JPH0322062Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は運搬車に関し、特に作業員が台車本体
の後方に形成された把手部あるいは把手枠を操作
しながら段階を登り、縦型重量物などの荷物を所
望の設置場所まで運ぶことができる運搬車に関す
る。

「従来の技術」 従来この種の運搬車１は、第７図で示すように
一方側に荷物２の側壁と当接する受板３が備えら
れた平板状の荷台４と、この荷台４の下部に所要
間隔を有してそれぞれ設けられた駆動ドラム５お
よび走行ドラム６と、これらの駆動および走行ド
ラム５，６に巻装された無端状のゴム製からなる
可撓性索条部材７とから主に構成され、該運搬車
１が図示するように階段を登る場合は荷台の適宜
箇所に配備された駆動モーターの駆動力により駆
動ドラム５が矢印方向に回転し、この回転と共に
索条部材７が回転して運搬車１が矢印Ａ方向へ移
動するという具合であつた。

しかしながら、前記実施例にあつては次のよう
な欠点があつた。

索条部材を回動させるためには駆動ドラム
５、走行ドラム６、複数個の中間ローラ８およ
びそれらの軸を設けなければならないので構造
が複雑となり、製作上コスト高となつた。

可撓性索条部材７はゴムでできているので、
運搬車１が階段を登るたびに階段Ｓの各々の角
部９と擦り合う格好となり、したがつて、索条
部材７が摩耗し交換しなければならなかつた。
また屋内の階段などにおいて階段の角部にスベ
リ止め用マツトが設けられている場合、該マツ
トを毟り取つてしまうことがじばしばある。

荷物２が自動販売機などの縦型重量物である
場合は、把手部１ｂ側の荷台４の下部に駆動ド
ラム５などが配設されている関係上、作業員が
把手部１ｂを持つて運搬車１を縦状態に引き起
こすのが容易でなく、したがつて、簡単に縦型
重量物を運搬車１から降ろすことができなかつ
た。

「本考案の目的」 本考案は以上のような従来の欠点に鑑み、構造
が簡単で容易に製作することができると共に、従
来の実施例の如く部品の交換をする必要がなく、
また荷物が縦型重量物である場合には作業員が台
車本体の把手部を簡単に操作して所望する箇所に
荷物を設置することができ、さらに、作業員が台
車本体の把手部でバランスをとりながら車輪をワ
ンステツプづつ確実かつ安全に移動させて階段を
登ることができる運搬車を得るにある。

「本考案の目的を達成するための手段」 本考案は前方に荷物を支える受板を備えかつ前
方寄りの位置に車輪を有する台車本体と、この台
車本体に枢着され作業員が台車本体の把手部を操
作しながら階段をワンステツプ登る際に操作スイ
ツチにより駆動し該台車本体を所要量押し上げ前
記作業員の操作と相俟つて前記車輪を次の段まで
移動させることができる昇降駆動装置とから成る
ことを特徴としている。

「本考案の実施例」 以下、図面に示す一実施例により本考案を詳細
に説明する。

第１図ないし第６図の実施例において、１０は
縦型重量物などの荷物２を普通の平坦な路面だけ
でなく階段も運ぶことができる運搬車で、この運
搬車１０は外観上全体として普通一般に見られる
ようなリヤカーの形態をしている。１１はパイプ
材を適宜折り曲げかつ溶着して形成した台車本体
で、この台車本体には少なくとも荷物２を横に乗
せて支持することができる平行部１１ａ，１１ａ
と、これらの平行部１１ａ，１１ａから一体に延
設して形成された枠状の把手部１１ｂとがある。
１２は台車本体１１の下部前方寄りの位置に設け
られた１対の主たる車輪で、これらの車輪１２，
１２は、本実施例では台車本体１１の平行部１１
ａ，１１ａから下方に対称に設けられた下部支持
枠１１ｃ，１１ｃの前方折曲部寄りの位置に固定
的に横架されたガイド部材１３に嵌挿された車軸
に軸支されている。１４Ａは台車本体１１の前方
に平行部１１ａ，１１ａ上に載置された荷物２の
側壁を受け止めることができるように固定的に立
設された受板で、この受板１４Ａの下方左右の位
置で台車本体１１の前方部には荷物２を載置する
際に使用される一対の補助用小車輪１５，１５が
軸支されている。１４，１４は台車本体１１の平
行部１１ａと下部支持枠１１ｃとの間にそれぞれ
溶着された左右の側板で、これらの側板１４，１
４の中央部あるいはその中央部寄りの位置には第
５図で示すように作業員Ｍが台車本体１１の把手
部１１ｂを操作しながら階段Ｓをワンステツプ登
る際に前記把手部１１ｂに設けられた操作スイツ
チ１６により駆動し該台車本体１１を所要量押し
上げ、前記作業員Ｍの把手部の操作と相俟つて車
輪１２，１２を次の段まで移動させることができ
る昇降駆動装置１７が枢着されている。すなわ
ち、昇降駆動装置の後述するケース本体は第４図
で示すように台車本体に載置された荷物の重心と
なる部分あるいは重心となる部分の近傍といえる
台車本体の側板に枢着されている。しかして、こ
の昇降駆動装置１７は第２図および第３図で示す
ように左右の側板１４，１４の間に複数の枢支ピ
ン１８を介して回動自在に設けられたケース本体
１９と、このケース本体１９に内装され駆動モー
タ２０の駆動力を減速する複数個の歯車例２１，
２２，２３，２４から成る減速歯車機構２５と、
この減速歯車機構２５を介して回動する垂直螺杆
２６と、この垂直螺杆２６と螺合し前記ケース本
体１９の中央部から垂設されたシリンダー２７か
ら出没する筒状のピストン２８と、このピストン
２８の左右の前記ケース本体１９から垂設された
複数のガイド筒２９，２９ａにそれぞれスライド
自在に嵌挿された筒状の支柱３０，３０ａと、こ
れらの支柱３０，３０ａの突出下端および前記ピ
ストン２８の突出下端にそれぞれ固設された階段
の踏み面と面接触の状態で当接する支持板３１と
から構成されている。昇降駆動装置１７は、本実
施例にあつては減速歯車機構２５を採用している
が、ピストン２８をシリンダー２７から出没させ
ることができる油圧や空気圧などの圧力媒体を用
いることもできる。Ｖは台車本体１１の適宜箇所
に複数の挟持板３２，３２を介して該台車本体に
備えられた昇降駆動装置１７の電源としてのバツ
テリーである。３３，３４は昇降駆動装置１７と
接続するためのコートである。なお、前記バツテ
リーＶの設けた位置に変圧器を設けAC100も共用
とすることができる。

上記構成にあつては縦型重量物、たとえば各種
の自動販売機などの荷物２を台車本体の平行部１
１ａ，１１ａに横になるようにして載置し、普通
の平坦な路面を走行する場合は、ピストンを縮め
たままの状態で昇降駆動装置１７の支持板３１が
路面と接触しないようにして運搬車１０を走行さ
せる。この場合昇降駆動装置１７のケース本体１
９が台車本体１１の左右の側板１４，１４の中央
部あるいは中央部寄りの位置に枢支されていると
共に、そのシリンダー２７および左右のガイド筒
２９，２９ａが車軸のガイド部材１３に支持され
て斜めになるので、走行には全く影響がない。一
方、縦型重量物などの荷物２を載置した状態で階
段Ｓを登る場合は第４図ないし第６図で示すよう
に行なわれる。すなわち、まず第４図の状態にお
いて作業員は台車本体１１の把手部に両手をかけ
ながら適宜荷物の重心のバランスをとり、操作ス
イツチ１６を操作する。そうすると昇降駆動装置
１７の正逆回転する駆動モータ２０が一方向へ回
転し、減速歯車機構２５を介して垂直螺杆２６が
回転する結果、シリンダー２７から序々にピスト
ン２８が伸び、第５図で示すように台車本体１１
が押し上げられ、車輪１２が階段Ｓの角部９を乗
り越えて次の上段へと移動する。この場合作業員
Ｍはピストン２８が伸びるにしたがつて台車本体
１１の把手部１１ｂを手前に引くようにすること
が肝要である。次に作業員は把手部１１ｃでバラ
ンスをとりながら操作スイツチ１６を操作し、駆
動モータ２０を逆方向へ回転させる。そうすると
第６図で示すようにピストン２８が縮むにつれて
支持板３１の側縁が階段Ｓの垂直面と摺接しなが
ら上段の水平面の位置へと昇降し、最終的には第
４図で示す元の状態となる。以下、順次このよう
な操作の繰り返しにより運搬車１０を一歩一歩階
段を登るようにして移動させる。しかして、階段
を登り終つて所望の箇所に荷物２を設置する場合
は、作業員は台車本体１１の把手部をまず持ち上
げて第１図で示すように補助の小車輪１５，１５
を踏面あるいは床面に着地させ、しかる後に小車
輪１５，１５を支点にして運搬車１が縦の状態に
なるように回転させ、荷物２の底から受板１４Ａ
を抜き去る。この場合荷物２を床面より一段高い
段部に設置する時は、まず小車輪１５を前記段部
の縁部に載せ、次に台車本体の把手部を引き起こ
しながら操作スイツチ１６を操作すると駆動モー
タ２０が駆動し、その結果、ピストンが伸長する
ので前記小車輪１５を支点として台車本体が容易
に回動する。そり故に、台車本体の荷物２の重心
を簡単に前方に移行させることができる。

「本考案の効果」 以上の説明から明らかなように、本考案にあつ
ては次に列挙するような実用上の効果がある。

(1) 台車本体に車輪を階段の上段へと順次移動さ
せることができる昇降駆動装置を枢着し、この
昇降駆動装置にシリンダーとピストンを利用し
ているので、全体として運搬車の構造が簡単と
なり、したがつて、製作が容易である。

(2) 台車本体の前方寄りの位置に車軸を案内する
ガイド部材を固定的に横架し、一方、昇降駆動
装置のケース本体１９を台車本体の側板１４，
１４の中央部あるいは中央部寄りの位置に枢支
しかつ昇降駆動装置のシリンダーを前記ガイド
部材１３に支持させるように設けたので、運搬
車が平坦な路面を走行する時でも昇降駆動装置
が邪魔とならない。

(3) 昇降駆動装置のシリンダーの左右に並設して
支柱を案内するガイド筒を設け、前記支柱およ
びシリンダーのピストンの突出端に支持板３２
を固設した実施例の場合は、台車本体を安全か
つ確実に上段へと押し上げることができる。

(4) 台車本体の前方に補助用の小車輪１５を軸支
した実施例の場合は、車輪１２が台車本体の前
方寄りの位置にのみ設けられている点も相俟つ
て、容易に台車本体を縦状態へと回転すること
ができるので、荷物が縦型重量物である場合は
簡単に所望箇所へ設置することができる。

(5) 昇降駆動装置の電源としてのバツテリーが備
えられている実施例の場合は、色々な面で便利
である。

(6) その他故障が少なく、従来の実施例のように
部品の交換をする必要がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す斜視図、第２
図は本考案の昇降駆動装置の一実施例を示す斜視
図、第３図は本考案の昇降駆動装置の一部を断面
で示した説明図、第４図ないし第６図は本考案の
運搬車で階段を登りながら荷物を運ぶ場合の各説
明図、第７図は従来の一実施例を示す概略説明図
でする。 １０……運搬車、１１……台車本体、１２……
車輪、１３……ガイド部材、１４Ａ……受板、１
４……側板、１５……小車輪、１６……操作スイ
ツチ、１７……昇降駆動装置、１９……ケース本
体、２７……シリンダー、２８……ピストン、２
９，２９ａ……ガイド筒、３０，３０Ａ……支
柱、３１……支持板、Ｖ……バツテリー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前方に荷物を支える受板を備えかつ前方寄りの
   位置に車輪を有する台車本体と、この台車本体に
   枢着され作業員が台車本体の把手部を操作しなが
   ら階段をワンステツプ登る際に把手部あるいはそ
   の近傍に設けられた操作スイツチにより駆動し、
   かつ、該台車本体を所要量押し上げ前記作業員の
   操作と相俟つて前記車輪を次の段まで移動させる
   昇降駆動装置とから成り、前記昇降駆動装置は、
   台車本体に載置された荷物の重心となる部分ある
   いは重心となる部分の近傍といえる台車本体の側
   板に枢着されたケース本体と、このケース本体に
   取付けられた駆動モータと、この駆動モータの駆
   動力によりケース体に設けられたシリンダーから
   出没するピストンと、このピストンの突出下端に
   固設されかつ階段の踏み面と面接触の状態で当接
   する支持板とを有すると共に、昇降駆動装置の前
   記シリンダーは、台車本体の下方に設けられたガ
   イド部材に支持されていることを特徴とする運搬
   車。