JPH0315301Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、紙カートンまたは段ボール凾による
外装容器と、該外装容器内に収容され、その内部
に液体が内填されるプラスチツクフイルム製の包
装袋による内装容器とからなる液体用のバツクイ
ンボツクスに関するものである。

［従来の技術］ 紙カートンまたは段ボール凾による外装容器
と、該外装容器内に装填され、その内部に内填物
が収容されるプラスチツクフイルム製の包装袋に
よる内装容器とからなるバツクインボツクスは、
紙カートンまたは段ボール凾からなる外装容器が
有する剛性と、プラスチツクフイルム製の包装袋
による内装容器が有する耐水性とを兼備してお
り、従来の金属缶やガラス壜等による液体容器に
比較して、軽量で比容積が小さく、また、ガラス
壜のような破損の問題もなく、しかも、内填物の
消費後の廃棄処理が容易であり、流通経費の節減
や省力化が計れる等の利点を有するワンウエイ容
器として提案されている。

この種のバツクインボツクスにおいて、外装容
器内に装填される内装容器となるプラスチツクフ
イルム製のの包装袋には、該包装装における接着
部が熱接着によつて形成され得るという観点か
ら、通常は、例えば実開昭52−139133号公報に説
明されているように、耐水性と熱接着性とを兼備
するポリエチレン樹脂フイルムが利用されるのが
普通であつた。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、従来のバツクインボツクスの内装容
器に利用されているプラスチツクフイルム製の包
装袋は、内填物である液体が内装容器内に充填さ
れている状態で輸送に供されると、輸送時の振動
が内装容器内の液体に伝わり、この液体の動きが
プラスチツクフイルム製の包装袋に直接伝播し、
該包装袋が複雑な屈曲を繰り返すだけでなく、包
装袋と外装容器である紙カートンまたは段ボール
凾との間に摩擦が終始発生する等のために、ピン
ホールが発生し易いという欠点を有している。

なお、前記バツクインボツクスにおける内装容
器にピンホールが発生し易いということは、液体
を内填するためのバツクインボツクスにとつて
は、致命的な商品価値の低下につながる。

このため、ポリエチレン樹脂フイルムを２〜３
層に積層させた積層フイルムによる包装袋を内装
容器として利用したが、前述のピンホールの発生
を完全に防止するには不十分であつた。

他方、バツクインボツクス内に収容される液
体、例えば、アルコール類等の保存性能を高める
ために、ガスバリヤー性に対しても優れた作用を
奏する包装袋が要求される関係から、ガスバリヤ
ー性を具備するプラスチツクフイルム、例えば、
実開昭52−76431号公報に説明されているバツク
インボツクスに利用されているように、二軸延伸
ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムによる
外層層と、ポリエチレン樹脂フイルムによる内側
層との積層フイルムによる包装袋を内装容器とす
ることが試みられたが、該積層フイルムによる包
装袋からなる内装容器は、ガスバリヤー性につい
ては大凡満足足し得るものの、前述の内填物の充
填状態での輸送中に発生するピンホールの問題に
ついては、依然として解決されなかつた。

これに対して、本考案は、紙カートンまたは段
ボール凾による外装容器と、該外装容器内に装填
されている内装容器とからなるものであつて、内
填物が内填されている状態で輸送に供せられた際
に、内装容器である包装袋に終始発生する繰り返
し屈曲、及び、該内装容器の包装袋と外装容器で
ある紙カートンまたは段ボール凾との間に絶えず
発生する摩擦に対して、極めて優れた耐性を具備
し、かつ、高度のガスバリヤー性をも具備する包
装袋を内装容器として利用する液体用のバツクイ
ンボツクスを提供する。

［課題を解決するための手段］ 本考案の液体用のバツクインボツクスは、紙カ
ートンまたは段ボール凾による外装容器と、該外
装容器内に装填されており、その内部に液体が内
填されるプラスチツクフイルム製の包装装による
内装容器とからなる。

本考案の液体用のバツクインボツクスにおける
内装容器は、第１図〜第３図において、オレフイ
ン系樹脂フイルムからなる厚さ30〜100μの内側
層１と、ポリアミド樹脂，ポリエチレンテレフタ
レート樹脂，あるいはポリビニルアルコール樹脂
の二軸延伸フイルムに塩化ビニリデン樹脂がコー
トされた複合フイルムからなる厚さ12〜30μの中
間層２と、二軸延伸ポリプロピレンフイルムから
なる厚さ15〜100μの外側層３とを、それぞれ接
着剤４および５を利用して貼着させた２枚の積層
フイルム６，６ａ，６ｂによつて、該積層フイル
ム６における内側層１面が袋の内周面となるよう
にして製袋されており、しかも、その封緘部が、
前記積層フイルム６ａ，６ｂにおけるオレフイン
系樹脂フイルムによる内側層１，１同士の熱接着
によつて形成されている包装袋９からなる。

なお、前記第２図において、符号７で表示され
る部分は、包装袋９の片側面に穿設されている口
部であり、符号８は該口部９に係止されている栓
体である。

前記積層フイルム６における内側層１には、例
えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体（酢酸ビニル含有率：３〜18重量％），
エチレン−アクリル酸共重合体（アクリル酸含有
率：３〜18重量％），オレフイン系アイオノマー，
ポリプロピレン等によるオレフイン系樹脂フイル
ムが利用され、該オレフイン系樹脂フイルムによ
る内側層１が、ヒートシール特性，耐水性，耐油
性，耐薬品性等を奏する。

なお、前記オレフイン系樹脂フイルムによる内
側層１は、その厚さが30μ未満になると、積層フ
イルム６による封緘部のヒートシール強度が十分
ではなくなることががあり、また、100μを超え
るようになると、積層フイルム６全体の腰が強く
なりすぎるために、該積層フイルム６における耐
ピンホール性が低下する。

積層フイルム６における中間層２は、ポリアミ
ド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂，ある
いはポリビニルアルコール樹脂による二軸延伸フ
イルムに塩化ビニリデン樹脂がコートされている
複合フイルムで形成されており、高度のガスバリ
ヤー性と耐熱性とを兼備する。

なお、中間層を構成するフイルムの厚さが12μ
未満の場合には、該中間層２によるガスバリヤー
性が不十分になり易く、また、30μを超えるよう
になると、該層における耐ピンホール特性が低下
する。

また、中間層２に利用される複合フイルムは、
塩化ビニリデン樹脂のコート層が、ポリアミド樹
脂，ポリエチレンテレフタレート樹脂、あるいは
ポリビニルアルコール樹脂による二軸延伸フイル
ムに対して、その片面に形成されていても、ある
いは、両面に形成されていても良い。

二軸延伸ポリプロピレンフイルムからなる外側
層３は、積層フイルム６による包装袋に対して、
耐屈曲性とを耐擦過性とを付与するものであつ
て、特に、積層フイルム６によつて製袋される包
装袋がバツクインボツクスの内装容器として利用
され、内部に液体が内填されている状態で輸送に
供せられた際に、該包装袋に発生する複雑な屈曲
の繰り返しと、外装容器である紙カートンまたは
段ボール凾との間に絶えず発生する摩擦とに起因
するピンホールの発生に対して、優れた耐性をも
たらすものである。

二軸延伸ポリプロピレンフイルムからなる外側
層３の厚さが15μ未満の場合には、該外側層３に
よつて奏される耐ピンホール性が不十分になり易
く、また、100μを超えるようになると、積層フ
イルム６のフレキシビリテイーが小さくなり、バ
ツクインボツクスにおける内装容器に必要とされ
る柔軟性が不足する。

なお、特に、二軸延伸ポリプロピレンフイルム
からなる外側層３における耐ピンホール性と、積
層フイルム６全体のフレキシビリテイーとの観点
から、二軸延伸ポリプロピレンフイルムからなる
外側層３は、その厚さが20〜25μの範囲内にある
ことが最も望ましい。

［実施例］ 以下、本考案のバツクインボツクスの具体的な
構成を実施例に基づいて説明する。

実施例 １ 厚さ15μの二軸延伸ポリアミド樹脂フイルムの
片面に対して厚さ3μの塩化ビニリデン樹脂のコ
ート層を形成した複合フイルムからなる中間層に
対して、該中間層の上，下両面に、ウレタン系接
着剤を利用して、厚さ50μのエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体（酢酸ビニル含有量：70％）樹脂フイ
ルムからなる内側層と、厚さ25μの二軸延伸ポリ
プロピレン樹脂フイルムからなる外側層とを、そ
れぞれ貼着し、３層構成の積層フイルムを得た。

次いで、前記積層フイルムを方形に裁断し、さ
らに、その一部に穿設口部を形成したものの１枚
と、前記穿設口部を形成しないものの１枚との１
組の積層フイルムを、各積層フイルムにおけるエ
チレン−酢酸ビニル共重合体樹脂フイルムからな
る内側層同士が接するようにして重ね合わせ、そ
の四周縁辺部に熱接着による封緘部を形成するこ
とにより、容量２の包装袋を得た。

得られた包装袋を、紙カートンによる外装容器
内に常法にしたがつて装填させ、本考案の１実施
例品である液体用のバツクインボツクスを得た。

比較例 １ 厚さ15μの二軸延伸ポリアミド樹脂フイルムか
らなる中間層に対して、該中間層の上，下の両面
に、ウレタン系接着剤を利用して、厚さ40μの低
密度ポリエチレン（密度0.923ｇ／c.c.：MI0.8）樹
脂フイルムからなる内側層と、厚さ15μの二軸延
伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フイルムから
なる外側層とをそれぞれ貼着することによつて、
３層構成の積層フイルムを得た。

次いで、得られた積層フイルムを使用し、以
下、前記実施例１における対応する工程と同一の
工程に対し、紙カートン内に、前記積層フイルム
における内側層が袋の内周面層とされている包装
袋からなる内装用容器が装填されている比較のた
めのバツクインボツクスを得た。

比較例 ２ 厚さ15μの二軸延伸ポリアミド樹脂フイルムか
らなる外側層に対して、ウレタン系接着剤を利用
して、厚さ40μの低密度ポリエチレン（密度0.923
ｇ／c.c.：MI0.8）樹脂フイルムからなる内側層を
貼着し、２層構成の積層フイルムを得た。

次いで、得られた積層フイルムを使用し、以
下、前記実施例の対応する工程と同一の工程に付
し、紙カートン内に、前記積層フイルムにおける
内側層が袋の内周面層とされている包装袋からな
る内装用容器が装填されている比較のためのバツ
クインボツクスを得た。

実験 １ 前記実施例品および比較例品の各バツクインボ
ツクスの内装容器内に２宛の水を充填した後、
各内装容器における穿設口部に栓体を係止させ、
各同一種のバツクインボツクスについて18個宛の
バツクインボツクスを、JIS Ｚ 0232による不平
衡重錘式試験器による振動試験（重力加速度1G、
振幅３mm、振動数780r.p.m.で垂直および水平振
動各１時間）に付した。

振動試験の結果、バツクインボツクスにおける
内装容器にピンホールが発生し、水洩れが生じた
容器の個数は以下の通りである。

実施例１……０ 比較例１……４ 比較例２……２ 実験 ２ 前記実施例品および比較例品の各バツクインボ
ツクスの内装容器内に２宛の水を充填した後、
各内装容器における穿設口部に栓体を係止させ、
各同一種のバツクインボツクスについて18個宛の
バツクインボツクスを、２トントラツクに２段の
平積みにし、東京−大阪間を輸送する輸送試験に
付した。

輸送試験の結果、バツクインボツクスにおける
内装容器にピンホールが発生し、水洩れが生じた
容器の個数は以下の通りである。

実施例１……０ 比較例１……４ 比較例２……２ ［考案の作用，効果］ 本考案の液体用のバツクインボツクスは、紙カ
ートンまたは段ボール凾による外装容器と、該外
装容器内に装填されており、その内部には液体が
内填されるプラスチツクフイルム製の包装袋によ
る内装容器とからなるものであつて、前記内装容
器が、オレフイン系樹脂フイルムからなる厚さ30
〜100μの内側層１と、ポリアミド樹脂，ポリエ
チレンテレフタレート樹脂，あるいはポリビニル
アルコール樹脂の二軸延伸フイルムに対して塩化
ビニリデン樹脂がコートされている複合フイルム
からなる厚さ12〜30μの中間層２と、厚さ15〜
100μの二軸延伸ポリプロピレンフイルムからな
る外側層３とを、それぞれ接着剤４および５を利
用して貼着させることによつて得られる２枚の積
層フイルム６，６ａ，６ｂにより、該積層フイル
ム６における内側層１面が袋内周面となるように
して製袋されている包装袋９からなり、しかも、
包装袋９の封緘部が、前記積層フイルム６ａ，６
ｂにおける内側層１，１同士の熱接着によつて形
成されているものである。

前述の構成からなる本考案の液体用のバツクイ
ンボツクスにおいては、該バツクインボツクスに
おける内装容器として、擦過及び屈曲によるピン
ホールに対する耐性において極めて優れた作用を
奏する二軸延伸ポリプロピレン樹脂フイルムを袋
の外側層として具備し、また、高度のガスバリヤ
ー性を有する複合フイルムを中間層として具備
し、さらに、ヒートシール性、耐水性，耐油性、
耐薬品性等において優れた作用を奏するオレフイ
ン系樹脂フイルムを袋の内側層として具備する包
装袋を利用しているので、液体の内填，輸送をに
利用される内装容器における必要，不可欠な要件
である包装袋の屈曲及び外装容器との間の擦過に
よるピンホール性の発生に対して、極めて優れた
耐性を奏すると共に、ガスバリヤー性，耐水性，
耐油性，耐薬品性等においても優れた作用を奏す
る。

また、本考案の液体用のバツクインボツクスの
内装容器として利用されている包装袋は、該包装
袋を成形する際に利用されるヒートシール層が、
既成のオレフイン系樹脂フイルムによるものであ
ることから、押し出しコート層によるヒートシー
ル層を利用して形成される熱接着部の接着強度に
比較して優れており、包装袋に利用される積層フ
イルムの厚さの割合には過酷な条件下で利用され
るバツクインボツクスに利用される内装容器とし
て、十分な接着強度の封緘部が熱接着によつて得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の液体用のバツクインボツクス
の内装容器として使用される包装袋の製袋される
積層フイルムの断面模型図、第２図〜第３図は本
考案のバツクインボツクスに使用される内装容器
の１例を示すもので、第２図は斜面図、第３図は
１部切欠断面図である。 １……オレフイン系樹脂フイルムによる内側
層、２……ポリアミド樹脂，ポリエチレンテレフ
タレート樹脂，あるいはポリビニルアルコール樹
脂による二軸延伸フイルムに対して塩化ビニリデ
ン樹脂がコートされている複合フイルムからなる
中間層、３……二軸延伸ポリプロピレン樹脂フイ
ルムからなる外側層、４，５……接着剤、６……
積層フイルム、９……内装容器となる包装袋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 紙カートンまたは段ボール凾による外装容器
   と、該外装容器内に装填され、その内部に液体が
   内填される内装容器とからなる液体用のバツクイ
   ンボツクスにおいて、前記内装容器が、厚さ30〜
   100μのオレフイン系樹脂フイルからなる内側層
   と、ボリアミド樹脂，ポリエチレンテレフタレー
   ト樹脂，あるいはポリビニルアルコール樹脂によ
   る二軸延伸フイルムに対して塩化ビニリデン樹脂
   がコートされている複合フイルムからなる厚さ12
   〜30μの中間層と、厚さ15〜100μの二軸延伸ポリ
   プロピレンフイルムからなる外側層とをそれぞれ
   接着剤で貼着させた積層フイルムによつて、該積
   層フイルムにおける内側層面が袋内周面となるよ
   うにして製袋されており、しかも、その封緘部
   が、前記積層フイルムにおけるオレフイン系樹脂
   フイルムによる内側層同士の熱接着によつて形成
   されている包装袋からなることを特徴とする液体
   用のバツクインボツクス。