JPH0316248B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はタイヤ等の加硫に用いられる加硫装
置に関するものである。

従来、タイヤの加硫に使用されてきた加硫装置
は、第１図ａ，ｂに示すように開閉自在な上型１
と下型２とで構成される環状のタイヤ外面形状の
成形用金型３と、上型１の上面に直接あるいはプ
ラテン５を介してプレスの加圧力を金型に伝える
加圧具（ボルスター）４をそなえたものであり、
加熱された上下型１，２内にグリーンタイヤを装
入し、またタイヤ内部にブラダーを装入し、この
ブラダー内に熱圧媒体を供給してタイヤ内面形状
のシエーピングを行なうとともに、上下型１，２
の閉合による加熱、加圧により加硫成型するもの
である。このとき、上型１はトツプリンク１０に
より支持され、このトツプリンク１０をクランク
機構（図示せず）により上下方向に回動させ、下
型２に対する上型１の開閉と加圧締着とを行なう
ようにしてある。

ところで、上記従来の加硫装置では、ボルスタ
ー４の中央部にプレスの加圧力が加えられ、この
ボルスター４によつて上型１の平らな上面全体を
押圧するように構成されていたので、第２図に示
す如く、加圧時における荷重の分布状態が、上型
１の内周側で高く、外周側で低くなつていた。ま
た、金型の凹部は内周側に開口し、上型１の内周
部１ａが自由端部となつているので、加圧時に第
１図の鎖線で示すように下向きに撓みやすく、こ
のため製品であるタイヤのユニフオミテイが損な
われ品質に悪影響を与えると云う大きな問題があ
つた。

この発明は、上記事情に鑑み、プレス加圧中に
おける金型の変形を防止し、タイヤのユニフオミ
テイを向上させることを目的になされたもので、
その特徴とするところは、金型と加圧具であるボ
ルスターとの接触面、または金型とプラテンの接
触面の一部または全部を、ボルスター４を上にし
て見たとき、金型の中央部が高く、外周側が低い
傾斜面として形成した点にある。以下、図面にあ
らわされた実施例について説明する。

第３図は本発明にかかる加硫装置の１例をあら
わす断面図である。この加硫装置は２分割金型を
用いるいわゆるバゴマチツクプレスであつて、上
型１と下型２からなるタイヤの外面形状成型用の
環状の金型３と、該上型１に接触して金型３を押
圧するボルスター４をそなえている。

ボルスター４は上型１に連結されており、内面
にねじのきられたねじ筒部４ａを中央部にそな
え、該ねじ筒部４ａから外周部にかけて補強リブ
４ｂが設けられている。ボルスター４の外径は金
型３の外径と等しく形成されており、下端面は金
型３に当接する接触面４ｃとなつている。ボルス
ター４のねじ筒部４ａには、内周部および外周部
にねじ部６ａ，６ｂを有する調節ナツト６が螺着
され、さらにこの調節ナツト６の内周部に調節螺
子７が螺着されている。調節螺子７の上端部には
フランジ部７ｂが一体に設けられており、このフ
ランジ部７ｂがトツプリンク１０に取り付けられ
る。トツプリンク１０はサイドリンク（図示せ
ず）を介してクランク機構（図示せず）に連結さ
れ、クランク機構により上下動させられ下型２に
対する上型１の開閉と加圧締着を行なうようにな
つている。加圧時におけるボルスター４の上下位
置は、ボルスター４、調節ナツト６および調節螺
子７の螺合深さを調節することにより、適宜調節
することができ、金型３の高さの変化に対する適
応性に富んだものとなつている。

この加硫装置Ｔに用いられる金型３とボルスタ
ー４の接触面１ｃ，４ｃは、その一部または全部
が中央部側が高く、外周部側が低い傾斜面として
形成されている。第４図は金型３とボルスター４
の拡大図であり、同図ｂに示す如く上型１の接触
面１ｃは、外周側が低くなる傾斜面Ａと外周側の
平坦部Ｂおよび中央側の二ゲ部Ｃの３部分からな
る。また、ボルスター４の接触面４ｃは、同図ａ
に示すように金型３の接触面１ｃの形状に適合す
るような傾斜面A′、平坦部B′および二ゲ部C′を
そなえた形状に形成されている。加圧時には、両
傾斜面Ａ，A′および両平坦部Ｂ，B′が互いに密
着し、二ゲ部Ｃ，C′は密着しないので、荷重は金
型３の外周側において高く、中央側では低くな
る。図中、傾斜角度θの大きさは10〜30度とする
のが好ましい。また、平坦部の長さｌはＬ以下と
するのが好ましく、接触部の長さｈはＴの2/3程
度とするのが好ましい。なお、θ，ｈ，ｌの大き
さは特に限定されるものではない。

第５図は、第４図におけるような平坦部Ｂ，
B′を設けず、傾斜面Ａ，A′と二ゲ部Ｃ，C′を設
けた別の実施例をあらわす。θおよびｈの大きさ
は前例と同様である。

第６図は、接触面全体を傾斜面Ａとして形成し
たさらに別の実施例をあらわす。本例の場合は、
上型１の上部は裁頭円錐状を呈する。同図ｃは上
型１の断面上の位置と荷重との関係をあらわすグ
ラフであり、この図から上型の外周側で荷重が大
きく、中央側（内周側）で小さいことがわかる。
これは、上型１とボルスター４の接触面が外周側
が低くなるような傾斜面として形成されており、
加圧時に外周方向の分力が生じるためであると考
えられる。なお、以上の各例の中では、第４図に
示す形状のものが最も好成績を示した。

第７図は、プラテンを用いるプレスに本発明を
適用した実施例であり、ボルスター４は従来公知
の断面形状のもので、プラテン５の下面全体に外
周側が低く中央側が高い傾斜面５ａを形成し、上
型１の上面は同様に前記傾斜面５ａに適合する傾
斜面１ｃを形成する。この傾斜面は接触面の一部
に限定してもよい。

第８図は、従来用いられてきた金型を本発明の
金型に改良する方法を例示するもので、同図ａは
ボルスター４の水平面として形成されている下端
面に、傾斜面A′をそなえたライナー１１を溶接、
ボルト締め等の固着手段によつて固着する方法を
示している。これによつて、接触面４ｃが平坦な
ボルスター４を本発明の実施に使用することが可
能となる。

第８図ｂはプラテンを用いるプレスの場合であ
つて、同図ａに示すライナー１１をプラテン５に
固着した例をあらわす。このプラテン５の中空部
５ｂには加熱用の蒸気が通され、ライナー１１を
介して上型１を加熱する。したがつて、プラテン
５とボルスター本体４との間に熱の拡散を防止す
る断熱材１３を介装しておくのが好ましく、さら
にこの場合のライナー１１は、アルミニウム合
金、セラミツクス等の熱伝導性の良好な材料で製
作するのが好ましい。

第８図ｃは、従来の平坦な上型１の上面に傾斜
面Ａをそなえたライナー１４を固着して本発明の
実施に使用可能とした例をあらわすもので、接触
面１ｃとなるライナー１４の傾斜面Ａは、ボルス
ター４の接触面と密着するような面として形成さ
れる。同図ｂに示すようなプラテン５付きのボル
スター４を使用する場合は、このライナー１４も
熱伝導性のよい材料で製作しておくのが好まし
い。

上記金型３とボルスター４は、第３図に示すよ
うな状態で使用される。すなわち、下型２内に生
タイヤ１５を装入し、その内側にブラダー１６を
装入し、加熱媒体を供給してプリシエーピングを
行なうとともに、トツプリンク１０の動作により
上型１を下降させて上下型１，２を閉合し、加熱
と加圧によりタイヤ１５の加硫を行なうのであ
る。

本発明にかかる加硫装置では、プレス機の加圧
力を伝えるボルスター４と金型３の接触面の一部
または全部が、ボルスター４を上にして見たとき
外周側が低くなるような傾斜面として形成されて
いるので、加圧力の分布状態が金型３の外周側で
高く内周側で低くなり、加圧中に上型１の内周部
が下向きに撓むことが効果的に防止される。した
がつて、製品である加硫タイヤは、ユニフオミテ
イにすぐれた高品質のものとなるのである。本発
明は、いわゆるセグメンタルモールドを用いるタ
イヤプレスにも勿論適用できるのみならず、タイ
ヤ以外の肉厚中空物品の加硫装置、その他の加圧
装置に利用することができることは云うまでもな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは従来の金型とボルスターの説明
図、第２図は荷重の分布状態をあらわすグラフで
ある。第３図以降の各図は本発明の実施例をあら
わすもので、第３図は加硫装置の断面図、第４図
ａ，ｂ、第５図ａ，ｂ、第６図ａ，ｂ、第７図
ａ，ｂ，ｃおよび第８図ａ，ｂ，ｃは要部の拡大
図、第６図ｃは荷重分布状態をあらわすグラフで
ある。 １……上型、１ｃ……接触面、２……下型、３
……金型、４……ボルスター、４ｃ……接触面、
５……プラテン、６……調節ナツト、７……調節
螺子。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ タイヤ外面形状の成形用上下金型と、該金型
   に直接またはプラテンを介して接してプレス機の
   加圧力を金型に伝える加圧具とをそなえた加硫装
   置において、前記金型と加圧具との接触面もしく
   は金型とプラテンとの接触面の一部または全部
   を、加圧具を上にして見たとき中央側が高く、外
   周側が低い傾斜面として形成したことを特徴とす
   るタイヤ等の加硫装置。