JPH031318Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の利用分野］ 本考案は、車両急減速時から所定時間遅延した
後にタングプレートの係合解除操作が自動的に行
なわれるバツクル装置に関するものである。

［背景技術］ シートベルト装置では着座した乗員がタングプ
レートをバツクル装置へ係合すことによりウエビ
ングの装着状態となる。また降車時にはバツクル
装置のスライドボタン押圧によりタングプレート
をバツクル装置から抜出すようになつている。

従つて、車両急減速状態が終了し、速やかに車
外へ出る必要がある場合にも、通常の操作と同様
にスライドボタンを押圧操作する必要があり、煩
雑である。

このため従来では、電気的なクロツクで車両急
減速時から所定時間遅延させてスライドボタンを
操作するアクチユエータを駆動させ、自動的にタ
ングプレートとバツクル装置との係合を解除する
ことが提案されている。

しかしながらこのような従来の装置では、車両
緊急状態となつてから所定時間後にモータを作動
させるモータ制御が行なわれることにより前記係
合解除操作が遅延されていたので、装置が高価と
なるという問題があつた。

［考案の目的］ 本考案は上記事実を考慮し、簡単な構造で電気
的なクロツクを設けることなく、急減減速時から
所定時間遅延させて自動的にスライドボタンをタ
ングプレートとロツクレバーとの係合解除方向へ
接作することができるバツクル装置を得ることが
目的である。

［考案の構成］ 本考案に係るバツクル装置は、車両の急減速状
態を感知する加速度センサと、加速度センサが車
両急減速を感知した時から始動されるアクチユエ
ータと、タングプレートとロツクレバーとの係合
を解除する方向へ移動可能な操作ボタンと、前記
アクチユエータと操作ボタンとを弛緩した状態で
連結するワイヤとを有し、アクチユエータの始動
でワイヤを緊張状態として前記操作ボタンを移動
させタングプレートとロツクレバーとの係合を解
除することを特徴としている。

［考案の作用］ 車両が急減速状態となると、これを加速度セン
サが感知してアクチユエータが始動される。アク
チユエータの始動により、弛緩されてスライドボ
タンとアクチユエータとの間に連結されたワイヤ
を除々に巻取る。この巻取り時間が遅延時間とな
り、この間はスライドボタンは操作されない。

ワイヤが巻き取られ、アクチユエータとスライ
ドボタンとの間で緊張状態となると、アクチユエ
ータの駆動力でワイヤを介してスライドボタンが
操作される。これにより、スライドボタンは、タ
ングプレートとロツクレバーとの係合を解除する
方向へ移動され、タングプレートをバツクル装置
から離脱させることができる。

このように、本考案ではワイヤの巻取り時間を
遅延時間として利用したので、電気的なクロツク
を必要とせず、かつ簡単な構造で車両急減速時か
ら所定時間遅延させた後に、タングプレートとロ
ツクレバーとの係合を解除することができる。こ
のため、乗員は速やかに車外へ出ることができ
る。

［考案の実施例］ 以下、図面に基づいて本考案に係わる装置の実
施例を説明する。

第１図にはこの実施例が示されており、乗員が
着座するシートの側方に立設された支持プレート
１０の先端には本装置のバツクルボデイ１２が取
り付けられている。

このバツクルボデイ１２はロアカバー１４内に
嵌入固定されており、そのロアカバー１４にはア
ツパーカバー１６が嵌合されて本装置のカバーが
構成されている。

上記カバーの図における左側にはダンプレート
挿入口１８が形成されており、この挿入口１８か
ら装置内部へ向つてウエビングの先端に取り付け
られたタングプレート２０が挿入されている。こ
のタングプレート２０に連結されたウエビングは
着座した乗員への装着用となつている。

そして本装置内へ挿入されたタングプレート２
０はロツクレバー２２と係合されている。

この係合のためにタングプレート２０の先部に
はロツク穴２０ａが、ロツクレバー２２にはロツ
ク爪２２ａが各々形成されており、ロツク爪２２
ａがロツク穴２０ａ内へ挿入されることにより両
者が係合して挿入口１８から図の左方向へのタン
グプレート２０の引出しが阻止されている。

なお、ロツクレバー２２はその基部２２ｂを中
心としてロツクレバースプリング２４により図に
おいて反時計方向へ付勢されており、これにより
ロツク爪２２ａが本装置内へ挿入されたタングプ
レート２０のロツク穴２０ａ内へ付勢挿入されて
これとの係合が自動的に行なわれている。

さらにロツクレバー２２にはロツク爪２２ａと
分岐して係合解除レバー部２２ｃが図におけるそ
の右側へ伸長して形成されており、図において上
方へ徐々に立ち上がるその先部はスライドボタン
２６により図の右方向へ操作されるようになつて
いる。

このためスライドボタン２６は本装置のカバー
内であつてロツクレバー２２の上側の位置に図の
左右方向へ摺動自在に支持されており、スプリン
グ２８によつて図の左方向へ付勢されている。

したがつて、上記スプリング２８の付勢力に抗
してスライドボタン２６が図の右方向へ押操作さ
れることにより、ロツクレバー２２が図において
時計方向へ操作されてロツク爪２２ａがロツク穴
２０ａから退避される。この退避によりタングプ
レート２０の係合解除が行なわれ、このときタン
グプレート２０は図示されないスプリングにより
図の左方向へ本装置から排出される。

ここで、本装置内におけるアンカプレート１０
上にはタングプレート２０の自動的な係合解除操
作を行なうためのアクチユエータとしてモータ３
０が設けられている。

このモータ３０は上記リレー３２、イグニシヨ
ンスイツチ３４を介して車載バツテリ３６に接続
されており、車載バツテリ３６から駆動電流が供
給されている。

上記リレー３２の操作コイル３２ａはスイツチ
３８が閉駆動されて励磁されることによりリレー
スイツチ３２ｂの閉駆動が可能であり、したがつ
てモータ３０はスイツチ３８が閉じられたときに
始動できる。

上記スイツチ３８は車両が緊急状態となつたこ
とを検出する水銀センサ、イナーシヤセンサ等の
加速センサにより構成されており、したがつてモ
ータ３０は車両緊急時から始動されるようになつ
ている。

この様に本実施例装置はモータ３０の制御回路
を有しない構成とされている。

また本装置にはモータ３０の係合解除操作力を
機械的に遅延させる操作力遅延機構が設けられて
おり、第１図においてこの機構は一端がスライド
ボタン２６に、他端がモータ３０の駆動軸に各々
連結されたワイヤ４０から成り、ワイヤ４０は弛
緩した状態で装置内に格納されている。

この様に本実施例装置はスライドボタン２６が
モータ３０により弛緩ワイヤ４０を介してタング
プレート２０の係合解除方向、すなわち図の右方
向、へ操作される構成とされており、このためモ
ータ３０はこの弛緩ワイヤ４０を巻取つてからス
ライドボタン２６の操作を開始できる。したがつ
て、モータ３０が始動される車両緊急時から所定
時間はモータ３０はワイヤ４０の巻取中であり、
その間においてはスライドボタン２６がモータ３
０により引操作されることはなく、その引操作は
ワイヤ４０の巻取りが終了するまで遅延される。

本実施例は以上の構成から成り、以下その作用
を説明する。

乗員の着座後、ウエビングが引き出されてタン
グプレート２０が挿入口１８から本装置内へ前記
排出用スプリングの付勢力に抗して挿入される。

このとき、ロツクレバースプリング２４により
ロツクレバー２２がその基部２２ｂを中心として
図において反時計方向へ付勢されているので、そ
のロツク爪２２ａがタングプレート２０のロツク
穴２０ａ内へ付勢挿入され、これによりタングプ
レート２０が本装置と係合されてウエビングが乗
員に装着される。

その後イグニツシヨスイツチ３４が操作されて
車両の運転が開始されるが、車両の運転が終了し
た乗員が降車する際には、スライドボタン２６が
図の右方向へスプリング２８の付勢力に抗して押
操作される。

これにより係合解除レバー部２２ｃが操作され
てロツクレバー２２が図において時計方向へ駆動
され、ロツク爪２２ｃがロツク穴２０ａから退避
される。この退避によりタングプレート２０の係
合解除が行なわれ、タングプレート２０は前記排
出用スプリングにより本装置から図の左方向へ排
出される。

ここで、車両運転中における車両緊急時には、
加速度センサの作動でスイツチ３８が閉駆動され
ることによりコイル３２ａが励磁されてスイツチ
３２ｂが閉じられ、バツテリ３６によりモータ３
０が直ちに始動される。

このときワイヤ４０が弛緩状態にあるので、モ
ータ３０はその巻取りを行ない、直ちにスライド
ボタン２６が引操作されることはない。

その後所定時間が経過してモータ３０によつて
ワイヤ４０が巻取られると、ワイヤ４０が緊張状
態となるので、スライドボタン２６がモータ３０
により初めて引操作される。すなわち、スライド
ボタン２６は車両緊急時から所定時間遅延して自
動的に引操作される。

この引操作によりロツクレバー２２が駆動され
てそのロツク爪２２ａがタングプレート２０のロ
ツク穴２０ａから退避され、その結果ロツクレバ
ー２２とタングプレート２０との係合解除が行な
われてタングプレート２０が本装置から排出され
る。

この様に車両緊急時から所定時間が経過すると
タングプレート２０の係合解除が自動的に行なわ
れるので、乗員は何らの操作を必要とすことなく
その座席から離れることが可能となる。

以上説明した様に本実施例によれば、タングプ
レート２０をロツクレバー２２との係合解除方向
へ操作するアクチユエータ（モータ３０）の操作
力が弛緩ワイヤ４０により機械的に遅延される構
成とされたので、モータ３０の制御回路は必要で
はなく、このため装置を安価に提供することが可
能である。

また、モータ３０の始動を加速度センサである
スイツチ３８の閉駆動で行うので、車両急減速状
態でウエビングが緩むことがなく、ウエビングに
よる乗員拘束状態を維持することができる。

なお、本実施例ではモータ３０により前記のア
クチユエータが構成されたが、このアクチユエー
タはぜんまいばねなどの弾性体よつて構成するこ
とも可能である。すなわちこの場合には該弾性体
を緊張状態で装置内に納めてワイヤ４０との連結
端をフツクレ、車両緊急時には、モータ、ソレノ
イドなどによりそのフツク解除を行なう様に装置
を構成することも可能である。

［考案の効果］ 以上説明した如く本考案に係るバツクル装置
は、簡単な構造で電気的なクロツクを設けること
なく、急減減速時から所定時間遅延させて自動的
にスライドボタンをタングプレートとロツクレバ
ーとの係合解除方向へ操作することができるとい
う優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る装置の実施例の構成説明
図である。 ２０……タングプレート、２２……ロツクレバ
ー、２６……スライドボタン、３０……モータ、
３８……スイツチ、４０……ワイヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車両の急減速状態を感知する加速度センサと、
   加速度センサが車両急減速を感知した時から始動
   されるアクチユエータと、タングプレートとロツ
   クレバーとの係合を解除する方向へ移動可能な操
   作ボタンと、前記アクチユエータと操作ボタンと
   を弛緩した状態で連結するワイヤとを有し、アク
   チユエータの始動でワイヤを緊張状態として前記
   操作ボタンを移動させタングプレートとロツクレ
   バーとの係合を解除することを特徴とするバツク
   ル装置。