JP2000176712A - 偏心チャック - Google Patents

偏心チャック

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JP2000176712A
JP2000176712A JP10352668A JP35266898A JP2000176712A JP 2000176712 A JP2000176712 A JP 2000176712A JP 10352668 A JP10352668 A JP 10352668A JP 35266898 A JP35266898 A JP 35266898A JP 2000176712 A JP2000176712 A JP 2000176712A
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JP
Japan
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chuck
center axis
eccentric
main shaft
rotation center
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JP10352668A
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English (en)
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Kenshiro Hattori
健四郎 服部
Masaji Fujita
正司 藤田
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Menicon Co Ltd
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Menicon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンタクトレンズ素材等の被加工物を、工作
機械の主軸に対して、該主軸の回転中心軸回りのウエイ
トバランスを保持しつつ、容易に且つ高い位置決め精度
をもって、偏心して取り付けることの出来る偏心チャッ
クを提供すること。 【解決手段】 チャック保持部材64を、主軸14の回
転中心軸24に対して、第一の偏心量:E1だけ偏心し
た回動中心軸66まわりに相対回動可能とすると共に、
該チャック保持部材64において、被加工物を支持する
チャック68,70を、上記回動中心軸66に対して第
二の偏心量:E2だけ偏心した位置に設定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、切削加工等を施す被加工物を工
作機械の主軸に取り付けて支持せしめるチャック構造に
関するものであり、特に、被加工物を、主軸の回転中心
軸に偏心して支持可能とする偏心チャックに関するもの
である。
【0002】
【背景技術】工作機械の主軸に装着されて、切削加工等
を施す被加工物を工作機械の主軸に取り付けて支持せし
めるためのチャック部材の一種として、従来から、主軸
の回転中心軸に対するチャック位置の偏心量を可変とし
た偏心チャックが知られている。かかる偏心チャックと
しては、一般に、(i)主軸の回転中心軸に対するチャ
ック位置の偏心量を調節不能としたものと、(ii)調節
可能としたものがある。
【0003】ところが、このような従来の偏心チャック
を用いて、例えばプリズムバラスト構造のコンタクトレ
ンズのレンズ面等のように、被加工物に対してその中心
軸から偏心した加工面を切削加工等するような場合に、
加工面の偏心量を変更しようとすると、前者の偏心チャ
ック(i)では、チャック部材そのものを変更しなけれ
ばならず、作業が極めて面倒であった。また、後者の偏
心チャック(ii)では、偏心量の変更そのものは容易と
なるが、偏心量の変更に伴って主軸の回転中心軸まわり
における偏心チャックの重量バランスが崩れてしまうた
めに、主軸の回転作動が不安定となり易く、切削加工精
度が低下するおそれがあり、特に、コンタクトレンズの
レンズ面切削等、高速回転が要求される場合には、要求
される程の回転数の実現さえ困難な場合があった。
【0004】
【発明が解決すべき課題】本発明は、上述の如き事情を
背景として為されたものであって、その解決すべき課題
とするところは、工作機械における主軸の回転中心軸に
対する偏心量を容易に変更,設定することが出来ると共
に、回転中心軸回りの重量バランスを有利に維持するこ
との出来る、新規な構造の偏心チャックを提供すること
にある。
【0005】
【解決手段】このような課題を解決するために為された
本発明の態様を、以下に記載する。なお、以下に記載の
各態様は、任意の組み合わせをもって採用可能である。
また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載の
ものに限定されるものでなく、明細書全体の記載および
図面に記載の発明思想に基づいて認識されることが理解
されるべきである。
【0006】本発明の第一の態様は、工作機械の主軸に
装着されて、該主軸の回転中心軸に対して被加工物を偏
心して取り付け可能とする偏心チャックであって、工作
機械の主軸に固定されて該主軸と共に回転せしめられる
チャック保持部材を、該主軸の回転中心軸から第一の偏
心量:E1だけ偏心した回動中心軸回りに該主軸に対し
て相対的に回動変位可能に取り付けると共に、該チャッ
ク保持部材に対して、前記被加工物を支持するチャック
を、該チャック保持部材の回動中心軸から第二の偏心
量:E2だけ偏心した位置に該被加工物の支持中心軸が
位置するように設ける一方、前記チャック保持部材にお
ける前記チャックを含む重量中心を、該チャック保持部
材の回動中心軸上に設定した偏心チャックを、特徴とす
る。
【0007】このような第一の態様に係る偏心チャック
においては、チャック保持部材の回動中心軸が、主軸の
回転中心軸に対して偏心せしめられていると共に、チャ
ック保持部材におけるチャックが、チャック保持部材の
回動中心軸に対して偏心位置せしめられていることか
ら、チャック保持部材を主軸に対して相対的に回動させ
ることにより、チャック、ひいては該チャックによる被
加工物の支持位置の、主軸の回転中心軸、ひいては被加
工物の切削等の加工中心軸に対する偏心量を、変更する
ことが出来る。そして、チャック保持部材の主軸に対す
る相対回動量を調節することによって、被加工物の加工
中心軸に対する偏心量を、目的とする値に調節すること
が出来るのである。そこにおいて、チャック保持部材
は、その重量中心が回動中心軸上に設定されていること
から、偏心チャック全体の重量中心を初めに設定してお
けば、チャック保持部材の主軸に対する相対回動量を変
更した場合でも、全体の重量中心が主軸の回転中心軸上
に有利に維持され得ることとなる。
【0008】従って、かくの如き第一の態様に係る偏心
チャックによれば、回転中心軸回りの重量バランスを維
持しつつ、被加工物(チャック)の加工中心軸(回転中
心軸)に対する偏心量を容易に変更することが出来るの
である。また、それによって、偏心チャック全体の加工
中心軸回りにおける回転作動が、被加工物の偏心量の如
何にかかわらずに滑らかとなり、加工精度の向上が図ら
れ得ると共に、高速回転化も有利に実現可能となるので
ある。
【0009】なお、かかる第一の態様の偏心チャックで
採用される工作機械としては、一軸回りの回転駆動され
る主軸を備えた各種の機械が採用され得、旋盤や研削盤
の他、汎用工作機械等が採用可能であり、数値制御の工
作機械等も採用され得る。また、チャック保持部材は、
主軸に対して直接に取り付ける他、適当な取付部材を介
して、主軸に対して間接的に取り付けるようにしても良
い。更にまた、そのような取付部材を設ける場合には、
かかる取付部材に対して、チャック保持部材を回動可能
に支持せしめる支持機構や、チャックによる被加工物の
把持と開放を行う駆動手段等を設けることも有効であ
る。また、第一及び第二の偏心量:E1,E2の値は、
被加工物の偏心量の設計予定範囲等を考慮して適宜に設
定されるものであって、特に限定されるものでないが、
そこにおいて、第一の偏心量:E1を大きく設定するこ
とによって、被加工物の偏心量を大きく設定することが
可能となり、また第二の偏心量:E2を大きく設定する
ことによって、被加工物の偏心量の変更可能範囲を大き
く設定することが可能となる。また、チャック保持部材
の重量中心の設定に際して、被加工物の重量が無視でき
ない程に大きい場合には、被加工物の重量をも考慮する
ことが望ましい。
【0010】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に係る偏心チャックにおいて、前記第一の偏心量:
E1と前記第二の偏心量:E2を、同じに設定したこと
を、特徴とする。このような本態様に係る偏心チャック
にあっては、チャック保持部材の主軸に対する特定の相
対回動位置において、被加工物(チャック)の中心軸を
加工中心軸(主軸の回転中心軸)に一致させることが出
来る。それ故、かかる偏心チャックにおいては、チャッ
ク保持部材の主軸に対する相対回動量を調節することに
よって、被加工物に対して、偏心しない加工(偏心量が
0の加工)と偏心した加工との何れをも、施すことが可
能となるのである。
【0011】また、本発明の第三の態様は、前記第一又
は第二の態様に係る偏心チャックにおいて、前記主軸の
回転中心軸回りの円周方向に滑動せしめられるピストン
を備えたシリンダ機構を、該主軸の回転中心軸回りで複
数設けて、それらのシリンダ機構におけるピストンが、
全体として該主軸の回転中心軸回りの重量バランスを維
持したまま滑動せしめられるようにすると共に、かかる
シリンダ機構によって、前記チャック保持部材を前記主
軸に対して前記回動中心軸回りに駆動するようにしたこ
とを、特徴とする。
【0012】このような第三の態様に係る偏心チャック
においては、チャック保持部材の主軸に対する相対回動
を、シリンダ機構によって行うことが出来るのであり、
それによって、チャックの偏心量設定の自動化も実現可
能とされる。また、複数のシリンダ機構におけるピスト
ンの全体としての重量中心が、主軸の回転中心上に位置
せしめられ、且つかかるピストン全体の重量中心位置
が、ピストンの滑動に際しても維持されることから、回
転中心軸回りの重量バランスを維持しつつ、チャックの
偏心量の変更を、シリンダ機構によって簡単に行うこと
が出来るのである。
【0013】また、本発明の第四の態様は、前記第三の
態様に係る偏心チャックにおいて、前記シリンダ機構を
構成するシリンダハウジングを、前記主軸に対して固定
的に形成すると共に、該シリンダハウジングの内部を滑
動せしめられる前記ピストンを、前記チャック保持部材
に対して、相対回転不能に連結する係合機構を設けたこ
とを、特徴とする。このような本態様に係る偏心チャッ
クにおいては、チャック保持部材を回動駆動するための
シリンダ機構と、該シリンダ機構における出力のチャッ
ク保持部材への伝達機構を容易に形成することが出来
る。
【0014】また、本発明の第五の態様は、前記第三又
は第四の態様に係る偏心チャックにおいて、前記シリン
ダ機構として、前記ピストンを空気圧の作用で駆動せし
めるエアシリンダ機構を採用したことを、特徴とする。
このような本態様に係る偏心チャックにおいては、シリ
ンダ機構が簡単な構造をもって有利に実現され得る。
【0015】また、本発明の第六の態様は、前記第一乃
至第五の何れかの態様に係る偏心チャックにおいて、前
記チャック保持部材の前記主軸に対する前記回動中心軸
回りの相対回動によって回動方向で互いに当接すること
により、該チャック保持部材の該主軸に対する相対回動
端を規定するストッパ機構を設けたことを、特徴とす
る。
【0016】このような第六の態様に係る偏心チャック
においては、ストッパ機構を設けたことによって、チャ
ック保持部材の主軸に対する相対回動角度、ひいてはチ
ャック(被加工物)の偏心量を、目的とする値に容易に
設定することが出来る。また、かかるストッパ機構にお
ける回動方向の当接部は、チャック保持部材の回動中心
軸から軸直角方向外方に離間した位置に設定されること
から、チャック保持部材の主軸に対する相対回動角度を
高精度に規定することが可能となる。なお、チャック保
持部材の主軸に対する相対回動角度の設定をより高精度
とするためには、ストッパ機構における回動方向の当接
部を、チャック保持部材の回動中心軸から軸直角方向外
方に充分に離間した位置に設定することが有効であり、
例えば、チャック保持部材において、その軸直角方向中
央よりも外周側に当接部を設定することが望ましい。
【0017】また、本発明の第七の態様は、前記第六の
態様に係る偏心チャックにおいて、前記チャック保持部
材に形成されて該チャック保持部材の外周面に開口する
切欠窓と、前記主軸側に形成されて該チャック保持部材
の該切欠窓内に突出位置せしめられる位置決め突起とに
よって、前記ストッパ機構を構成し、該位置決め突起の
該切欠窓の内周面への当接によって、該チャック保持部
材の該主軸に対する相対回動端を規定するようにしたこ
とを、特徴とする。このような本態様に係る偏心チャッ
クにおいては、チャック保持部材の主軸に対する相対回
動端を高精度に規定することの出来るストッパ機構が、
有利に実現され得る。
【0018】また、本発明の第八の態様は、前記第六又
は第七の態様に係る偏心チャックにおいて、前記ストッ
パ機構を、前記主軸の回転中心軸回りで複数設けるに際
して、主軸側に固定されてチャック保持部材側に当接せ
しめられる前記位置決め突起等の固定側ストッパ部材
を、全体としての重量中心が、該主軸の略回転中心軸上
に位置せしめられるようにしたことを、特徴とする。こ
のような本態様に係る偏心チャックにおいては、ストッ
パ機構を設けたことに起因する重量バランスの低下が有
利に軽減され得る。なお、かかる第八の態様における偏
心チャックにおいて、好適には、ストッパ機構が、主軸
の回転中心軸回りで略等間隔に複数設けられる。
【0019】また、本発明の第九の態様は、前記第六乃
至第八の態様に係る偏心チャックにおいて、前記ストッ
パ機構を複数設けて、そのうちの少なくとも一つのスト
ッパ機構により、前記チャック保持部材の前記主軸に対
する一方向の相対回動端を規定する一方、他の少なくと
も一つのストッパ機構により、該チャック保持部材の該
主軸に対する他方向の相対回動端を規定するようにした
ことを、特徴とする。このような本態様に係る偏心チャ
ックにおいては、チャック保持部材を回動操作すること
によって、他の作業を特に必要とすることなく、チャッ
ク保持部材の主軸に対する相対回動量、ひいてはチャッ
ク(被加工物)の偏心量を、異なる二つの値に容易に且
つ高精度に設定することが出来る。そこにおいて、好適
には、チャック保持部材の主軸に対する前記一方向の相
対回動端の規定位置によって、チャック(被加工物)の
偏心量が0となるように設定される。これにより、被加
工物に対して、偏心しない同心的な加工と、予め設定さ
れた所定量だけ偏心した加工とを、容易に切り換えて実
施することが出来る。
【0020】また、本発明の第十の態様は、前記第六乃
至第九の態様に係る偏心チャックにおいて、前記ストッ
パ機構における周方向での当接位置を、前記チャック保
持部材と前記主軸との相対回動方向で変更調節可能とし
たことを、特徴とする。このような本態様に係る偏心チ
ャックにおいては、チャック(被加工物)の偏心量の変
更を容易に行うことが出来る。なお、かかるストッパ機
構の当接位置の変更調節機構は、例えば、前記第七の態
様に係る偏心チャックにおいて、主軸側に設けられた位
置決め突起の位置を、主軸に対して周方向に変更設定可
能とすること等によって、有利に実現され得る。
【0021】また、本発明の第十一の態様は、前記第一
乃至第十の態様に係る偏心チャックにおいて、前記チャ
ック保持部材を前記主軸側に対して、アンギュラベアリ
ングを用いて回動変位可能に取り付けたことを、特徴と
する。このような本態様に係る偏心チャックにおいて
は、チャックによる把持可能な被加工物の重量を有利に
確保することが出来ると共に、チャック(被加工物)の
偏心量をより高精度に位置決めすることが出来、主軸の
高速回転化が有利に実現可能とされる。
【0022】また、本発明の第十二の態様は、前記第一
乃至第十一の態様に係る偏心チャックにおいて、前記チ
ャック保持部材における回動中心軸まわりの重量バラン
スをとるために、該チャック保持部材に対して、その回
動中心軸から外れた位置にバランス用穴を設けたこと
を、特徴とする。このような本態様に係る偏心チャック
においては、チャック保持部材における回動中心軸まわ
りの重量バランスを、他の部材等を特に必要とすること
なく、簡単な構造をもって調節することが出来る。
【0023】また、本発明の第十三の態様は、前記第一
乃至第十二の態様に係る偏心チャックにおいて、前記チ
ャック保持部材における回動中心軸上の重量バランスを
とるために、該チャック保持部材の回動中心軸回りの複
数箇所において、調節錘を取り付けることのできる錘装
着部を設けたことを、特徴とする。このような本態様に
係る偏心チャックにおいては、錘装着部をチャック保持
部材の回動中心軸回りの複数箇所に設けたことにより、
微妙な重量バランスの調節が可能となる。また、装着す
る調節錘を選択することによって、より広い重量範囲で
重量バランスの調節が可能となる。なお、錘装着部とし
ては、例えばボルト穴等が有利に採用され得、好適に
は、かかる錘装着部が、チャック保持部材の回動中心軸
回りで4箇所以上、周方向で等間隔に設定される。
【0024】また、本発明の第十四の態様は、前記第一
乃至第十三の態様に係る偏心チャックにおいて、前記チ
ャック保持部材の材質として、アルミニウム合金を採用
したことを、特徴とする。このような本態様に係る偏心
チャックにおいては、チャック保持部材の軽量化が有利
に図られ得ることから、重量バランスの偏りが軽減され
て、重量バランスを許容範囲内に調節する作業が容易と
なる。また、それによって、主軸の回転速度の更なる高
速化も実現可能とされる。しかも、チャックの部材強
度、ひいては被加工物に対する把持力も有利に確保する
ことが出来る。
【0025】また、本発明の第十五の態様は、前記第一
乃至第十四の態様に係る偏心チャックにおいて、前記チ
ャックにてコンタクトレンズ素材を把持せしめることに
より、コンタクトレンズのレンズ面切削に用いるように
したことを、特徴とする。このような本態様に係る偏心
チャックにおいては、特にコンタクトレンズの切削加工
用の偏心チャックに用いたことにより、コンタクトレン
ズの切削加工に際して要求される高速回転性と高精度な
位置決め性が、両立して有利に実現され得るのであり、
以て、コンタクトレンズの製作性が飛躍的に向上され得
ることとなる。
【0026】また、本発明の第十六の態様は、前記第一
乃至第十五の態様に係る偏心チャックにおいて、前記主
軸に取り付けられて、前記チャック保持部材を回動可能
に支持する支持部材において、該チャック保持部材を含
む全体の重量中心を該主軸の回転中心軸上に設定するた
めのバランスウエイトを設けたことを、特徴とする。こ
のような本態様に係る偏心チャックにおいては、チャッ
ク保持部材における重量中心が主軸の回転中心から偏心
していることに起因する、偏心チャック全体の回転中心
軸回りの重量バランスを容易に調節することが可能とな
る。なお、バランスウエイトは、例えば、前記第三の態
様に係る偏心チャックにおいて採用されるシリンダ機構
を構成するシリンダ内等に、好適に配設され得る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。なお、以下の実施形態で
は、コンタクトレンズ素材を工作機械の主軸に取り付け
て支持せしめることにより、コンタクトレンズの切削加
工に用いられる偏心チャックに対して本発明を適用した
ものの一具体例について説明するが、本発明は、コンタ
クトレンズの切削加工だけでなく、金属部品や樹脂部品
等の加工に用いられる各種の工作機械用の偏心チャック
に対して適用可能であることが、理解されるべきであ
る。また、以下の説明中では、原則として、図2及び図
3の上下方向を、単に上下方向ということとする。
【0028】先ず、図1には、本発明に従う構造とされ
た偏心チャックを備えた旋盤装置の全体構成が概略的に
示されている。この旋盤装置は、レンズ素材10が、偏
心チャック12によって取り付けられた主軸14を備え
たワーク支持装置16と、バイトを有する切削工具18
が取り付けられたバイト支持装置22と、そのバイトを
旋回動作する差動軸20から構成されている。そして、
ワーク支持装置16において、主軸14を、その回転中
心軸24の回りに高速回転させると共に、バイト支持装
置22へ近づけて、バイトをレンズ素材10に接触させ
て作動軸20によりバイトを旋回させて、レンズ素材1
0のレンズ面を切削加工するようになっている。なお、
この図は、バイトをレンズ素材10に対して、相対的に
旋回移動するものの一例であり、直交2軸の同時動作、
回転軸と直交軸の同時動作等の方法も含む。
【0029】そこにおいて、ワーク支持装置16におい
ては、偏心チャック12を交換することなく、レンズ素
材10の中心軸を、その切削加工時の回転中心軸(主軸
14の回転中心軸)24に対して、任意の量だけ偏心さ
せて把持することが出来るようになっている。以下、こ
の偏心チャック12の構造および作用を、具体的に説明
する。
【0030】図2乃至図7に示されているように、かか
る偏心チャック12は、ワーク支持装置16の主軸14
の先端部にボルト固定されて同一軸上に取り付けられた
略円板形状の取付板26を有しており、この取付板26
に対して、略円環板形状のシリンダブロック28と厚肉
の略円筒形状の支持スリーブ30が、順次、軸方向で同
一軸上に重ね合わされて相互にボルト固定されることに
よって、支持部材が構成されている。また一方、主軸1
4の外周側には、外方に離間して主軸14を覆う固定ス
リーブ36が配設されており、この固定スリーブ36に
よって、取付板26およびシリンダブロック28の外周
面を僅かな隙間を隔てて覆う環状ブロック38が、固定
的に支持されている。なお、これらの固定スリーブ36
と環状ブロック38は、ワーク支持装置16によって回
転不能に支持されている。
【0031】シリンダブロック28には、中央部分を軸
方向に貫通するシリンダ孔32が設けられており、この
シリンダ孔32にピストン34が滑動可能に嵌め込まれ
ていると共に、該シリンダ孔32で構成されたシリンダ
室に対して、図示しないエア給排路を通じて圧縮空気が
供給可能とされている。これにより、後述するチャック
部材64の把持/解除作動用(クランプ/アンクランプ
作動用)のエアシリンダ機構が構成されている。また、
支持スリーブ30には、それぞれ外周面に開口して周方
向に所定長さ(本実施形態では、略1/4周)で延びる
一対のシリンダ溝40,42が、回転中心軸24を挟ん
で上下方向に対向位置して形成されている。更に、支持
スリーブ30には、その外周面に対して、円筒形状の駆
動リング44が外挿されて、周方向に摺動可能に装着さ
れており、この駆動リング44によって、各シリンダ溝
40,42の開口が覆蓋されて一対のシリンダ室が形成
されている。また、これら各シリンダ室にピストンとし
ての滑動子46が嵌め込まれて滑動可能に配設されてお
り、以て、シリンダ溝40,42によって、それぞれ、
滑動子46の両側にエアシリンダ室がそれぞれ形成され
た複動型のエアシンリダ機構48が構成されている。そ
して、図4及び図5に示されているように、環状ブロッ
ク38に接続された外部エア管路50,52を通じて導
かれた圧縮エアが、環状ブロック38と取付板26,シ
リンダブロック28,支持スリーブ30によって協働し
て形成されたエア通路54,56を通じて、エアシリン
ダ機構48,48における各何れか一方のエアシリンダ
室にそれぞれ供給されるようになっている。以て、外部
管路50,52を通じて供給される圧縮エアを、図示し
ないバルブで切り換えることにより、各エアシリンダ機
構48,48において、滑動子46,46が、それぞれ
周方向で同一方向に駆動されるようになっている。
【0032】また、各滑動子46,46は、駆動リング
44にねじ止めされた係止ピン58によって、駆動リン
グ44に対して周方向に相対変位不能に係止されてい
る。なお、滑動子46の滑動性を阻害しないように、係
止ピン58は、滑動子46に対してねじ固定されていな
いことが望ましい。これにより、各エアシリンダ機構4
8,48の滑動子46,46によって、協働して、駆動
リング44に対して、該駆動リング44を周方向に回転
駆動せしめる駆動力が及ぼされるようになっている。
【0033】さらに、図2及び図4等に示されているよ
うに、支持スリーブ30の内孔60には、二つのベアリ
ング62,62が嵌着固定されており、これらのベアリ
ング62,62を介して、チャック保持部材としてのチ
ャック部材64が、支持スリーブ30によって、ベアリ
ング62,62の回動中心軸66の回りに回動可能に支
持されている。
【0034】このチャック部材64は、円筒形状のチャ
ックスリーブ68に対してコレット70が同軸的に挿入
配置されたコレットチャック構造を有しており、チャッ
クスリーブ68に固定的に内挿配置されてレンズ受台を
兼ねる固定スリーブ69と該コレット70の間に配設さ
れたコイルスプリング72によって、コレット70が引
き込み方向に付勢されて、図示しないレンズ素材に対す
るクランプ力が付与されるようになっている。なお、コ
レット70でクランプされるレンズ素材の中心軸は、コ
レット70の中心軸86と一致することとなる。また、
レンズ素材を有利に把持するために、本実施形態では、
三つ割りタイプのコレット70が好適に採用される。
【0035】また、図2及び図3等に示されているよう
に、チャック部材64のチャックスリーブ68には、軸
方向中間部分から径方向外方に広がる円板形状の取付プ
レート74が一体形成されており、この取付プレート7
4が、ベアリング62,62の内輪に固着された円筒形
状の取付シャフト76の軸方向一端面に重ね合わされ
て、該取付シャフト76に固着されている。取付シャフ
ト76は、軸方向一方の端部に円環状の鍔部78を有し
ていると共に、軸方向他方の端部にロックナット80が
螺着される雄ねじ溝が設けられており、ベアリング6
2,62の内輪に嵌入されて、鍔部78とロックナット
80の間でベアリング62,62の内輪を軸方向に挟圧
することにより、ベアリング62,62の内輪に固定さ
れている。そして、この取付シャフト76の鍔部78に
対して、チャック部材64の取付プレート74が重ね合
わされて、同心的に配された複数本(本実施形態では、
6本)の固定ボルト82によって固定されている。これ
により、チャック部材64が、ベアリング62,62を
介して、支持スリーブ30に取り付けられ、更に、シリ
ンダブロック28と取付板26を介して、主軸14に取
り付けられて支持されているのである。また、そのよう
な取付状態下、チャック部材64は、ベアリング62,
62の中心軸を回動中心軸66として、支持スリーブ3
0ひいては主軸14に対して、該回動中心軸66の回り
に回動可能とされている。
【0036】なお、上記ベアリング62,62として
は、重予圧のアンギュラベアリングが採用されていると
共に、ロックナット80は、ロックねじ付きのものが採
用されている。これにより、チャック部材64が、主軸
14に対して、軸方向および径方向に高精度に位置決め
された状態で、回動中心軸66の回りの回動が許容され
るようになっている。また、上述の如き偏心チャック1
2を構成する各部材は、例えば取付シャフト76やチャ
ックスリーブ68(取付プレート74を含む)等の大き
な強度の要求される部材を除いて、アルミニウム合金
材、特に表面硬質アルマイト処理を施したものを採用す
ることが、その軽量性故に望ましい。
【0037】ここにおいて、ベアリング62,62は、
主軸14の回転中心軸24に対して、図2及び図3中、
下方に第一の偏心量:e1だけ偏心して組付けられてい
る。これにより、チャック部材64の回動中心軸66
と、主軸14の回転中心軸24は、互いに第一の偏心
量:e1だけ相対偏位せしめられている。要するに、チ
ャック部材64は、全体として、主軸14の回転中心軸
24上でなく、該回転中心軸24に対して第一の偏心
量:e1だけ相対偏位した回動中心軸66の回りで、主
軸14に対して相対回動可能に支持されているのであ
る。なお、ベアリング62,62を、主軸14の回転中
心軸24に対して偏心設定したことにより、その分だ
け、回転中心軸24回りのウエイトバランスが崩れる。
そこで、本実施形態では、図4に示されているように、
主軸14の回転中心軸24に対するチャック部材64の
回動中心軸66の偏心方向(図4中、上下方向)で、該
チャック部材64の主軸14に対する偏心側と反対側に
位置するシリンダ溝40内に、バランスウエイト88,
88を配設してボルト固定した。これにより、支持スリ
ーブ30およびベアリング62,62、更には該ベアリ
ング62,62で偏心支持されるチャック部材64を含
む全体のウエイトバランスを、主軸14の回転中心軸2
4上に保持するようにした。なお、二つのバランスウエ
イト88,88は、主軸14の回転中心軸24とチャッ
ク部材64の回動中心軸66との偏心方向線90を挟ん
だ両側で対照的に位置するように配設した。
【0038】さらに、チャック部材64におけるコレッ
ト70は、そのコレット中心軸(把持されるレンズ素材
の中心軸)86が、チャック部材64の回動中心軸66
に対して、図2及び図3中、上方に第二の偏心量:e2
だけ偏心して設定されている。その結果、チャック部材
64を回動中心軸66の回りに回動させることによっ
て、コレット中心軸86は、該回動中心軸66を中心と
する半径:e2の円周上を変位せしめられるようになっ
ている。また、特に、本実施形態では、第一の偏心量:
e1と第二の偏心量:e2の値が同一に設定されてお
り、図2及び図3に示されているように、チャック部材
64の回動中心軸66と主軸14の回転中心軸24の偏
心方向と、コレット70の中心軸86とチャック部材6
4の回動中心軸66の偏心方向を一致させた状態下で、
コレット中心軸86が主軸14の回転中心軸24に一致
せしめられるようになっている。要するに、かかる状態
下では、レンズ素材が、主軸14の回転中心軸24に対
して同軸上に支持されるようになっているのである。
【0039】なお、チャック部材64では、コレット中
心軸86が回動中心軸66に対して偏心設定されている
ことから、その回動中心軸66まわりのウエイトバラン
スが崩れる。そこで、本実施形態では、図3に示されて
いるように、チャック部材64の取付プレート74にお
いて、チャック部材64の回動中心軸66に対するコレ
ット中心軸86の偏心方向(図3中、上下方向)で、該
コレット中心軸86の回動中心軸66に対する偏心側と
同じ側に位置する部分に、一対のバランス用肉抜穴9
6,96を形成した。これにより、チャック部材64全
体のウエイトバランスを、回動中心軸66上に保持する
ようにした。なお、二つのバランス用肉抜穴96,96
は、チャック部材64の偏心方向線94を挟んだ両側で
対称的に位置するように配設した。
【0040】また、このように取り付けられたチャック
部材64には、そのコレット70の底面に対して、シリ
ンダブロック28のシリンダ孔32に嵌合されたピスト
ン34の先端面が当接されている。これにより、ピスト
ン34を突出駆動せしめることにより、コレット70に
突出方向の駆動力が及ぼされて、コレット70がコイル
スプリング72の付勢力に抗して突出せしめられ、レン
ズ素材に対する把持力が解除されてアンクランプ状態と
されるようになっている。
【0041】また一方、チャック部材64の取付プレー
ト74には、図2及び図3に示されているように、外周
縁部に開口する一対の係止用切欠孔92,92が形成さ
れている。これらの係止用切欠孔92,92は、チャッ
ク部材64におけるチャックスリーブ68の偏心方向線
94上に位置して、径方向両側で対向位置して形成され
ている。そして、これら各係止用切欠孔92,92に係
合する係合突起95,95が、支持スリーブ30に外挿
された駆動リング44に一体形成されている。これによ
り、前記エアシリンダ機構48,48によって駆動リン
グ44に及ぼされる回転駆動力が、該駆動リング44と
係合突起95,95および係止用切欠孔92,92を含
んで構成された係止機構を介して、チャック部材64に
伝達されるようになっており、以て、チャック部材64
が、その回動中心軸66の回りにおいて、主軸14に対
して相対回動されるようになっている。
【0042】さらに、チャック部材64の取付プレート
74には、図3及び図7に示されているように、係止用
切欠孔92,92の対向方向に直交する径方向両側に位
置して、外周面に開口する一対のストッパ用切欠窓9
8,99が形成されている。なお、これらのストッパ用
切欠窓98,99は、チャック部材64の回動中心軸6
6上でのウエイトバランスを崩さないように、それぞれ
周方向に略1/6の長さで一定幅をもって延びる略扇形
状をもって、回動中心軸66を挟んで対称的に形成され
ている。また、各ストッパ用切欠窓98,99は、その
周方向両側の端面が、略径方向に延びる平坦な当接面と
されている。
【0043】そして、この取付プレート74に形成され
たストッパ用切欠窓98,99内に突出位置して、一対
のストッパブロック100,101が配設されており、
それぞれ、支持スリーブ30の軸方向先端面に対してボ
ルト固定されている。そして、このストッパブロック1
00,101の周方向端面が、取付プレート74のスト
ッパ用切欠窓98,99の周方向端面に当接することに
よって、チャック部材64の主軸14に対する相対回転
量が制限されて、周方向に相対的に位置決めされるよう
になっている。
【0044】また、このストッパブロック100,10
1は、何れも、固定用ボルトの挿通孔102が周方向に
延びる長穴形状とされており、固定ボルトを緩めること
によって、ストッパブロック100,101の位置を周
方向に調節可能とされている。そして、ストッパブロッ
ク100,101の位置を変更することにより、エアシ
リンダ機構48,48によって周方向に相対変位せしめ
られるチャック部材64の主軸14に対する相対回動位
置を、適当に調節して規定し得るようになっているので
ある。特に本実施形態では、図示されているように、一
方のストッパブロック100が、一方のストッパ用切欠
窓98の内周面に当接することによって、コレット中心
軸86が主軸14の回転中心軸24上に位置せしめられ
るように、位置調節されていると共に、図示はされてい
ないが、他方のストッパブロック101が、他方のスト
ッパ用切欠き窓99の内周面に当接することによって、
コレット中心軸86が主軸14に対して目的とする偏心
量だけ偏心位置せしめられるように、位置調節されてい
る。
【0045】なお、コレット中心軸86の主軸14に対
する偏心量:Eの値は、図3に示されている如き、コレ
ット中心軸86が主軸14の回転中心軸24上に位置せ
しめられた位置からのチャック部材64の支持スリーブ
30に対する相対回転角度をθとすると、下記(1式)
によって、簡単に求めることが出来る。それ故、かかる
式に基づいて、ストッパブロック101の位置を設定す
ることにより、コレット中心軸86ひいてはレンズ素材
の支持中心軸における、主軸14の回転中心軸24に対
する軸直角方向の偏心量:Eを設定することが出来るの
である。 E = 2×e1× sin(θ/2) ・・・(1式)
【0046】また、上記一対のストッパブロック10
0,101も、主軸14の回転中心軸24回りのウエイ
トバランスを保持するように、主軸14を挟んだ径方向
両側に位置して配設されている。更にまた、位置調節に
よって、両ストッパブロック100,101の相対位置
がズレてしまった場合には、例えば、チャック部材64
を取付シャフト76に固定するための固定ボルト82を
用いて、適当な錘を付加すること等によって、主軸14
に対するチャック部材64の相対位置を確定した後の最
終段階において、偏心チャック12全体の重量中心が、
主軸14の回転中心軸24上にくるように、ウエイトバ
ランスを調節することが可能である。
【0047】更にまた、本実施形態では、主軸14に固
着された支持スリーブ30の外周面上に主軸位置決め穴
104が設けられている。そして、この主軸位置決め穴
104に対して、外部から、図示しない固定部材に支持
された外部ピンを嵌入することによって、主軸14を周
方向で特定位置に位置決めすることが出来るようになっ
ている。これにより、チャック部材64のコレット中心
軸66が主軸14の回転中心軸24に対して偏心してい
る場合にも、コレット中心軸66を特定位置に位置決め
することが出来るのであり、その結果、チャック部材6
4に対するレンズ素材のロードとアンロードを容易に自
動化することも可能となる。
【0048】このような構造とされた偏心チャック12
においては、エアシリンダ機構48,48でチャック部
材64を支持スリーブ30(主軸14)に対して相対回
動させることにより、一方のストッパブロック100で
規定される第一の相対回転位置(図3参照)において、
レンズ素材の中心軸を主軸14の回転中心軸24に合わ
せて支持することが出来ると共に、他方のストッパブロ
ック101で規定される第二の相対回転位置において、
レンズ素材の中心軸を主軸14の回転中心軸24に対し
て、チャック部材64の回動中心軸66回りに予め設定
された所定角度:θだけ変位させて支持することが出来
る。これにより、主軸14を回転させてバイト支持装置
22でレンズ素材のレンズ面を切削加工することによ
り、第一の相対回動位置においては、レンズ素材のレン
ズ面を、該レンズ素材の中心軸と同軸的な球面をもって
切削加工することが出来るのであり、また、第二の相対
回動位置においては、レンズ素材のレンズ面を、該レン
ズ素材の中心軸に対して上記(1式)で表される偏心
量:Eだけ平行に偏心した中心軸を有する球面をもって
切削加工することが出来るのである。なお、このような
偏心した中心軸をもつレンズ面は、例えばコンタクトレ
ンズに対してプリズムバラスト構造を付与する場合等に
好適に採用される。
【0049】そこにおいて、かかる偏心チャック12に
おいては、主軸14に対して相対回動せしめられる回動
部材(チャック部材64等)が、その回動中心軸66上
にウエイトバランスを持つように調節設定されているこ
とから、チャック部材64の主軸14に対する相対回動
操作によっても、回動部材全体の重量中心が回動中心軸
66上に有利に維持され得る。それ故、主軸14に対し
て相対回動しない固定部材(支持スリーブ30やベアリ
ング62等を含む)のウエイトバランスを、かかる回動
部材も含んで、該回動部材の主軸14に対する相対回動
位置の如何にかかわらずに、主軸14の回転中心軸24
上に位置するように有利に設定することが出来る。
【0050】そして、かくの如く、回動部材の重量中心
が回動中心軸66上に設定されると共に、該回動部材と
固定部材の全体(主軸14に装着される偏心チャック1
2全体)の重量中心が、主軸14の回転中心軸24上に
設定されている結果、チャック部材(回動部材64)の
主軸14に対する相対回動位置の如何に拘わらず、偏心
チャック12全体の重量中心が、特別な補正操作等を必
要とすることなく、主軸14の回転中心軸24上、換言
すればレンズ素材の切削加工中心軸上に保持され得るの
である。
【0051】従って、このような偏心チャック12によ
れば、切削加工時における軸ぶれ等を防止しつつ、主軸
14の高速回転が有利に達成され得るのであり、加工精
度の向上と製造サイクルの向上が、両立的に実現され得
るのである。しかも、本実施形態では、チャック部材6
4の主軸14に対する相対回動角度を規定するストッパ
ブロック100,101のストッパ用切欠窓98,99
への当接部位が、チャック部材64の回動中心軸66か
ら径方向外方に充分に離れて位置する、チャック部材6
4の取付プレート74の外周部分に設定されていること
から、チャック部材64の回動角度ひいてはレンズ素材
の偏心量を高精度に設定することが出来るのであり、か
かる偏心量を0.01mm以下の精度をもって設定するこ
とも可能となる。
【0052】また、かかる偏心チャック12において
は、チャック部材64の回動中心軸66を、主軸14の
回転中心軸24に対して、軸直角方向に直線的に相対変
位させて偏心量を設定することなく、周方向の相対回転
変位に基づいて偏心量を設定するようになっていること
から、偏心量の設定精度をより有利に得ることが出来る
といった効果もある。
【0053】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、か
かる実施形態における具体的な記載によって、何等、限
定的に解釈されるものでない。
【0054】例えば、前記実施形態では、チャック部材
64の主軸14に対する回動操作が、エアシリンダ機構
48,48によって行われるようになっていたが、エア
シリンダ機構に代えて電磁駆動機構や油圧機構等を利用
することも可能であり、或いは、手動で操作すること
も、勿論可能である。
【0055】また、ワーク支持装置16の主軸14やバ
イト支持装置22の作動軸20を、軸方向に相対的に変
位させることにより、レンズ素材に対してトーリック形
状のレンズ面を切削形成することも可能である。
【0056】更にまた、チャック部材64の主軸14に
対する相対回動位置を、より確実にロックする係止構造
等の適当なロック機構を付加しても良い。
【0057】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた偏心チャックにおいては、特別なウ
エイトバランス調節作業等を必要とすることなく、全体
の重量中心を主軸上に保持したままの状態で、チャック
による被加工物の支持中心軸の、主軸の回転中心軸に対
する偏心量を変更して調節することが出来る。その結
果、加工作業に際しての主軸回転中心軸回りのウエイト
バランスが高度に維持されて、加工作業の高精度化が実
現されると共に、加工精度を高度に確保しつつ、主軸の
高速回転化を図ることが出来、加工効率の向上も有利に
達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての偏心チャックを備
えたコンタクトレンズ加工用の旋盤装置の全体概略構造
を示す全体図である。
【図2】図1に示された旋盤装置を構成する支持装置に
装着された偏心チャックを拡大して示す縦断面図であっ
て、図3におけるII−II断面に相当する図である。
【図3】図2の左側面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】図4におけるVI−VI断面図である。
【図7】図3におけるVII −VII 断面図である。
【符号の説明】
10 レンズ素材 12 偏心チャック 14 主軸 16 ワーク支持装置 24 主軸の回転中心軸 30 支持スリーブ 44 駆動リング 48 エアシリンダ機構 62 ベアリング 64 チャック部材 66 チャック部材の回動中心軸 70 コレット 86 コレットの中心軸 88 バランスウエイト 96 バランス用肉抜穴 98,99 ストッパ用切欠窓 100,101 ストッパブロック

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工作機械の主軸に装着されて、該主軸の
    回転中心軸に対して被加工物を偏心して取り付け可能と
    する偏心チャックであって、 工作機械の主軸に固定されて該主軸と共に回転せしめら
    れるチャック保持部材を、該主軸の回転中心軸から第一
    の偏心量:E1だけ偏心した回動中心軸回りに該主軸に
    対して相対的に回動変位可能に取り付けると共に、該チ
    ャック保持部材に対して、前記被加工物を支持するチャ
    ックを、該チャック保持部材の回動中心軸から第二の偏
    心量:E2だけ偏心した位置に該被加工物の支持中心軸
    が位置するように設ける一方、前記チャック保持部材に
    おける前記チャックを含む重量中心を、該チャック保持
    部材の回動中心軸上に設定したことを特徴とする偏心チ
    ャック。
  2. 【請求項2】 前記第一の偏心量:E1と前記第二の
    偏心量:E2を、同じに設定した請求項1に記載の偏心
    チャック。
  3. 【請求項3】 前記主軸の回転中心軸回りの円周方向に
    滑動せしめられるピストンを備えたシリンダ機構を、該
    主軸の回転中心軸回りの複数設けて、それらのシリンダ
    機構におけるピストンが、全体として該主軸の回転中心
    軸回りの重量バランスを維持したまま滑動せしめられる
    ようにすると共に、かかるシリンダ機構によって、前記
    チャック保持部材を前記主軸に対して前記回動中心軸回
    りに駆動するようにした請求項1又は2に記載の偏心チ
    ャック。
  4. 【請求項4】 前記チャック保持部材の前記主軸に対す
    る前記回動中心軸回りの相対回動によって回動方向で互
    いに当接することにより、該チャック保持部材の該主軸
    に対する相対回動端を規定するストッパ機構を設けた請
    求項1乃至3の何れかに記載の偏心チャック。
  5. 【請求項5】 前記チャック保持部材を前記主軸側に対
    して、アンギュラベアリングを用いて回動変位可能に取
    り付けた請求項1乃至4の何れかに記載の偏心チャッ
    ク。
  6. 【請求項6】 前記チャック保持部材における回動中心
    軸まわりの重量バランスをとるために、該チャック保持
    部材に対して、その回動中心軸から外れた位置にバラン
    ス用穴を設けた請求項1乃至5の何れかに記載の偏心チ
    ャック。
  7. 【請求項7】 前記チャック保持部材における回動中心
    軸上の重量バランスをとるために、該チャック保持部材
    の回動中心軸回りの複数箇所において、調節錘を取り付
    けることのできる錘装着部を設けた請求項1乃至6の何
    れかに記載の偏心チャック。
  8. 【請求項8】 前記チャック保持部材の材質として、ア
    ルミニウム合金を採用した請求項1乃至7の何れかに記
    載の偏心チャック。
  9. 【請求項9】 前記チャックにてコンタクトレンズ素材
    を把持せしめることにより、コンタクトレンズのレンズ
    面切削に用いるようにした請求項1乃至8の何れかに記
    載の偏心チャック。
  10. 【請求項10】 前記主軸に取り付けられて、前記チャ
    ック保持部材を回動可能に支持する支持部材において、
    該チャック保持部材を含む全体の重量中心を該主軸の回
    転中心軸上に設定するためのバランスウエイトを設けた
    ことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の偏心
    チャック。
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