JPH0317184Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は空気調和機に係り、特に除霜機構を改
良したものに関する。

（従来の技術と考案が解決しようとする課題） 従来、空気調和機の暖房運転において、室外熱
交換器（蒸発器）に付着した霜を取るための除霜
運転に使われる熱量は、主に圧縮機の出力、室内
熱交換器（凝縮器）の蓄熱量、圧縮機本体の蓄熱
量の３つの熱量であつた。

しかし、この３つの熱量のうち最も高い熱容量
を有する圧縮機本体の蓄熱を除霜前に積極的に行
つていなかつたため、全体の熱量が少なく、除霜
に長時間有していた。

また、除霜運転時に、たまたま圧縮機本体の温
度が高いときでも、膨張弁の絞りを緩めないた
め、圧縮機本体の蓄熱を伴う高温の冷媒を蒸発器
に十分送ることができず、圧縮機の蓄熱量を有効
利用できない状態であつた。

本考案は上記の事情を考慮してなされたもの
で、その目的は除霜時間を大幅に短縮して室温低
下を防止すると共に、暖房運転の快適性を向上す
るようにした空気調和機を得ることである。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、能力可
変形の圧縮機、四方弁、凝縮器、膨張弁および蒸
発器を順次連結してなる冷凍サイクルを備え、上
記蒸発器の着霜を冷媒熱にて除霜するようにした
空気調和機において、上記蒸発器の着霜を検知す
る手段と、この検知手段の検知信号に基づいて上
記圧縮機を高能力運転させる圧縮機制御手段と、
上記圧縮機が高能力運転すると同時に上記膨張弁
を絞り、その後所定時間経過したならば上記四方
弁を切換えて除霜運転を行うと共に上記膨張弁を
緩めるよう制御する弁制御手段とを具備した空気
調和機を提供する。

（作用） このような構成の空気調和機によれば、除霜開
始前に圧縮機を高能力運転させると共に膨張弁を
絞りスーパーヒートを発生させて暖房能力を保ち
ながら圧縮機の温度を上昇させることで圧縮機の
蓄熱量を十分に高め、その後、四方弁を切換えて
除霜運転を行うと共に膨張弁を緩めて圧縮機の熱
量を冷媒を介して蒸発器に速やかに放出できるよ
うにしたので、圧縮機の蓄熱を積極的に使い、除
霜中に熱量不足が生じたり、圧縮機の熱量を徐々
に放出することはない。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を添付図面にしたがつ
て説明する。

第１図において、１は能力可変の圧縮機で、こ
の圧縮機１の吐出口２と吸込口との間に四方弁
３、凝縮器４、膨張弁５、蒸発器６及び四方弁３
を順次連結して冷凍サイクルを構成している。上
記蒸発器６には、これに着霜がある程度進行した
とき検知信号を出力する検知手段７、例えば温度
センサが設けられている。そして、この検知手段
７にはこの検知信号に基づいて圧縮機１を高能力
運転させるべく圧縮機１に運転信号を与える圧縮
機制御手段８が電気的に接続されている。

また、凝縮器４と蒸発器６の間に設けられた膨
張弁５はその弁開度を制御可能とし制御信号によ
つて冷凍サイクルを流れる冷媒流量を制御できる
ようになつている。この膨張弁５としては、例え
ば圧縮機１の運転能力に応じて弁の開度を調整す
るようにした電動式の膨張弁でもよい。

上記膨張弁５および四方弁３には弁開度制御手
段９が電気的に接続されている。

この弁開度制御手段９は検知手段７が除霜を検
知してその検知信号を出力した時、それと同時に
膨張弁５に絞り制御信号を伝える一方、この絞り
制御信号の発信から所定時間遅延させて膨張弁５
に全開制御信号を伝えると共に、除霜運転を開始
するべく四方弁３に切換信号を伝える機能を有す
る。

これらの構成によりなる本実施例の作用につい
て述べる。

まず、暖房運転時、検知手段７が蒸発器６の着
霜がある程度進行したことを検知すると、その検
知信号を圧縮機制御手段８に発信する。

すると、圧縮機制御手段８はその検知信号に基
づき圧縮機１に運転信号を与え、圧縮機１をそれ
までの運転よりも高い高能力で運転させる。

すなわち、インバータ制御の圧縮機にあつては
インバータの周波数を高めることになる。

それと同時に、弁開度制御手段９は圧縮機１の
高能力運転を受けて膨張弁５に絞り信号を発信
し、膨張弁５の弁開度を絞り、冷媒流量を減少さ
せる。

このように、圧縮機１を高能力運転させると共
に膨張弁５を絞ることにより、蒸発器６において
スーパーヒートを発生させ、圧縮機１本体の温度
を上昇させる。

ところで、家庭用の空気調和機の場合、圧縮機
１本体は鉄製で約十数Kgの重量があるので、その
熱容量は約2Kcal／degになると推定される。従
つて、上述した蒸発器６のスーパーヒートによる
圧縮機本体温度の上昇分を例えば15degとすると
30Kcalの熱量が圧縮機１本体に蓄熱されること
になる。

次に、弁開度制御手段９内のタイマにより、検
知手段７の検知信号が出力されてから所定時間t₁
経過すると、弁開度制御手段９は四方弁３に切換
信号を出力して、除霜運転が開始される。

それと同時に、弁開度制御手段９からは膨張弁
５に対しても全開信号が発信され、膨張弁５の弁
開度が絞り状態から瞬時に全開状態に変わり、冷
媒流量が増加する。この冷媒流量の増大により圧
縮機１本体に蓄えられた熱量は冷媒を介して急速
に蒸発器６に供給されることになる。

従つて、圧縮機１本体に蓄えられた熱量が有効
に除霜に活用され、その結果除霜時間は圧縮機１
本体の蓄熱を積極的に利用しないものに比べて大
幅に短縮することができる。

つまり、除霜中の入力を700Wとした場合、１
分当り10Kcalとなり、約２〜３分の熱量に当る
から除霜時間は約２〜３分短縮することができ
る。この除霜運転時における圧縮機１本体の温度
状況を従来の場合と対比して示せば第２図のよう
になる。

また、この除霜時間の短縮によつて四方弁３の
切換による除霜運転、すなわち冷房運転サイクル
の時間が短くなるから、室内温度の低下を抑える
ことができ、暖房運転の快適性を損うことがな
い。

［考案の効果］ 以上要するに、本考案によれば次ぎのような優
れた効果を発揮する。

(1) 除霜開始前に圧縮機の能力を高めると共に膨
張弁を絞ることで暖房能力を保ちながら積極的
に圧縮機に蓄熱し、その大きな蓄熱を除霜のた
めの熱量として使用するようにしたので、除霜
時間が短縮できる。その結果、除霜サイクルに
起因する室温低下を防止でき、暖房運転時にお
ける快適性を向上することができる。

(2) 熱容量の大きい圧縮機に蓄熱させるようにし
たので、特別な蓄熱材を使用する必要がなく、
構造を簡単にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る空気調和機の冷凍サイク
ル構成図、第２図は本考案に係る空気調和機の従
来例との対比における特性図である。 １……圧縮機、３……四方弁、４……凝縮器、
５……膨張弁、６……蒸発器、７……検知手段、
８……圧縮機制御手段、９……弁開度制御手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 能力可変形の圧縮機、四方弁、凝縮器、膨張弁
   および蒸発器を順次連結してなる冷凍サイクルを
   備え、上記蒸発器の着霜を冷媒熱にて除霜するよ
   うにした空気調和機において、上記蒸発器の着霜
   を検知する手段と、この検知手段の検知信号に基
   づいて上記圧縮機を高能力運転させる圧縮機制御
   手段と、上記圧縮機が高能力運転すると同時に上
   記膨張弁を絞り、その後所定時間経過したならば
   上記四方弁を切換えて除霜運転を行うと共に上記
   膨張弁を緩めるよう制御する弁制御手段とを具備
   したことを特徴とする空気調和機。