JPH0312087B2 - - Google Patents

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JPH0312087B2
JPH0312087B2 JP22988687A JP22988687A JPH0312087B2 JP H0312087 B2 JPH0312087 B2 JP H0312087B2 JP 22988687 A JP22988687 A JP 22988687A JP 22988687 A JP22988687 A JP 22988687A JP H0312087 B2 JPH0312087 B2 JP H0312087B2
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JP
Japan
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block copolymer
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polymer
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resistance
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JP22988687A
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JPS6381113A (ja
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Toshinori Shiraki
Fusakazu Hayano
Hideo Morita
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication of JPH0312087B2 publication Critical patent/JPH0312087B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野> 本発明は、耐衝撃性、耐界面剥離性、塗装性、
耐候性、耐熱老化性に優れた樹脂状の変性ブロツ
ク共重合体組成物及び耐熱性、耐摩耗性、耐圧縮
歪性、耐界面剥離性、耐候性、耐熱老化性に優れ
たゴム状ないし皮革状の変性ブロツク共重合体組
成物を与える変性ブロツク共重合体の製法に関
し、更に詳しくは、ビニル芳香族化合物重合体ブ
ロツクと水添された共役ジエン重合体ブロツクを
有するブロツク共重合体に、カルボン酸基または
その誘導体基を含有する分子単位が結合した変性
ブロツク共重合体の製法に関する。 <従来の技術> 周知の如く、ポリオキシメチレン樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ニトリル樹
脂、ポリフエニレンエーテル樹脂及びポリアリー
レンスルフイド樹脂は一般にエンジニアリング樹
脂と呼ばれ、高度の機械的特性、耐熱性、耐久性
などが要求される機械部品や電気部品などの用途
に金属の代替材料として広く利用されている。特
に最近では、省エネルギー対策の一環として自動
車の燃費向上のため自動車本体の軽量化が推進さ
れており、かかる分野において上記のエンジニア
リング樹脂は有効な素材として注目されている。 しかしながら、このように優れた特性を有する
エンジニアリング樹脂にも、その特長を生かして
利用される用途分野に別の面で要求される特性を
充分に満たし得ない、いくつかの欠点があつた。 例えば、ポリオキシメチレン樹脂やニトリル樹
脂は引張り強さ、曲げ強さ、弾性率が非常に大き
く、極めて強靭な成形品をつくり、耐溶剤性に優
れるという利点を有する反面、塗装性に劣り、外
装用素材としての利用が制限されている。又、ポ
リカーボネートは機械的強さが非常に強く、衝撃
強さも非常に大きな値を示すが、それ自身では塗
装特性がやや劣るという欠点をもつている。更
に、ポリスルホン樹脂、ポリフエニレンエーテル
樹脂及びポリアリーレンスルフイド樹脂は耐熱性
が良く、機械的強度も強いが耐衝撃性に劣るとい
う欠点をもつている。これらの欠点を改良する試
みも種々行なわれており、例えばポリフエニレン
エーテル樹脂においてはゴム変性耐衝撃性ポリス
チレンやスチレンとブタジエンから成るブロツク
共重合体を配合して耐衝撃性を改良することが試
みられている。この様な改良方法により上記欠点
はかなり改良されているものの、さらに耐衝撃性
改良効果の大きい改質剤が要求されている。 一方、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物
より成るブロツク共重合体は、ビニル芳香族化合
物の含有量が比較的少ない場合には、加硫するこ
となく室温において良好な弾性を示し、ビニル芳
香族化合物の含有量が比較的多い場合には透明性
と耐衝撃性に優れ、又これらはいずれも高温にお
いては熱可塑性樹脂と同様な流動性を示すため一
般の押出機や射出成形機で容易に成形でき、履物
や食品包装容器等に広く利用されている。 しかしながら、このように優れた特性を有する
にもかかわらず、かかるブロツク共重合体の用途
範囲が限定されている大きな理由は、その耐熱性
の悪さにある。さらに他の欠点は、特に履物用途
等において塩化ビニル重合体などを用いた素材に
比して耐摩耗性や耐圧縮歪性に劣ることである。 <発明の解決すべき問題点> これらの欠点を改良するため多くの試みがなさ
れてきた。例えば特公昭54−27025号公報ではブ
ロツク共重合体の耐熱性を向上させる方法として
ポリアリーレンオキサイドを配合することが試み
られている。この方法によりブロツク共重合体の
耐熱性は改善されているものの、ポリアリーレン
オキサイドの配合量の割合には耐熱性の改良効果
は充分でなかつた。 また、ブロツク共重合体の耐摩耗性や耐圧縮歪
を改良する方法としては過酸化物、硫黄−加硫促
進剤系を用いて架橋化させる方法があるが、これ
によりこれらの特性はある程度改善されるものの
成形後の再生利用ができない等の問題を生じ、熱
可塑性のブロツク共重合体を使う利点が失なわれ
てしまうという別の問題が発生する。更に、別の
方法としては無機充てん剤を配合し、硬度を増し
て耐摩耗性を改善する方法もあるが、この場合に
は耐圧縮歪が損われ、実用上特策な方法でなかつ
た。要するに、従来ブロツク共重合体の加工性を
損うことなく耐摩耗性と耐圧縮歪性を改良する効
果的な方法は見い出されていなかつた。 <問題点解決の手段> 本発明者らは、かかる問題点を解決すべく鋭意
検討した結果、ジカルボン酸類によつて変性され
たビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロツ
ク共重合体またはそのイオン性架橋物と、前記の
熱可塑性重合体とを組合せることによりその目的
が達成されることを見い出し、特願昭55−17216
号(特開昭56−115355号公報)及び特願昭55−
17217号(特開昭56−115350号公報)にて提案し
た。 その後、本発明者らはかかる変性ブロツク共重
合体を用いた組成物の特性改良について更に検討
を進めた結果、ビニル芳香族化合物重合体ブロツ
クと水添された共役ジエン重合体ブロツクから構
成されるブロツク共重合体にカルボン酸基または
その誘導体基を含有する分子単位が結合した変性
ブロツク共重合体を用いることにより、上記諸問
題が解決されるばかりでなく、耐候性や耐熱老化
性に優れた組成物が得られることを見い出すと同
時に、該変性ブロツク共重合体の有効な製造方法
を考案し、本発明を完成するに至つた。 即ち、本発明は、 ビニル芳香族化合物の含有量が10〜90重量%
で、少なくとも1個のビニル芳香族化合物重合体
ブロツクAと少なくとも1個の水添された共役ジ
エン重合体ブロツクBを有し、しかもブロツクB
の不飽和度が20%を超えない水添された共役ジエ
ン重合体ブロツクであるブロツク共重合体(以
後、「基体となるブロツク共重合体」と呼ぶ)と
不飽和カルボン酸またはその誘導体とを、押出機
中でラジカル開始剤存在下で反応させ、不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体の付加量が平均値とし
て「基体となるブロツク共重合体」100重量部あ
たり0.05〜20重量部であり、かつトルエン不溶分
が0.05重量%以下である変性ブロツク共重合体を
製造する方法に関する。 一般に、異種の重合体は相互に混和性がなく、
溶融混練等により強制的に混和した場合にも、そ
の相互の界面における付着性が悪い。そのため、
相互の特性が効果的に発現されることは少ない。
異種重合体を混合して相互の特性を効果的に発現
させる上で、この異種重合体界面の付着性を向上
させることは重要な因子であり、この特性を向上
させる方法として相互の重合体に親和性のある添
加剤を更に配合することが試みられている。しか
しながら本発明においては、かかる特別な添加剤
を用いなくても異種重合体と本発明で得られる変
性ブロツク共重合体とはその界面が強固な付着性
を示し、その結果従来の方法では予見できなかつ
た特性を具備する新規な組成物が得られる。 本発明の変性ブロツク共重合体と熱可塑性重合
体との組成物はその組成比により、組成物の機械
的性質が、樹脂状のものからゴム状ないし皮革状
のものまで広範囲に変化する。例えば、熱可塑性
重合体が多い組成比の場合、耐界面剥離性が良
く、耐衝撃性等に優れた強靭な樹脂状組成物が得
られる。また、弾性的な性質を示す変成ブロツク
共重合体を用い、その含有量が多い組成比の場合
には、耐熱性、耐摩耗性、耐圧縮歪性、耐界面剥
離性等の優れたゴム状ないしは皮革状の組成物と
なる。 本発明の方法で得られる変性ブロツク共重合体
と熱可塑性樹脂との組成物は塗装材料に対する付
着性改良効果が大きく、塗装した場合強固に付着
した塗膜が形成できる。 また、本発明の方法で得られる変性ブロツク共
重合体は、水添された共役ジエン重合体ブロツク
の不飽和度が20%を越えないように限定されてい
るため、不飽和度の高い従来のブロツク共重合
体、例えばスチレン−ブタジエンブロツク共重合
体を用いた場合に比較して耐候性及び耐熱老化性
に優れた成形品が得られる。 更に、本発明で得られる変性ブロツク共重合体
のイオン性架橋物を用いた熱可塑性樹脂との組成
物は、光沢に優れるという利点も有する。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の方法においては、少なくとも1個のビ
ニル芳香族化合物重合体ブロツクAと少なくとも
1個の不飽和度が20%を越えない水添された共役
ジエン重合体ブロツクBとからなるブロツク共重
合体を使用する。ここで水添された共役ジエン重
合体ブロツクとは、ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエン等のうちから選ばれた1種
以上の共役ジエン化合物が重合、あるいは共重合
した形態を有する重合体ブロツクを水添したもの
であり、しかも該ブロツクの不飽和度を20%以下
としたものである。 また、水添された共役ジエン重合体ブロツクに
はビニル芳香族化合物がランダムに共重合されて
いてもよい。 本発明の方法において、最も好ましい「基体と
なるブロツク共重合体」は、ビニル芳香族化合物
重合体ブロツクと共役ジエン化合物を主体とする
重合体ブロツクとから構成されてなるブロツク共
重合体(以後これを、「前駆体としてのブロツク
共重合体」と呼ぶ)の共役ジエン部分の不飽和度
が20%を超えない程度にまで選択的に水添されて
いるブロツク共重合体である。 「前駆体としてのブロツク共重合体」は、少な
くとも1個、好ましくは2個以上のビニル芳香族
化合物重合体ブロツクと少なくとも1個の共役ジ
エンを主体とする重合体ブロツクとを含有するも
のである。ここで共役ジエンを主体とする重合体
ブロツクは、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化
合物との重量比が0/100〜50/50、好ましくは
0/100〜30/70の組成範囲からなる重合体ブロ
ツクであり、このブロツクにおけるビニル芳香族
化合物の分布は、ランダム、テーパー(分子鎖に
沿つてモノマー成分が増加または減少するもの)、
一部ブロツク状またはこれらの任意の組合せのい
ずれであつてもよい。なお、本発明における「前
駆体としてのブロツク共重合体」中には、ビニル
芳香族化合物重合体ブロツクと共役ジエン化合物
を主体とする重合体ブロツクとの遷移部等にビニ
ル芳香族化合物の含有量が50重量%を超えるビニ
ル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体
ブロツクが存在してもよいが、かかる重合体ブロ
ツクは前記の共役ジエン化合物を主体とする重合
体ブロツクに含めるものとする。 「前駆体としてのブロツク共重合体」におい
て、ビニル芳香族化合物の含有量と共役ジエン化
合物の含有量の重量比は、10/90〜90/10の範
囲、好ましくは15/85〜85/15の範囲である。 かかるブロツク共重合体は、ビニル芳香族化合
物の含有量が約60重量%以下、好ましくは55重量
%以下の場合には熱可塑性弾性体としての特性を
示し、「前駆体としてのブロツク共重合体」とし
て好適に用いられる。 「前駆体としてのブロツク共重合体」を構成す
るビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン等のうちから1
種または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが特
に好ましい。また共役ジエン化合物としては、ブ
タジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等
のうちから1種または2種以上選ばれ、中でもブ
タジエンおよび/またはイソプレンが特に好まし
い。上記ブロツク共重合体は、数平均分子量が
20000〜500000好ましくは40000〜300000の範囲で
あり、分子量分布(重量平均分子量と数平均分子
量の比)は、1.05〜10の範囲が好ましい。またブ
ロツク共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、
放射状またはこれらの組合せなどいずれでもよ
い。さらに、ブロツク共重合体において共役ジエ
ン化合物として、ブタジエンを使用した場合は、
ブタジエン部分のミクロ構造の1.2結合量が10〜
80%の範囲が好ましい。変性ブロツク共重合体に
ゴム弾性を持たせることを必要とする場合には、
1.2結合量は25〜65%、更に好ましくは35〜55%
の範囲が好ましい。 上記ブロツク共重合体が、ビニル芳香族化合物
重合体ブロツクまたは共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロツクを2個以上含有する場合にお
いては、各ブロツクは同一の構造であつてもよい
し、モノマー成分含有量、それらの分子鎖におけ
る分布、ブロツクの分子量、ミクロ構造などの各
構造が異なるものであつてもよい。 「前駆体としてのブロツク共重合体」の製造方
法としては、例えば特公昭36−19286号公報、特
公昭43−14979号公報、特公昭49−36957号公報、
特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報な
どに記載された方法があげられる。これらはすべ
て、炭化水素溶剤中でアニオン重合開始剤として
有機リチウム化合物等を用い、必要に応じてビニ
ル化剤としてジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ランの如きエーテル化合物、トリエチルアミン、
N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミ
ンの如き第3級アミン、ヘキサメチルホスホアミ
ドの如きホスフイン化合物などのルイス塩基、カ
ツプリング剤として四塩化ケイ素やエポキシ化ダ
イズ油の如き多官能性化合物を用い、ビニル芳香
族化合物と共役ジエン化合物をブロツク共重合す
る方法であり、直鎖状、分岐状あるいは放射状の
構造を有するブロツク共重合体として得られる。
本発明においては、いかなる重合法で得られたも
のであつても、上記の範囲のものであれば使用可
能である。 更に、ブロツク共重合体は1種のみならず2種
以上の混合物として使用することも可能である。 上記の「前駆体としてのブロツク共重合体」
を、公知の方法、例えば特公昭42−8704号公報に
記載の方法で水添することにより「基体となるブ
ロツク共重合体」が得られる。「基体となるブロ
ツク共重合体」は、「前駆体としてのブロツク共
重合体」の共役ジエン化合物を主体とする重合体
ブロツク中における共役ジエン化合物に基づく脂
肪族二重結合の少くとも80%が水素添加されてい
ること、換言すれば、共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロツクの水素添加によつて形態的に
オレフイン化合物重合体ブロツクに変換され、ブ
ロツク中の不飽和度が20%を超えないことが必要
である。水添された共役ジエン重合体ブロツクの
不飽和度が20%を超えると耐候性や耐熱老化性が
劣るばかりでなく、ゲル等の好ましくない成分を
含んだりするため好ましくない。一方、ビニル芳
香族化合物重合体ブロツク中のビニル芳香族化合
物および必要に応じて共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロツク中に共重合されているビニル
芳香族化合物に基づく芳香族二重結合の水素添加
率については特に制限はないが、水素添加率を20
%以下にするのが好ましい。水添された共役ジエ
ン重合体ブロツクの不飽和度は、赤外分光光度計
(IR)や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いた機
器分析、ヨード滴定法等による滴定分析などによ
り測定できる。 「基体となるブロツク共重合体」は、次いで、
不飽和カルボン酸またはその誘導体との付加反応
により変性され、変性ブロツク共重合体が合成さ
れる。不飽和カルボン酸またはその誘導体の例と
しては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハ
ロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン
−1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシク
ロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカ
ルボン酸等や、これらジカルボン酸の酸無水物、
エステル、アミド、イミドなど、アクリル酸、メ
タクリル酸等や、これらモノカルボン酸のエステ
ル、アミドなどが等げられる。これらは1種のみ
ならず2種以上混合しても使用できる。これらの
中では不飽和ジカルボン酸またはその誘導体が好
ましく、とりわけ無水マレイン酸が好ましい。 本発明において、「基体となるブロツク共重合
体」と不飽和カルボン酸またはその誘導体は、押
出機中でラジカル開始剤存在下で反応される。ラ
ジカル開始剤の不存在下では、不飽和カルボン酸
またはその誘導体の付加量が少なく、本発明で規
定する範囲の付加量の変性ブロツク共重合体が得
られない。又、本発明においては、水添された共
役ジエン重合体ブロツクの不飽和度が20%を超え
ないため、ラジカル開始剤存在下で反応してもゲ
ル等の好ましくない成分を含んだり、溶融粘度が
著しく増大して加工性が悪化したりすることがな
い。反応温度は、250℃の様な「基体となるブロ
ツク共重合体」が可塑化する温度で実施される。
又、ラジカル開始剤は、パーヘキサ25B(日本油
脂社製)の様なジアルキルパーオキサイドが好適
に利用できる。 変性ブロツク共重合体に含まれるカルボン酸基
またはその誘導体基を含有する分子単位の量、即
ち不飽和カルボン酸またはその誘導体の付加量
は、変性ブロツク共重合体全体の平均値として、
「基体となるブロツク共重合体」100重量部あた
り、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、
更に好ましくは0.3〜5重量部である。ジカルボ
ン酸基またはその誘導体基を含有する分子単位が
0.05重量部未満では、未変性ブロツク共重合体に
比して改良効果がほとんど認められず、20重量部
をこえても、それ以下の場合に比してその改良効
果が顕著でない。 変性ブロツク共重合体中のカルボン酸基または
その誘導体基を含有する分子単位の含有量は、赤
外分光光度計や滴定等による方法により容易に把
握することができる。また、本発明においては、
変性ブロツク共重合体中の不飽和カルボン酸また
はその誘導体の付加量が全体の平均値として上記
範囲を満たす範囲内において未変性のブロツク共
重合体が含まれていてもよい。 本発明の方法で得られる変性ブロツク共重合体
は、トルエン不溶分が0.05重量%以下である。ト
ルエン不溶分が0.05重量%を超えると各種用途に
おいて外観不良を起したりして好ましくない。こ
こでトルエン不溶分は、変性ブロツク共重合体を
トルエンに溶解後、100メツシユの金網でし、
その金網を通過しないものの割合を示す。 本発明において、前記の変性ブロツク共重合体
はイオン性架橋物として組成物中に混在させるこ
ともできる。 このイオン性架橋物は、前記の変性ブロツク共
重合体を1価、2価および3価の金属イオンのう
ちのいずれか1種または2種以上の混合物でイオ
ン性結合によつて架橋させたもので、変性ブロツ
ク共重合体に1価、2価および3価の金属の化合
物のうちのいずれか1種または2種以上の混合物
を架橋剤化合物として反応させることによつて得
られる。 上記イオン性架橋物において、変性ブロツク共
重合体のカルボン酸基またはその誘導体基は、架
橋剤化合物を添加することによつて、イオン化す
る。そして架橋剤化合物の添加量によつてイオン
化量を調節することができ、その量は例えば赤外
分光光度計により測定される。 架橋剤化合物の添加量は、変性ブロツク共重合
体に含有されるカルボン酸基またはその誘導体基
の一部ないし全量がイオン化する量が加えられ、
上記イオン化反応は、ほぼ定量的に進行するが、
所望のイオン化量を得るためには理論量より過剰
の架橋剤が必要な場合もある。イオン性架橋物を
効果的に得るためには、上記金属化合物と変性ブ
ロツク共重合体に含有されるカルボン酸基または
その誘導体基とのモル比0.1〜3.0であることが好
ましい。 変性ブロツク共重合体に添加することによつて
イオン性架橋物を得るために使用する架橋剤化合
物としては、周期律表第族、第族、第族の
金属化合物のうちのいずれか1種または2種以上
の混合物が好ましく、具体的にはナトリウム化合
物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、カル
シウム化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物
があげられる。これらの金属化合物の好適なもの
は、水酸化物、アルコラート、カルボン酸塩であ
る。 変性ブロツク共重合体のイオン性架橋物を得る
具体的な方法としては、溶融状態の変性ブロツク
共重合体に架橋剤化合物を添加する方法や、変性
ブロツク共重合体を適当な溶媒に溶解させ、この
溶液に架橋剤化合物を添加して架橋反応をおこさ
せる方法、さらには変性ブロツク共重合体をラテ
ツクスとしこれに架橋剤を加える方法などが挙げ
られ、いずれも本発明において使用できるイオン
性架橋物を得る方法として使用できる。 本発明の方法で得られる変性ブロツク共重合体
のイオン性架橋物は熱可塑性であり、高温におい
て加工可能であると共に、イオン性架橋は可逆的
な架橋である。これらの特徴は、通常に用いられ
るイオウ架橋、パーオキサイド架橋あるいは放射
線架橋などの不可逆的な架橋によつて得られたブ
ロツク共重合体の架橋物と、本発明の方法で得ら
れる変性ブロツク共重合体のイオン性架橋物とが
本質的に異なる点である。 本発明の方法で得られる変性ブロツク共重合体
(以後成分(b)と呼ぶ)は熱可塑性樹脂(以後成分
(a)と呼ぶ)と組合せることにより、樹脂状のもの
からゴム状ないし皮革状のものまで得られる。 好適な熱可塑性樹脂としては、ポリオキシメチ
レン系重合体、ポリカーボネート系重合体または
その改質物、ポリスルホン系重合体またはその改
質物、ニトリル系重合体、ポリフエニレンエーテ
ル系重合体またはその改質物、ポリアリーレンス
ルフイド系重合体またはその改質物のうちから選
ばれた少なくとも1種の熱可塑性重合体が挙げら
れる。 ポリオキシメチレン系重合体の例には、オルム
アルデヒド又はトリオキサンの重合によつて製造
されたホモ重合体、或いは前記モノマーを主成分
とする共重合体があげられる。ホモ重合体は、重
合体の末端基をエステル基またはエーテル基に変
換して耐熱性や耐薬品性を向上させることが一般
に行なわれている。共重合体には、ホルムアルデ
ヒド又はトリオキサンに、他のアルデヒド、環状
エーテル、環状カーボネート、エポキシド、イソ
シアネート、ビニル化合物等との共重合体があげ
られる。 ポリカーボネート系重合体は、一般式 または (上式においてA1rはフエニレン基またはアルキ
ル基、置換アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン
もしくはニトロ基で置換されたフエニレン基を表
わし、Aはアルキレン基、アルキリデン基、シク
ロアルキレン基、シクロアルキリデン基、硫黄、
酸素、スルホキシド基またはスルホン基を示す。) の構造単位を有する芳香族ポリカーボネートであ
る。好ましい例としては、ポリ−4,4′−ジオキ
シジフエニル−2,2′−プロパンカーボネートが
あげられる。 又、ポリカーボネート系重合体の改質物は、上
記一般式の構造単位を有する芳香族ポリカーボネ
ートにスチレン系重合体を配合してその特性を改
質したものである。改質に用いるスチレン系重合
としては、スチレンを50重量%以上含有する重合
体、例えばポリスチレン、スチレン−α−メチル
スチレン共重合体、ブタジエン−スチレンブロツ
ク共重合体、耐衝撃性ゴム変性スチレン重合体、
アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン
−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無
水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル
−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸
エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、およ
びこれらポリスチレン系重合体類の混合物をあげ
ることができる。 ポリスルホン系重合体は、一般式 〔−A2r−B−A2r−SO2〕−または〔−A2r−SO2〕− (上式において、A2rはフエニレン基を表わし、
Bは酸素、硫黄または芳香族ジオール残基を示
す。) の構造単位を有する熱可塑性ポリスルホンであ
る。好ましい例としては、ポリ(エーテルスルホ
ン)、ポリ(4,4−ビスフエノールエーテルス
ルホン)があげられる。 又、ポリスルホン系重合体の改質物は、上記一
般式の構造単位を有する熱可塑性ポリスルホンに
前記のスチレン系重合体を配合してその特性を改
質したものである。 ニトリル系重合体は、50重量%以上のα,β−
オレフイン系不飽和モノニトリルを構成モノマー
として合成された熱可塑性ホモ重合体および/又
は共重合体である。α,β−オレフイン系不飽和
モノニトリルの例としてはアクリロニトリル、メ
タアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリ
ルなどがあげられる。これらのモノマーは2種以
上の混合物として用いてもよい。このα,β−オ
レフイン系不飽和モノニトリルと共重合させるモ
ノマーとしては、エチレン、プロピレン、イソブ
チレン、ペンテン−1、塩化ビニル、塩化ビニリ
デンなどの低級α−オレフイン、スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレ
ン、メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物、
酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物、アクリ
ル酸メチル、メタクリル酸メチルなどのα,β−
オレフイン系不飽和カルボン酸の低級アルキルエ
ステル、ビニルメチルエーテルなどのビニルエー
テル化合物などがあげられる。 ポリフエニレンエーテル系重合体は、一般式 (上式において、R1、R2はC1〜C4のアルキル基、
置換アルキル基またはハロゲンを示す。) の構造単位を有するフエニレンエーテル重合体、
または該フエニレンエーテル重合体にスチレン系
化合物をグラフト重合したポリフエニレンエーテ
ルグラフト共重合体である。グラフト変成のため
に使用されるスチレン系化合物としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、tert
−ブチルスチレン、クロルスチレンなどがあげら
れ、これらはグラフト重合に際して二種以上共存
せしめても良いし、所望に応じて他の共重合可能
なビニル化合物、例えばアクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタク
リロニトリルなどを併用して共グラフト重合させ
ることも可能である。好ましいフエニレンエーテ
ル重合体としては、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フエニレン)エーテルがあげられ、又そ
の好適なグラフト変性体としては該重合体のスチ
レングラフト共重合体があげられる。 又、ポリフエニレンエーテル系重合体改質物
は、上記一般式の構造単位を有するフエニレンエ
ーテル重合体或いはポリフエニレンエーテルグラ
フト共重合体に前記のスチレン系重合体を配合し
てその特性を改質したものである。 ポリアリーレンスルフイド系重合体は、一般式 〔−A3r−S〕− (上式において、A3rはフエニレン基またはアル
キル基もしくは置換アルキル基で置換されたフエ
ニレン基を表わす。) の構造単位を有するアリーレンスルフイド重合体
または共重合体である。好適な例としてはポリフ
エニレンスルフイド、ポリ4,4′−ジフエニレン
スルフイドなどがあげられる。 又、ポリアリーレンスルフイド系重合体改質物
は、上記一般式の構造単位を有するアリーレンス
ルフイド重合体または共重合体に前記のスチレン
系重合体を配合してその特性を改質したものであ
る。 前記の重合体群において、ポリカーボネート系
重合体、ポリスルホン系重合体、ポリフエニレン
エーテル系重合体及びポリアリーレンスルフイド
系重合体のそれぞれの改質物を構成するスチレン
系重合体の好適なものとしては、ポリスチレン、
耐衝撃性ゴム変性スチレン重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリ
ル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、
およびこれらの任意の混合物があげられる。一般
に、該改質物を構成するスチレン系重合体の含有
量は70重量%以下、より一般的には50重量%以下
である。 前記の重合体群において、ポリカーボネート系
重合体、ポリスルホン系重合体、ポリフエニレン
エーテル系重合体及びポリアリーレンスルフイド
系重合体は分子量5000以上、好ましくは10000以
上のものが好適である。 前述した様に成分(a)の熱可塑性重合体と成分(b)
の変性ブロツク共重合体との組成比により、樹脂
状のものからゴム状ないし皮革状のものまで得ら
れる。樹脂状の組成物を得る場合の組成比として
は、成分(b)中のビニル芳香族炭化水素の含有量が
60重量%を超え、90重量%以下、好ましくは65重
量%以上85重量%以下の場合には、成分(a)と成分
(b)の重量比が90/10〜5/95、好ましくは85/15
〜10/90、更に好ましくは80/20〜15/85の範囲
が、また成分(b)中のビニル芳香族炭化水素の含有
量が10重量%以上60重量%以下、好ましくは15重
量%以上55重量%以下、更に好ましくは20重量%
以上50重量%以下の場合には成分(a)と成分(b)の重
量比が98/2以下50/50を超える、好ましくは
95/5〜60/40、更に好ましくは90/10〜70/30
の範囲が推奨される。成分(b)の配合量が上記範囲
より少ないと耐衝撃性や塗装性の改良効果が少な
く、逆に多すぎる場合には剛性が低下する。ま
た、ゴム状ないし皮革状の組成物を得る場合の組
成比としては、ビニル芳香族炭化水素の含有量が
10重量%以上60重量%以下、好ましくは15重量%
以上55重量%以下、更に好ましくは20重量%以上
50重量%以下の変性ブロツク共重合体を用い、し
かも該ブロツク共重合体と成分(a)の重量比が98/
2〜50/50、好ましくは95/5〜60/40、更に好
ましくは90/10〜70/30の範囲が推奨される。成
分(a)の配合量が上記範囲より少ないとゴム状ない
し皮革状の組成物としての前述の改良効果が小さ
く、又逆に多すぎる場合にはゴム状ないし皮革状
の性質が失なわれて樹脂状の組成物となつてしま
う。 本発明の方法で得られる変性ブロツク共重合体
を配合した組成物には、必要に応じて、熱可塑性
ポリアミド、熱可塑性ポリエステルなどを成分(a)
100重量部に対して100重量部以下の量で配合して
その特性を改変することができる。かかる他の重
合体を配合した時にも全体が密接に一体化された
組成物が得られるのは、前述した様に、成分(b)の
良好な付着性が充分発揮されているためと考えら
れる。熱可塑性ポリアミドとしては、ナイロン
6、6−6、7、6−10、6−12、11および12等
が、又熱可塑性ポリエステルとしてはエチレング
リコールテレフタレート系或いは、ブタンジオー
ルテレフタレート系ポリエステル等公知のものが
使用でき、分子量としては5000以上、好ましくは
10000以上のものが好適である。 また、本発明の方法で得られる変性ブロツク共
重合体を配合した組成物には、シリカ、カーボン
ブラツク、クレー、ガラス繊維、有機繊維、炭酸
カルシウムなどの補強剤や充てん剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、安定剤、顔料、滑剤、難燃剤
やその他の添加剤を加えることが可能である。 例えば、ガラス繊維を樹脂状の変性ブロツク共
重合体組成物100重量部に対して150重量部以下、
好ましくは10〜100重量部配合した組成物は、剛
性、耐熱性、機械的強度が向上し、優れた成形品
用素材を提供する。ガラス繊維としては、通常樹
脂混合用に使用されている直径2〜20μ、長さ50
〜20000μのものが用いられる。 また、ゴム状ないし皮革状の変性ブロツク共重
合体組成物を靴底用の素材として使用する場合、
充てん剤や顔料としての炭酸カルシウム、クレ
ー、シリカ、二酸化チタン等の微粉末状固体、硬
さ調節剤としてのポリスチレン系樹脂、ポリオレ
フイン系樹脂等の樹脂類、成形加工性調節剤とし
てのパラフイン系油、ナフテン系油等のプロセス
油などを必要に応じて配合することができる。こ
れら添加剤の配合量としては次の様なものが一例
としてあげられる。 ゴム状ないし皮革状の組成物 100重量部 樹脂類 30〜100重量部 プロセス油 50〜100重量部 微粉末状固体 20〜200重量部 本発明の方法で得られる変性ブロツク共重合体
を配合した組成物は、その各成分の組成比に応じ
て通常の高分子物質の混合に用いられる各種混合
装置、例えば一軸または多軸のスクリユー型押出
機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニ
ーダー等を用いることによつて調整することがで
き、溶融状態において混合することが好ましい。
また、組成物は、各成分の溶液を混合した後、溶
剤を加熱除去する方法等により得ることもでき
る。 本発明の方法により得られる変性ブロツク共重
合体を配合した組成物を素材とする成形品は、必
要に応じて塗装やメツキを施すことができる。 塗装する場合、塗料としてはアクリルまたはビ
ニル変性アクリル樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗
料、ポリウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗
料、フエノール樹脂系塗料、メラミン樹脂系塗
料、ユリア樹脂系塗料等公知のいずれの塗料も使
用できる。 また、メツキ処理により金属的な感触をだすこ
ともできる。メツキ方法としては、化学メツキや
電気メツキ等従来公知のいずれの方法でも実施で
きる。特に、成分(b)として変性ブロツク共重合体
のイオン架橋物を用いた樹脂状の変性ブロツク共
重合体組成物は、成分(a)の配合量が多い場合成分
(b)が極めて異形な状態で成分(a)中に分散するた
め、化学エツチングしてメツキした場合アンカー
効果が大きくメツキの密着強度の大きいメツキ成
形品が得られる。 <発明の効果> 本発明の方法により得られる変性ブロツク共重
合体は、熱可塑性樹脂と組合せることにより、耐
衝撃性、耐界面剥離性、塗装性、耐候性、耐熱老
化性に優れた樹脂状の変性ブロツク共重合体組成
物及び耐熱性、耐摩耗性、耐圧縮歪性、耐界面剥
離性、耐候性、耐熱老化性に優れたゴム状ないし
皮革状の変性ブロツク共重合体組成物を得ること
ができ、かかる変性ブロツク共重合体組成物は、
従来公知の任意の成形加工方法、例えば、押出成
形、射出成形、中空成形、回転成形などによつて
シート、発泡体、フイルム、各種形状の射出成形
品、中空成形品、圧空成形品、回転成形品等極め
て多種多様にわたる実用上有用な製品に容易に成
形加工でき、自動車部品、電気部品、機械部品、
履物、電線ケーブル、食品包装容器等に利用する
ことができる。 以下、本発明を更に詳細に説明するため実施例
を示すが、本発明の内容をこれらの実施例に限定
するものでないことは云うまでもない。 実施例 1〜5 (1) 水添ブロツク共重合体の調整 n−ブチルリチウムを重合触媒とし、n−ヘ
キサンまたはシクロヘキサン溶媒中で、テトラ
ヒドロフランをビニル含量調節剤として、ブタ
ジエンとスチレンとをアニオン・ブロツク共重
合することにより、表1に示したようなブロツ
ク共重合体を合成した。
【表】 次に、表1に示したブロツク共重合体を、n
−ヘキサンとシクロヘキサンの混合溶媒または
シクロヘキサン溶媒中で、ナフテン酸コバルト
とトリエチルアルミニウムを触媒として、水素
圧7Kg/cm2、温度50℃で5時間水素添加を行つ
て、ブタジエンブロツク部分の二重結合の約90
%が水素添加され、スチレンブロツク部分のベ
ンゼン環はほとんど水添されないで残つた、選
択的に水添されたブロツク共重合体を合成し
た。触媒残査の金属は塩酸水溶液−メタノール
で洗浄して除去した。 (2) 変性ブロツク共重合体の調製 上記(1)で合成した水添ブロツク共重合体100
重量部に対して3重量部の無水マレイン酸、
0.1重量部のパーヘキサ25B(日本油脂社製)を
均一に混合した後、窒素雰囲気下でスクリユー
型押出機(単軸、スクリユー直径20mm、L/D
=24、フルフライト型スクリユー)に供給し、
シリンダ−温度250℃でマレイン化反応を行つ
た。得られた変性ブロツク共重合体から、未反
応の無水マレイン酸を加熱減圧除去し、安定剤
として2,6−ジ−ターシヤリー−ブチル−4
−メチルフエノール(BHT)を、重合体100重
量部あたり0.5重量部添加した。この水添ブロ
ツク共重合体を分析したところ、表2の結果が
得られた。
【表】 比較例 1〜5 実施例1〜5において、水添ブロツク共重合体
の代わりにそれぞれ水添前のポリマー(A−1〜
A−5)を用いる以外は実施例1〜5と同様の方
法でそれぞれ変性反応を行なつた(比較例1〜
5)。その結果、得られた変性ブロツク共重合体
は、いずれもトルエン不溶分が1重量%を超える
ものであり、極めてゲルの混在の多い変性ブロツ
ク共重合体であつた。 実施例 6 無水マレイン酸の代わりにアクリル酸を用いる
以外は、実施例3と同様の方法により変性を行な
い、アクリル酸の付加量0.2重量%、トルエン不
溶分0.04重量%の変性ブロツク共重合体を得た。 参考実施例1〜10及び参考比較例1〜6 熱可塑性重合体100重量部に対して、前記の方
法で調整した変性ブロツク共重合体(試料B−
1)10重量部または比較例として未変性ブロツク
共重合体(試料A−1)10重量部とをヘンシエル
ミキサーにて充分混合した後、40mm押出機で通常
の方法によりペレツト化した。得られたペレツト
を射出成形して120×120×3mmの平板を作成し
た。 この平板をメチルアルコールで脱脂した後、市
販のアクリル樹脂系塗料をスプレー塗装し自然乾
燥した。なお、熱可塑性重合体としてポリオキシ
メチレン及びニトリル樹脂を用いた組成物の平板
の場合は、メチルアルコール脱脂する代わりに、
塩酸溶液に30秒浸漬後水でスプレー洗浄した。 塗装された平板の塗膜付着性試験結果を表3に
示したが、本発明の方法で得た変性ブロツク共重
合体を配合した組成物は塗膜の付着性が極めてよ
いことが分かる。
【表】
【表】
【表】 参考実施例11、12及び参考比較例7、8 POまたはNR100重量部に対して、変性ブロツ
ク共重合体(試料B−5)を200重量部または参
考比較例として未変性ブロツク共重合体(試料A
−5)を200重量部とをヘンシエルミキサーにて
混合した後、押出機でペレツト化した。得られた
ペレツトを射出成形して平板を作成し、そのダー
ト衝撃強度を測定した。結果を表5に示したが、
本発明の方法で得た変性ブロツク共重合体を配合
した組成物は参考比較例の組成物より耐衝撃性に
優れ、しかも参考比較例の組成物が顕著な界面剥
離を示していたのに対し、本発明の方法で得た変
性ブロツク共重合体を配合した組成物は界面剥離
が少なく全体が緊密な組成物になつていることが
確認された。
【表】
【表】 壊するに要するエネルギーを求めた。
参考実施例13〜16及び参考比較例9〜12 表6に示した熱可塑性重合体100重量部に対し
て、同表に示した変性ブロツク共重合体または未
変性ブロツク共重合体を50重量部配合した組成物
のペレツトをそれぞれ得た。このペレツトを射出
成形して試験片を作成し、耐衝撃強度及び表面光
沢を測定した。 結果を表6に示した。表6にはブロツク共重合
体として変性ブロツク共重合体(試料B−4)の
イオン性架橋物を配合した組成物の試験片の光沢
も示したが、イオン性架橋物とすることで光沢が
更に改良されることは全く予期せぬ事実であつ
た。 なお、この実験で用いた変性ブロツク共重合体
のイオン性架橋物は次の様にして作成した。試料
B−4をトルエンに溶解して20重量%溶液とし、
この溶液に架橋剤としてナトリウムメチラートを
試料B−4 100重量部あたり0.6重量部、トルエ
ンメタノール混合溶媒溶液として加え、室温で反
応させることによつてイオン架橋を行ない、溶媒
を除去して試料B−4のイオン性架橋物を得た。
かかる処理により試料B−4中の酸無水物基がイ
オン化していることは、赤外線スペクトルによつ
て確認した。 次に、前記の参考実施例及び参考比較例で用い
たのと同じ成形板を使用して、耐候性試験及び耐
熱老化性試験を行つた。耐候性試験は、ウエザオ
メーター1000時間暴露後の成形片のアイゾツト衝
撃強度を測定した。また耐熱老化性試験は、成形
片を約120℃の雰囲気下に約1ケ月間放置した後、
アイゾツト衝撃強度を測定した。 その結果、参考実施例13〜16の成形片は試験前
のものの70%以上のアイゾツト衝撃強度を有して
いたが、参考比較例9〜12の成形片は試験前のも
のの60%未満のアイゾツト衝撃強度しか示さず、
本発明の方法で得た変性ブロツク共重合体を配合
した組成物は耐候性及び耐熱老化性に優れること
が明らかになつた。
【表】 参考実施例17〜20及び参考比較例13〜16 表7に示した処法に従つて熱可塑性重合体と変
性ブロツク共重合体又は未変性のブロツク共重合
体を前記と同様にペレツト化した。このペレツト
を射出成形して試験片を作成し、耐衝撃強度を測
定した。 結果を表7に示したが、本発明の方法で得た変
性ブロツク共重合体を配合した組成物は極めて耐
衝撃性に優れた組成物を提供することが明らかに
なつた。 又、前記参考実施例と同様の方法で耐候性試験
及び耐熱老化性試験を実施したところ、参考実施
例17〜20の組成物は参考比較例13〜16の組成物よ
り優れたアイゾツト衝撃強度を示した。
【表】 参考実施例 21および22 表8に示した処法に従いガラス繊維を含有する
熱可塑性重合体と変性ブロツク共重合体との組成
物をペレツト化した。このペレツトを射出成形し
て試験片を作成し、衝撃強度を測定した。 結果を表8に示した。
【表】
【表】 使用した。
参考実施例23〜30及び参考比較例17〜23 次の処法に従い、変性ブロツク共重合体組成物
及び比較例としての組成物を得た。 (1) 組成比配合比 重量部 Γ変性ブロツク共重合体(試料B−1)又は未
変性ブロツク共重合体(試料A−1) 100 Γ熱可塑性重合体(注15) 50 Γナフテン系プロセスオイル 50 Γ酸化チタン 1 Γ安定剤(注16) 0.7 (注15)熱可塑性重合体はいずれもペレツト
状の重合体を更に冷凍粉砕し、粒径50メツ
シユ程度の粉末状にして使用した。 (注16)2,2′−メチレンビス(4−メチル
−6−tert−ブチルフエノール)を使用し
た。 (2) 押出混練条件 Γ押出機:前記で用いたのと同じ シリンダー温度:130〜170℃ 得られた組成物の成形試験片の引張強度、耐摩
耗性及び圧縮永久歪を測定し、それぞれ表9に示
した。 表9の結果から明らかな様に本発明の方法で得
た変性ブロツク共重合体を配合した組成物は未変
性のブロツク共重合体を用いた比較例の組成物よ
り引張強度、耐摩耗性及び耐圧縮永久歪性の点で
優れることが分かる。又、変性ブロツク共重合体
のイオン性架橋物を用いた組成物は、耐熱性が更
に改良されていた。 次に、前記と同様の方法により耐候性試験を行
つたところ、参考実施例23〜30の試験片は耐候性
試験前のものに近い特性を示してゴム的な弾性が
保持されていたが、参考比較例17〜23の試験片
は、特に引張試験における伸びが低下してゴム的
な弾性が失われており、かなり劣化していること
が確認された。
〔試料B−6の変性ブロツク共重合体は、無水マレイン酸の代わりにアクリル酸を用いる以外は、試料B−3の変性ブロツク共重合体と同様の方法により製造した(実施例6参照)。〕
各配合の押出混練及び得られた各組成物の成形
試験片の物性測定は参考実施例23〜30と同一の方
法で行なつた。結果を表10に示す。 表10の結果から明らかなように、本発明の方法
で得た変性ブロツク共重合体を配合した組成物は
未変性のブロツク共重合体を用いた比較例の組成
物より耐摩耗性及び高温時の耐圧縮永久歪性に優
れるものであつた。
【表】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 ビニル芳香族化合物の含有量が10〜90重量%
    で、少なくとも1個のビニル芳香族化合物重合体
    ブロツクAと少なくとも1個の水添された共役ジ
    エン重合体ブロツクBを有し、しかもブロツクB
    の不飽和度が20%を超えない水添された共役ジエ
    ン重合体ブロツクであるブロツク共重合体と不飽
    和カルボン酸又はその誘導体とを、押出機中でラ
    ジカル開始剤存在下で反応させ、不飽和カルボン
    酸又はその誘導体の付加量が平均値として前記ブ
    ロツク共重合体100重量部あたり0.05〜20重量部
    であり、かつ、トルエン不溶分が0.05重量%以下
    である変性ブロツク共重合体を製造する方法。
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