JPH0321211Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は生体から微弱電圧を導出するために用
いられる生体用誘導防水電極に係わり、特に入浴
中或は水泳運動中でも心電図を記録することがで
きる生体用誘導防水電極に関するものである。

〔従来の技術〕

周知のように生体に発生する生体電気は、心
臓、脳、筋肉などの活動によつて誘起されてい
る。

特に心臓に発生した生体電気は、生体の皮膚面
に誘導された微弱電圧を外部の心電計で記録し、
心臓の異常を診断している。そしてこの心電計
は、入力部を生体と電気的に結合させるために生
体の皮膚の表面に生体用誘導電極を密着しなけれ
ばならない。

この皮膚の表面に密着される従来の電極を、第
５図、第６図、第７図に従つて説明すると、図中
１はマグネツトリング型の生体用誘導電極であ
る。

この生体用誘導電極１は粘着基材２を有し、こ
の粘着基材２は、略円盤状をなし発泡ポリエチレ
ン樹脂、独立発泡ブタジエンゴム、不織布及び編
織物で製造されている。そしてこの粘着基材２
は、第８図に示されるように生体用誘導電極１
を、生体の皮膚面Ｍに密着させるために第６図に
示されるように裏面２ａに粘着性を帯びさせてい
るものであるとともに、その中央部が切欠されて
開口３が形成されている。

この粘着基材２の上面側（表面側）には、第５
図、第６図に示されるように粘着基材２の直径よ
りも小さい硬質樹脂製の円盤状の電極板嵌合部４
だ接着され、前記開口３を閉塞している。この電
極板嵌合部４の表面から上方へ向つて突出環４ａ
が突設され、この突出環４ａにリード線結合部５
が嵌合されている。このリード線結合部５の下面
には第６図、第８図に示されるように電極板６が
密着されている。

７はこの電極板６の下面に密着された電極板カ
バーであつて、含水ゲル層で構成され、この含水
ゲル層はゼラチン、寒天、ポリアクリルアミド等
で製造され、かなりの粘着性を有するとともに導
電性も有している。この電極板カバーを皮膚面に
密着すると、皮膚面に誘起された微弱電圧を電極
板６に導くものである。

この電極板カバー７は、電極板６を直接皮膚の
表面に密着させると皮膚の表面の接触抵抗によ
り、正確な微弱電圧が測定できないので、予め皮
膚面にクリーム等を塗布して接触抵抗を弱めその
クリームの上に電極板６を接触して微弱電圧を測
定していたが、このような微弱電圧を測定する毎
にクリームを塗布することは面倒で非能率である
ので、電極板６にクリームの働きをする含水ゲル
層を接触して一々クリームを塗布する不便を除去
するようにしたものである。

第７図に示されたものは、リード線接続体８の
表面図であつて、前記生体用誘導電極１の電極板
６から導出された心臓からの微弱電圧をリード線
１１を介して心電計（図示せず）へ導くためのも
のである。このリード線接続体８は硬質樹脂性
で、内部に凹所９を形成し、その凹所９に磁石性
の電極結合部１０が固定され、この電極結合部１
０にリード線１１の一端が接続され、リード線１
１の他端は心電計（図示せず）に接続している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

以上のような構成の生体用誘導電極１を利用し
て心電図を記録するには、先ず第８図に示される
ように生体用誘導電極１の粘着基材２を生体の皮
膚面Ｍに接触し、次いで、リード線接続体８の磁
石性の電極結合部１０を、生体用誘導電極１のリ
ード線結合部５に磁着してリード線接続体８を生
体用誘導電極１に連結して、電極板６から導出さ
れる心臓からの微弱電圧をリード線１１を介して
心電計（図示せず）に記録する。

ところでこのようにして心電図が得られるので
あるが、患者の様態によつては長時間の心電図を
記録したい場合があり、長時間に亘る場合どうし
ても入浴したい場合がある。

しかしながら第８図に示されるように、リード
線接続体８を生体用誘導電極１に装着して入浴す
ると、リード線接続体８と生体用誘導電極１との
間隙ｓから水が浸入し、この水は電極板６へにも
浸入し、正確な心電図が得られないので、患者の
入浴は規制されるという問題点があつた。

また患者の病状によつては入浴状態の心電図を
得たい場合もあるが、この場合も上記のような理
由により不可能であつた。

さらに運動状態の心電図を得たい場合があり、
特に水泳中の心電図を得たいときに、上記のよう
な理由により不可能であつた。

〔問題点を解決するための手段〕

そこでこの考案は、以上の問題点に着目してな
されたものであつて 生体の皮膚面と密着しその中央部が切欠されて
いる開口を有する粘着基材と、この粘着基材の表
面側に接合され前記開口を閉塞する電極板嵌合部
と、この電極板嵌合部のリード線接続体が連結さ
れる表面側に接着された発泡シート不織布とから
なる防水シートと、前記電極板嵌合部と粘着基材
との間に介在された発泡シートと不織布とからな
る防水シートと、前記電極嵌合部に設けられ電極
板とを備えたことを特徴とする、生体用誘導防水
電極 という手段を提供して、上記問題点を解決するこ
とを目的とするものである。

〔作用〕

以上の構成において、生体用誘導防水電極の粘
着基材を生体の皮膚面に密着させる。この生体の
皮膚面に密着された生体用誘導防水電極にリード
線接続体を磁着して連結させる。

そしてリード線接続体は電極板嵌合部の表面側
に接着された防水シートに密着するので、リード
線接続体と生体用誘導防水電極との間隙は生ずる
ことはなく、且つ電極板嵌合部と粘着基材との間
に介在された防水シートの防水性と相俟つて、生
体用誘導防水電極へ水が浸入することがなくな
り、入浴、水泳運動中でも正確な心電図が得られ
る。

〔実施例〕

以下図面に従つて本考案の構成が実際上どのよ
うに具体化されるかをその作用とともに説明す
る、第１図は本考案の一実施例に従う生体用誘導
防水電極の表面の斜視図、第２図は第１図の裏面
側の斜視図であつて、図中１２は生体用誘導防水
電極である。

この生体用誘導防水電極１２は、粘着基材１３
を有し、この粘着基材１３は中央部が切欠されて
開口１４が形成されているドーナツ状の基材であ
り、第１図、第２図に示されるように略円盤状を
なし発泡ポリエチレン樹脂、独立発泡ブダジエン
ゴムシート、不織布及び編織物で形成されてい
る。そしてこの粘着基材１３はその裏面１３ａに
粘着性を帯びさせるようにしたものである。

この粘着基材１３の上面側（表面側）には、粘
着基材１３の直径よりも小さい硬質樹脂製の円盤
状の電極板嵌合部１５が接合され、前記開口１４
を閉塞している。

この電極板嵌合部１５の表面から突出環１５ａ
が突設され、この突設環１５ａにフエライト性の
リード線結合部１６が嵌合されている。

このリード線結合部１６の下面には、第３図、
第４図に示されるように、銀、塩化銀製の電極板
１７が接合され、この電極板１７は生体内から微
弱電圧を導出するためのものである。

１８はこの電極板１７の下面に密着される電極
板カバーであつて、含水ゲル層で構成され、この
含水ゲル層はゼラチン、寒天、ポリアクリルアミ
ド等で製造され、かなりの粘着性を有するととも
に導電性も有している。この電極板カバー１８を
生体の皮膚面に密着すると、皮膚面に誘起された
微弱電圧を電極板１７に導くものである。

この電極板カバー１８は、電極板１７を直接皮
膚の表面に密着させると皮膚の表面の接触抵抗に
より、正確な微弱電圧が測定できないので、予め
皮膚面にクリーム等を塗布して接触抵抗を弱めそ
のクリームの上に電極板１７を接触して微弱電圧
を測定していたが、このように微弱電圧を測定す
る毎にクリームを塗布することは面倒で非能率で
あるので、電極板１７にクリームの働きをする含
水ゲル層を密着して、一々クリームを塗布する不
便を除去するようにしたものである。

前記電極板嵌合部１５の表面側（リード線接続
体８が連結される側）には防水シート１９が接合
されている。この防水シート１９は発泡シートと
不織布とを組合せたもので、発泡シート部により
防水効果をもたせ、不織布部により通気性効果を
もたせるようにしたものである。

また前記電極板嵌合部１５と粘着基材１３との
間にも防水シート２０が介在されている。この防
水シート１９も発泡シートと不織布とを組合わせ
たもので、発泡シート部により防水効果をもた
せ、不織布部により通気効果をもたせるようにし
たものである。

第２図に示される２１も粘着シート１３の裏面
に接着され、前記防水シート１９，２０と同様発
泡シートと不織布とを組合わせたもので、発泡シ
ート部により防水効果をもたせ、不織布により通
気効果をもたせるようにしたものである。

次に以上の構成の生体用誘導防水電極１２の使
用法を説明すると、先ず第４図に示される生体用
誘導防水電極の粘着基材１３を生体の皮膚面Ｍに
密着させ同時に防水シート２１も生体の皮膚面２
１に密着させる。

この生体の皮膚面Ｍに密着された生体用誘導防
水電極１２のリード線結合部１６に、リード線接
続体８（構成は第７図の従来例と同じ）の電極結
合部１０を磁着してリード線接続体８を生体用誘
導防水電極１２に連結させる。この電極結合部１
０の磁着とともにリード線接続体８は前記生体用
防水電極１２の防水シート１９に接着するので、
リード線接続体８と生体用誘導防水電極１２との
前記間隙ｓは生ずることはなくなり、そこから電
極板１８へ水が浸入することはない。そのため入
浴或いは水泳運動中でも正確な心電図が得られ
る。

また皮膚面Ｍから発汗する汗は防水シート１９
と２０とにより、電極板１７への浸入は阻止され
る。

〔考案の効果〕

以上本考案によれば、電極板嵌合部の表面側に
防水シートを接着したので、生体用誘導防水電極
とリード線接続体の連結部から水が浸入すること
がないので、心電図記録中でも安心して入浴、或
いは水泳運動ができるようになる。

また電極板嵌合部と粘着基材との間に防水シー
トを介在させたので、この防水シートにより生体
の皮膚面から発汗される汗は阻止されて、生体用
誘導防水電極の電極板へ浸入しない。

さらに防水シートは発泡シートと不織布とから
構成されているので、発泡シート部により防水性
を、不織布により通気効果をもたすことができ、
防水、発汗阻止の両者が兼用できる生体用誘導防
水電極が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例で生体用誘導防水電
極の斜視図、第２図は第１図の裏面図、第３図は
生体用誘導防水電極の断面図、第４図は生体用誘
導防水電極の使用説明図、第５図、第６図、第７
図、第８図は従来の生体用誘導防水電極の説明図
である。 １２……生体用誘導防水電極、１３……粘着基
材、１……電極嵌合部、１６……リード線結合
部、１７……電極板、１９，２０，２１……防水
シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 生体の皮膚面と密着しその中央部が切欠されて
   いる開口を有する粘着基材と、この粘着基材の表
   面側に接着され前記開口を閉塞する電極板嵌合部
   と、この電極板嵌合部のリード線接続体が連結さ
   れる表面側に接着された発泡シートと不織布とか
   らなる防水シートと、前記電極板嵌合部と粘着基
   材との間に介在された発泡シートと不織布とから
   なる防水シートと、前記電極嵌合部内に設けられ
   た電極板とを備えたことを特徴とする、生体用誘
   導防水電極。