からの
クレーンの接近が制限を受けてしまう。

［考案が解決しようとする問題点］ 従つて、従来のエレベータ構造では、マスト化
されたクレーンの使用に支障が生じる問題点があ
つた。本考案はかかる問題点を速やかに解決する
原子炉用新燃料エレベータを提供することを目的
とするものである。

［問題点を解決するための手段］ この目的から本考案は、長手方向に沿つて設け
られた複数の延長部に車輪を有する新燃料用搬器
と、該搬器の走行を案内するべく前記車輪が嵌合
するガイドレールとを備える原子炉用新燃料エレ
ベータにおいて、該ガイドレールは鉛直面に対し
て傾斜し配設され、前記延長部は上方のものの長
さが下方のものより長く、実質的に垂直姿勢で前
記搬器が支持されていることを特徴とするもので
ある。

［作用］ 車輪を支持するため搬器に設けられた延長部は
上方のものが下方のものより長いので、傾斜した
ガイドレールに延長部の前記車輪を嵌合させる
と、搬器の上方部ほどガイドレールとの間の空間
が大きくなる。そのため、マスト化されたクレー
ンを搬器の上方から接近させても、クレーンのマ
ストチユーブがガイドレールに干渉せず、クレー
ンの使用に何ら支障は生じない。

［実施例］ 次に、本考案の好適な実施例について添付図面
を参照して詳細に説明するが、図中、同一符号は
同一又は対応部分を示すものとする。尚、本考案
は、新燃料についてのみ説明しているが、当業者
にとつて自明なように、原子炉において昇降が必
要な種々の物体に適用可能であるから、この明細
書においては、「新燃料」という用語はそのよう
な物体をも含むものとする。

第１図及び第１Ａ図において、新燃料集合体を
挿入する搬器１は、従来のものと同様でよく、４
本の山形材２、それ等を複数箇所で固定するプレ
ート３及び４、山形材頂部のじようご形燃料ガイ
ド５、底部のベースプレート６等から構成されて
いる。

本考案によれば、第１図を矢印１Ａの方向から
見た第１Ａ図に示すように、搬器１の上下２箇所
の側面のプレート３をピツト壁１１側に下部側面
プレートほど長く延長し、該延長部の上下に適宜
の板を当てて箱形脚１４，１５を形成している。
上部の脚１４には軸１６を、下部の脚１５には軸
１７を固着し、各軸１６，１７の先端には従来と
同様のものでよい溝付き車輪８が回転自在に取り
付けられている。該車輪８はその溝（第２Ｂ図参
照）でガイドレール９の開口縁部に従来同様に嵌
合し、後述する支持金具に支持されたガイドレー
ル９に案内されて搬器１が昇降するようになつて
いる。

上記ガイドレール９はそれぞれ長さの異なる複
数個（実施例では６個）の支持金具１８ａ〜１８
ｆによつてピツト壁１１に斜行状態で取り付けら
れている。搬器１のベースプレート６にはワイヤ
ロープ１２の一端が固着され、操作床面１９上に
据え付けできるウインチ２０等の巻上げ装置にワ
イヤロープ１２の他端が接続されている。

本考案の原子炉用新燃料エレベータは以上のよ
うに構成されているので、ウインチ２０を駆動す
ることによつて、搬器１は斜行したガイドレール
９に沿つて実質的に垂直姿勢で昇降される。その
ため、搬器１の上方部ではガイドレール９との間
に可及的に大きな空間ができるので、搬器１がピ
ツト底に降りた時、マスト化したクレーンで該搬
器１から燃料集合体を取り出す際に、クレーンの
マストチユーブ１３がガイドレール９に干渉する
ことがない。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、斜行したガイ
ドレールによつて搬器を実質的に垂直状態に支持
するので、クレーンのマストチユーブの接近可能
性が得られるだけでなく、搬器からの物体取出し
作業員の操作範囲が拡大され、作業性の向上に大
きく寄与することができる。また、ガイドレール
と溝付き車輪との間には若干のガタつきがあるの
が普通であり、これが搬器の安定昇降を阻害して
いたが、上述したようにガイドレールを斜行させ
たので、車輪の溝の一方の面のみがガイドレール
に接触する傾向が付与され、搬器の安定昇降が可
能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による原子炉用新燃料エレベー
タの側面図、第１Ａ図は第１図の矢印１Ａの方向
から見た平面図、第２図は先行技術の新燃料エレ
ベータの側面図、第２Ａ図は第２図の矢印２Ａの
方向から見た平面図、第２Ｂ図は第２図の２Ｂ−
２Ｂ線に沿う断面図である。 １……搬器、３……プレート（延長部）、８…
…車輪、９……ガイドレール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長手方向に沿つて設けられた複数の延長部に車
   輪を有する新燃料用搬器と、該搬器の走行を案内
   するべく前記車輪が嵌合するガイドレールとを備
   える原子炉用新燃料エレベータにおいて、該ガイ
   ドレールは鉛直面に対して傾斜し配設され、前記
   延長部は上方のものの長さが下方のものより長
   く、実質的に垂直姿勢で前記搬器が支持されてい
   ることを特徴とする原子炉用新燃料エレベータ。