JPH0522878Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、加圧水型原子力発電プラントにおい
て新燃料の移送に使用されるエレベータに関する
ものである。

【従来の技術】

加圧水型原子力発電プラントにおいては、原子
炉格納容器に隣接する燃料取扱建屋とキヤスクピ
ツトととの間に新燃料を昇降させるために、かか
るエレベータが使用されている。エレベータは新
燃料を挿入するための搬器を備えており、例えば
クレーンのような作業機器により搬器内の新燃料
を取り出したり、搬器内に新燃料を挿入したりす
る。 また、新燃料集合体を取り扱うクレーンの最近
のマスト化に伴い、即ちクレーンで移送中の燃料
集合体を安定させるため同燃料集合体を吊り込む
マストチユーブをクレーンに取り付ける構造の採
用に伴い、従来の新燃料エレベータの構造では、
クレーンのマストチユーブが障害となつて、搬器
上方からのクレーンの接近が制限を受けてしま
う。

【考案が解決しようとする課題】

従つて、従来のエレベータ構造では、新燃料へ
の作業機器の接近が容易ではないという問題点が
あつた。本考案は、かかる問題点を、付随的に新
たな問題を派生することなく、速やかに解決する
原子炉用新燃料エレベータを提供することを目的
とするものである。

【課題を解決するための手段】

この目的から本考案は、搬器本体の長手方向に
沿つて設けられた複数の延長部に車輪を有する新
燃料用搬器と、該搬器の走行を案内するべく前記
車輪が嵌合する垂直ガイドレールとを備える原子
炉用新燃料エレベータにおいて、前記搬器の各延
長部は、前記機器本体を挟んで同搬器本体から延
びる対の板部材からなると共に、前記複数の延長
部の前記板部材は、前記搬器本体への作業機器の
接近が前記ガイドレールによつて阻止されるのを
防ぐに足る十分な距離を前記搬器本体と前記ガイ
ドレールとの間に確保する実質的に同一長さのも
のであり、各板部材に設けられた前記車輪は、前
記搬器本体に近い前記ガイドレールの側辺と前記
搬器本体から離間した該ガイドレールの側辺とを
挟持する形態で、同ガイドレールに嵌合している
ことを特徴とするものである。

【作用】

車輪を支持するため搬器本体に設けられた延長
部は実質的に等長であり、且つ搬器本体をガイド
レールから十分に離す程長い。従つて、搬器本体
とガイドレールとの間には大きな空間が存在す
る。そのため、マスト化されたクレーンのような
作業機器を搬器の上方から接近させても、クレー
ンのマストチユーブがガイドレールに干渉せず、
作業機器の使用に何ら支障は生じない。 しかも、延長部の車輪は、搬器本体に近いガイ
ドレールの側辺と同搬器本体から離間した該ガイ
ドレールの側辺とを挟持する形態で配置され、同
ガイドレールに嵌合しているため、車輪とガイド
レールとの間に隙間が必要なくなる。

【実施例】

次に、本考案の好適な実施例について添付図面
を参照して詳細に説明するが、図中、同一符号は
同一又は対応部分を示すものとする。尚、本考案
は、新燃料についてのみ説明しているが、当業者
にとつて自明なように、原子炉において昇降が必
要な種々の物体に適用可能であるから、この明細
書においては、「新燃料」という用語はそのよう
な物体をも含むものとする。 先ず、本考案を後から説明するための参考例を
示す第１図及び第１Ａ図において、新燃料集合体
を挿入する搬器１の本体は、４本の山形材２、そ
れ等を複数箇所で固定するプレート３及び４、山
形材頂部のじようご形燃料ガイド５、底部のベー
スプレート６等から構成されている。 第１図を矢印１Ａの方向から見た第１Ａ図に示
すように、機器１の上下２箇所の側面のプレート
３を実質的に同一長さだけピツト壁１１側に延長
し、該延長部の上下に適宜の板を当てて箱形脚１
４を形成している。そして各脚１４には軸１５を
固着し、各軸１５の先端に溝付き車輪８が回転自
在に取り付けられている。該溝付き車輪８は、そ
の溝がほぼコ字状断面のガイドレール９の開口縁
部に嵌合し、ガイドレール９に案内されて搬器１
が昇降するようになつている。ガイドレール９は
ピツト壁１１に取着したブラケツト１０に垂直に
支持されている。従つて、第１Ａ図から諒解され
るように、搬器１は本体がガイドレール９から所
定距離突出したオーバーハング状態で支持されて
いることになる。 また、搬器１のベースプレート６もピツト壁１
１側に延長しており、ピツト壁１１に近いベース
プレート６の上面端部にはワイヤロープ１２の一
端が固着され、操作床面１１ａ上に据え付けでき
る図示しないウインチ等の巻上げ装置にワイヤロ
ープ１２の他端が接続されている。従つて、ウイ
ンチの作動によつて搬器１をガイドレール９に沿
つて昇降させることができる。 上述した参考例のものでは、ガイドレール９に
対してオーバーハングした関係で搬器１を実質的
に垂直状態に支持するので、搬器１に対する作業
機器の接近可能性が得られるだけでなく、作業機
器としてマスト化したクレーンを用いてもマスト
チユーブがガイドレール９に干渉することがない
ので、燃料取扱時間を短縮することもできる。し
かし、上述のような構成によつて冒頭に述べた従
来の問題点を解決しても、車輪８はコ字形のガイ
ドレール９の中に挿入されているので、搬器１を
オーバーハングした場合には車輪８にモーメント
荷重がかかり、搬器１の円滑な昇降は難しいとい
う新たな問題が派生する。 そこで、第２図及び第２Ａ図に示された本考案
の実施例においては、搬器１の上下２箇所のプレ
ート３の各々の両側面に延長部としての支持板
（板部材）１６が取り付けられている。そして各
支持板１６について２個のフランジ付き車輪１７
が支持板１６の先端に取り付けられていて、各プ
レート３について４個のフランジ付き車輪１７で
角パイプ状のガイドレール１８を、搬器本体に近
い同ガイドレール１８の側辺と同搬器本体から離
間した該ガイドレール１８の側辺とを挟持する形
態で、囲んでいる。ピツト壁１１には複数箇所に
ブラケツト１９が長手方向に隔置されて設けられ
ており、該ブラケツト１９の先端がガイドレール
１８に固着され、ガイドレール１８を直立状態に
支持している。また、各支持板１６のピツト壁１
１側端部にはブラケツト１９から離れる方向に延
びる穴付きの吊り金具２０が設けられていて、該
吊り金具２０に取り付けたワイヤロープ１２を操
作床面１１ａ上の図示しないウインチにより巻き
込んだり、巻き戻したりすることによつて、搬器
１は昇降される。 本考案の原子炉用新燃料エレベータの実施例は
以上のように構成されているので、ウインチを駆
動することによつて、搬器１はガイドレール１８
からオーバーハングした状態で同ガイドレール１
８に沿つて実質的に垂直に昇降される。そのた
め、搬器本体とガイドレール１８との間には可及
的に大きな空間ができるので、搬器１がピツト底
に降りた時、マスト化したクレーンのような作業
機器で該搬器１から燃料集合体を取り出す際に、
クレーンのマストチユーブがガイドレール１８に
干渉することがない。しかも、それだけでなく、
車輪１７がガイドレール１８を抱く形となつてい
るために、車輪１７とガイドレール１８との間に
隙間が必要なくなり、搬器１が上述のようにオー
バーハングしていても、全体が傾かず、搬器は円
滑に昇降する。

【考案の効果】

以上のように、本考案によれば、ガイドレール
に対してオーバーハングした関係で搬器を実質的
に垂直状態に支持するので、搬器に対する作業機
器の接近可能性が得られるだけでなく、作業機器
としてマスト化したクレーンを用いてもマストチ
ユーブがガイドレールに干渉することがないの
で、燃料取扱時間を短縮することもできると共
に、車輪１７がガイドレール１８を抱く形となつ
ているために、車輪１７とガイドレール１８との
間に隙間が必要なくなり、搬器１が上述のように
オーバーハングしていても、全体が傾かず、搬器
は円滑に昇降できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を説明するための原子炉用新燃
料エレベータの参考例の側面図、第１Ａ図は第１
図の矢印１Ａの方向から見た平面図、第２図は本
考案の実施例による新燃料エレベータの側面図、
第２Ａ図は第２図の矢印２Ａの方向から見た平面
図である。 １……搬器、３……プレート（延長部）、１６
……支持板（延長部）、１７……車輪、１８……
ガイドレール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 搬器本体の長手方向に沿つて設けられた複数の
   延長部に車輪を有する新燃料用搬器と、該搬器の
   走行を案内するべく前記車輪が嵌合する垂直ガイ
   ドレールとを備える原子炉用新燃料エレベータに
   おいて、前記搬器の各延長部は、前記機器本体を
   挟んで同搬器本体から延びる対の板部材からなる
   と共に、前記複数の延長部の前記板部材は、前記
   搬器本体への作業機器の接近が前記ガイドレール
   によつて阻止されるのを防ぐに足る十分な距離を
   前記搬器本体と前記ガイドレールとの間に確保す
   る実質的に同一長さのものであり、各板部材に設
   けられた前記車輪は、前記搬器本体に近い前記ガ
   イドレールの側辺と前記搬器本体から離間した該
   ガイドレールの側辺とを挟持する形態で、同ガイ
   ドレールに嵌合していることを特徴とする原子炉
   用新燃料エレベータ。