JPH0320079Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はプレス機械のクラツチに関するもので
ある。

従来、プレス機械のクラツチは機体に回転自在
に支持されたプレスの回転軸にクラツチハブを固
定し、回転軸と同心に機体に回転自在に支持され
たフライホイールにクラツチハブの外周と対向す
るクラツチハウジングを設け、クラツチハブの外
歯にかみ合う内歯を有する摩擦板とクラツチハウ
ジングの内歯にかみ合う外歯を有する摩擦板とを
交互に組み合せ、これらの摩擦板を押圧するシリ
ンダ装置と押圧したシリンダ装置を解放させるス
プリングとを設けていた。このハブ構造のクラツ
チは構造が複雑な上に、内歯と外歯間の隙間があ
るためにクラツチを接断する毎に衝撃により隙間
が大きくなり修理回数が増すなどの欠点があつ
た。

本考案の目的はこれらの欠点を除き、プレスの
回転軸に固定したデイスクに摩擦板を固定し、こ
れを挟むクラツチボデイ及びプレートを隙間の小
さい円筒部材で軸方向に可動とし、かつ円筒部材
を介して動力の伝達を行なわせることにより、構
造が簡単で調整が容易な上に、動力の接断時の衝
撃による隙間の増加が小さく修理回数を減少させ
ることのできるプレス機械のクラツチを提供する
ことにある。以下本考案の実施例について図面を
参照して説明する。

第１図においてプレスの回転軸１の一端部に設
けたクラツチ２の構造を示している。回転軸１は
プレスの機体に回転自在に支持され、それと同心
に機体に回転自在に支持されたフライホイール３
が設けられている。フライホイール３はプレスの
メーンモータ（図示せず）により駆動される。回
転軸１の軸端部にはデイスク４が固定され、その
外周部両面には摩擦板５，５が取り付けられてい
る。デイスク４の摩擦板５，５と対向してフライ
ホイール３側にはクラツチボデイ６、反対側には
プレート７が設けられている。クラツチボデイ６
は外周部をフライホイール３の側面に立設した複
数本、図では１本が示されている、のガイドピン
８に回転軸１の軸方向に若干運動可能に嵌合させ
て取り付けられている。クラツチボデイ６の軸を
中心とする同一円周上に複数本設けたスペーサ９
を介して、回転軸１の軸端延長方向を覆うように
シリンダ１０がクラツチボデイ６に固定されてい
る。プレート７はその外周部がスペーサ９に軸方
向に運動可能に嵌合している。シリンダ１０に適
合したピストン１１は空気供給口１２からシリン
ダ１０に供給される圧縮空気に付勢されるとプレ
ート７を摩擦板５に向けて押圧するとともに、シ
リンダ１０及びスペーサ９を介してクラツチボデ
イ６を摩擦板５に向けて押圧する。シリンダ１０
の外周部にはスペーサ９間にこれと同一円周上に
複数本のばねガイド１３が軸方向に位置調整可能
なねじ部１３ａにより取り付けられている。ばね
ガイド１３はプレート７をシリンダ１０側から押
える段部１３ｂを有し、プレート７を貫通して所
要の長さクラツチボデイ６側で突出している。ば
ねガイド１３と対応するクラツチボデイ６の穴と
プレート７間にはプレート７を介してピストン１
１をシリンダ１０側へ押し返えすばね１４が夫々
設けられている。ばねガイド１３のねじ部１３ａ
及び段部１３ｂはばね１４で押し返えされたプレ
ート７とクラツチボデイ６との間隔を調整して摩
擦板５，５との間隙を最適とする役目をする。

次に作用について述べる。プレスを始動する場
合は回転軸１はブレーキ（図示せず）を動作した
状態でメーンモータが起動される。このとき空気
供給口１２の圧縮空気は排気されクラツチ２は断
の状態となつている。メーンモータによりフライ
ホイール３が回転すると、ガイドピン８を介して
クラツチ２は共に回転する。

ばねガイド１３のねじ部１３ａ及び段部１３ｂ
によりクラツチボデイ６とプレート７との間隔が
適切に調整されているのでデイスク４の摩擦板
５，５との間に所要の間隙がありクラツチ２の断
の状態は良好に保たれる。続いて空気供給口１２
に圧縮空気が供給されると同時に回転軸１のブレ
ーキが解除されると、ピストン１１はプレート７
及びクラツチボデイ６をばね１４の力に打ち勝つ
てデイスク４の摩擦板５に押圧しクラツチ２を接
とし、動力はガイドピン８及びスペーサ９を介し
て伝達される。このときガイドピン８によりクラ
ツチボデイ６は軸方向に可動となつているのでデ
イスク４に倣つてクラツチ２が軸方向に位置決め
され無理が起らない。またクラツチボデイ６とガ
イドピン８間、プレート７とスペーサ９間の遊隙
は適切に小さく選ばれているので衝撃が小さい。
空気供給口１２から排気するとばね１４の作用に
よりクラツチ２は断となる。

以上の説明から明らかなように本考案によれ
ば、動力の伝達がガイドピン及びスペーサの円筒
部材を介してなされ、構造が簡単であり、遊隙が
適切に選び易く、かつ回転半径が大きいので負荷
が小さくなり、接断時の衝撃を小さくでき、修理
間隔を大とすることができる。また、ばねガイド
１３に段部１３ｂと調整用のねじ部１３ａを設け
たので、摩擦板の磨耗に対する調整が容易である
など、実用上の効果と利点は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の縦断面正面図である。 １は回転軸、２はクラツチ、３はフライホイー
ル、４はデイスク、５は摩擦板、６はクラツチボ
デイ、７はプレート、８はガイドピン、９はスペ
ーサ、１０はシリンダ、１１はピストン、１２は
空気供給口、１３はばねガイド、１３ａはねじ
部、１３ｂは段部、１４はばねである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 プレス機械の回転軸とこれと同心に回転するフ
   ライホイールとの間に設けるクラツチにおいて、 回転軸１の軸端部に同心に固設され、その外周
   部両側面に摩擦板を取り付けたデイスク４と、 フライホイール３の側面に立設した複数のガイ
   ドピン８と、 ガイドピン８にその外周部の穴を適合させ、軸
   方向に移動可能に設けられ、デイスク４の一側面
   と対向するクラツチボデイ６と、 クラツチボデイ６にスペーサ９を介して一定間
   隔として固設され、回転軸１の軸端延長方向の外
   側面を覆うシリンダ１０と、 スペーサ９の外周に適合して軸方向に移動可能
   に設けられ、デイスク４の他の側面の摩擦板と対
   向するプレート７と、 シリンダ１０に適合して軸方向に移動可能に設
   けられ、プレート７とクラツチボデイ６とをデイ
   スク４に向けて押圧させるピストン１１と、 クラツチボデイ６とプレート７との間に張架さ
   れ、これらと互いに離れる方向に付勢しピストン
   １１を押し返すばね１４と、 を具備することを特徴とするプレス機械のクラ
   ツチ。