JPH031662Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、たとえばダイアフラム式アクチユエ
ータ等の往復動するロツドをシールする往復動用
オイルシールに関する。

（従来の技術） 従来この種の往復動用オイルシールとしては、
たとえば第３図および第４図に示すようなものが
ある。すなわち第３図において１００はたとえば
ダイアフラム式アクチユエータのロツドであり、
一端が図示しないダイアフラムに固着され、ハウ
ジング１０１に対して往復動するようになつてい
る。また１０２はロツド１００と同心上に配設さ
れたオイルシールであり、ロツド１００表面に密
封接触するシールリツプ１０３を備えている。こ
のシールリツプ１０３は大気側（図中上方）およ
び密封流体側（図中下方）に傾斜する大気側リツ
プ１０３ａおよび密封流体側リツプ１０３ｂを有
し、ロツド１００の軸芯が動作中にぶれた場合に
シールリツプ１０３がロツド１００の揺れに対し
て追従し得るようになつている。一方第４図にお
いてはシールリツプ１０３のロツド１００に対す
る追従性を高めるためにシールリツプ１０３が波
形に成形されたものが示されている。

（考案が解決しようとする問題点） しかし斯かる従来例の場合にはロツド１００の
ストロークが大きい場合、シールリツプ１０３の
摩耗が大きく通常のゴム製のリツプでは摩耗の進
行が早く長寿命化が図れないという問題があつ
た。またゴム製のリツプの場合粘着性を有してい
るために、摺動抵抗が大きく、アクチユエータの
応答性能が悪化するという問題が生じる。そこで
シールリツプ１０３を樹脂製とすることが考えら
れるが、樹脂製にすると摩耗特性は向上するもの
の追従性が悪いために密封性能が悪化するという
問題が生じる。そこで第５図に示すようにゴム製
のシールリツプ１０４の内径端部にロツド１００
に摺接する樹脂製のスリーブ１０５を取付けたも
のが知られている。すなわちスリーブ１０により
ロツド１００に密封接触させると共に、ロツド１
００軸芯のぶれ等に対してはゴム製のシールリツ
プ１０４によつて追従性を付与していた。しか
し、このようなオイルシールにあつては部品点数
が増大してコストが高く、スリーブ１０５の弾力
性が乏しいためにスリーブ１０５が摩耗すると密
封性が損なわれるという問題があつた。

本考案は上記した従来技術の問題点を解決する
ためになされたもので、その目的とするところ
は、摩耗抵抗が小さく、耐摩耗性に優れかつ追従
性に優れた往復動用オイルシールを提供すること
にある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案に係る往復
動用オイルシールは、シールリツプをゴム状弾性
体層の両面を樹脂層で挾んだ３層構造にすると共
にシールリツプの内径側端面をシール面とし、か
つシールリツプに屈撓部を設けたものから成つて
いる。

（作 用） 本考案にあつては、シールリツプをゴム状弾性
体層の両面を樹脂層で挾んだ３層構造としたの
で、シールリツプのロツドとのシール面は樹脂層
とゴム状弾性体層の３層が接触し、樹脂層による
接触によつて摩擦抵抗が小さくなる。またゴム状
弾性体層の接触によつてロツドに密着して良好な
シール性能が保持される。さらにロツドがぶれた
場合にもぶれに追従してシールリツプの屈撓部が
撓みぶれが吸収される。

（実施例） 以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。本考案の一実施例に係る往復動用オイルシー
ルを示す第１図および第２図において、１はたと
えばダイアフラム式アクチユエータのロツドであ
り、ハウジング２に対して往復動自在となつてい
る。一方３はロツド１外周面に密封接触するシー
ルリツプであり、外径側がたとえば支持部材４に
取付けられて、ハウジング２にロツド１と同心上
に取付けられている。

このシールリツプ３はゴム状弾性体層３１の両
面を可撓性の樹脂層３２，３３で挾んだ３層構造
となつている。樹脂層３２，３３としては本実施
例では樹脂繊維より成る樹脂フイルタにより成形
されており、ゴム状弾性体層３１よりも相当厚肉
に成形されている。一方ゴム状弾性体層３１は薄
肉で、ロツド１との接触面積を可及的に小さくし
て摺動抵抗を低くしている。このゴム状弾性体層
３１の厚さは約１mm以下に設定することが望まし
い。

上記シールリツプ３は半径方向内方にロツド１
の中心軸線に対して略直角に延びており、その内
径側端面がロツド１に摺接してシール面Ｓを構成
している。したがつてシール面Ｓはゴム状弾性体
層３１を挾んで大気Ａ側および密封流体Ｏ側が樹
脂層３２，３３により形成されている。本実施例
ではシールリツプ３をロツド１に対して直角に形
成したが、シール面Ｓがゴム状弾性体層３１と、
樹脂層３２，３３とで構するようになつていれば
傾斜させてもよい。一方シールリツプ３には環状
に屈撓部５が設けられている。屈撓部５としては
本実施例では断面波形に成形され、シールリツプ
３のリツプ先端をロツド１側に押圧させるばね力
を付与すると共にロツド１のぶれに対して追従し
得るようになつている。屈撓部５の形状としては
本実施例では１段の波形形状としたが同心上に複
数設けてもよい。また波形である必要はなく屈撓
性を有する形状であればよく、三角形状、四角形
状等種々の形状とすることができる。

上記構成の往復動用オイルシールにあつては、
シールリツプ３の内径側端面をシール面Ｓとして
ロツド１に密封接触させる。まず、ロツド１の往
動時（図中上方への移動）にあつては、ロツド１
の移動に伴つてシールリツプ３のシール面Ｓは上
方に引張られて傾き、シール面Ｓのうち主として
密封流体Ｏ側の樹脂層３３およびゴム状弾性体層
３１がロツド１表面に押圧されて密封される。密
封流体Ｏは密封流体Ｏ側の樹脂層３３およびゴム
状弾性体層３１によつてシールされる。ロツド１
との摺動抵抗はシール面Ｓのうち接触面圧が大き
くなる樹脂層３３が摺接するので小さくなる。一
方密封流体Ｏはゴム状弾性体層３１により良好に
シールされる。またロツド１の移動がその中心軸
線からぶれた場合には、屈撓部５が撓んでシール
リツプ３がぶれに追従し、ロツド１のぶれが吸収
される。

つぎにロツド１の復動時（図中下方への移動）
においては、往動時とは逆にシールリツプ３が下
方に引張られて傾き、シール面Ｓのうち大気側Ａ
の樹脂層３２が主としてロツド１表面に圧接さ
れ、大気側の樹脂層３２によつてダスト等の侵入
が防止されると共にゴム状弾性体層３１によつて
水等の侵入が防止される。ロツド１がぶれた場合
には往動時と同様に屈撓部５の撓みによつてぶれ
が吸収される。

このようにロツド１の往復動時において、シー
ルリツプ３のシール面Ｓの密封流体Ｏ側および大
気Ａ側側縁が樹脂層３２，３３となつているので
摺動抵抗は小さく、さらにゴム状弾性体層３１の
接触面積を可及的に小さくしているので摺動抵抗
は一層低減される。さらに樹脂層３２，３３は耐
摩耗性に優れているのでシール面Ｓの摩耗の進行
は遅く耐久性が向上する。

（考案の効果） 本考案は以上の構成および作用から成るもの
で、シールリツプをゴム状弾性体層の両面を樹脂
層で挾んだ３層構造にすると共にシールリツプの
内径側端面をシール面としたので、シールリツプ
のシール面のロツドとの摩擦係数が小さくなり、
ゴム単品によるシールリツプの場合に比べてシー
ル面の摩耗が大幅に低減されオイルシールの長寿
命化を図ることができる。またゴム状弾性体層が
ロツドの表面に密着し、シール性能が向上する。
さらにシールリツプに屈撓部を設けたのでロツド
に対するシール面の追従性がよく、良好なシール
性能が得られる。さらに従来のように樹脂製のス
リーブを設ける必要はなく、構造が簡単でコスト
低減を図ることができる等の種々の効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る往復動用オイ
ルシールの要部縦断面図、第２図は第１図のシー
ルリツプの要部拡大縦断面図、第３図は従来例に
係る往復動用オイルシール要部縦断面図、第４図
は他の従来例の要部縦断面図、第５図はさらに他
の従来例の要部縦断面図である。 符号の説明、１……ロツド、３……シールリツ
プ、３１……ゴム状弾性体層、３２，３３……樹
脂層、５……屈撓部、Ｓ……シール面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロツドに密封接触するシールリツプを備えた往
   復動用オイルシールにおいて、上記シールリツプ
   をゴム状弾性体層の両面を樹脂層で挾んだ３層構
   造にすると共に上記シールリツプの内径側端面を
   シール面とし、かつシールリツプに屈撓部を設け
   たことを特徴とする往復動用オイルシール。