JPH0313577Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、複数の気筒のうち一部の気筒を、他
の燃焼用気筒に対する過給用の気筒に構成した多
気筒内燃機関に関するものである。

〔従来の技術〕

複数の気筒のうち一部の気筒を、他の燃焼用気
筒に対する過給用の気筒に構成した多気筒内燃機
関は、先行技術としての特開昭52−76517号公報
によつて提案されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、この種の内燃機関は、前記過給用気筒
への吸入空気に燃料を予め供給し、この混合気を
過給用気筒で圧縮したのち他の燃焼用気筒に送気
するもので、前記過給用気筒への吸入空気に供給
された燃料は、総て過給用気筒を経て燃焼用気筒
に供給されるために燃焼用気筒に至る経路が長い
上に、機関の温度が低い状態では燃料の気化が悪
くて、機関の始動時に際して燃料が燃焼用気筒に
到着する迄に可成り時間を要することになるか
ら、機関の低温始動の遅れが著しく大きいのであ
つた。

本考案は、このような過給式多気筒内燃機関に
おける低温始動の遅れを防止することを目的とす
るものである。

〔問題点を解決するための手段〕

このため本考案は、複数の気筒のうち一部の気
筒を、他の燃焼用気筒に対する過給用の気筒に構
成し、前記過給用気筒に吸入した混合気を、当該
過給用気筒で圧縮して前記他の燃焼用気筒に送気
するようにした多気筒内燃機関において、前記各
燃焼用気筒には、機関の温度が低い状態でスター
タスイツチをONにしたとき燃料の供給を行うよ
うにした補助燃料供給手段を設けた構成にしたも
のである。

〔考案の作用・効果〕 このように構成したことにより、機関の低温始
動に際して各燃焼用気筒には、補助燃料供給手段
より燃料が、時間的に遅れなく直接的に供給され
るから、前記先行技術のように燃焼用気筒に対す
る燃料の供給遅れに伴う始動遅れを確実に防止す
ることができるのである。

従つて本考案によると、混合気を過給用気筒を
経て燃焼用気筒に供給する場合における、機関の
低温始動性の悪化を回避できて、機関を低温の状
態から極く短時間で確実に始動できる効果を有す
る。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面について説明する
と、図において１は第１気筒２及び第３気筒４を
４サイクルの燃焼用気筒とし、第２気筒３を２サ
イクルの過給用気筒とした列型３気筒内燃機関を
示し、該内燃機関１における各気筒は一本のクラ
ンク軸（図示せず）で構成されており、この内燃
機関１における第１気筒２及び第３気筒４の箇所
には、吸気弁７，８付きの吸気ポート５，６と、
排気弁１１，１２付きの排気ポート９，１０とが
各々形成されると共に、第２気筒３の箇所には、
一つの吸入ポート１３が形成されている。

前記第１気筒２及び第３気筒４のピストン（図
示せず）は同一位相で上下動するが、第２気筒３
のピストンは、第１気筒２及び第３気筒４のピス
トンとは正反対に上下動するようにクランク角で
180度ずれている一方、第１気筒２と第３気筒４
とは、第１気筒２が爆発行程のとき第３気筒４が
吸気行程となるように点火順序がクランク角で
360度ずれており、且つ、第２気筒３の最初の圧
縮行程のとき第３気筒４が吸気行程で、第２気筒
３の次の圧縮行程のとき第１気筒２が吸気行程に
なるように設定されている。

また、前記第２気筒３における行程容積は、第
１気筒２及び第３気筒４の両方に対して過給を行
うために、第１気筒２又は第３気筒４の行程容積
より大きい値に構成されている。

一方、エアクリーナ１４からの吸入通路１５に
はスロツトル弁１７付きの気化器１６を設けて、
この吸入通路１５を前記第２気筒３における吸入
ポート１３に接続し、この吸入ポート１３内に第
２気筒３への方向にのみ開くようにした逆止弁型
の吸入弁１８が設けられ、また、前記機関１に
は、第２気筒３と第１気筒２及び第３気筒４にお
ける吸気ポート５，６とを接続するための吸気通
路１９，２０が形成され、更に、第１気筒２及び
第３気筒４における排気ポート９，１０には、排
気マニホールド２１が接続されている。

そして、前記第１気筒２への吸気通路１９及び
第３気筒４への吸気通路２０には、燃料タンク２
２から燃料ポンプ２３にて送られて来る燃料をこ
れら吸気通路１９，２０内に噴出するための電磁
式補助燃料噴射弁２４，２５を各々設け、これら
両電磁式補助燃料噴射弁２４，２５とバツテリー
２６とを繋ぐ電気回路２７中に、機関のスタート
モータ（図示せず）に対するスタータスイツチ２
８と、機関の温度（例えば、シリンダブロツク又
はシリンダヘツドの温度、冷却水又は潤滑油の温
度等）に関連し機関の温度が低いときONとなる
温度スイツチ２９とを並列に設けて成るものであ
る。

この場合、前記気化器１６による燃料供給に代
えて燃料噴射式にするときには、エアクリーナ１
４の下流側にエアフローメータを設け、該エアフ
ローメータで計測した空気量に対応する量の燃料
を、吸入通路１５又は吸入ポート１３若しくは第
２気筒３に噴射供給するようにすれば良い。

この構成において、機関をスタータスイツチ２
８のONによつて始動するに際して、機関の温度
が高い状態のときは、温度スイツチ２９はOFF
であるので、両電磁式補助燃料噴射弁２４，２５
による補助燃料の供給は行なわれないが、機関の
温度が低いときには、温度スイツチ２９がONに
なつているので、スタータスイツチ２８のONに
よつて機関におけるクランク軸が回転駆動される
と同時に、第１気筒２及び第３気筒４には、その
各々の電磁式補助燃料噴射弁２４，２５によつて
燃料が供給されるから、低温始動時における第１
気筒２及び第３気筒４に対する燃料の供給遅れを
防止できる。

そして、このようにして機関が始動すると、第
２気筒３のピストンが下降する吸入行程のとき、
第１気筒２は圧縮行程、第３気筒４は排気行程
で、両気筒２，４における吸気弁７，８はいずれ
も閉じているから、第２気筒３内には、エアクリ
ーナ１４からの吸気空気がこれに燃料を供給され
たのち吸入される。次いで第２気筒３がピストン
の上昇動による圧縮行程になると、第３気筒４が
吸気行程になつてその吸気弁１０が開くことによ
り、第２気筒３で圧縮された混合気が第３気筒４
に吸気通路２０を介して送気され、第３気筒４に
対しての過給が行なわれ、また、第２気筒３にお
ける次の圧縮行程によつて同様に第１気筒２に対
して過給が行なわれるのである。

なお、前記実施例は、燃焼用気筒である第１気
筒２及び第３気筒４に対する補助燃料の供給を、
電磁式補助燃料噴射弁２４，２５によつて行う場
合を示したが、補助燃料供給手段としてはこれに
限らず、電磁式の燃料噴射ポンプ等の他の形式の
ものにしても良く、補助燃料を供給する箇所とし
ては、実施例の吸気通路１９，２０に限らず、第
１気筒及び第３気筒内に直接供給したり、或いは
第１気筒及び第３気筒の吸気ポート５，６に供給
するようにしても良い。また前記実施例は、３気
筒内燃機関における中央の第２気筒を過給用気筒
にした場合であつたが、第１気筒２又は第３気筒
４を過給用気筒とし、他の気筒を燃焼用気筒にし
ても良く、４気筒又は６気筒等の他の多気筒内燃
機関に対しても同様に適用できることは言うまで
もない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す図である。 １……内燃機関、２……第１気筒、３……第２
気筒、４……第３気筒、５，６……吸気ポート、
７，８……吸気弁、１３……吸入ポート、１４…
…エアクリーナ、１５……吸入通路、１７……ス
ロツトル弁、１６……気化器、１９，２０……吸
気通路、２２……燃料タンク、２３……燃料ポン
プ、２４，２５……補助燃料噴射弁、２８……ス
タータスイツチ、２９……温度スイツチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク軸を共通にした複数の気筒のうち一部
   の気筒を、他の燃焼用気筒に対する過給用の気筒
   に構成し、前記過給用気筒に吸入した混合気を、
   当該過給用気筒で圧縮して前記他の燃焼用気筒に
   送気するようにした多気筒内燃機関において、前
   記各燃焼用気筒には、機関の温度が低い状態でス
   タータスイツチをONにしたとき燃料の供給を行
   うようにした補助燃料供給手段を設けたことを特
   徴とする過給式多気筒内燃機関。