JPH0317901Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ウツド、ドライバー等と通称され
るゴルフクラブヘツドに関し、特にヘツド本体内
部を中空にし、この中空部内に発泡合成樹脂を充
填する形式のゴルフクラブヘツドに関する。

ウツド等と通称されるゴルフクラブのヘツドに
は、品質の安定性、材料供給の容易性などの観点
からパーシモン等の天然木材に代えて補強繊維を
混入した合成樹脂製のもの、あるいは軽金属製の
ものが使用されるようになつてきている。

しかし、上記のような合成樹脂、あるいは軽金
属の比重はパーシモン等のそれに比し相当に大き
いため、合成樹脂製又は軽金属製のゴルフクラブ
ヘツドを天然木材からなるゴルフクラブヘツドと
同一の外形形状及び重さにするには、内部をソー
ル部側からくり抜いて中空にし、ソール部側の開
口をアルミニユーム合金、真鍮等からなるソール
プレートにより閉塞するとともに、閉じられた中
空部内には、湿気の浸入防止を兼ねたウエート調
整のための発泡合成樹脂を充填する構造にしてい
る。

ところで、上記のようなヘツド本体の中空部内
にポリウレタン等の合成樹脂を充填して発泡硬化
させる場合は、中空部内に注入した発泡合成樹脂
が外部に流出しないようにソールプレートをヘツ
ド本体に予め取り付けて中空部を閉塞しておかな
ければならない。このため、従来における発泡合
成樹脂の中空部内への注入に際しては、ヘツド本
体のネツクに形成されたシヤフト取付穴を利用し
て行なうようになつている。

しかし、ネツクのシヤフト取付穴を発泡合成樹
脂の注入口として利用することは、シヤフト取付
穴内にも合成樹脂が発泡硬化されることになり、
その硬化発泡合成樹脂の除去が面倒で、かつ手数
がかかる欠点がある。

そこで、特開昭51−106528号に示される如く、
ソールプレートをねじ止めせずに何らかの手段に
より仮り装着しておき、そのねじ穴を利用して発
泡合成樹脂を注入した後、ねじ止めする方式が提
案されているが、これでは次に述べる如き問題が
ある。

即ち、合成樹脂製又は軽金属製のヘツド本体は
金型によつて一体成形される関係上、ヘツド本体
のソール部にソールプレートを埋込み状態に装着
するために形成される段部の深さ寸法にはバラツ
キがあり、このため段部にソールプレートを嵌め
込んでねじ止めしてもソールプレートとソール部
との境目に部分的に段差が生じ、この段差はヘツ
ド本体の仕上げ加工時にグラインダにより切削除
去しなければならない。しかし、ソールプレート
及びソール部の段差部分をグラインダなどにより
切削することは、その切削熱によつてソール部及
びソールプレートが相当な温度に加熱され、ソー
ル部及びソールプレートに接触している硬化した
発泡合成樹脂が部分的に溶融して、中空部内に〓
間ができ、充填された発泡合成樹脂がガタツいて
しまう問題があるほか、ねじ穴が発泡合成樹脂に
より塞がれてしまい、ねじの螺着に支障を来たす
おそれがある。

この考案は上記のような従来の問題を解決した
もので、その目的とするところは、ソールプレー
トを中空部を有するヘツド本体のソール部に取り
付け、ソールプレートを含むソール面を仕上げ加
工した後における中空部内への発泡合成樹脂の注
入をヘツド構成部品の組付けに影響を及ぼすこと
なく容易にでき、かつ発泡硬化後の余分な合成樹
脂の処理をなくするようにしたゴルフクラブヘツ
ドを提供するにある。

上記目的を達成するために、この考案のゴルフ
クラブヘツドは、軽量化を主目的とする中空部を
有するヘツド本体に、上記中空部を閉塞するよに
ソールプレートを取り付け、上記中空部内に発泡
合成樹脂を注入してなるゴルフクラブヘツドにお
いて、上記ヘツド本体のソール部側の肉厚を上記
中空部のトツプ部側の肉厚より厚く構成し、上記
ヘツド本体のソールプレートで覆われる部分以外
のソール部に中空部と連通する少なくとも１個の
発泡合成樹脂の注入口を設け、この発泡合成樹脂
の注入口を栓部材によつて封止してなるものであ
る。

以下、この考案の具体的実施例を図面に基づい
て説明する。

第１図及び第２図はこの考案にかかるゴルフク
ラブヘツドの一例を示すもので、１はカーボン等
の補強繊維を混入した合成樹脂又はアルミニユー
ム合金等の軽金属により一体成形されたヘツド本
体であり、このヘツド本体１にはソール部２側に
開口する中空部３が形成され、この中空部３はヘ
ツド本体１の軽量化とウエートバランスの調整を
行なうものである。そして、ヘツド本体１のソー
ル部２側の肉厚Ｔを、中空部３のトツプ部１０側
の肉厚ｔより厚く構成している。またソール部２
には、中空部３の開口３ａを閉塞するソールプレ
ート４の輪郭に一致した嵌め込み段部５が形成さ
れ、この嵌め込み段部５内にソールプレート４を
嵌合した後、図示しないタツピングねじをソール
部２に設けた下穴６にねじ込むことによりソール
プレート４をヘツド本体１に一体に固着してい
る。また、ソールプレート４が装着された後のソ
ールプレート４と段部５との境目５ａの部分を含
むソール面は研削等により仕上げ加工され、段部
５の深さ寸法のバラツキにより生ずるソールプレ
ート４とソール部２との段差を除去するようにな
つている。

また、上記ソールプレート４で覆われる部分以
外のソール部２、例えばヘツド本体１のトウ側及
びヒール側部分２ａ，２ｂに中空部３内に連通す
る発泡合成樹脂の注入口７ａ，７ｂが穿設されて
いる。なお、注入口７ａ，７ｂはヘツド本体１の
成形時に一体に形成されるものである。

上記のようにしたヘツド本体１において、その
中空部３内に合成樹脂を発泡硬化してゴルフクラ
ブヘツドを構成する場合は、上述したようにヘツ
ド本体１のソール部２の段部５内にソールプレー
ト４を嵌め込み、タツピングねじなどにより固着
した後、ソールプレート４を含むソール面全体を
仕上げ加工する。次に、一方の注入口７ａ（又は
両方の注入口）からポリウレタン等の発泡合成樹
脂８をソールプレート４で閉鎖された中空部３内
に所定量注入した後、各注入口７ａ，７ｂに栓部
材９ａ，９ｂを嵌着して各注入口７ａ，７ｂを封
止する。中空部３内に注入された発泡合成樹脂８
は常温（20〜25℃）下で発泡硬化され、これによ
り中空部３内を発泡合成樹脂により飽和状態にす
る。

以上のようにこの実施例によれば、ヘツド本体
１のソール部２側の肉厚Ｔを、中空部３のトツプ
１０側の肉厚ｔより厚く構成しているので、強度
が強くなり、低重心化が図れる。特に、ソール部
２は、摩耗し易く傷が付き易いので、、ソール部
２の肉厚を厚くして強度を持たせることが可能と
なる。そして、この肉厚があるソール部２に、発
泡合成樹脂の注入口７ａ，７ｂを設けるので、強
度を低下させることなく、注入口７ａ，７ｂを形
成することができる。しかも、注入口７ａ，７ｂ
を栓部材９ａ，９ｂで封止する場合に、注入口７
ａ，７ｂの長さが長く形成されているので、栓部
材９ａ，９ｂを容易に取り付けることができると
ともに、その取付強度を安定させることができ
る。

なお、発泡合成樹脂の注入口７ａ，７ｂはソー
ル部２に設けられているため、発泡合成樹脂の注
入に伴う中空部３内のエアー抜きが容易となり、
エアーが中空部３内に閉じ込められることがな
い。

また、注入口の形成位置は上記実施例のものに
限定されず、ソールプレート以外の部分であれ
ば、いずれの位置でも良い。

以上のようにこの考案によれば、ヘツド本体の
ソールプレートで覆われる部分以外のソール部に
中空部と連通する少なくとも１個の発泡合成樹脂
の注入口を設け、この注入口から中空部内に発泡
合成樹脂を注入できるようにしたので、ソールプ
レートをソール部に固着し、そのソール面を仕上
げ加工した後の発泡合成樹脂の中空部への注入が
容易で、かつその作業性を向上できるほか、従来
のように合成樹脂の発泡硬化後にソールプレート
を含めたソール部の面仕上げ加工の熱によつて発
泡硬化した合成樹脂の一部が溶融したりすること
がなく、しかもソール部から発泡合成樹脂を中空
部内に直接注入できるため、ネツクのシヤフト取
付穴を利用して合成樹脂の注入を行なう従来方式
と異なり、余分な硬化した発泡合成樹脂の除去処
理が不要になり、発泡合成樹脂の注入がクラブヘ
ツドの組立に何ら悪影響を及ぼすことがない。ま
た、ソールプレート部分以外のソール部に発泡合
成樹脂の注入口を形成したので、ソール側に中空
部の開口側（ソールプレート部）と注入口が集中
でき、しかもソール側はヘツド本体の他の部分よ
りほぼ平面に近い形状のため、研磨加工し易く、
高精度のクラブヘツドとなる。さらに、注入口の
大きさ、形状の設定もし易く、ヘツドの外観もよ
くなる。しかも、ヘツド本体のソール部側の肉厚
を、中空部のトツプ部側の肉厚より厚く構成して
いるので、強度が強くなり、低重心化が図れるな
どの利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案にかかるゴルフクラブヘツド
の縦断面図、第２図はソールプレートを取り外し
た状態でのこの考案におけるゴルフクラブヘツド
の底面図である。 １…ヘツド本体、２…ソール部、３…中空部、
４…ソールプレート、５…段部、７ａ，７ｂ…注
入口、８…発泡合成樹脂、９ａ，９ｂ…栓部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軽量化を主目的とする中空部を有するヘツド本
   体に、上記中空部を閉塞するようソールプレート
   を取り付け、上記中空部内に発泡合成樹脂を注入
   してなるゴルフクラブヘツドにおいて、上記ヘツ
   ド本体のソール部側の肉厚を上記中空部のトツプ
   部側の肉厚より厚く構成し、上記ヘツド本体のソ
   ールプレートで覆われる部分以外のソール部に中
   空部と連通する少なくとも１個の発泡合成樹脂の
   注入口を設け、この発泡合成樹脂の注入口を栓部
   材によつて封止してなることを特徴とするゴルフ
   クラブヘツド。