JPH0312323Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、濾過層を構成する濾過砂を下方に
移動させながらこれと向流的に原水を導入し、濾
過砂層を上向きに通過する間にこれを濾過して、
濾過水を上方から溢流させる一方、汚染した濾過
砂は上方に循環させて洗浄再使用するようにした
上向流移動床式濾過装置の改良に関するものであ
る。

［従来の技術］ 上向流移動床式濾過装置そのものは従来公知で
あり、これら公知の上向流濾過装置にあつては、
原水は濾過砂層内に開口する流入管から槽内に導
入され、この濾過砂層中を上昇する間に浮遊物が
除去され、濾過砂層の上面を通過してさらに上昇
し槽の上部から濾過水として排出されるようにな
つている。

また、原水中の浮遊物で汚染された濾過砂は、
下部からエアリフトポンプで揚砂され、空気との
バブリングにより濾過砂中に付着した浮遊物SS
が分離される。このSSは排出されて系外に出る。

一方、濾過砂は重いので沈殿して濾過砂層の上
部に戻るが、その過程において濾過水の一部でさ
らに洗浄されるようになつている。（特公昭56−
51808、特公昭59−38006、実公昭59−20334等参
照） ［この考案が解決しようとする問題点］ 上記した従来公知の上向流濾過装置において
は、濾過される処理水が濾過砂層内に導入され、
濾過砂中を上向きに上昇して濾過砂層の上面を通
過し、その上部に濾過砂層を形成した後水槽上部
から溢流して排出されるようになつているため、
処理水量が増大するに従い濾過砂層が上向水流に
より膨張し濾過砂の密度が疎になることとなる。
そのため、微細SSが濾過されることなく濾過水
中に流入し、十分な水質を得ることができないと
いう問題点があつた。

また、汚染された濾過砂の洗浄用水として濾過
水を使用するため、折角濾過した濾過水を再び汚
染された洗浄水として排出せざるを得ないという
問題点も残されていた。

この考案は、処理水量が増大しても濾過砂層が
膨張することなく層内の濾過砂の密度を維持し、
良好な濾過水の水質を得ることを可能ならしめる
と共に、汚染された濾過砂の洗浄用水として濾過
水を用いることなく、前記した従来技術の問題点
を解決したものである。

［問題点を解決するための手段］ この考案は、前記問題点を解決するための手段
を提供しようとするものであつて、タンク１内に
濾過砂を収容して濾過砂層２を形成し該濾過砂層
２内に原水導入管４を開口させ、前記タンク１の
中心部には濾過砂循環用エアリフトポンプ７を立
設してなる上向流濾過装置において、タンク１内
上部に底板１８で濾過砂層２と仕切られた濾過水
槽９を設け、下端を濾過砂層２内に開口する濾過
水集水管８の上端を前記濾過水室９内に開口させ
ると共に、エアリフトポンプ７の上端を濾過砂洗
浄室１９内に開口させ、該濾過砂洗浄室１９の底
部は前記エアリフトポンプ７と同心の濾過砂洗浄
管１２および濾過砂洗浄リング１１を介して濾過
砂層２へと連通し、濾過砂洗浄リング１１は配管
１５を介して原水流入管３に連通していることを
特徴とする上向流移動床式濾過装置を考案要旨と
するものである。

［実施例］ 図面に示した実施例について本考案の構成を説
明する。

１は濾過水槽を構成するタンクであつて、その
内部には濾過砂が収容され濾過砂層２を形成して
いる。

３は濾過すべき原水を導入するための原水流入
管であつて、この原水流入管３から上向きに原水
導入管４が分岐し、その上端は前記濾過砂層２の
下半部内に開口している。この導入管４の上端開
口部に面して原水分配傘５が設けられている。

前記タンク１の中心部には下部に傘状の濾過砂
移動板６を有するエアリフトポンプ７が立設され
ている。

８は、下端周縁にエツジワヤー等のスクリーン
を具えた濾過水集水管であつて、該スクリーンを
具えた集水部を濾過砂層２内に開口し、上端は濾
過水室９内に開口している。濾過水は、濾過水室
９の上部に設けられた堰を超えて溢流しタンク１
の上部側面に設けられた濾過水出口１０から排出
される。

濾過水室９は底板１８で濾過砂層２と仕切られ
ている。

エアリフトポンプ７の上端は濾過砂洗浄室１９
内に開口し、空気流入管１３から供給される空気
によつて、濾過砂層２の下部の汚染された濾過砂
をポンプアツプして前記濾過砂洗浄室１９内に排
出するようになつている。

濾過砂洗浄室１９の底部は、前記エアリフトポ
ンプ７と同心の濾過砂洗浄管１２および濾過砂洗
浄リング１１を介して濾過砂層２へと連通してお
り、濾過砂洗浄室１９で洗浄された濾過砂は自重
で濾過砂層２上部に落下する。一方、濾過砂洗浄
室１９の溢流水は洗浄水排出用越流堰２０を経て
排水出口管１４から外部に排出される。

濾過砂洗浄リング１１は配管１５を介して原水
流入管３に連通し、この配管１５には流量計１６
および流量調整弁１７が設けられている。

［作用］ この考案は上記のとおりの構成であるから、濾
過すべき原水は原水流入管３から原水導入管４を
経てタンク１内に導入され、濾過砂流入防止用の
原水分配傘５により反転分散しながら濾過砂層２
の下部に導入され、順次濾過砂層２内を通過上昇
しながら濾過されるが、濾過砂層２の上面にまで
至ることなく、スクリーンを具えた集水管８で集
水され、底板１８で濾過砂層２と隔てられた濾過
水室９に送られる。該濾過水室９に貯溜された濾
過水は上部の堰から溢流し出口管１０から排出さ
れる。

この際、濾過砂層２内を通過上昇する処理水は
濾過砂層２の上面にまで至ることなく、集水管８
の下端から集水されるので、処理水量を多くして
も濾過砂層２上部の砂が浮き上がつて膨張するよ
うなことがなく、濾過砂層２内の砂は濾過に必要
な密度を保つことができ、良質の濾過水を得るこ
とができる。

集水管８の下端集水部から濾過砂層２上面まで
の高さを、濾過砂層２の全高の10〜30％とすれ
ば、上側より砂の自重で集水管８周辺層が押さえ
付けられ、砂粒子の展開膨張を少なくすることが
できる。このため濾過砂層２の通液速度を速くと
れるので、処理水が濾過砂層の全域を通過する従
来例に比し２〜３倍の処理水量が得られ、しかも
水質を著しく向上させることができる。

一例を挙げれば、一般的な上向流式移動床濾過
装置の処理水量８〜13m³／m²・ｈに対し20〜30
m³／m²・ｈの処理量を得ることができ、また、流
入SSが15〜20mg／Ｌの場合、処理後の濾過水中
のSSは、７〜８mg／Ｌから１〜２mg／Ｌへと大
幅に減少した。

濾過により汚染された濾過砂は、濾過砂層２の
下部からエアリフトポンプ７内に入り、空気流入
管１３から送られるエアーによりリフトされなが
ら、バブリング作用を受けて濾過砂に付着した浮
遊物SSが分離され、濾過砂分離装置１９内に排
出される。

濾過砂分離装置１９内では、水と砂とが比重差
により分離され、比重の軽いSS成分及び水は上
部堰から溢流して洗浄排水出口管１４から排出さ
れ、比重の重い濾過砂は、濾過砂洗浄管１２、濾
過砂洗浄リング１１へと沈下し、濾過砂層２の上
面に戻ることになる。

一方、濾過砂洗浄リング１１は配管１５を介し
て原水流入管３に連通しており、流量計１６によ
り設定され流量調整弁１７により調整された水量
の原水が供給される。この原水は沈下する濾過砂
と向流的に交差しながら上昇し、濾過砂洗浄リン
グ１１および濾過砂洗浄管１２において濾過砂を
洗浄した後、濾過砂分離装置１９に流入し洗浄水
として使用され、溢流して洗浄排水出口管１４か
ら排出される。

濾過砂洗浄管１２および洗浄リング１１内を沈
下する濾過砂は、エアリフトポンプ７内および濾
過砂分離装置１９内で既にバブリング作用を受け
て浮遊物SSと分離されており、残存する浮遊物
が付着していても離れ易い状態となつているの
で、濾過後の清浄な濾過水を使用するまでもな
く、原水で十分に洗浄することができる。

［効果］ この考案によれば、タンク１内上部に底板１８
で濾過砂層２と仕切られた濾過水槽９を設け、下
端を濾過砂層２内に開口する濾過水集水管８の上
端を前記濾過水室９内に開口させると共に、エア
リフトポンプ７の上端を濾過砂洗浄室１９内に開
口させ、該濾過砂洗浄室１９の底部を前記エアリ
フトポンプ７と同心の濾過砂洗浄管１２および濾
過砂洗浄リング１１を介して濾過砂層２へと連通
させ、該濾過砂洗浄リング１１を配管１５を介し
て原水流入管３に連通させたことにより、処理水
量を多くしても濾過砂層２上部の砂が浮き上がつ
て膨張するようなことがなく、濾過砂層２内の砂
を濾過に必要な密度に保つことができるので、、
処理水量の増加と良質の濾過水を得ることができ
る効果があると共に、汚染された濾過砂の洗浄水
として濾過水を使用することなく原水を利用する
ため、砂の洗浄水量を自由に調節することができ
るばかりでなく、折角濾過した濾過水を再び汚染
された洗浄水として排出することがないという効
果をも有する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の構成を示す実施例の側断面図
である。 １：タンク、２：濾過砂層、３：原水流入管、
４：原水導入管、５：原水分配傘、６：下部濾過
砂移動板、７：エアリフトポンプ、８：濾過水集
水管、９：濾過水室、１０：濾過水出口管、１
１：濾過砂洗浄リング、１２：濾過砂洗浄管、１
３：空気流入管、１４：洗浄排水出口管、１５：
洗浄水配管、１６：流量計、１７：流量調整弁、
１８：濾過水室の底板、１９：濾過砂分離装置、
２０：洗浄水排出用越流堰。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タンク１内に濾過砂を収容して濾過砂層２を形
   成し該濾過砂層２内に原水導入管４を開口させ、
   前記タンク１の中心部には濾過砂循環用エアリフ
   トポンプ７を立設してなる上向流濾過装置におい
   て、タンク１内上部に底板１８で濾過砂層２と仕
   切られた濾過水槽９を設け、下端を濾過砂層２内
   に開口する濾過水集水管８の上端を前記濾過水室
   ９内に開口させると共に、エアリフトポンプ７の
   上端を濾過砂洗浄室１９内に開口させ、該濾過砂
   洗浄室１９の底部は前記エアリフトポンプ７と同
   心の濾過砂洗浄管１２および濾過砂洗浄リング１
   １を介して濾過砂層２へと連通し、濾過砂洗浄リ
   ング１１は配管１５を介して原水流入管３に連通
   していることを特徴とする上向流移動床式濾過装
   置。