JPH032046B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は射出成形機に応用できる射出成形方法
に関するものである。

射出成形の工程は、粒状（または粉体）の原料
樹脂が、第１図に示すホツパ２からスクリユ１の
回転によりシリンダ３内を前方（図で左方向）に
送られると共に、溶融されてスクリユ１の先端へ
押出される。先端へ送り出された溶融樹脂によ
り、スクリユ１は後方（図で右方）に押戻され、
これによつて生じた空間７に溶融樹脂は貯溜され
る。そして成形に必要な量が可塑化溶融される
と、スクリユ１の回転が停止する。続いて図示し
ない型締め機構によつて大きな型締力で保持され
ている金型４へ、ノズル１３を通して溶融樹脂７
がスクリユ１により射出され、所定の成形品５を
得る。

成形品５は、射出ラム６により高い射出圧をか
けないと、シヨートシヨツト（未充填射出）やヒ
ケ（凹状態）になり、かけ過ぎるとバリやソリを
発生させる。またヒケを小さくするために、溶融
樹脂７の温度や金型温度４を低くするのが一般的
であるが、このためには高い射出圧が必要とな
る。しかしながらゲート８に付近には大きな残留
応力が生じ、ソリを発生させる。従つて従来の射
出成形機では、溶融樹脂温度、金型温度、射出保
持圧レベルおよび射出保持圧時間の微調整が必要
であり、次のような問題があつた。

即ち、ヒケとそりは相両立せず、ソリが許容で
きる程度にヒケを押える妥協の成形条件を取らざ
るを得なかつた。またソリを小さくするため、固
定型４ａと可動型４ｂとの間に金型温度差をつけ
るために冷凍機や温調機を組合せて使用したりす
る必要があり、付帯設備費が必要であつた。一方
ソリを小さくするために冷却時間を長くするの
で、生産性が悪く、かつ成形品取出し後も矯正枠
に入れたりする事があり、人手を要する欠点があ
つた。

本発明はケース等の成形で蓋と底側ケースの組
合せ上、ソリは一定限界内に押える必要があり、
かつ外観上ヒケも小さくしなければならない条件
を満たすために提案されたものであり、成形品の
充填が完了した直後、スクリユを一旦後退させて
成形品のゲート付近の樹脂圧を一旦完全に低下せ
しめると共に、若干の時間後射出保持圧をかけ、
ゲート付近と遠い位置の残留応力のバランスをと
り、ヒケがなく、かつソリのない成形品を得る射
出成形方法を提供せんとするものである。

以下本発明の実施例を図面について説明する
と、第２図は本発明の実施例を示し、１はスクリ
ユで油圧モータ２０によつて回転させられ、ホツ
パ２内の原料樹脂を溶融して溶融樹脂７を先端に
貯溜する。９は射出油圧シリンダで９ａ側にポン
プ１１から圧力油が送られると、スクリユ１とラ
ム１２は連結されているので、スクリユ１は前進
（図中で左方向）する。

スクリユ１により先端に貯溜された溶融樹脂７
は、図示しない型締機構により予め型締保持され
た金型４内へ、ノズル１３、ゲート８を経て射出
される。５は成形品であり、突出しピン１４を利
用した型内樹脂圧力センサ１５が設置され、コン
トローラ１６内の型内設定圧計１７に接続されて
いる。型内設定圧計１７からの出力信号はさらに
タイマ１８に接続され、その出力信号により、電
磁弁１０の入−切をする。

電磁弁１０は図示しないシーケンスコントロー
ラにより、射出時には１０ａ部が励磁され、また
型内樹脂圧を減圧するときはタイマ１８の信号か
ら１０ｂ部が入る。１０ｂが入るとポンプ１１か
らの圧力油により、ラム１２が後退（右方向）
し、連結されているスクリユ１も後退する。シー
ケンスコントローラにより進む射出高圧およびコ
ントローラ１６により作動する射出保持圧は、電
磁比例圧力弁１９で調製される。

次に作用を説明すると、型内設定圧力は充填に
必要な圧力とし、樹脂圧力抜工程でのタイマ時間
はゲート付近の樹脂圧力の減圧および成形品の表
皮が形成される時間とし、いずれも予め設定され
ている。型内圧が設定値に達すると、樹脂圧力計
１７からタイマ１８に信号が伝達され、電磁弁１
０は１０ａ部から１０ｂ部に切換り、射出高圧充
填工程から樹脂圧力抜き工程へ進む。

高圧充填工程では、樹脂がすべてゲート８から
成形品５末端へ流れるのに対し、樹脂圧力抜工程
では成形品５からゲート８を通りノズル１３を通
し樹脂が逆流する。したがつて樹脂圧力抜工程で
はゲート８付近の樹脂圧力は大気圧近くにまで減
圧される。またタイマ１８がタイムアウトになる
と、再び射出保持圧がかけられることにより、ヒ
ケが防止され、かつソリも小さくなる。

させ以上説明した実施例では、充填完了を型内
樹脂圧力センサ１５で検出したが、スクリユ位置
センサ２１で代用する事も可能である。即ち、射
出成形では成形品の大きさに応じて、スクリユ位
置センサ２１により、スクリユストローク（第２
図でスクリユ回転によりスクリユ先端へ送られる
溶融樹脂７の圧力で、スクリユは右方向へ移動
し、あらかじめ設定された位置で停止する）が決
定される。したがつてスクリユストローク、換言
すればスクリユ移動量と成形品の充填度とは相関
性があるので、スクリユ位置センサ２１の電気信
号により、充填完了を知る事が可能である。

また充填完了信号として射出油圧センサで代用
する事も可能である。即ち、第５図に示すように
一般に射出成形では、充填完了付近で射出速度を
低下させるので、射出油圧シリンダ９の９ａ側の
油圧も一旦下降するが、充填完了すると再び上昇
する。したがつて第５図において、この油圧の一
旦下降して上昇に変化するを射出油圧センサで
把握すれば、成形品の充填完了信号として使用可
能である。また樹脂圧抜き工程として、タイマ１
８でコントロールする方法の他、スクリユ位置セ
ンサ２１でスクリユ後退量を設定し、コントロー
ルする事も可能である。

さて第３図に型内圧力波形とソリ量の関係を示
す（第３図の金型内樹脂圧は、ゲートと成形品末
端部の中間○イ部の圧力例である）。ソリ量Ｘは第
４図に示すように、成形品を定盤上に置き最も浮
上り量の大きい個所のＸの値をいう。従来の成形
法では型内樹脂圧が射出時間に対し一方的に増加
し、ゲートが冷却し固化した時点から降下し始め
る。ところがヒケを防止しようとする関係上、射
出保持圧でゲート付近の型内樹脂圧は、成形品末
端部より異常に高くなつている。したがつて成形
品冷却後の成形品の残留応力分布は大きくなり、
そり量Ｘが大きくなる。本発明は充填完了後一旦
スクリユを後退させるので、特にゲート付近の高
い型内樹脂圧が最も降下する。一方成形品末端部
は、充填時の型内樹脂圧がかけられたままの状態
で、この間にも成形品表皮は冷却が進行し冷却固
化する。この成形品の形成を持つて再度射出保持
圧をかけるので、ヒケは防止出来る。一方ゲート
付近および成形品末端部の残留応力分布のバラン
スもとれるので、ソリが防止される。なお、実験
例ではヒケは同程度でソリが解消した。

また射出保持圧工程で発生しやすいゲート付近
のバリは、成形品の薄皮形成後かけるのでバリの
発生がなく、かつヒケも防止される。本発明で
は、金型の固定側と可動側の温度差をつける必要
がないので、金型の冷凍および温調設備を要しな
い。従つて本発明では金型の設計には熱膨張差な
ど考慮する必要がなく、金型設計が容易になると
共に、ソリ発生のため冷却時間を長くしていたも
のを、短かくできるので、成形サイクルが短縮で
きる等の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の射出成形機の側断面図、第２図
は本発明の方法を実施する射出成形機のシステム
図、第３図は本発明と従来における金型内樹脂圧
と時間との関係を示す線図、第４図はソリ量を示
す説明図、第５図は射出油圧と時間（スクリユ位
置）との関係を示す線図である。 図の主要部分の説明、１……スクリユ、４……
金型、５……成形品、７……溶融樹脂、８……ゲ
ート、９……射出油圧シリンダ、１３……ノズ
ル、１５……型内樹脂圧力センサ、１７……型内
設定圧計。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 射出成形において、高圧高速射出して充填完
   了後スクリユーを一旦後退せしめ、充填工程にお
   けるゲート付近が高く成形品末端部が低い金型内
   樹脂圧力分布を逆転させ、その間に冷却を進行さ
   せると共に、再度射出保持圧をかけることを特徴
   とする射出成形方法。