JPH0318129Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、チヤツキング装置に関し、特にワー
クの外周縁近傍に沿つて形成された複数の加工孔
の加工精度の向上対策に関する。

（従来の技術） 従来、上記ワークの加工孔の内周面を研削する
場合、ワークをチヤツキング装置に固定させた状
態で行つている。そのチヤツキング装置として
は、例えば主軸を中心に回転するチヤツクにワー
クの加工孔を割出す割出し盤をチヤツクの回転中
心に対して偏心位置にて回転するように設け、研
削作業に際しては、割出し盤にセツトしたワーク
の加工孔の１つの中心がチヤツクの回転中心に対
応した状態で上記チヤツクに対して割出し盤をク
ランプ状態となす一方、ワークの加工孔の割出し
時には、チヤツクに対してアンクランプ状態とし
た割出し盤を所定角度回転させることにより上記
チヤツクの回転中心にワークの加工孔の中心を対
応させるようにして、複数の加工孔の内周面を順
次研削するようにしたものは知られている（例え
ば実開昭56−89439号公報参照）。

（考案が解決しようとする課題） ところが、上記の従来のものでは、割出された
加工孔の中心がチヤツクの回転中心に対応してい
るため、理論上は加工孔が所定の内径を有する真
円に研削されることとなるが、実際には加工孔の
割出し時に割出し盤を所定角度回転させるために
チヤツクを回転させた状態でチヤツクに対して割
出し盤をアンクランプ状態とすることから、この
際割出し盤に遠心力が作用し、この遠心力の作用
によりチヤツクの回転中心に対して加工孔の中心
がずれる結果、ワークの所定のピツチ円上で研削
することができないという問題があつた。

そこで、上記問題点を解決するためには、チヤ
ツクの回転を加工孔の割出しの都度いちいち停止
させて、そのチヤツクが停止している間に加工孔
の割出しを行えばよいのであるが、その間に要す
る時間が無駄となつて作業性の低下をきたすとい
う問題が発生することとなる。

本考案はかかる点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、加工孔の割出し時
にチヤツクの回転を停止させることなく割出し盤
の遠心力をキヤンセルするように割出し盤に圧力
を加えることにより、チヤツク回転中心に対して
加工孔の中心が変位するのを確実に防止し、よつ
て作業性の低下をきたすことなく加工孔の加工精
度の向上を図ることにある。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、本考案の解決手段
は、主軸を中心に回転するチヤツクと、該チヤツ
クにクランプ・アンクランプされ、外周縁近傍の
所定のピツチ円上に沿つて複数の加工孔を有する
ワークを保持するとともにチヤツクの回転中心Ｘ
に対して偏心して回転する割出し盤とを備え、ワ
ークの加工孔の割出し時、チヤツクに対してアン
クランプ状態とした割出し盤を所定角度回転させ
ることにより上記チヤツクの回転中心Ｘにワーク
の加工孔の中心を対応させるようにしたチヤツキ
ング装置を対象とする。そして、上記割出し盤の
外周においてチヤツクの回転によつて生じる割出
し盤の遠心力が大となる箇所であつて、上記チヤ
ツクの回転中心Ｘと割出し盤の偏心位置Ｙとを結
ぶ線の延長線近傍における偏心位置Ｙ側の割出し
盤の外周に圧力発生手段を配設する。さらに、上
記加工孔の割出し時に割出し盤の遠心力をキヤン
セルする求心力方向の圧力を上記圧力発生手段に
加える制御手段を設ける構成としたものである。

（作用） 上記の構成により、本考案では、ワークの加工
孔の割出し時、チヤツクに対してアンクランプ状
態となつた割出し盤には、制御手段により、割出
し盤の外周においてチヤツクの回転によつて生じ
る割出し盤の遠心力が大となる箇所であつて、上
記チヤツクの回転中心Ｘと割出し盤の偏心位置Ｙ
とを結ぶ線の延長線近傍における偏心位置Ｙ側の
割出し盤の外周に設けた圧力発生手段に圧力が加
えられて、割出し盤の遠心力をキヤンセルする求
心力方向の圧力が発生することにより、チヤツク
の回転中心Ｘに対して加工孔の中心が割出し盤の
遠心力によつて変位するのが防止されることにな
る。

（第１実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図および第２図は本考案の第１実施例に係
るチヤツキング装置を示し、１は主軸２を中心に
回転する円盤状のチヤツク、３はチヤツク１にク
ランプされチヤツク１よりも小径に設定された小
円盤状の割出し盤である。該割出し盤３はチヤツ
ク１の回転中心Ｘに対して偏心した位置Ｙを中心
に回転可能なようにチヤツク１に取付けられてい
るとともに、その表面に、外周縁近傍に沿つて複
数の加工孔h₁…を有する小円盤状のワークＷがセ
ツト（クランプ）されている。

上記チヤツク１には、割出し盤３の回転中心
（チヤツク１の回転中心Ｘに対して偏心した位置
Ｙ）を中心とする円周上でかつ割出し盤３の外方
位置に複数の作動室４Klが等間隔でもつて配設さ
れている。図例では、３個の作動室４…が円周を
３等分する位置に、かつそのうちの１個が上記回
転中心Ｘと偏心位置Ｙとを結ぶ延長線上で偏心側
とは反対側に位置するように配設されている。こ
の各作動室４には上記割出し盤３をクランプする
ホルダ５の基端部に設けた隔壁部６が収納されて
いるとともに、該ホルダ５の先端部に設けた爪７
が上記割出し盤３の外周縁部に対応している。そ
して、図外の流体圧供給装置の作動によつて供給
された流体圧をホルダ５の隔壁部６によつて区画
された上記作動室４…の各室に切換え作用させる
ことで、ホルダ５（チヤツク１）による割出し盤
３のクランプ・アンクランプを行うようになつて
いる。また、上記チヤツク１の外周縁部で回転中
心Ｘと偏心位置Ｙとを結ぶ延長線上で偏心側と反
対側の上側には、偏心位置Ｙに設けられた割出し
盤３の重量によるアンバランスを解消するための
バランスウエイト８が設けられている。さらに、
上記チヤツク１には、割出し盤３の外周に対応す
る箇所にアンクランプ時に割出し盤３がチヤツク
１から離脱するのを防止するための係止片２１が
円周を３等分する位置に設けられている。

一方、上記割出し盤３には、外周縁部に複数
（図例では３個）の作動室９…が円周を３等分す
る位置に配設されており、この各作動室９…には
上記ワークＷをクランプするホルダ１０の基端部
に設けた隔壁部１１が収納されているとともに、
ワークＷをセツトした状態で該ホルダ１０の先端
部に設けた爪１２が上記ワークＷの外周縁部に対
応している。そして、上記チヤツク１のホルダ５
と同様、図外の流体圧供給装置の作動によつて供
給された流体圧をホルダ１０の隔壁部１１によつ
て区画された上記作動室９…の各室に切換え作用
させることで、ホルダ１０（割出し盤３）による
ワークＷのクランプ・アンクランプを行うように
なつている。なお、ワークＷを割出し盤３にセツ
トするには、割出し盤３の回転中心（上記偏心位
置Ｙ）に突設した嵌合突部１３にワークＷの中心
に貫設された嵌合孔部h₂を嵌込み、上述の如くホ
ルダ１０にてクランプすることで行われる。この
状態で、上記複数の加工孔h₁…の中心を結ぶ所定
のピツチ円上にチヤツク１の回転中心Ｘが対応し
ている。

また、上記割出し盤３には周方向に図示しない
チエーンが巻掛けられており、鎖駆動によつて所
定角度（相隣る加工孔h₁，h₁の各中心と嵌合孔部
h₂の中心とのなす角度）θずつ上記偏心位置Ｙを
中心に回転するようにコントロールされて、複数
の加工孔h₁…が順次チヤツク１の回転中心Ｘにセ
ンタリングされることとなる。１４は上記チヤツ
ク１の主軸２を回転自在に支承する軸受である。

１５，１５は、上記割出し盤３の外周において
チヤツク１の回転によつて生じる割出し盤３の遠
心力が大となる箇所であつて、上記チヤツク１の
回転中心Ｘと割出し盤３の偏心位置Ｙとを結ぶ線
の延長線近傍における偏心位置Ｙ側の割出し盤３
の外周に配設された一対の圧力発生手段であつ
て、図例では各圧力発生手段１５，１５は上記Ｘ
−Ｙ線上の係止片２１を挾むようにした左右対称
位置に配置されている。該各圧力発生手段１５は
それぞれ圧力源P₁，P₂に接続された圧力ポケツ
ト１５ｂを備えており、上記チヤツク１の主軸２
の回転速度に応じて主軸２内の通路を介して所定
の圧力が圧力源P₁，P₂より各圧力ポケツト１５
ｂ，１５ｂに供給されて割出し盤３に対する圧力
を発生するようになつている。

１６は上記各圧力発生手段１５，１５に加工孔
h₁の割出し時に割出し盤３の遠心力をキヤンセル
する求心方向の圧力を加える制御手段であつて、
該制御手段１６は、一方の圧力源P₁と各圧力ポ
ケツト１５ｂ，１５ｂとの間の圧力通路１７に介
設され、該圧力源P₁からの圧力を各圧力ポケツ
ト１５ｂ，１５ｂに供する供給位置とその供給を
阻止する阻止位置とに切換わる切換弁１８と、該
切換弁１８よりも上流の圧力通路１９に介設さ
れ、圧力源P₁からの圧力を所定圧に調整する圧
力調整弁２０とを備え、加工孔h₁の割出し時に上
記切換弁１８を供給位置に切換えるようにしてい
る。尚、上記各圧力ポケツト１５ｂ，１５ｂには
他方の圧力源P₂からの圧力がベース圧力として
常時加えられている。

このように構成された制御手段１６によつて、
上記各圧力発生手段１５，１５に所定の圧力が主
軸２の回転速度に応じて加えられ、このときの各
圧力ポケツト１５ｂ，１５ｂのポケツト圧によつ
て、上記ワークＷの加工孔h₁の割出し時にチヤツ
ク１に対してアンクランプ状態とした割出し盤３
の遠心力をキヤンセルする求心力方向の圧力を発
生するようになつている。

すなわち、チヤツク１の回転中においては上記
各圧力ポケツト１５ｂ，１５ｂには圧力源P₂か
ら常時所定の圧力が加えられており、この圧力で
もつて加工孔h₁の割出し時以外のクランプ時でも
チヤツク１に対して割出し盤３がその遠心力の作
用によつて移動するのを補助的に抑制する。そし
て、加工孔h₁の割出し時には、上記遠心力をキヤ
ンセルすべく、割出し盤３をチヤツク１に対して
アンクランプ状態となす直前に切換弁１８を切換
え操作し、これにより圧力源P₁から供給された
圧力を圧力調整弁２０で所定圧力に調整し、この
圧力と上記圧力源P₂の圧力とのトータル圧力を
各圧力ポケツト１５ｂ，１５ｂに加えるのであ
る。このトータル圧力は割出し盤３の遠心力をキ
ヤンセルするに足る求心力方向の圧力になるよう
上記圧力調整弁２０によつてコントロールされて
いる。このように上記制御手段１６でもつて所定
の圧力を各圧力発生手段１５，１５に加えること
で、割出すべき加工孔h₁の中心をチヤツク１の回
転中心Ｘにセンタリングすることになる。

したがつて、上記第１実施例のチヤツキング装
置においては、チヤツク１に対して割出し盤３を
アンクランプ状態となし、該割出し盤３を所定角
度回転させることでワークＷの加工孔h₁の割出し
を行う。この際、割出し盤３には遠心力が加わつ
ており、このため従来では加工孔h₁はチヤツク１
の回転中心Ｘから常に半径方向外方にずれた状態
となり、そのずれ寸法分だけ加工孔h₁のピツチ円
径寸法が拡張されることとなるが、上記実施例で
は、割出し盤３の遠心力が大となる箇所であつ
て、チヤツク１の回転中心Ｘと割出し盤３の偏心
位置Ｙとを結ぶ線の延長線近傍における偏心位置
Ｙ側の割出し盤３の外周に配設された一対の圧力
発生手段１５，１５に対し、制御手段１６によつ
て各圧力発生手段１５，１５のポケツト圧が割出
し盤３の遠心力をキヤンセルする求心力方向に作
用するように所定の圧力を加えるから、チヤツク
１の回転中心Ｘに対する加工孔h₁のセンタリング
が確保されて、加工孔h₁の上記ピツチ円径寸法を
拡張することなく所定のピツチ円上で各加工孔h₁
を真円に研削することができ、加工孔h₁の加工精
度を向上させることができる。また、その場合、
上記加工孔h₁の割出しはチヤツク１の回転を停止
させることなく行われるので、作業性の低下をき
たすことはない。

なお、上記第１実施例においては２個の圧力発
生手段１５，１５を用いたが、割出し盤３を係止
する各係止片２１…の配設位置を周方向にずら
せ、チヤツク１の回転中心Ｘと偏心位置Ｙとを結
ぶ延長線上の偏心側の位置に１個の圧力発生手段
１５を配設して割出し盤３の遠心力をキヤンセル
するように構成することも採用可能である。

（第２実施例） 第３図および第４図は本考案の第２実施例を示
し、制御手段１６として自動調整弁２２を用いた
ものであり、そのほかは上記第１実施例と同一構
成である。なお、図中上記第１実施例と同一部分
については同一の符号を付してその説明は省略す
る。

すなわち、自動調整弁２２は、吸入ポート２３
を介して圧力源Ｐに接続されるとともに排出ポー
ト２４を介して各圧力発生手段１５の各圧力ポケ
ツト１５ｂに接続された圧力調整室２５と、該圧
力調整室２５内に板バネ等の弾性材２６にて上記
排出ポート２４の排出口２４ａに接離可能に自由
支持された弁体２７とを備えてなる。そして、チ
ヤツク１の回転によつて生じる割出し盤３の遠心
力の作用により、上記弁体２７が矢印Ａのように
移動することで上記排出口２４ａが大きく開口さ
れ、吸入ポート２３を介して吸入された圧力源Ｐ
の圧力が排出ポート２４を介して各圧力ポケツト
１５ｂ，１５ｂに供給されることにより、割出し
盤３の遠心力をキヤンセルする圧力が発生するよ
うに構成されている。また、割出し盤３の遠心力
の変化に応じて上記弁体２７による排出口２４ａ
の開口度が変化するから、チヤツク１の回転速度
が変化しても常に割出し盤３の遠心力をキヤンセ
ルする求心力方向の圧力が各圧力ポケツト１５
ｂ，１５ｂに加わることとなり、遠心力によるワ
ークＷの回転ズレをより精度良く防止することが
できる。

なお、第２実施例においても上記第１実施例同
様に圧力発生手段１５を１個でもつて構成するこ
とも可能である。また、制御手段１６として、主
軸２の回転速度を検出し、この回転速度に応じて
各圧力発生手段１５，１５に供給される圧力を変
化させる圧力氏例制御弁を採用することも可能で
ある。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案のチヤツキング装
置によれば、チヤツクが回転した状態でチヤツク
に対して割出し盤をアンクランプ状態とした際、
該割出し盤の外周においてチヤツクの回転によつ
て生じる割出し盤の遠心力が大となる箇所であつ
て、上記チヤツクの回転中心Ｘと割出し盤の偏心
位置Ｙとを結ぶ線の延長線近傍における偏心位置
Ｙ側の割出し盤の外周に配設した圧力発生手段
に、上記割出し盤の遠心力をキヤンセルする求心
力方向の圧力を加えて、フリー状態となつた割出
し盤が遠心力によつて半径方向外方にずれること
によるチヤツクの回転中心に対する加工孔の中心
の位置ズレを修正するようにした。したがつて、
チヤツクの回転中心に対して常にワークの加工孔
が正確にセンタリングされて、加工孔を所定のピ
ツチ円上で真円に研削することができ、加工孔の
加工精度の向上を図ることができる。また、チヤ
ツクの回転を停止せずに加工孔の割出しを正確に
行うことが可能となつて、加工孔の割出し作業性
の向上ひいては加工孔の研削作業の効率化を図る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の第１実施例を示
し、第１図は概略正面図、第２図は概略縦断側面
図である。第３図および第４図は本考案の第２実
施例を示し、第３図は概略正面図、第４図は自動
調整弁の概略縦断側面図である。 １……チヤツク、２……主軸、３……割出し
盤、１５……圧力発生手段、１６……制御手段、
h₁……加工孔、Ｗ……ワーク、Ｘ……回転中心、
Ｙ……偏心位置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主軸を中心に回転するチヤツクと、該チヤツク
   にクランプ・アンクランプされ、外周縁近傍の所
   定のピツチ円上に沿つて複数の加工孔を有するワ
   ークを保持するとともにチヤツクの回転中心Ｘに
   対して偏心して回転する割出し盤とを備え、ワー
   クの加工孔の割出し時、チヤツクに対してアンク
   ランプ状態とした割出し盤を所定角度回転させる
   ことにより上記チヤツクの回転中心Ｘにワークの
   加工孔の中心を対応させるようにしたチヤツキン
   グ装置において、上記割出し盤の外周においてチ
   ヤツクの回転によつて生じる割出し盤の遠心力が
   大となる箇所であつて、上記チヤツクの回転中心
   Ｘと割出し盤の偏心位置Ｙとを結ぶ線の延長線近
   傍における偏心位置Ｙ側の割出し盤の外周に配設
   された圧力発生手段と、上記加工孔の割出し時に
   割出し盤の遠心力をキヤンセルする求心力方向の
   圧力を上記圧力発生手段に加える制御手段とを備
   えたことを特徴とするチヤツキング装置。