JPH0321167Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は配電用電線・ケーブルの幹線から簡易
且つ短時間に分岐をとるためのケーブル分岐接続
体に関するものである。

［従来の技術］ 架空絶縁電線、地中ケーブル等配電用の幹線か
ら、変電機器や需要家への分岐を行う際には、所
定の分岐部で幹線を切断し、分岐接続体を挿入し
て引出す方法、あるいは幹線導体に分岐線を直接
接続の上、当該接続部を絶縁テープ、絶縁カバー
で被覆する方法などが行われている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、上記の分岐作業は柱上などの高所あ
るいはマンホール、共同溝など作業のしずらい狭
隘な場所で行われるこてが多く、且つ従来の分岐
方法は多くの作業工程と広い作業スペースを必要
とするため、簡易且つ短時間での分岐が困難であ
るばかりか場所によつては分岐不可となるケース
もあつた。

又、分岐ケーブルの引出し方向が、幹線の走行
方向により特定の方向に制限されてしまうため、
その他の方向に引出す場合には接続部に無理な力
がかかる点があつた。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は以上従来技術の問題点を解消すべく為
されたもので、配電用などの幹線からの分岐作業
を簡易且つ短時間に行うことができるとともに、
分岐作業用のスペースが狭少である個所にも適用
できる新しいケーブル分岐体を提供することにあ
る。すなわち、本考案にもとずくケーブル分岐接
続体は、断面形状においてＵ字あるいは〓字状な
ど、その一面が開放された溝導体から成り、ある
いはかかる溝状体の部分を有る幹線接続体と、こ
のほぼ中央部分の底部に設けられた挿通孔を介し
て垂設されており、且つそれ自身の先端の球又は
円筒状に形成された上部接続部が上記幹線接続体
内に収納されていて、その後端には分岐用のケー
ブルを接続するための下部接続部が設けてあるケ
ーブル接続体と、上記幹線接続体およびケーブル
接続体の双方を被覆する熱収縮性絶縁体とから成
つていて、且つ上記ケーブル接続体が幹線接続体
に対し回転及び傾斜の自在性を有するように形成
されていることを最大の特徴とする。又、必要に
応じ上記ケーブル接続体に予じめ任意の曲りを設
定することによつて分岐ケーブルの引出しを一層
円滑にできる。

［作用］ 所定の分岐個所で幹線の導体を露出させた後、
これを幹線接続体の溝状部分に挿入し、更に当該
幹線接続体の外周から加圧すると、幹線導体と幹
線接続体が電気的に接続される（後述の実施例の
如く幹線接続体の内面に突起を設ける場合はシー
スのみ剥離する。又、幹線接続体を後述の第２実
施例の如き構造とする場合には幹線の切断を要し
ない）。次に、ケーブル接続体は、その球又は円
盤状の上部接続部が幹線接続体内で回転、傾斜自
在であることを利用してこれを任意の引出し方向
にセツトし、その状態で上記球又は円盤状を内包
する部分の幹線接続体を圧縮して幹線接続体とケ
ーブル接続体との電気的接続を得る。

［実施例］ 第１実施例 第１〜３図は本考案に基ずくケーブル分岐接続
体の第１実施例の構造（絶縁体被覆前）の説明図
で、第１図はその正面図、第２図は上面図、第３
図は側面図である。これらの図において、１は所
定個所で切断される幹線導体の双方の端部を抱き
込んでこれと接続するための上面が開放された断
面Ｕ字状の溝状体から成る幹線接続体にして、そ
の中央座部には後述のケーブル接続体２を挿通す
るための穴１２を設けてある。１１は幹線接続体
１の内面に設けられた幹線導体との接触用突起
で、当該突起１１は幹線接続体１の内面を直接加
工することにより、あるいは別工程で加工作成し
たものを固着させることによつて形成する。尚、
上記幹線接続体１は、座部と開放面を有する溝状
体に形成してあれば必らずしも断面Ｕ字状である
必要はなく例えば〓字状、〓字状など自由に形成
してよい。２はケーブル接続体で、その一端に
は、上記幹線接続体１および幹線導体などと接触
して電気的接続を得るための球状あるいは円盤状
の上部接続部２１を形成し、他端には分岐用のケ
ーブルを接続するための下部接続部２２を設けて
おく。ケーブル接続体２の上記球状あるいは円盤
状を呈した上部接続部２１は、幹線接続体１の内
部に回動、傾斜が可能なるように収納する。一
方、これと一体化された下部接続部２２は、座部
の穴１２を介して当該幹線接続体１の下方に配置
する。上記ケーブル接続体２には、幹線接続体１
と直角（ケーブル分岐接続体全体の形状がＴ字状
となる）から、幹線接続体１と平行（同じくＬ字
状）までの範囲で任意の角度の曲りを設けてお
く。上記ケーブル接続体２は回動、傾斜自在性を
有していて、分岐用ケーブルの引出し方向を自由
に調整しうる構造となつているが、このような曲
りを形成することにより所望方向への引出しが一
層容易となる。

第４図は、上記のケーブル分岐接続体の外周面
を被覆する熱収縮性材料からなる絶縁体について
の説明図で、ケーブル接続体２を被覆する筒状絶
縁部３１と、幹線接続体１を包囲するシート状絶
縁部３２，３３から成り、当該シート状絶縁部３
２，３３の先端部には、それぞれ非熱収縮性材料
から成る嵌合受入体３４と嵌合挿入体３５を形成
してある。かかる絶縁体は、金型を使用して成形
し、その後筒状絶縁部３１は加熱下で流体加圧
し、シート状絶縁部３２は嵌合受入、挿入体部３
４，３５を把持した上加熱下で機械力を加え、こ
れを急冷することによつて形成される。

次に第５図により上記のケーブル分岐接続体を
使用する分岐作業について説明する。まず所定個
所で幹線を切断し、これら切断後の双方の端部の
シース５３を除去する。然る後、上記シース除去
後の幹線５の一方の端部を、その導体５１が幹線
接続体１内の球又は円盤状のケーブル接続体２の
上部接続部２１につきあたるように当該幹線接続
体１内に挿入し、更にその外周から圧縮ダイス等
で加圧して、第１〜３図に示されているが如き幹
線接続体１の内面の突起部１１を幹線ケーブルの
絶縁体５２に喰い込ませ導体５１と完全に接触さ
せる。切断後の幹線の他方の端末も同様の手順で
幹線接続体１と接続する。尚、本実施例の幹線接
続体１には上記導体接触用の突起１１を設けた
が、かかる突起１１を設けないで、直接幹線の導
体５１を露出させ、これと幹線接続体１を圧縮接
続することでもよい。以上の作業の後、任意の曲
りを付したケーブル接続体２の下部接続部２２を
所望の分岐ケーブル引出し方向に回転させ、その
状態で球状又は円筒状の上部接続部２１を幹線接
続体１の周上から加圧する。これにより幹線接続
体１とケーブル接続体２の電気的接続を得る。次
に、分岐ケーブル６を接続するが、この接続作業
を開始する前に予じめ前出の熱収縮性絶縁体３の
筒状絶縁部３１を分岐ケーブル外周上に挿通して
おく。分岐ケーブルはその端部から導体６１、絶
縁体６２、シース６３が表出するよう段剥し、然
る後導体６１を下部接続部２２に挿入の上、加圧
して電気的接続を得る。尚、当該下部接続部２２
との接続は、圧着、接触子方式、ネジ込み方式等
自由に選択できる。次いで分岐ケーブル６の外周
上に挿通しておいた熱収縮性絶縁体３を引き上げ
て、下部接続部２２を含むケーブル接続体２、幹
線接続体１の外表面を包囲し、嵌合受入、挿入部
３４，３５でシート状絶縁部３２，３３を嵌合一
体化させた後、上記熱収縮性絶縁体３を加熱収縮
させて幹線接続体１、ケーブル接続体２に密着で
きる。尚、上記熱収縮性絶縁体３の筒状絶縁部３
１、シート状絶縁部３３の内面に粘着剤の層を設
けあるいは幹線接続体１、ケーブル接続体２の表
面に混和物の層を設けることによつて分岐部分の
防水性を一層高めることができる。

第２実施例 第６図は本考案の第２実施例の説明図（絶縁体
を被覆する前のケーブル分岐接続体の側面図）で
ある。第１実施例では断面形状がＵ字あるいは〓
字状などの溝状体内に幹線及びケーブル接続体の
上部接続部の双方を収納する構造にしてあるが、
本実施例の幹線接続体１は、幹線を収納する溝状
体部１３の座部中央の下方に、ケーブル接続体２
の球又は円盤状を呈した上部接続部２１を収納す
るための球状空胴保有部１４を別途付加する構造
としてある。図において、溝状体部１３と球状空
胴保有部１４間には境界が設けてあるが、かかる
境界を設けず幹線と上記上部接続部２１が直接接
触する構造としてもよい。

本実施例のケーブル分岐接続体を使用する場合
には、分岐に際して幹線を切断する必要がない。
尚、突起１１および特に図示していないが熱収縮
性絶縁体を用いることなどは第１実施例の場合と
同様である。

［考案の効果］ 以上のように本考案のケーブル分岐接続体にお
いては、分岐ケーブルを接続するためのケーブル
接続体の、球又は円盤状に形成された上部接続部
が幹線接続体内に回転可能な状態で収納されてい
るため、幹線接続体の方向に対して、ケーブル接
続体を任意方向に回動、傾動せしめえること、必
要に応じ上記ケーブル接続体に任意の曲りを設け
ることのできる構造であること、予じめ分岐ケー
ブルに挿通しておいた加熱収縮性絶縁体で幹線接
続体、ケーブル接続体の外表面を覆い加熱収縮さ
せる丈で絶縁処理が完了することなどにより、例
えば作業スペースの極めて狭隘な場所などであつ
ても、分岐接続部分あるいはケーブル等に無理な
力を加えることなく任意の方向に簡易且つ短時間
で分岐をとることができる。特に多相ケーブルの
場合、各相の伏岐引出し方向が一定方向に集束す
るようケーブル接続体をセツトすれば分岐のため
に要するスペースを大巾に低減することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例のケーブル分岐接
続体（絶縁体被覆前）の正面図、第２図は同じく
上面図、第３図は同じく側面図である。第４図は
上記ケーブル分岐接続体で使用する熱収縮性絶縁
体の断面図、第５図は上記ケーブル分岐接続体の
使用状態の説明図である。又、第６図は本考案の
第２実施例のケーブル分岐接続体（絶縁体被覆
前）の説明図である。 １：幹線接続体、２：ケーブル接続体、３：絶
縁体、１１：突起、１２：穴、１３：溝状体部、
１４：球状空胴保有部、２１：上部接続部、２
２：下部接続部、３１：筒状絶縁部、３２，３
３：シート状絶縁部、３４：嵌合受入体、３５：
嵌合挿入体、５：幹線、５１：導体、５２：絶縁
体、５３：シース、６：分岐ケーブル、６１：導
体、６２：絶縁体、６３：シース。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 幹線導体および後述のケーブル接続体の一端
   を収納した状態で、それ自身に圧縮を加えて、
   当該幹線導体と後述のケーブル接続体間を接続
   するための溝状部を有する幹線接続体と、上記
   溝状部を有する幹線接続体内に収納されて当該
   幹線接続体に接続される球又は円盤状の上部接
   続部をそれ自身の一端に有し、他端に分岐ケー
   ブルを接続するための下部接続部を有するよう
   に形成されたケーブル接続体と、上記幹線接続
   体とケーブル接続体の双方の外周面を被覆する
   熱収縮性絶縁体とから成つていて、上記ケーブ
   ル接続体が幹線接続体に対して回転、傾斜自在
   なるように垂設されて成ることを特徴とするケ
   ーブル分岐接続体。 (2) ケーブル接続体に任意の曲りを設けた実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のケーブル分岐接
   続体。 (3) 幹線接続体の溝状部の内面に、幹線導体の絶
   縁体上から咬合させて幹線導体に接触させるた
   めの突起を設けた実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のケーブル分岐接続体。