JPH0321737Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は、洗い槽を槽本体とこの槽本体の内下
方に配置された容器状撹拌体とから構成した洗濯
機に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 本出願人は、新しい衣類洗濯方法として先に特
願昭58−101283号を提案し、その発明の詳細を脱
水兼用洗濯機に適用した一実施例について説明し
た。この脱水兼用洗濯機は、脱水時に回転される
槽体の内下部に洗い時に正逆回転される容器状撹
拌体を配設し、洗濯物が槽体の上部周壁と容器状
撹拌体の周壁とにわたつて接触してその各摩擦力
の相乗作用により動かされることによつて洗浄作
用を得る構成である。

ところが、この洗濯機では槽体の内周面と容器
状撹拌体の外周面との間の隙間に洗濯物が食込ま
れることを防止する等のために槽本体のうち容器
状撹拌体より上方部の内径寸法を下方部のそれよ
りも小さく即ち容器状撹拌体の内径と略同一に設
定して容器状撹拌体の内周面と面一になるように
している。しかしながら、これでは槽体の上方部
が一回り小さくなるため、一回で洗濯し得る布量
即ち洗濯容量が減少するという問題があつた。

［考案の目的］ 本考案の目的は、槽本体の内容積特に容器状撹
拌体より上方部の内容積を大きくすることができ
る洗濯機を提供するにある。

［考案の概要］ 本考案は、洗い槽を、槽本体とこの槽本体の内
下方に配置されて正逆回転駆動される容器状撹拌
体とから構成したものであつて、環状内装体を槽
本体内の上下方向途中部位に前記容器状撹拌体の
上端近傍に位置するように装着することによつ
て、槽本体のうち容器状撹拌体より上方部を径小
にする必要をなくし、併せて槽本体の内周部及び
環状内装体の外周部のうちの一方に係合部を形成
すると共に他方に環状内装体の回動により前記係
合部に係合して環状内装体の上下方向の移動を拘
束する被係合部を形成し、且つ係合部と被係合部
との係合解除方向への環状内装体の回動を阻止す
る回動阻止手段を設けることによつて、環状内装
体の取付けを容易に行ない得るようにしたもので
ある。

［考案の実施例］ 以下本考案の一実施例について第１図乃至第３
図を参照しながら説明する。

まず第３図において、１は外箱であり、内部に
は水受槽２を配設しこれを吊り棒機構３を介して
弾性支持している。４は脱水槽を兼ねる洗い槽で
あり、これは円筒状の槽本体５と浅底容器状の撹
拌体６とから構成されており、槽本体５は水受槽
２内に回転可能に配置してその外底部を脱水軸７
に連結固定し、容器状撹拌体６は槽本体５の内下
部に配置してその外底部を洗い軸８に連結しねじ
９により固定している。前記槽本体５はプラスチ
ツク製で、容器状撹拌体６の上方に位置する部分
の内径を容器状撹拌体６が配置された下部位より
も径大に形成し、その上端部内側に環状のバラン
サー１０を嵌合固定している。一方、容器状撹拌
体６はポリプロピレンなどの弾性に富むプラスチ
ツクにより形成されている。この容器状撹拌体６
の外径寸法Ｄ１は本来槽本体５の上部の最小内径
寸法即ちバランサー１０の内径寸法Ｄ２より大き
く設定されているものであるが、その弾性を利用
して第３図に二点鎖線で示すようにバランサー１
０の内径寸法Ｄ２よりやや小なる幅の楕円形に変
形させることができるようになつている。従つ
て、補修時等に、容器状撹拌体６を槽本体５から
取出す場合に逐一バランサー１０を取り外さずと
も済む。１１は環状内装体で、これは後述する取
付け構造により槽本体５内の上下方向途中部位に
その下端が容器状撹拌体６の上端近傍に位置する
ようにして装着されている。この環状内装体１１
は、その内周面を上方に向かつて径大となるテー
パ状に形成し、そのテーパ状内周面に上下に伸び
る凸部１１ａを突設すると共に下端部に全周にわ
たり突条１１ｂを突設している。そして、環状内
装体１１下端の突条１１ｂにおける内径寸法Ｄ３
は容器状撹拌体６上端の内径寸法Ｄ４と略同寸法
に設定されている。このような環状内装体１１
は、ポリプロピレンなどのような弾性に富むプラ
スチツクにより形成され、前記容器状撹拌体６と
同様にバランサー１０の内径寸法Ｄ２よりやや小
なる幅の楕円形に変形させることができるように
なつている。１２は槽本体５に形成した脱水孔で
ある。１３は動力制御機構であり、洗濯機モータ
１４の回転力を洗い軸８のみに減速して伝えた
り、脱水軸７及び洗い軸８の双方に伝えたりする
ために減速機構、クラツチ機構及びブレーキ機構
等を内蔵している。１５は排水弁で、洗い槽４内
の水を水受け槽２の底部から排水ホース１６を介
して機外に排出し得るようにしている。１７は操
作部１８に設けた運転制御装置で、これにより洗
いから最終脱水までの各行程を自動的に制御する
ようにしている。

ここで環状内装体１１の取付け構造につき説明
する。即ち、第１図及び第２図において、１９は
係合部たる棒状の係合突子で、この係合突子１９
は環状内装体１１の外周部にその周方向に沿つて
間欠的に突設されている。そして、槽本体５の内
周部には係合突子１９が係合する被係合部たる係
合孔２０が形成されている。この係合孔２０は周
方向に略水平に延び、そその一端部には係合突子
１９を上方から挿入できるようにするために上向
きに開放する挿入溝部２０ａを連続的に形成して
いる。２１は環状内装体１１に対する回動阻止手
段を構成するねじであり、環状内装体１１にはこ
のねじ２１の通し孔２２が形成され、また槽本体
５にはねじ２１の螺着孔２３が形成されている。

而して、環状内装体１１を槽本体５内に取付け
るには、まず環状内装体１１を槽本体５内に挿入
し、そして、環状内装体１１の係合突子１９を槽
本体５の係合孔２０にその挿入溝部２０ａを介し
て上方から挿入する。次に環状内装体１１を第２
図において時計方向たる矢印Ａ方向に回動する。
すると、係合突子１９が係合孔２０内に侵入し、
これにて係合突子１９が係合孔２０に係合して、
環状内装体１１の上下方向の移動を拘束した状態
とする。そして、最後にねじ２１を環状内装体１
１の通し孔２２に挿通して槽本体５の螺着孔２３
に締付け固定する。このねじ２１の締付け固定に
より環状内装体１１が矢印Ａとは反対方向に回動
することが阻止され、係合突子１９が係合孔２０
との係合を解除することのないようにしている。

次に上記構成の作用について説明する。洗い時
には洗い槽４内に洗濯物を水と共に収容し、そし
て、洗い運転は槽本体５を回転しないようにブレ
ーキ機構により拘束した状態で容器状撹拌体６の
みを正逆回転駆動することによつて行なう。

さて、この洗い運転において、洗濯物は容器状
撹拌体６の周壁と槽本体５の周壁とにわたつて接
触して双方から異方向摩擦力を同時に受けること
或は容器状撹拌体６により生起された水流により
流動されること等によつて洗われる。

このような洗い運転において、槽本体５の内周
面と容器状撹拌体６との間の隙間は環状内装体１
１により覆われているから、その隙間内に洗濯物
が食込むような虞はない。しかも、環状内装体１
１は槽本体５の内周面のうち容器状撹拌体６の上
方に露出する部分の全体を覆つているものではな
く、その一部を覆つているにすぎないから、環状
内装体１１により槽本体５の内容積がそれ程狭め
られるものではなく、洗濯容量を大きくすること
ができる。

また、このような環状内装体１１は、係合突子
１９を環状内装体１１の回動により係合孔２０に
係合させ、この後、ねじ２１を螺着孔２３に螺着
することによつて簡単に槽本体５に装着固定する
ことができ、従つて組付け性に優れコスト的に有
利である。

この実施例の脱水運転は排水弁１５の開放によ
る排水後、図示しないクラツチ機構等を作動して
槽本体５及び容器上撹拌体６を一方向に一体回転
せしめることにより行われるものである。

第４図及び第５図は回動阻止手段の夫々異なる
他の実施例を示すもので、第４図のものは、槽本
体の内周面に凸部２４を一体成形する一方、環状
内装体１１の上端部にこの凸部２４が嵌合する凹
部２５を形成し、これら凸部２４と凹部２５との
嵌合によつて環状内装体１１の回動を阻止するよ
うにしたものであり、係合突子１９を係合溝２０
に係合させるための環状内装体１１の回動時には
環状内装体１１の上端部分は弾性変形した状態で
凸部２４上を摺動し、そして弾性的な復元により
凹部２５を凸部２４に嵌合させるものである。ま
た第５図は凹部と凸部との嵌合により環状内装体
１１の回動を阻止することでは第４図と同一であ
るが、凹部と凸部とが嵌合するまでを環状内装体
１１の弾性変形に頼らずに行なうようにするため
に、槽本体５の外側に板ばね２６を装着し、この
板ばね２６に取付けた凸部たる突子２７を槽本体
５に形成した孔２８から槽本体５内方に突出させ
る構造としたものである。また第６図及び第７図
は被係合部の夫々異なる他の実施例を示すもの
で、第６図は槽本体５の内周面に二本の突条部２
９を突設し、これら突条部２９間に係合突子１９
が係合する溝３０を形成したものである。第７図
のものは、槽本体５の内周面に突条部３１を突設
し、環状内装体１１の下端を槽本体５の環状段部
３２に載置し、係合突子１９を突条部３１の下側
に係合させるようにしたものである。

尚、係合突子１９などの係合部を槽本体５側に
設け、係合孔２０などの被係合部を環状内装体１
１側に設けるようにしてもよい。また、環状内装
体１１としては、容器状撹拌体６の上方を露出す
る槽本体５の内周面のうち半分程度を覆う高さ寸
法にしてもよい。更に、本考案は、脱水機能を有
しない洗い槽に適用してもよく、従つて槽本体の
周壁を無孔状にしてこれ自身に水を貯えるように
なし水受槽を除去した構成としてもよい。

［考案の効果］ 本考案は以上説明したように、槽本体と容器状
撹拌体との間の隙間内に洗濯物が食込まれること
を防止できることは勿論、その食込み防止のため
に設けた環状内装体により槽本体の内容積がさ程
狭められることもないので、洗濯容量を大きくす
ることができ、しかも環状内装体の取付けは、環
状内装体を回動して係合部と被係合部とを係合さ
せ、そして回動阻止手段により環状内装体の戻り
回動を阻止するという簡単な手順で行なうことが
できる等、種々の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を示すも
ので、第１図は環状内装体の取付け構造を示す縦
断面図、第２図は同分解斜視図、第３図は全体の
縦断面図であり、第４図及び第５図は回動阻止手
段の夫々異なる他の実施例を示す斜視図及び横断
面図、第６図及び第７図は被係合部の夫々異なる
他の実施例を示す斜視図である。 図中、２は水受槽、４は洗い槽、５は槽本体、
６は容器状撹拌体、１０はバランサー、１１は環
状内装体、１９は係合突子（係合部）、２０は係
合溝（被係合部）、２１はねじ（回動阻止手段）、
２４は凸部（回動阻止手段）、２５は凹部（回動
阻止手段）、２６は板ばね、２７は突子（回動阻
止手段）、２９は突条部（被係合部）、３１は突条
部（被係合部）、３２は環状段部（被係合部）で
ある。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 槽本体及びこの槽本体の内下方に配置されて正
   逆回転駆動される容器状撹拌体から成る洗い槽
   と、前記槽本体内の上下方向途中部位に前記容器
   状撹拌体の上端近傍に位置するようにして装着さ
   れた環状内装体とを具備し、前記槽本体の内周部
   及び環状内装体の外周部のうちの一方に係合部を
   形成すると共に他方に環状内装体の回動により前
   記係合部と係合して環状内装体の上下方向の移動
   を拘束する被係合部を形成し、且つ係合部と被係
   合部との係合解除方向への環状内装体の回動を阻
   止する回動阻止手段を設けたことを特徴とする洗
   濯機。