JPH0313082B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば農業用トラクターなどの高馬
力用車両に装着されるトラクター用車輪に関する
ものである。

〔従来の技術〕

一般に、例えば異なつた幅の作物の列に沿つて
走行させるような農業用トラクターの場合、駆動
車輪間の幅をその用途に合わせて調節する必要が
ある。

また、このようなトラクターのパワーは、ます
ます増大する傾向にあり、最近では、約20年前の
ものと比較して、約60％ほど強力になつているこ
とから、特に、駆動用車輪の負荷を使用率に耐え
るように増大させる必要がある。

従来、この種のトラクターに装着される車輪に
おいては、第１図または第２図にそれぞれ示すよ
うに、外周面にタイヤ（図示せず）が装着される
リム１０または１１０の内周面に、デイスク１４
または１１４を固着する場合、通常、リム１０ま
たは１１０の内周面に複数個のチヤンネル部材か
らなるラグ１２または１１２を円周方向に等間隔
に離隔させて溶接固定し、かつ、これら各々のラ
グ１２または１１２にボルト１６または１１６を
介して前記デイスク１４または１１４を締結し
て、図示しないトラクター本体の駆動軸端側のハ
ブに着脱自在に固着するようになつている。

そして、駆動車輪間の車幅を調節するには、左
右の車輪の一方、または両方の表裏面を逆にし
て、トラクター本体の駆動軸端のハブに取付ける
ことにより行なわれる。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記した従来構造のものでは、
デイスク１４または１１４が、円板状の基板の外
周面を８等分または６等分の波形状にしたスチー
ル部材から形成され、これら波形部分の頂端に形
成した取付基部となる湾部を、前記リム１０また
は１１０の内周面に設けた各々のラグ１２または
１１２に１個のボルト１６または１１６でそれぞ
れ締結するようになつていることから、各ボルト
がピン・ジヨイントとして機能し、また、各隣接
したボルト間のリム部分がビームとして機能して
曲げの作用を受け易く、これによつて、強力なパ
ワーの駆動軸に装着した場合、きしみによる異音
が発生したり、あるいは、リムとラグとの溶接部
に応力が局部的に集中して破壊したり、ラグへの
デイスクの固定部近傍に亀裂が入り易く、使用疲
労寿命を低下させるばかりでなく、デイスク自体
がほぼ円形をなすことから、材料費が嵩んで、コ
スト高になるといつた問題があつた。

本発明は、上記の事情のもとになされたもの
で、その目的とするところは、車輪間の幅の調節
が可能であり、強力なパワーの駆動軸の負荷に耐
え、使用疲労寿命が長く、かつ、コストの低減化
を図ることができるようにしたトラクター用車輪
を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記した目的を達成するため、本発明によれ
ば、トラクター用車輪であつて、タイヤを受容す
るリムと、該リムの半径方向内周面に離隔して設
けられる複数のチヤンネル状固定ラグであつて、
該ラグは、等しい長さを有し、当該車輪の回転軸
に平行であり、それらの一方の端部は同じ平面内
にあり、且つそれらの他方の端部も同じ平面内に
あり、各該ラグは、該チヤンネルの各壁と一体に
形成されているフランジを有し、該フランジは、
該リムの内面に直接的に溶接されるものと、該ト
ラクターのハブへの接続用の均一な厚さのデイス
クであつて、該デイスクは、角取りされた角部を
有する四角形の形状を実質的に有しており、この
結果、該デイスクは、ほぼ平坦な外方部を有する
不規則な八角形の形状を有しており、該外方部
は、当該車輪の回転軸にほぼ垂直であると共に、
該八角形の周縁部に交互に配置される、４つの長
辺部及び４つの短辺部を有するものと、該デイス
クを該ラグに着脱可能に固定するボルト手段とを
具備し、該デイスク及び該ラグは、軸方向に離隔
した２つの位置の内の一方の位置で該デイスクが
該ラグに選択的に固定され得るように配設される
ものにおいて、上記ラグは、対をなし、各対にお
ける該ラグの間の周方向の間隔が、互いに隣接す
る対の間で隣り合う該ラグの間の周方向の間隔よ
りも小さくなるように配設され、上記デイスクの
上記短辺部の各々は、該ラグの対の端部に並置さ
れ、上記ボルト手段は、該デイスクの該短辺部の
みに沿つて配置され、該短辺部の各々において、
該デイスクを貫通し且つ該短辺部に並置されてい
る該ラグの対のそれぞれのラグを各々が貫通する
２本のボルトを備えていることを特徴とするトラ
クター用車輪が提供される。

〔作用〕

すなわち、本発明は、リムの内周面の円周方向
に、８個のラグを、それらが対をなし、各対にお
けるラグの間の周方向の間隔が、互いに隣接する
対の間で隣り合うラグの間の周方向の間隔よりも
小さくなるようにするとともに、デイスクを、四
辺形の基板の各角部を前記リムの内周面に沿つて
角取りして長辺部と短辺部とからなるほぼ八角形
状を呈するように形成し、これら各々の短辺部で
ある取付け基部を、各ラグに対応させて２本のボ
ルトでそれぞれ締結してなるために、４対のラグ
に締結されるデイスクの基部の各々が、１対のラ
グと２本のボルトとで固定され、応力の分散化が
図れる。

また、各ラグが周方向に等間隔で配設されてい
るのではなく、対をなすようにして設けられてい
るので、２本のボルト間のリム部分は、端部が片
持ちビームを呈するアーチとして機能するため
に、応力に充分耐え、使用疲労寿命を高める。

さらに、デイスクが四辺形の基板で形成し、し
かも、各々の長辺部を内側に向け円弧状に切り込
んでなるため、ほぼ円形のものよりも材料費の節
約化が図れる。

〔実施例〕

以下、本発明を第３図から第６図に示す各実施
例を参照しながら説明する。

第３図及び第４図は、本発明に係るトラクター
用車輪の第１実施例を示すもので、図中５１は外
周面に図示しないタイヤが装着されるリムであ
る。

このリム５１の内周面には、デイスク５０が締
結固定され、このデイスク５０は、第４図に示す
ように、平坦な中央部５２と外周縁部５４を有
し、前記平坦な中央部５２を中間部５３で軸方向
に突出させて図示しない車体の駆動軸５５に対し
て垂直な面に形成されている。なお、図中６２は
前記デイスク５０の中央部５２に設けた車体の駆
動軸５５の端部が臨む挿入孔である。

そして、前記デイスク５０は、四辺形の基板を
打ち抜き加工してなり、この基板の各角部を角収
りして、長辺部５６と短辺部５７とからなるほぼ
八角形状を呈するように形成されているととも
に、各々の長辺部５６は、それぞれ内側中心部に
向け円弧状に切り込まれ、かつ、前記各々の取付
け基部である短辺部５７は、リム５１の内周面に
沿つて円弧状に形成されている。

一方、前記リム５１の内周面には、４対のラグ
５８が、円周方向に等間隔を存して溶接固定さ
れ、各対のラグ５８，５８の間の間隔（デイスク
５０の短辺部５７の長さにほぼ相当）は、互いに
隣接する対の間で隣り合うラグの間の間隔（デイ
スク５０の長辺部５６の長さにほぼ相当）よりも
小さくなつている。ラグ５８は、側部５９、基部
６０及びフランジ６０ａでチヤンネルを形成す
る、シルクハツト形の断面形状を有し、前記チヤ
ンネルが駆動軸５５に対して平行になるようにフ
ランジ６０ａをリム５１の内周面に溶接してなる
ものである。

また、図中６１はラグ５８のチヤンネル内に挿
入されるボルトで、頭部６３の顎に設けたリブ６
４によつて回転止めが施され、かつ、第４図に示
すように、ナツト６５及び座金６６により、前記
デイスク５０の各々の短辺部である取付け基部５
７をリム５１に締結支持するようになつている。

さらに、第５図及び第６図は、本発明に係るト
ラクター用車輪の第２実施例を示すもので、リム
７１の内周面には、デイスク７０が締結固定さ
れ、このデイスク７０は、第６図に示すように、
四辺形の基板を打ち抜き加工してなり、この基板
の各角部を角取りして、長辺部７２と短辺部７３
とからなるほぼ八角形状を呈するように形成され
ているとともに、各々の長辺部７２は、それぞれ
内側中心部に向け円弧状に切り込まれ、かつ、前
記各々の取付け基部である短辺部７３は、リム７
１の内周面に沿つて円弧状に形成されている。

そして、前記リム７１の内周面には、４対のラ
グが円周方向に等間隔を存して溶接固定され、各
対のラグ７４は、第６図に示すように、基部７
５、側壁７６及びフランジ７７でチヤンネルを形
成する、シルクハツト形の断面形状を有し、前記
チヤンネルは車体の駆動軸５５に対して垂直に延
び、かつガセツト板７８によつて補強されてい
る。

前記デイスク７０は、車体の駆動軸端のハブに
ボルト及び止め金具（図示せず）を介して固定さ
れるボルト孔９０を有する平坦な中央部７９と外
周縁部８２が形成され、前記平坦な中央部７９を
中間部８１で軸方向に突出させて図示しない車体
の駆動軸５５に対して垂直な面に形成されてい
る。

また、図中８３はラグ７４のチヤンネル内に挿
入されるボルトで、第６図に示すように、頭部側
ボルト軸を角軸部８４にし、この角軸部８４を支
持片７４の側壁７６，７６間に開口した角孔８
５，８５に挿入され、その螺合部８６を前記デイ
スク７０の各々の短辺部である取付け基部７３に
設けた取付孔８９に挿入して、ナツト８７及び座
金８８を介して螺合させることにより、前記デイ
スク７０をリム７１に締結支持するようになつて
いる。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように、本発明は、外
周面にタイヤが装着されるリムの内周面に、ラグ
を介してデイスクをボルト止めしてなるトラクタ
ー用車輪において、前記リムの内周面の円周方向
に４対のラグを等間隔を存して設け、かつ各対の
ラグの間の間隔を、互いに隣接する対の間で隣り
合うラグの間の間隔よりも小さくする一方、前記
デイスクを、四辺形の基板の各角部を前記リムの
内周面に沿つて角取りして長辺部と短辺部とから
なるほぼ八角形状を呈するように形成し、これら
各々の短辺状の取付け基部を、ラグに対応させて
２個のボルトでそれぞれ締結してなる構成とした
ことから、４対のラグに締結されるデイスクの基
部の各々が１対のラグと２本のボルトとで固定さ
れるために、応力の分散化を図ることができ、し
かも、２本のボルト間のリム部分は、端部が片持
ちビームを呈するアーチとして機能するために、
応力に充分耐え、使用疲労寿命を高めることがで
きる。

また、デイスクは、ラグに、軸方向に離隔した
２つの位置の内の一方に選択的に固定され得るの
で、車輪間の幅の調節が可能ある。

さらに、デイスクが四辺形の基板で形成し、し
かも、各々の長辺部を内側に向け円弧状に切り込
んでなるため、材料無駄がなく、従来のようなほ
ぼ円形のデイスクものよりも材料費を節約するこ
とができ、コストダウンを図ることができるとい
うすぐれた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の車輪をそれぞれ示す
正面図、第３図は本発明に係るトラクター用車輪
の第１実施例を示す正面図、第４図は第３図７−
７線における要部拡大断面図、第５図は本発明に
係るトラクター用車輪の第２実施例を示す正面
図、第６図は第５図９−９線における要部拡大断
面図である。 ５０，５０……デイスク、５１，７１……リ
ム、５６，７２……長辺部、５７，７３……短辺
部、５８，７４……ラグ、６１，８３……ボル
ト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トラクター用車輪であつて、 タイヤを受容するリム５１又は７１と、 該リムの半径方向内周面に離隔して設けられる
   複数のチヤンネル状固定ラグ５８又は７４であつ
   て、該ラグは、等しい長さを有し、当該車輪の回
   転軸に平行であり、それらの一方の端部は同じ平
   面内にあり、且つそれらの他方の端部も同じ平面
   内にあり、各該ラグは、該チヤンネルの各壁と一
   体に形成されているフランジ６０ａ又は７７を有
   し、該フランジは、該リムの内面に直接的に溶接
   されるものと、 該トラクターのハブへの接続用の均一な厚さの
   デイスク５０又は７０であつて、該デイスクは、
   角取りされた角部を有する四角形の形状を実質的
   に有しており、この結果、該デイスクは、ほぼ平
   坦な外方部５４又は８２を有する不規則な八角形
   の形状を有しており、該外方部は、当該車輪の回
   転軸にほぼ垂直であると共に、該八角形の周縁部
   に交互に配置される、４つの長辺部５６又は７２
   及び４つの短辺部５７又は７３を有するものと、 該デイスクを該ラグに着脱可能に固定するボル
   ト手段６１，６５又は８３，８７と、を具備し、 該デイスク及び該ラグは、軸方向に離隔した２
   つの位置の内の一方の位置で該デイスクが該ラグ
   に選択的に固定され得るように配設されるものに
   おいて、 上記ラグ５８又は７４は、対をなし、各対にお
   ける該ラグの間の周方向の間隔が、互いに隣接す
   る対の間で隣り合う該ラグの間の周方向の間隔よ
   りも小さくなるように配設され、 上記デイスクの上記短辺部５７又は７３の各々
   は、該ラグ５８又は７４の対の端部に並置され、 上記ボルト手段は、該デイスクの該短辺部のみ
   に沿つて配置され、該短辺部の各々において、該
   デイスクを貫通し且つ該短辺部に並置されている
   該ラグの対のそれぞれのラグを各々が貫通する２
   本のボルト６１又は８３を備えている、 ことを特徴とするトラクター用車輪。