JPH031368Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は外層に紙層、中間層に極金属材、内層
に熱可塑性プラスチツクフイルムを有する積層材
で形成した胴部をもつ容器（以下紙製容器とい
う）であつて加熱充填可能な容器に関する。

一般にジユース等の清涼飲料水等（以下内容物
という）を長期保存できて、自動販売機が利用で
き、しかもその流通過程で商品価値を損なわない
容器として、従来から金属缶は優れた包装容器の
一種として、広く用いられてきたが、重量や価格
の面において未だ改良する余地があるものであ
る。しかし、そうかといつて簡単な紙缶やプラス
チツク缶では、内容物の保護が完全でなく長期保
存用には不向きである。

この点、従来の金属缶にかわつて軽くて丈夫な
紙製容器（コンポジエツト缶ともいう）が開発さ
れた。

アルミ箔を主体としたコンポジエツト缶は、ア
ルミ箔と紙から構成されている。そして内容物に
よる耐食性、防湿性、耐水性、バリヤ性等を一段
と向上させるために、内面に樹脂を積層させ、底
蓋に金属製の蓋を用いたものが代表的な材料構成
となつている。

そして、円筒形に形成したこれら紙製容器に内
容物を充填密封を行う場合、加熱した内容物を80
℃〜90℃位で容器に充填密封し、次いで内容物と
容器とをともに熱殺菌する熱間充填法（ホツトパ
ツク）により、内容物を充填すると、充填密封後
の内容物の温度降下とともに紙製容器内の気体及
び液体が収縮し、紙製容器内部が減圧状態となり
紙製容器の円筒形の胴部凹み、商品価値を損うと
いう欠点を有している。そのため、この胴部の凹
みを防ぐために従来は紙製容器の胴部形状を直方
体にして、変形してもその変形が目立たないよう
にしたり、あるいは胴部の一部に平坦面を設け
て、そこの部分の変形で容器内の減圧を吸収し、
円孤形部分が変形しないようにしているが、これ
らの形状のものは一般に普及している金属缶の如
き円筒形容器用の自動販売機ではころがり難くく
取り扱い上使用できないという欠点がある。

なお、前記の円筒形の紙製容器では、紙厚を大に
することによつてホツトパツク後の変形を防止で
きるが、そうすると紙等を多量に使い高価な容器
になり、実用的でない。

他の方法としては、容器の胴部、底部を問わず
容器の材料構成を可塑性を有する内材と、剛性を
有する外材との二重の材料構成とさせ、両基材の
間に部分的に不接着部を形成して、冷却時の減圧
作用を内側の可撓性を有する内材のみ内側に変形
させ、外材には変形を生じさせないようにして外
観上商品価値の低下を防ぐことも知られている。
しかしながら、不接着部を有する二重構成の基材
の製作にあたり、製造工程上面倒れでコスト高と
なる上、位置合せを確実にしないと漏出にも続が
る危険性もあり、この容器の実用上難しいものに
なつている。

一方、円筒形の胴部板厚を厚くすることなく、
胴部の変形に対する補強手段、即ち円筒形の金属
缶で周知の円周方向のビード加工する手段を、従
来の紙製容器の胴部に施し、胴部の凹みを防止し
ようとすることも考えられるが、中間層に用いる
アルミニウム箔に成形後のビード形状をそのまま
繊維するだけのこし（外層に使われている紙層の
スプリングバツク力に対する抵抗力）がないた
め、所望深さのビードを形成することは困難であ
つた。これらのことから、従来、熱間充填用に円
筒形の紙製容器は使用されていないのが実情であ
る。

本考案は、これら欠点を解消するものでこれに
よれば、側面重合部を有し、外層を紙、内層を熱
可塑性プラスチツクフイルムとする積層材から成
る胴部に、外層がアルミニウム箔、内層が熱可塑
性プラスチツクフイルムから成る天蓋と底蓋と
を、各々周辺折り返し部で胴端部を挟み接着して
密封する加熱充填用紙製容器において、前記胴部
は、外層と内層との間に極薄鋼板層を配し、円筒
形状にすると共に、該胴部の中央部付近に円周方
向のビードが複数本設けてあり、且つ前記底蓋
は、加熱内容物を充填する前は中央部が容器外方
に向かつて凸形状に形成されており、充填密封後
に内容物の冷却に伴ない該容器内に発生する負圧
により該中央部が内壁の溝部周縁を変位点として
容器内方に向かつて凸形状となるように反転する
変形強度を備えていることを特徴とする加熱充填
用容器が得られる。

以下、図により本考案の実施例を説明する。

第１図は、本考案の実施例にかかる容器の斜視
図である。

本実施例の容器の胴部の積層材の中間層を形成
するバリヤー材としてアルミニウム箔層の替わり
に極薄鋼板層（好ましくは、50μ厚のスチールフ
オイル）を使用した。

胴部１は、長方形に切断した上記積層材ブラン
クを円めて、その側面重合部を接着し、周知方法
により胴部円周方向にビード加工を施した。その
ビード加工を施した胴部１に底蓋２と天蓋３と
を、蓋の周辺折り返し部で胴端部を挟みかつ接着
して取付けた（第３図参照。ただし天蓋３は底蓋
２の取付けと同じにつき図示せず）。前記の蓋の
うち、底蓋２は、第３図の如く、その中央部５が
外方に向かつて凸形状に形成されていて、容器内
圧の低減により、点線６に示すように内壁の溝部
周縁を変位点として容器内方に向つて凸形状とな
るように突出方向が反転するような変形強度をも
たせた構成とした。

より詳細には、胴部の積層材には、第２図を参
照して、内層が60μ厚のポリエチレン層１１、中
間層が50μ厚のスチールフオイル層１２、外層が
150ｇ／m²の紙層１３に20μ厚のポリエチレン層
１４を積層した構成の積層材を用い、底蓋２、天
蓋３は、内面層より、内層が60μのポリエチレン
層、外席が130μ厚のアルミニウム箔層である積
層材を用いた。成形した上記ビードのピツチは
4.3mm、深さは0.3〜0.45mmで、このビードを連続
して16本胴部中央部付近に設け、その胴部中央部
付近に設けたビードの胴長方向の範囲長さを胴全
長の約60％にあたるようにした。

上記本実施例の容器に、90℃に加熱殺菌した水
を注入充填し、密封して、室温のまで放冷した。
底蓋の中央部は、殆んど容器内方に反転してい
た。一方、胴部には凹みは全く見られなかつた。

又、使用後の空容器は、従来のアルミ箔を中間
層にもつ紙製容器と同様容易に焼却することがで
きた。

尚、上記実施例では、胴部の中間層を50μ厚の
スチールフオイル層としたが、その厚さは50μ層
に限ることなく、ビード加工が可能な範囲内で、
焼結が容易な厚みであればよい。

上記実施例から明らかなように、本考案の容器
は胴部に、外層に紙層、内層に熱可塑性プラスチ
ツク層、中間層に焼却可能でしかもビード加工が
可能な板厚の極薄鋼板層を有する積層材を用いた
ので、周知のビード加工法によつて胴部に所望の
深さ、ピツチのビードが複数本成形ができて、内
容物の温度降下に伴う容器内圧の減圧に対する胴
部の抵抗力が大巾に向上し、しかも円筒形胴部を
そのまま円筒形状を維持させた状態でその内圧減
圧分を容器内方へ向かつて内壁の溝部周辺を変位
点として反転する蓋によつて吸収させることによ
り、容器胴部形状を直方体にしたり、或いは一部
に平坦面を設けたり、又は胴部の紙厚を大にした
りせず、ホツトパツク後の容器胴部の変形を確実
に防止できると共に、容器胴部を円筒形状に維持
することができるので広く普及している金属缶の
如き円筒形容器用の自動販売機等が利用できる。
又、価格的にも、アルミ箔の代りに安価な極薄鋼
板を使用し、かつ鋼板であるから紙の使用量が少
なく、安価であるという利点もあり、省資源化に
も役立つ。

更に、使用後の空容器は従来の紙製容器と同様
に容易に焼却できる等の廃棄性にもすぐれている
ので実用上の利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案容器の斜視図、第２図は本考
案の１実施例容器の胴部積層材の部分断面図、第
３図は、本考案の１実施例に用いた底蓋の説明図
である。 １……胴部ブランク、２……底蓋（ダイヤフラ
ムエンド）、３……天蓋、４……ビード。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 側面重合部を有し、外層を紙、内層を熱可塑性
   プラスチツクフイルムとする積層材から成る胴部
   に、外層がアルミニウム箔、内層が熱可塑性プラ
   スチツクフイルムから成る天蓋と底蓋とを、各々
   周辺折り返し部で胴端部を挟み接着して密封する
   加熱充填用紙製容器において、 前記胴部は、外層と内層との間に極薄鋼板層を
   配し、円筒形状にすると共に、該胴部の中央部付
   近に円周方向のビードが複数本設けてあり、且つ 前記底蓋は、加熱内容物を充填する前は中央部
   が容器外方に向かつて凸形状に形成されており、
   充填密封後に内容物の冷却に伴ない該容器内に発
   生する負圧により該中央部が内壁の溝部周縁を変
   位点として容器内方に向かつて凸形状となるよう
   に反転する変形強度を備えていることを特徴とす
   る加熱充填用容器。